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生保協会・生保業界



●07年1月末:生保38社収保1.1%減に(07年3月20日)

 07年1月末(06年4月〜07年1月)生保事業概況(38社合計値)を発表。個人保険の新契約高は前年同期比14.0%減の56兆2,899億円、保有契約高は3.9%減の1,034兆1,354億円と死亡保障の減少傾向が持続。個人年金保険の新契約高は5.2%増の7兆2,233億円、保有契約高は7.1%増の85兆1,364億円と、窓販市場の拡大持続。団保含む収入保険料は1.1%減の22兆5,552億円に。

●06年度第3四半期末:生保収保1.3%減に(07年2月28日)
 06年度第3四半期末(4〜12月)生保事業概況(38社合計値)を発表。個人保険の新契約高は前年同期比13.7%減の52兆6,822億円、保有契約高は3.9%減の1,038兆4,862億円と死亡保障の減少傾向が持続。個人年金保険の新契約高は5.5%増の6兆6,087億円、保有契約高は7.1%増の84兆6,504億円と、窓販市場の拡大持続。団保含む収入保険料は1.3%減の20兆4,774億円に。

●「平成19年度・子育て支援団体助成活動」実施(07年2月9日)
 社会貢献活動の一環として、平成17年度より「平成19年度・子育て家庭支援団体に対する助成活動」を実施。就学前の子どもの保護者等(妊婦等を含む)への支援活動を行っている民間非営利の団体・グループ、NPO法人等に対し、資金助成を行う。平成19年度は総額最大1,400万円(1団体あたり上限25万円)を予定。
<応募要領>
1.応募方法:所定の「助成申請書」に必要事項を記入し、正本1部とコピー1部を、団体等所在地の都道府県にある当会地方事務室宛てに郵便(簡易書留または配達記録郵便)で送付。
2.募集期間:平成19年2月13日〜3月23日<当日消印有効>
3.選考結果の発表:選考結果は、平成19年8月上旬にすべての申請団体に対し直接書面にて通知するとともに、協会ホームページ上(http://www.seiho.or.jp/)で公表。
4.問合わせ先:生命保険協会「子育て家庭支援支援団体に対する助成活動」事務局 電話03-3286-2643 FAX03-3286-2730
※ 詳しい「募集要項」「助成申請書」は、生保協会ホームページからダウンロードできる。

●年金募集資料で「契約概要」ガイドラインなど改正(07年2月1日)
 生保協会は、「年金支払開始時の基礎率(予定死亡率、予定利率等)に基づいて年金額を定めるタイプの個人年金商品」の募集資料の記載内容を、分かりやすい表現に改める観点から、「契約概要作成ガイドライン」「生命保険商品に関する適正表示ガイドライン」を一部改正。
<契約概要作成ガイドラインの改定点>
 ガイドラインの「(10)年金額に関する事項:年金額が年金支払開始時点での基礎率等を使用して計算される場合はその旨」に関する記載例は下記の通り。
▽将来お受取になる年金額は年金支払開始時点の基礎率等(予定利率、予定死亡率等)に基づいて計算され算出されるものです。
▽具体的な年金額を表示する場合、例示している年金額は、●●●●年●月時点の基礎率等に基づき算出したものです。実際の年金額は支払開始時点の基礎率等により新たに計算されますので、経済情勢、平均寿命の変化等により、基礎率等が変更された場合には、例示している年金額を大きく下回る可能性があります。
<生命保険商品に関する適正表示ガイドライン>
 ガイドラインの「7.年金支払開始時点の基礎率等に基づき年金額が定まる個人年金商品の場合の留意点」に関する改定点は下記の通り。
(1) 具体的な年金額を表示する場合には、年金額と併せて、注意喚起文言が一般消費者の理解しやすいように明瞭に表示されているか留意する。
〈備考〉
▽「例示している年金額は、●●●●年●月時点の基礎率等(予定利率、予定死亡率等)に基づき算出したものです。実際の年金額は支払開始時点の基礎率等により新たに計算されますので、経済情勢、平均寿命の変化等により、基礎率等が変更された場合には、例示している年金額を大きく下回る可能性があります。」などの注意喚起文言を明瞭に表示すること。
▽具体的な年金額に対する注意喚起文言については、次の点に留意するなど、十分に工夫して表示すること。
・表示態様(レイアウトや色づけ等)に留意し、極力、明瞭に表示する。
・例えば、具体的金額の表示の大きさによっては、8ポイントに拘らず適切な大きさで表示する、あるいは、「大きく下回ることがあります」等の特に注意を喚起すべき文言については具体的な年金額の表示と同等の大きさで表示する等、一般消費者が認識しやすいよう、具体的な年金額の表示と比し、極力、目立つように活字の大きさ等も工夫し、明瞭に表示する。
・具体的な年金額と同一紙面上かつ具体的な年金額の表示の、極力、近くに表示し、具体的な年金額と注意喚起文言の記載箇所の関連性を明確化するために十分な工夫を行う。
・極力近くに表示することが物理的に困難な場合には、例えば、具体的な年金額の側に「大きく下回ることがあります」等の特に注意を喚起すべき文言を記載する等工夫する。その場合、8ポイントに拘らず、具体的な年金額の表示と同等の活字の大きさで表示する等、一般消費者が、例示している年金額を大きく下回る可能性を認識しやすいよう工夫する。
(2) 具体的な年金額を表示せず、年金額についての説明等を表示する場合には、一般消費者の理解しやすいように表示されているか留意する。
〈備考〉
▽「年金額は保険のご加入時点で定まるものではありません。将来お受取になる年金額は年金支払開始時点の基礎率等(予定利率、予定死亡率等)に基づいて計算され算出されるものです。」等と理解しやすいように表示すること。

●クーリング・オフ制度への再度申入れに回答(07年1月31日)
 平成18年12月25日付で「NPO法人ひょうご消費者ネット」より、クーリング・オフ制度に関する再度の申入れを受け、生保協会は1月31日付で同団体へ回答書を提出。
 経緯は、協会作成の「注意喚起情報作成ガイドライン」におけるクーリング・オフ制度に係る一部の記載(「預金口座に保険料を払い込んだ場合は、契約者が検討のうえ申し込み、保険料を送金したものとみなし、保険料送金後は契約申し込みの撤回はできない」との例示)について、平成18年8月21日付で同団体より、誤った法令解釈に基づくものであり削除するよう指摘があった。生保協会は10月31日付で、当該記載の取扱いは法令の範囲内の取扱いであると認識している旨回答するとともに、最近の販売チャネルの多様化等の環境変化を踏まえて、金融庁に対し、保険契約者保護の観点からクーリング・オフ制度の適用に関して必要な法令の見直しを検討するよう要望した。
 今回の同団体による再度の申し入れでは、「預金口座への保険料送金後はクーリング・オフ権の行使を認めていない現行取扱いが、法令の範囲内とする理由について法解釈・根拠条文を明示して欲しい」などを要望。これに対し、生保協会は業法施行令のクーリング・オフ権の適用除外等に関する学者論文資料などを添えて、「法令の範囲内の取扱いと認識する」と回答した。

●郵政民営化委「新規業務」所見に対し意見書提出(07年1月30日)
 郵政民営化委員会は昨年12月22日付で、「郵便貯金銀行及び郵便保険会社の新規業務の調査審議に関する所見」を公表し、意見募集を行った。同所見に対し生保協会は1月30日付で、契約者保護と他の生保会社との対等・公正な競争条件の確保等の観点から意見書を提出。

<意見書「総論」>
(1)郵便保険会社と他の生命保険会社との間の対等な競争条件の確保、公正かつ自由な競争の促進は、郵政民営化法等に鑑み、国民の利益への寄与の前提として重要なものである。保険種類の拡充や加入限度額の引き上げ等の業務範囲の拡大といった新規業務の調査審議に際しては、郵政民営化法に規定されている通り、「他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情」を考慮し、適切な判断がなされることが必要である。
 政府出資等の政府関与に伴い生じる「政府サポートに対する期待」(「所見」における「暗黙の政府保証が残存するというパーセプション」)といった競争上の優位性が解消されるまでは、公正な競争条件が確保されていないことから、新規業務は認められるべきではない。
(2)旧簡易生命保険契約から生じる利益は、「所見」に示されている「利用者保護」の観点から、当該契約者に帰属すべきものであ。また、この利益が不当に郵便保険会社の利益として配分され、郵便保険会社の新規事業への流用や郵便保険会社の株主配当等に充てられるとすれば、それらは独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に承継される簡易生命保険事業から郵便保険会社への利益補填に他ならず、対等な競争条件の確保の観点から問題であり、「所見」に示された「関係業界の利害調整の手段」とは全く異なるものと考える。利益還元の公平性及び透明性の確保の観点から、新・旧契約間での区分経理の実施、管理機構等による日本郵政公社と同等のディスクロージャー等がなされるべきと考える。
(3)旧契約の個人情報を郵便保険会社が取扱う場合には、契約者保護及び公正な競争条件の確保の観点から、@旧契約の管理業務以外での情報利用の禁止、A郵政民営化法に定める管理業務のた
めに提供される情報の明確化、B個人情報の不適正な利用を防止するための措置等、独立行政法人等個人情報保護法、郵政民営化法等に基づき、適切な対応が求められる。
 特に、平成19年10月の郵政民営化のスタートまでに上記(2)及び(3)の諸問題については、契約者保護及び公正な競争条件の確保のため、早期に具体的な制度整備を行うことが重要であり、郵政民営化関連法の政省令や「日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画等において適切に措置されることが必要と考える。

<意見書「各論」>
1、郵政民営化と新規業務
@民営化の意義と金融二社のビジネスモデル
▽郵政民営化においては、「自由で公正な民間の生命保険市場への吸収・統合」を目指す上で、競争上の優位性が働く「移行期間」においては、金融二社の業務に一定の制約を課すことが必要であることから、郵政民営化法において郵便保険会社に対しても業務制限が課せられているものと認識している。この点については、郵政民営化法案の審議における政府答弁等からも明らかである。
▽郵便保険会社が「所見」に示された「民間金融機関(民間生命保険会社)にふさわしいビジネスモデルへの革新」を行うにあたり、郵便保険会社のビジネスモデルに民間金融機関と同等の自由度が与えられるためには、市場原理や経済合理性が正しく働く条件が整備され、金融市場の機能に歪みを与えないことが必要である。
▽その条件を満たすためには、政府出資等の政府関与に伴い生じる「政府サポートに対する期待」といった競争上の優位性の解消、民間金融機関としての適切な態勢整備がなされること、さらに契約者の保護にもとるおそれがないことが必要。
A郵貯・簡保の経営の現状
▽「所見」において、「簡保のビジネスモデルには競争力がない」と結論付けられているが、ビジネスモデルの評価にあたっては、より詳細な現状分析が必要である。
▽例えば、「所見」にて指摘されている「新契約の減少」については、人口構成の変化、超低金利の継続、可処分所得の減少等により、この十数年間において簡易生命保険に限らず民間生命保険会社にも当てはまる現象であり、生命保険市場の規模そのものが縮小している影響等を考慮すべき。
▽また、最近の金利動向を踏まえ、一部の民間生命保険会社が養老保険の予定利率を引上げたことに伴い、養老保険の新契約件数が増加に転じていることから、簡保事業における「構造的縮小リスク」に関しては、養老保険中心の商品構成のみによるものではない。
▽さらに、金利が上昇し、「新契約の減少」の要因の一つである超低金利から脱却した場合は、民営化後においても満期を迎える旧契約が安定的に郵便保険会社に承継され、現行の業務範囲においても収益性は向上していくものと考える。また、簡保事業におけるリターンの面からは、過去の高予定利率が設定された旧契約の逆ざや、公社化時の影響等により利差損が発生しているが、それらは追加責任準備金の戻入益で補填される仕組みが確立されているため、旧契約自体の健全性は確保されている。
▽その他、金利低下局面において、逆ざやの要因となる予定利率を順次引き下げており、近年の新契約の予定利率(平成13年以降1.0%〜1.5%)と運用利回り(平成17年度決算2.15%)を勘案すると、近年の契約の収支においては追加責任準備金の戻入益を含めずとも一定程度の利益計上がなされているのではないかとも考えられる。
▽経営の状況については、郵政民営化法にも規定されている通り、新規業務の認可に際しての判断要素となることから、郵政民営化委員会において多角的な視点から十分な調査分析を行よう要望する。
B株式上場・処分の意義
▽株式上場に不可欠な「投資家の信認を確保すること」については、先ず既存業務について健全かつ効率的な業務運営態勢の整備がなされること、また、このような業務運営が確保された上で、事業の成長性を見出すことが重要である。
▽「所見」の「A郵貯・簡保の経営の現状」において、「郵貯・簡保については、内部管理等の面でも民間金融機関としては多くの課題が存在している」と指摘されているが、民間金融機関として既存業務における健全かつ効率的な業務運営態勢が整備されない限り、新規業務による成長性を見出すことは困難である。
▽一方、昨年の7月末に日本郵政株式会社より公表された「実施計画の骨格」にて示された郵便保険会社の「経営見通し」では、平成19年10月以降の5年間の郵便保険会社の業績は、増益基調で推移するとされており、現行の業務範囲内においても収益性が確保できるとする見通しが示されている。
▽以上の点に鑑みれば、「移行期間」において、あえて新規業務へ参入し、それに伴うリスクを抱えるよりも、既存業務の態勢を整えることが将来的な投資家の信認確保に繋がるものと考える。
▽「所見」において、「費用状況に関する根底的見直し等により、経営の効率化を進めることの重要性」が示されたことは、郵便保険会社が民間生命保険会社へ変革する第一歩として大変意義がある。ただし、郵便保険会社の経営の効率化にあたっては、市場原理の貫徹、経済合理性の浸透のため、公正な競争条件の確保の観点からも、「所見」で示されている郵政グループ全体としてではなく、自立した一民間金融機関として推進していくことが強く求められる。
C政府保証の廃止及びそれに伴って必要となる措置
▽「所見」において指摘されている「暗黙の政府保証が残存するというパーセプション」については、政府出資や郵便保険会社の経営に政府出資が残り続ける持株会社が関与すること等に伴い、消費者・市場関係者が持つ「政府サポートに対する期待」であり、これが郵便保険会社の信用補完となり、競争上の優位性に結びつくものである。また、この競争上の優位性については、郵政民営化法案の審議過程における政府答弁等においても明らかである。
▽「政府サポートに対する期待」は、政府出資という明示的な形態を通して政府・持株会社が郵便保険会社の経営に関与することで、消費者・市場関係者において一層強められることになるため、公正な競争条件の確保という観点から、その解消が必要。
▽また、「預金者・加入者等の誤解」については、その払拭が必要不可欠であることから、政府保証が存在しないことを明確に説明するのみに留まらず、商号等を含め、政府保証が付された簡保事業を連想させ、消費者に誤認を与えかねない要素についても適切な措置を講じることが必要である。

2、新規業務に関する調査審議の方針
(2)基本的な考え方
A金融二社のバランスシートの規模
▽「所見」の「1.郵政民営化と新規業務」において、「肥大化したバランスシートの規模を縮小する」として、「規模の縮小」(肥大化の回避)が示されたことは、重要なことである。しかし、「移行期間」においては、「所見」に示されましたように市場原理、経済合理性が適切に働かず、公正な競争条件が確保されないことで、今後も肥大化の懸念が残ることから、新規業務の認可等にあたっては、慎重かつ十分な調査審議が求められる。
B新規業務の実施に係る先後関係
▽新規業務の認可等にあたっては、「所見」にて示された先後関係を含め、「基本的に金融二社の経営状況と適正な競争関係の確保の観点による」と示されておりますが、先述の「1A郵貯・簡保の経営の現状」、及び後述の「2(2)C適正な競争関係の確保」に対する当会の意見を踏まえ、慎重に調査審議がなされることを強く要望する。
▽特に、「顧客ニーズを把握しやすい」との理由から、「コアコンピタンスとの関係が強い業務から弱い業務へ」との先後関係が示されておりますが、政府関与に伴い生じる「政府サポートに対する期待」という競争上の優位性を有する中で、「企業が競合他社に対して圧倒的に優位にある事業分野」という「コアコンピタンス」との観点から新規業務が認可されることとなれば、市場原理や経済合理性が正しく働かず、金融市場の機能に歪みをもたらす懸念があると考えます。
C適正な競争関係の確保
▽「利用者利便の向上」は重要な観点だが、当会はかねてより「既に民間生命保険会社によるサービスの提供が全国あまねく行われており、利便という観点では充足されている」と考えている。
▽また、独占禁止法及び金融商品取引法等においては、国民の利益に資することを目的として、「公正かつ自由な競争の促進」や「公正な価格形成等を図る」ことが前提とされているものと認識している。
▽特に、郵政民営化法では、その基本理念として「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保すること」をもって、「国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与すること」とされており、事前規制として、「承継会社の業務については、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するために必要な制限を加える」旨が規定されている。また、新規業務の認可等にあたっては「他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情」を考慮する旨が規定されている。これらの規定は、郵政民営化法案の国会審議における政府答弁等からも明らかなように、政府出資
等の政府の関与が残ることにより、競争上優位に立つことから、公正な競争条件の確保のために措
置されたものと認識している。
▽競争上の優位性に結びつく「政府サポートに対する期待」が解消されない中で新規業務が認められることになれば、郵便保険会社と他の生命保険会社との間に不公正な競争が生じることになり、各社の経営に悪影響を及ぼしかねず、結果として、利用者の便益を損なうことも懸念される。
▽不公正な競争によって生じた「損失」を事後的に回復することは、一般的に困難であると考えられることから、新規業務の認可等にあたっては、郵政民営化法の趣旨を踏まえ、「所見」に示された「事後的な競争関係の確保」だけでなく、事前に「他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情」についても十分に調査審議し、公正な競争条件が確保されることを要望する。
▽また、「所見」に示された「事後的な競争関係の確保」についても、具体的な手法が明示されていないことから、明示するよう要望する。
(3)当面の対応
@新規業務開始のタイミングについての考え方
▽「所見」では、「リスク管理手段の多様化」の必要性が示されているが、旧契約については引き続き政府保証が付されており、現在もなお「国民の見えない負担」が存在していることから、従来通りの安全運用が行われるものと認識している。
▽民営化以降の新契約に係る資産運用等にあたっては、先ずは運用執行態勢・リスク管理態勢の整備が必要であり、そのような態勢整備がなされないうちに運用対象の自由化を先行させることで、マーケットの攪乱要因とならないよう配慮されるべき。
▽新規業務について「上場に向けて市場の評価を得る」という観点は、郵政民営化法に規定されておらず、そのタイミングについてもあくまで郵便保険会社の経営判断に委ねられるものであることから、先述の郵政民営化法の趣旨に基づき「他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情」を重視すべき。
A個別業務の調査審議の考え方
▽個別業務の調査審議については、公正な競争条件の確保という観点から、関係業界からもその都度意見聴取がなされることを要望する。
▽「実施計画の骨格」において郵便保険会社が希望している新たな商品・サービスは、既に民間生保が行っている事業であることから、こうした事業分野において公正な競争条件が確保されなければ、民間生命保険会社の経営に悪影響を与えかねず、特に特定分野に絞って経営している民間生命保険会社の経営に対して与える影響は極めて大きくなるものと考える。
▽個別業務の調査審議における「他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情」については、郵便保険会社全体の保険料収入や資産規模が現状維持もしくは縮小していることをもって判断がなされるのではなく、個別商品毎のマーケットにおける影響等も踏まえた上で判断がなされるべき。

3、その他
A簡保の旧契約者に係る利益と個人情報
◇簡保の旧契約の利益
▽郵政民営化委員会第14回会合での説明の通り、過去の試算においては、再保険から発生する利益(旧契約の契約者に帰属すべき利益)の一部が郵便保険会社へ補填されることが想定されている。
▽一般的には、保険料は事業にかかる費用や運用収益等、一定の予定率を考慮し計算されており、有配当保険においては予定と実績の差によって生じた損益を集計し、剰余が生じた場合に契約者に配当にて還元している。つまり、契約者配当は、予定率にもとづいて計算された保険料の事後精算という性格を有するものであり、預貯金の利息や株式の配当とは異なる。
▽旧契約の契約者の権利保護の観点から、旧契約から生じた利益(「所見」における「再保険の利益」)は旧契約の契約者に帰属するものであり、旧契約の契約者へ配当還元すべき。
▽これらの利益が、旧契約の契約者に還元されず、郵便保険会社に配分されるとすれば、郵便保険会社の株主配当や新規事業のために流用されてしまう懸念があり、対等な競争条件の確保の観点からも問題がある。
▽これらの問題に適切に対応するためには、郵便保険会社が管理機構から再保険を受再するにあたって、郵便保険会社が収受することとなる手数料等を含め、再保険契約の内容を公開すること、新旧契約間で区分経理を実施すること、及び旧契約の契約者への情報開示の継続性や国民に対する「見えない負担」の開示という観点も踏まえ、管理機構等により現在の日本郵政公社と同等のディスクロージャーが行われることが必要である。
◇旧契約の個人情報
▽旧契約の個人情報については、郵政民営化法第6条に基づき、旧契約の管理業務が管理機構に承継されることに伴って承継されることから、郵便保険会社が管理機構より、旧契約の個人情報の提供を受ける場合には、独立行政法人等個人情報保護法、郵政民営化法等に基づき、契約者保護の観点から、適切な対応が求められる。
▽郵便保険会社等において、管理機構から委託される業務以外の目的のために旧契約の個人情報が利用されるとすれば、旧契約の契約者等からの同意の取得が必要である。
B郵便局の活用のあり方
▽郵便局ネットワークは、公的な性格の残る国民共有の生活インフラであることから、国民生活への裨益、公正な競争条件の確保、経済活性化等の観点から、公平かつ公正に利用される必要がある。
▽郵便局ネットワークで生命保険商品を取り扱うのであれば、その取扱商品の選択については、公的要素の強いインフラであることに鑑み、そのプロセスの透明性を確保すべき。

●斎藤勝利会長の年頭所感(07年1月4日)
 現在、民間の生命保険会社は、死亡・高度障害保険金だけでも年間約3兆2千億円を支払っており、社会保障における遺族年金支給額約6兆円を補完する役割を果たしている。老後保障としての年金や医療保障である入院・手術給付金等を合計すると、年間約12兆円、1日あたり300億円を超える保険金・給付金等が国民の生活に役立てられている。
 生命保険協会長としての使命は、生命保険事業に対するお客の信頼を回復させ、この事業が担っている役割にふさわしい評価をいただくことと考えている。生命保険事業が社会的役割と責任を引き続き果たしていくために、生命保険協会では、その活動全般について社会的責任( Social Responsibility)の遂行という観点を意識するとともに、社会に貢献し続ける姿勢を「生命保険協会のSR活動」と位置づけ、諸課題解決に向け全力で取り組んでいる。
 生命保険業界は、平成14年度を底に業績が回復傾向に入り、平成15年度以降は増益基調となっている。ソルベンシー・マージン比率も上昇しており、各社の健全性に対する不安も払拭された。これは、これまでの事業費削減等の合理化努力に加え、多様化するお客のニーズに対応した的確な商品開発や営業努力が相俟って達成された結果であり、生命保険業界にようやくフォローの風が吹き始めたと感じている。
 金融市場の動向は生命保険経営にも大きな影響を及ぼすが、株価については、中期的には堅調な設備投資や個人消費の回復、企業業績の持続的な拡大などを背景に、緩やかに上昇すると期待している。また、金利については、今後、景気の持続的な拡大などにより緩やかな上昇基調をたどれば、生命保険業界にとって、より好ましい経営環境になる。
 わが国は、いわゆる「団塊の世代」と「団塊ジュニア」が大きなボリュームを有しており、2つのピークを形成している。急速に進展する少子高齢化に伴い、医療・介護といった第三分野商品や、年金といった老後保障商品のニーズが高まっており、これらは引き続き今後の成長分野と考えられる。一方、50代に次いで人口ボリュームの大きい「団塊ジュニア」世代は 30代を迎えており、遺族保障についても、この世代を中心に幅広い層でその必要性は引き続き高いものと考えている。人口減少という事実はあるが、多様化するニーズへの適切な対応により、今後も生命保険事業が発展していくことを期待する。

●生保協会、株主価値調査結果を公表(06年12月15日)
 今年度も上場企業1,200社、機関投資家206社を対象としたアンケート調査を実施。平成17年度ベースの DOE(株主資本配当率)は米国が4.9% 、日本が1.9%となっている状況を踏まえ、投資家評価についてのアンケート調査結果を公表するとともに、株式価値向上に向けた改善取り組みについての要望を取りまとめた。
<要望事項>
(1)株主への利益還元に関する具体的な目標値の設定・公表
(2)配当性向の向上
(3)業績連動型配当への転換と連結業績にもとづいた配当還元の実施
(4)自己株式取得・消却の推進
(5)敵対的買収防衛策の導入・運営においては株式価値向上の観点が必要
(6)エクイティ・ファイナンス実施時の株主に対する充分な説明の推進
(7)株主に配慮のある株主総会運営・定款設計の推進
<調査結果と要望>
@株主への利益還元に関する具体的な目標値の設定および公表〜公表企業数は256社まで増加するも、その割合は全体の21%とまだ低水準〜
 企業の利益還元について、9割を超える投資家が定性的方針だけでなく、具体的な目標値の設定・公表を望んでいる。今回アンケートを送付した時価総額上位1,200社を対象に有価証券報告書や決算短信への利益還元目標の記載状況を調査した結果、具体的な数値基準を公表している企業は256社であった。利益還元に関する目標値を開示している企業数は過去3年間、増加傾向にあるが、開示企業の割合は全体の21.3%と依然として低水準に留まっているのが現状である。
 また、アンケートにおいて投資家に企業に対して公表を要望したい利益還元指標を質問したところ、配当性向が最も多かった(81.3%)。また、DOEを要望した投資家の回答は48.8%となっており、昨年度の17.6%から31.2ポイント上昇しており、DOEに投資家の注目度の高まりが窺える。このような実態と多くの投資家の意見を踏まえ、企業に対し「配当性向」など利益還元に関する具体的な目標値の設定および公表を引き続き要望する。
A配当性向の向上〜H17年度の配当性向は19%と依然として低水準、欧米に比べて大きく見劣り〜
 平成17年度の配当還元状況を振り返ると、業績回復を受けて増復配を行った企業が増加し、配当総額は4.1兆円と過去最高を記録した。しかしながら、配当性向は低下傾向をたどっており、昨年度も19%とデータが取得可能な昭和45年度(1970年度)以降で最低のレベルが3年連続で続いている。これは米国と比較して10 ポイントも低い水準である。こうした日本企業の配当性向の低下は、配当総額の増加テンポが収益の改善ペースに追いついていないことが主因である。
 今回の投資家へのアンケートにおいても、企業の配当水準に対する満足度については「満足できる企業はあまり多くない」「満足できる企業はほとんどない」 と回答した割合が55.6%と過半数を超えている。企業業の配当還元姿勢は改善する方向にあるものの、依然投資家を満足させるには至っていないのが現状である。このような実態とアンケート結果を踏まえて、企業が株式価値向上の観点から配当還元の向上に取り組むことを引き続き要望する。昨年度に引き続き、日本企業の配当性向について、欧米との比較感を踏まえ、30%台への向上が図られることを期待する。

●斎藤生保協会長が政府税調答申に意見表明(06年12月1日)
 斎藤勝利生保協会長は12月1日、政府税制調査会の平成19年度税制改正答申に対し、現行の生命保険料控除と個人年金保険料控除を統合・一本化した総合生命保険料控除制度の創設を要望する意見を表明。
<意見要旨>
 「平成19年度の税制改正に関する答申」では、個人住民税に関して「 所得割の諸控除については、地域社会の会費としての個人住民税の性格を踏まえて整理合理化を図り、課税ベースの拡大に努めていく必要がある。特に政策誘導的な控除については、所得割が比例税率化されること等も勘案し、控除額の水準等その在り方について速やかに見直すべき」との指摘があるが、生命保険料控除制度は国税(所得税)、地方税(個人住民税)における所得控除であり、私的保障充実のための自助努力支援制度である。
 社会保障制度を補完する私的保障の中核を担う生命保険およびその支援税制の必要性は一層高まることが予想され、個人住民税における生命保険料控除制度について縮減の方向での見直しをすべきではない。生保協会では平成19年度税制改正要望として、現行の生命保険料控除と個人年金保険料控除を統合・一本化した総合生命保険料控除制度の創設を要望しており、生命保険による自助努力を支援する制度の充実を強く要望する。

●クーリング・オフ制度で消費者団体からの申入れに対応(06年10月31日)
 生保協会は、8月21日付でNPO法人「ひょうご消費者ネット」(清水巌理事長)より、協会作成の「注意喚起情報作成ガイドライン」におけるクーリング・オフ制度に関する一部例示の削除につき申入れを受けていたが、10月31日、同団体へ斎藤勝利会長名で回答書を提出した。
<回答書の要旨>
 クーリング・オフ制度に係る「預金の口座に保険料をお支払いいただいた場合、お客様が十分ご検討のうえ、お申し込みをされるとともに保険料を送金されたものとみなし、保険料送金後はご契約のお申し込みを撤回することはできません。」との例示について、同団体より誤った法令解釈に基づくものであり削除するよう指摘があったが、生保協会としては当該記載の取扱いは法令の範囲内の取扱いであると認識している。
 一方、クーリング・オフ制度に関しては、今回の指摘の他にも意見等が寄せられていることから、以下の対応を順次実施する。
(1) クーリング・オフ制度のあり方について
▽申込者等が保険料を預金等の口座へ払い込んだ場合についても、保険契約者保護の観点からクーリング・オフ制度の適用に関して必要な法令の見直しを検討するよう、金融庁に要望を行った。
▽金融庁の検討結果を踏まえ、「注意喚起情報作成ガイドライン」の改正等その取扱いについて速やかに検討を行い、その結果について会員各社に周知し、適切な対応をとるよう要請を行う。
(2) 「市場リスク」を有する保険商品の販売勧誘への取組み
▽クーリング・オフの必要性が問題となるような事例が減少するよう、販売勧誘の諸課題の解決に向けた取組みを強化していく。具体的には、市場リスクを有する保険商品について、PDCAサイクル<計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→改善(Action)>による継続的な取組みとして、「クオリティファーストプラン(仮称)」の検討に着手する。この具体的な取り組みの一つとして、31日付で協会ホームページに市場リスクを有する保険商品に関する専用ページを設置した。

●貸金業団体に団信適正化申し入れ(06年10月12日)
 生保協会は10月10日、全国貸金業協会連合会に対し、@「団信の実務運営に関するガイドライン」の趣旨に沿った適正な運営を行うこと、A貸付にあたって団信への加入を条件とするような取扱は行わないことを趣旨とする申し入れを行った。
 また12日から、生保協会ホームページ上に、消費者向けの「消費者信用団体生命保険専用ページ」を開設した。主な内容は、@団信の概要、Aよくある質問・回答をまとめたQ&A、B団信にかかる相談等の受付の案内、B団信の実務運営に関するガイドラインを掲載するとともに、専門知識を持つ相談員が消費者からの相談に対応する体制を整備した。
<団信専用ページの主な内容>
〈団信の仕組み〉
 消費者信用団体生命保険(団信)は、一定の利用限度額の範囲内で変動する債務を負う債務者の団体を対象とし、債権者である信用供与機関等を保険契約者・保険金受取人、債務者を被保険者、未返済債務額を保険金額とする団体生命保険。債務の返済が完了する前に債務者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、未返済債務額に相当する保険金を債権者に支払い、債務を消滅させることで遺家族等の生計の安定を図ることを目的とするもの。
 借入人が金融機関等から融資を受ける契約を締結する際に、借入人の同意に基づき消費者信用団体生命保険に加入する→金融機関等が生保会社に保険料を支払う→借入人が死亡または高度障害となった場合、保険会社より支払われる保険金(債務残高と同額)を金融機関等が受け取る→金融機関等が保険金を借入人の未償還債務に充当し債務を消滅させる。
〈Q&A例〉
@団信には必ず加入しなければいけないのか?
(A)信用供与契約の申込時に保険加入に同意したうえで加入する。保険への加入を希望しない場合は借入先の金融機関等に相談すること。
A自分が団信に入っているかどうか確認する方法は?
(A)信用供与契約書のお客様控、ローンカードの会員規約あるいは別様となっているこの保険の加入申込書等を見れば、加入しているかどうかがわかる。不明の場合は、借入先の金融機関等に問い合わせる。
B自分が加入している団信を引き受けている保険会社を知りたい。
(A)無人契約機等に備え付けられている「契約概要・注意喚起情報」に引受保険会社(複数の生保会社による共同引受の場合には事務幹事会社)が掲載されている。不明の場合は、借入先の金融機関等に問い合わせる。
C借入金を一旦全額返済したが、再度借入を行った。保険に再度加入したい場合に再加入の手続きが必要となるか?
(A)団信は一定の利用限度額の範囲で繰り返し借り入れることが可能な信用供与契約を対象としており、当該信用供与契約の契約期間満了または解約までは、被保険者の資格がある。したがって、一度債務残高がゼロとなっても再度の保険加入手続きは必要ない。ただし、信用供与契約の契約期間満了または解約後、新たに別の信用供与契約を締結する際には再度の加入手続きが必要となる。

●団信問題でガイドライン策定(06年9月29日)
 生保協会は、9月15日の金融庁による消費者金融関連の要請を受けて、消費者信用団体生命保険について適正な実務運営を確保するための生保業界自主ガイドライン「消費者信用団体生命保険の実務運営に関するガイドライン」をとりまとめた。なお、消費者信用団体生命保険は、一定の利用限度額の範囲内で変動する債務を負う債務者の団体を対象とし、債権者である信用供与機関等を保険契約者・保険金受取人、債務者を被保険者、未返済債務額を保険金額とする団体生命保険。債務の返済が完了する前に債務者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、未返済債務額に相当する保険金を債権者に支払い、債務を消滅させることを目的とするもの。
<「消費者信用団体生命保険の実務運営に関するガイドライン」の概要>
1.ガイドライン策定の目的:貸金業制度等に関する議論を踏まえ、消費者金融等の融資において利用されている消費者信用団体生命保険について、適正な実務運営を確保するための参考に供するためにガイドラインを策定する。
2.保険加入についての被保険者の同意取得のあり方:保険会社は以下の点に留意し、契約者である団体において適切な同意取得が行われるよう必要な措置を講じる必要がある。
(1)契約概要・注意喚起情報による重要事項説明の徹底:保険加入についての被保険者の同意取得は、契約概要・注意喚起情報に基づき重要事項の確認を得たうえで行う必要がある。
(2)契約概要・注意喚起情報の記載内容:契約概要・注意喚起情報の作成にあたっては、保険金額が債務残高に応じて変動すること等、この商品の特性等に応じた記載を行う必要がある。なお、借入額等の規制の動向を踏まえ、適正な保険金額の設定等について必要な措置を講じる必要がある。
(3)保険加入申込書における同意取得の際の留意点:原則として、保険加入申込書とローンカード等の申込書をそれぞれ別書面とする必要がある。保険加入の同意を取得する場合には、加入対象者が保険加入への同意を明確に意思表示できるような措置を講じる必要がある。保険に加入するか否かについて加入対象者の選択の任意性を十分に確保するために、例えば、保険への加入をローンカード等の申込みの条件としないことを保険加入申込書に記載する等の措置を講じる必要がある。
(4)無人契約機等における同意取得の際の留意点:インターネットなど書面により同意取得が行われない場合においても、加入対象者が保険加入への同意を明確に意思表示できるよう、上記(3)の記載内容と同程度の措置を講じる必要がある。特に、無人契約機等による加入手続きが行われる場合には、加入時に契約内容の確認が適切に行える仕組みの構築が必要である。
3.保険金支払実務のあり方
(1)保険金支払請求時の遺族の了知:被保険者が死亡した場合、保険金受取人である団体からの保険金請求に際しては、遺族の連絡先が不明である等のやむを得ない場合を除き、当該団体から遺族に対し保険金額等の請求内容が通知され、遺族に保険金額等の請求内容が了知されていることを保険会社が確認する必要がある。
(2)保険金の支払い:保険金の支払いについては、商品の特性等に応じた適切な保険金の支払いを行うよう措置を講じる必要がある。

●平成19年度税制で「総合控除」新設を要望(06年9月15日)
 9月15日、財務大臣など税制当局関係先に対し、平成19年度税制改正に関する要望書を提出。なお、これに先立ち、生保協会は「生命保険料控除制度に関するアンケート」を実施、123万人から回答を得た。その結果、「生命保険料控除制度は必要」94.7%、「生命保険料控除制度を拡充すべき」84.9%、「生命保険料控除制度を簡素で分かりやすくすべき」75.1%の割合となった。
<平成19年度税制改正に関する要望事項>
【重点要望項目】
▽遺族・老後・医療・介護保障への多様な国民のニーズおよび多様化・複合化した生命保険商品に対応した「簡素」で「わかりやすい」汎用的な自助努力支援制度(総合生命保険料控除制度)を創設すること:生命保険・個人年金保険合算の年間正味払込保険料の一定割合に対して行う所得控除について、所得税法上の所得控除限度額を20万円、地方税法上の所得控除限度額を15万円とすること(所得税法第76条第1項、第2項)(地方税法第34条第1項第5号、第5号の2、第314条の2第1項第5号、第5号の2)。
▽遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数× 500 万円」)に「配偶者分 500 万円+未成年の被扶養法定相続人数× 500 万円」を加算すること(相続税法第12条第1項第5号)。
【要望項目】
T.企業年金保険関係
▽公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度、適格退職年金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること。
▽確定拠出年金保険契約の預け替えや資産移転による保険料について、法人事業税の課税対象から除外すること。
U.資産運用関係
▽不動産関連税制の総合的見直しを図ること。
V.その他
▽生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること。
▽欠損金の繰越期間の延長と欠損金繰戻還付の実施・繰戻期間を延長すること。
▽破綻保険会社から協定銀行が土地等を取得した場合の不動産取得税の非課税措置を恒久化すること、少なくとも措置期間を延長すること。

●第1四半期末生保事業概況:収保2.8%増に(06年8月31日)
 06年度第1四半期末の生保事業概況(38社合計)を発表。新契約高は、個人保険が前年同期比10.6%減の16兆7775億円、個人年金保険が6.5%増の2兆280億円。保有契約高は、個人保険が3.7%減の1059兆3339億円、個人年金保険が7.8%増の81兆3581億円。引き続き年金窓販が個人保険市場を牽引している。全種目合計の収入保険料は2.8%増の6兆7950億円に。

●子育て家庭支援助成75団体決まる(06年8月3日)
 「平成18年度子育て家庭支援団体に対する助成活動」として、応募453団体の中から「子育て支援サークルTime」(北海道石狩市)など75団体を選考し、総額1398万円の助成を決定。地域社会で就学前のこどもの保護者等(妊婦等を含む)への支援活動を行う非営利の民間団体・グループに対し、1団体あたり25万円(上限)の資金助成を行う。

●郵政実施計画骨格で生保協会長所見(06年7月31日)
 7月31日、「日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画の骨格」の公表に伴い、斎藤勝利生保協会会長は要旨下記の所見を発表。
<斎藤生保協会長の所見要旨> 
 郵政民営化においては、公正な競争条件の整備が重要な要素となると考えており、そのような環境整備がなされ、郵便保険会社が純粋な民間生命保険会社へと変革していくよう強く要望してきた。「実施計画の骨格」では、郵便保険会社が民営化時に提供する商品・サービスについては日本郵政公社の業務範囲等と同様のものとされているが、民営化後新たに提供することが検討されている商品・サービス等について、公正な競争条件の整備や契約者保護等の観点から懸念の残る内容となっている。来年4月に認可申請がなされる郵便保険会社の最終的な「実施計画」の策定及び認可、政省令の制定等にあたっては、公正な競争条件の整備及び契約者保護の観点から、以下の2点が反映されることを強く要望する。
(1)保険種類の拡充や加入限度額の引き上げ等の業務範囲の拡大については、郵政民営化法にて「他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情」を考慮し判断されることとなっており、政府出資の解消等、 民間生命保険会社との競争条件が完全に同一化されるまでは行わないこと。
(2)政府が関与する企業との一体的な経営管理等を行うのではなく、新たにスタートする一民間企業として自立した経営がなされること。特に、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が管理する旧簡易生命保険契約は郵便保険会社に再保険として出再されるが、旧契約からの利益は当該契約者に帰属すべきものであり、上記の観点に加えて利益還元の公平性・透明性の確保の観点からも、郵便保険会社における新旧契約の区分経理及びそのディスクロージャー、管理機構による公社と同等のディスクロージャー等がなされること。
 また、最終的な「実施計画」等において、公正な競争条件が確保されないなかで、「株式の上場・処分」や「上場に向けた企業価値の向上」のみを企図した郵便保険会社の業務範囲の拡大が行われることのないよう、郵政民営化委員会にて適切な審議がなされることと理解している。審議にあたっては、当会を含む同種の業務を営むものの意見等を聴取する等、国民と事業者に理解が得られるよう透明性の高いプロセスが経られることを要望する。

●斎藤勝利協会長が所信表明(06年7月21日)
 生保協会会長に就任した斎藤勝利第一生命社長は要旨次の所信を表明。 
<斎藤協会長の所信要旨>
1.国民生活を支える生保事業
 生保会社は死亡・病気・老後などの各種経済的リスクに備える保障手段を提供することで、国民の生活保障システムの一翼を担っている。死亡・高度障害保険金だけでも年間3兆円以上を支払っており、社会保障における遺族年金支給額約6兆円の補完としての役割を果たしている。その他、老後保障としての年金や医療保障である入院・手術給付金等を合計すると、年間約12兆円、1日あたり300億円を超える保険金・給付金等が国民の生活に役立てられている。また、総資産は200兆円を超えており、すなわち一世帯あたり約400万円の資産を預かっていることになる。生保会社は、この大切な資産について、将来の保険金等を支払うために、安全性・収益性・流動性に加え、公共性に配慮した運用に努めている。
 生保各社はこれまで、デフレ・低金利といった厳しい環境を経験しており、これに対し、幾多の審議を経て保険業法に基づくセーフティネットが整備されている。これまでに信頼性維持に要した費用は7,380億円にのぼり、これらすべてを業界負担のみで賄ってきた。一方で、昨年来、保険金等の支払いに関し信頼を損なうような事態が生じたことは誠に遺憾だ。生保協会では、新たに整備を行ったガイドラインや、契約者の声を会員各社の経営に反映する仕組みの運営等を通じ、信頼性の向上に向け真摯に取り組んでいく。

2.国民の自助努力支援の充実
 少子高齢化に伴い、医療・介護といった第三分野商品や年金といった老後保障商品のニーズが高まっている。多様なニーズに対応した商品やサービスを提供し、自助努力に向けた支援を行うことが生保事業の社会的役割の発揮につながる。同時に、自助努力に向けた税制面での支援として、生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度も重要な役割を担っている。生保協会が昨年実施したインターネットアンケートでは、生命保険料控除、個人年金保険料控除ともに、約95%の人が「維持・拡充してほしい」と回答し、93.8%の人がこれらの制度が拡充となった場合、「私的保障を充実させることを考える」と回答している。今後、社会保障制度が再構築される中、生命保険および個人年金保険に対する自助努力支援税制の重要性はますます高まるものであり、生保協会としてはこの私的保障に対する支援税制の一層の充実を要望していく。

3.生命保険市場における公正な競争条件の整備
 生保協会は、従来より簡易保険事業との公正な競争条件の整備の必要性を指摘してきた。昨年、「郵政民営化関連法」が成立し、簡易保険事業については、最終的な民営化時点で保険業法を完全に適用するなど、競争条件を同一化するための方策が講じられることになっている。今後、政府出資のように暗黙の政府保証となる要素を解消する等、純粋な民間生保会社に変革していくという道筋を明確にする必要がある。政府出資の解消を含め、民間生保会社との競争条件が完全に同一化されるまでは、郵便保険会社の商品種類の拡充や限度額の引上げなど、業務範囲を拡大すべきではないと考える。
 一方、金融庁では昨年来、「金融改革プログラム」に基づき、保険の販売勧誘における諸ルールについて集中的な議論が行われてきた。また、法務省は保険契約法の改正に向けた検討に着手した。こうした検討は、保険契約者保護の観点から、まさに生保市場の整備につながるものであり、生命険会として真摯に対応していく。

●セイホスカラーシップ奨学生12名決まる(06年7月13日)
 東南アジア・東アジアの私費留学生を対象とした外国人私費留学生奨学金制度「平成18年度セイホスカラーシップ奨学生」として、推薦のあった18大学・20名の中から、ムン・ソン・ジェさん(韓国、北海道大学文学部)ら12名の大学学部3年生を選んだ。同奨学金制度では月額5万円・年額60万円を2年間支給し、返済義務はない。本年度に奨学金を支給する奨学生は、前年度採用の奨学生で今春4年生に進級した学生11名と合わせ23名。平成2年度の制度発足から17年度までに262名の奨学生に奨学金を支給しており、本年度の奨学生12名を加え、これまでの奨学生総数は274名。

●介護福祉士養成奨学生152名決まる(06年7月5日)
 生命保険協会は7月5日、平成18年度の介護福祉士養成奨学生152名を決定。この結果、平成18年度に奨学金を支給する介護福祉士養成奨学生は、前年度採用の奨学生で本年2年次に進級した学生142名と合わせ294名。平成元年度から17年度までに2,855名の奨学生に奨学金を支給しており、本年度の奨学生152名を加え、これまで採用した奨学生は3,007名。

●新協会長に斎藤第一生命社長が内定(06年4月21日)
 4月21日開催の理事会で、7月21日開催予定の第98回通常総会終了後の理事会で、斎藤勝利第一生社長(生保協会副会長)を会長に互選することを内定した。

●少額短期保険募集人試験を実施(06年3月29日)
 生保協会では、新年度から保険業法で新たに法定される少額短期保険業者に対して保険会社と同様に保険募集人の公正な保険募集を行う能力の向上を図るための措置義務が課されることから、少額短期保険募集人の登録を行おうとする者を対象とした試験を、損保協会と共同して9月から毎月1回実施する。
<少額短期保険募集人試験の概要>
▽原則として、毎月(年12回)、全国で実施する予定。
▽第1回試験は、本年9月に実施する予定。
▽試験形態は、少額短期保険業者が損保商品・生保商品の引受けをあわせて行うことができることを踏まえ、損保・生保一体型の試験を実施する。▽試験実施要領や学習内容等の詳細について、7月に事前説明会を開催する予定。

●契約概要・注意喚起情報ガイドラインを作成(06年3月13日)
 生保協会は、保険商品の販売・勧誘時に説明すべき重要事項を明確化するための、「契約概要作成ガイドライン」と「注意喚起情報作成ガイドライン」を取りまとめた。2月28日に改正された金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」に沿って作成した。今後、会員生保各社は、これらのガイドラインを参考に「契約概要」「注意喚起情報」を整備する。
 生保協会では、各社がこのモデルを踏まえて、商品の特性や販売形態等に応じた適正な対応を確保することが望ましい。協会ガイドラインに記載されている字義通りの対応でなくても、保険業法等や監督指針等の趣旨から合理的かつ同様の効果が認められるのであれば、その対応を妨げるものではないとしている。
 また、「契約概要」「注意喚起情報」とも内容・情報量含めて、消費者が読みやすく分かりやすい記載とし、書面で作成すること。通信販売の場合でも消費者がこれらを確認し、書面で保存できるよう措置することした。
<必要記載事項例>
〈契約概要〉
 商品名称、商品の特徴、保険期間、担保内容、保険金額等引き受け条件、保険料、特約、配当金、解約返戻金、引受保険会社名、苦情・相談窓口など。外貨建保険は為替リスク、変額保険・年金では生命保険であること、最低保証の有無、特別勘定など。団体保険・年金では、契約者(団体)が構成員被保険者に配布するパンフレット等に上記必要記載事項に準じた説明を確保。
〈注意喚起情報〉
 契約申し込みの撤回(クーリングオフ)等の事項、告知義務、責任開始期、保険金等が支払われない場合、保険料の払込猶予期間・失効・復活、解約と解約返戻金、契約者保護機構、法令等での注意喚起事項(相互会社社員=契約者の権利義務・信用リスク・転換制度・乗り換え・無解約返戻金)、苦情・相談窓口など。外貨建保険は為替リスク、変額保険・年金では法令等での注意喚起事項のうち、特別勘定・解約払戻金額の変動性など。団体保険・年金では、契約者(団体)が構成員被保険者に配布するパンフレット等に上記必要記載事項に準じた説明を確保。


●苦情状況など「ボイス・リポート」発行(06年3月)
 生保協会の生命保険相談所では、協会で受けた契約者の声を迅速・正確に会員各社に届ける体制整備を図っている。その具体策の一環として、これまで年2回発行している「相談所リポート」掲載の「苦情受付状況」「紛争解決支援」部分を抜粋し、新たに「ボイス・リポート」として四半期毎に発行。内容は@苦情項目別件数、A代表的な苦情事例、B裁定審査会における紛争解決支援の状況を掲載。
<平成17年度第3四半期の苦情受付状況>
 第3四半期の苦情件数2,026件と2千件を超え、第2四半期の1,966件を若干上回り、引続き高水準で推移した。保険金・給付金の不払に対する個別会社への2度目の行政処分に関するマスコミ報道により、保険金・給付金不払についての申し出が数多くあったことが大きく影響している。
 苦情内容をみると、最も多く寄せられたのは、@給付金不払446件(占率22.0%)で、以下、A死亡保険金等不払148件(7.3%)、B配当内容145件(7.2%)、C説明不十分133件(6.6%)、D給付金支払手続125件(6.2%)の順。@からCまでは第2四半期と同順位で、Dの給付金支払手続は第7位から上昇。


●子育て家庭支援団体助成募集(06年2月13日)
 平成18年度「子育て家庭支援団体に対する助成活動」を実施。就学前の子どもの保護者等(妊婦等を含む)への支援活動を行っている非営利の民間団体・グループ等に対し、資金助成を行うもので、平成18年度は総額最大1,400万円(1団体あたり上限25万円)の資金助成を行う。
<応募要領>
1.応募方法:所定の「助成申請書」に必要事項を記入・捺印し、原本1部とコピー1部を団体等所在地の都道府県にある生保協会地方事務室宛に送付(簡易書留または配達記録郵便で送付する)。団体の内容がわかる資料(会則、活動報告書、決算書など)を添付すること。
※助成申請書・地方事務室住所等は生保協会ホームページを閲覧する。
2.募集期間:2月15日〜3月24日
3.選考結果の発表:選考結果は、平成18年8月上旬にすべての申請団体に直接書面で知らせるとともに、生保協会ホームページ上で公表。
4.問い合わせ先:生命保険協会「子育て家庭支援支援団体に対する助成活動」事務局 電話03-3286-2643 FAX03-3286-2730


●適切な保険金支払のためのガイドライン策定(06年2月1日)
 生保協会は、適切な保険金等の支払管理態勢の確立のための業界自主ガイドラインをまとめた。昨年10月28日の金融庁からの要請を踏まえて協会内において検討を重ね、策定した。今般とりまとめた具体的事項は、@保険金等の支払いを適切に行うための対応に関する業界自主ガイドライン、A生保協会における苦情・相談対応体制の強化のための方策、B裁定審査会の機能強化のための方策、の3点。なお、生保協会はこれに加えて、保険契約の販売・勧誘時に説明すべき重要事項の明確化のため、契約概要・注意喚起情報に関する自主ガイドラインを検討中。
 
<「保険金等の支払いを適切に行うための対応に関するガイドライン」の概要>
T.総論
1.本ガイドライン策定の目的:お客さまから信頼される生命保険事業の運営には、保険金等の支払業務プロセスが真にお客さま志向になっているかを確認するとともに、これまで以上に説明責任を果たしていくことが重要である。このため、本ガイドラインにおいて保険金等の支払いを迅速かつ適切に遂行するための留意点、請求時及び保険金等を支払いできない場合における説明のあり方等について整理することにより、適切な保険金等の支払管理態勢の確立を促進する。
2.本ガイドラインにおける基本的考え方:保険金等の支払いは生命保険事業における最も基本的かつ重要な機能であることから、以下の点に留意する必要がある。
(1)保険会社はお客さまからの通知によって初めて保険事故の発生を認知しうるという生命保険の特徴に鑑み、お客さまからの請求が漏れなく行われるよう環境を整備する。
(2)保険金等の支払いに関する重要な基準の策定にあたっては経営陣が関与する。
(3)保険金等の支払いの可否判断に際しては充分な事実確認を行い、慎重な判断を行う。
U.各論
1.お客さまの理解促進、適切な請求案内のための具体的対応:保険金等の支払いに関するお客さまの理解促進のために、「保険金等を支払う場合または支払いができない場合」について、契約のしおり、契約概要・注意喚起情報、ホームページ等での情報提供や請求時における説明の充実を図る。また、適切な請求案内を行うために、請求受付担当者の教育態勢の整備、請求可能かどうかに係る必要情報の把握と丁寧な説明、請求に係るお客さま照会窓口の明示等の対応を行う。
2.保険金等の支払いができない場合における対応:保険金等の支払いができない場合は、その理由等を明示し、適切な説明を行う。支払いができないことに対する苦情については苦情の申出窓口を明確にし、この窓口において支払いができない理由等につき詳細かつ専門的な説明ができる態勢を整備する。
3.保険金等の支払可否判断における留意点
(1)災害保険金等支払事由(不慮の事故)への該当要件について解説するとともに、参考とする留意点をまとめた。
(2)契約(責任開始)前事故・発病ルールを解説するとともに、参考とする留意点をまとめた。
(3)入院・手術給付金等の支払事由の多様化等を踏まえ、参考とする留意点をまとめた。
(4)告知義務違反解除について、その成立要件を整理し、解除権の行使における考え方、保険金等の支払可否の考え方をまとめた。
(5)免責期間内の自殺および災害免責における重過失の判断についての留意点をまとめた。
(6)重大事由解除について制定趣旨を解説し、その適用についての考え方をまとめた。
4.保険金等を支払う場合または支払いができない場合の具体的事例:代表的な事例を参考として掲載した。


●横山進一会長の年頭所感(要旨)(06年1月4日)
 先の上半期決算においてはっきりしたように、生保業界も長く暗いトンネルを抜け出して明るい展望が拓けるようになってきた。私は、かねて「高齢化の進展は生命保険業界にとって新たな市場を拓く契機となる。生保は21世紀の成長産業だ」と主張し続けてきた。ようやく売上高に相当する年換算保険料ベースで減少傾向に歯止めをかけ、反転基調に転じたことで、「生保は衰退産業である」という見方を打ち消すことができた。後に顧みれば、これが生命保険業界の新しい歴史の扉を開く歴史的な転換点になるのではないかと感じている次第である。
 「信なくば立たず」という言葉の重みをよく自戒して、特に、昨年起きた保険金支払いに関する不祥事件の真剣な反省の上に立って、これを糧に、今年こそ損なわれた生命保険事業への信頼を回復する一年にしたいと念願している。
  今、わが国は世界に類を見ないスピードで超高齢社会を迎えようとしており、人生百年、即ち「百寿の時代」が現実のものとなりつつある。これに伴って、国民生活を取り巻くリスク、とりわけ今や老い先長い老後の生活資金の確保や病気・介護への備えといった「長生きのリスク」が益々大きくなっている。一方で、これを支える国の社会保障制度については、制度の持続可能性の観点からも、また、将来の給付水準の観点からも、先行きが懸念されている。超高齢社会への不安感が暗雲のように国全体を覆い、悲観的なムードを生み出しているというのが今の日本の現状ではないか。
  しかし、高齢社会とは言葉を換えれば「長寿社会」であり、誰もが長生きを心の底から喜べる豊かで明るい長寿社会を実現するためにこそ力を発揮しなければならないし、我々にはその力があると確信している。従来から力を入れてきた死亡保障とともに、生前給付保障や年金といった老後を支える分野をしっかりと伸ばしていくことが、そのまま日本が豊かで明るい長寿社会を迎えるために貢献することになる。生命保険事業が「夢」に向かって成長の道をひた走ることが、日本の未来を支え、日本という国の「夢」を呼び戻すことにつながると思う。

●生命保険料控除ネットアンケ−ト結果を発表(05年11月4日)
 生保協会、生保労連が実施した生命保険料控除インターネットアンケ−トの結果を発表。4万6915件の回答の約95%が保険料控除制度の維持・拡充を望んでいる。
<アンケ−ト集計結果>
「将来の備えは自助努力によって充実したい」81.7%、「生命保険料控除制度を維持・拡充して欲しい」95.9%、「個人年金保険料控除制度を維持・拡充して欲しい」94.8%、「生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度が拡充となった場合、私的保障を充実させることを考える」93.8%、「生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度が廃止・縮小となった場合、現在加入している保険の解約・減額を考える、あるいは継続できるか不安になる」81.4%

●横山協会長が郵政民営化関連法成立でコメント(05年10月14日)
 横山進一生保協会長は14日、特別国会での郵政民営化関連法の成立に関して要旨下記のコメントを発表。
<協会長コメント要旨>
 今般の「郵政民営化関連法」では、郵便保険会社について最終的な民営化時点で保険業法を完全に適用するなど、競争条件を同一化するための方策が講じられることになっているが、今後、適切なプロセスを経て、公正かつ健全な民間生保会社へと変革していくことが重要である。
 そのためには、今後の政省令の検討にあたり、先ずは、民間生保会社との競争条件の完全同一化の観点から、政府出資等の暗黙の政府保証となる要素の解消と、新旧勘定のあり方についての検討が必要と考える。具体的には、旧勘定からの利益については、本来旧勘定の契約者に帰属するものであり、郵便保険会社への利益補填のためではなく、当然にして旧勘定の健全性維持や配当還元に活用すべきだ。
 また、健全な生命保険市場の確保の観点からは、競争条件の完全な同一化が措置されるまでは、郵便保険会社の保険種類の拡充や加入限度の引き上げは行わないことを要望する。
 さらに、今後、発足する郵政民営化委員会については、民間生命保険事業の経営に精通した有識者を加えた体制とするほか、審議を公開するとともに、当会を含め関係者の意見を十分聴取する等、審議の透明性・公平性を確保できる仕組みが必要だ。


●保険料控除ネットアンケートを実施(年9月16日)
 9月17日〜10月14日の約1か月間、生命保険料控除制度についてのインターネットアンケートを生保業界の労働組合・生保労連との共催で実施。
<インターネットアンケートの概要>
1.調査内容:生活保障に対する意識・考え方と準備手段、現在の保障内容と今後充実させたい保障内容、保険料控除制度の認知度や必要性、保険料控除制度内容の変更(拡充・縮減)による国民への影響等
2.アンケートへのアクセス方法:生命保険協会および協会加盟会社39社または生保労連のホームページの「アンケートバナ−」をクリックしてアンケートに参加。またはアンケート専用アドレスを直接入力して参加。専用アドレス【https://www.netr.jp/seiho.html
3.その他:今回のインターネットアンケートに協力した人の中から、抽選で500名に図書カード1000円分を贈呈。

●平成18年度税制改正要望を提出(05年9月16日)
 9月16日、財務大臣など税制当局関係先に対し、平成18年度税制改正に関する要望書を提出。
<平成18年度税制改正に関する要望事項>
【重点要望項目】
▽遺族・医療・介護等の多様なニーズに対応した国民一人一人の自助努力を支援していくため、相互扶助の原理に基づく生命保険について生命保険料の所得控除限度額を引き上げること:所得税法および地方税法上の生命保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第1項)(地方税法第34条第1項第5号、第314条の2第1項第5号)
▽老後生活充実のための国民一人一人の自助努力を支援していくため、相互扶助の原理に基づく個人年金保険について個人年金保険料の所得控除限度額を引き上げること:所得税法および地方税法上の個人年金保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第2項)(地方税法第34条第1項第5号の2、第314条の2第1項第5号の2)
▽遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数× 500万円」)に「配偶者分 500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること:(相続税法第12条第1項第5号)
【要望項目】
T.企業年金保険関係
▽公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度、適格退職年金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること
▽確定拠出年金保険契約の預け替えや資産移転による保険料について、法人事業税の課税対象から除外すること
U.資産運用関係
▽固定資産の減損会計に係る減損損失を損金化すること
▽不動産関連税制の総合的見直しを図ること
V.その他
▽生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること
▽欠損金の繰越期間の延長と欠損金繰戻還付の実施・繰戻期間を延長すること


●「信頼の確立」横山進一協会長が所見(05年9月16日)
 横山進一住友生命社長は協会長就任にあたって要旨次の所信表明を行った。
 
<豊かで明るい長寿社会実現のために>
 高齢社会とは言葉を換えれば「長寿社会」であり、長寿こそ人類が等しく追い求めてきた「夢」であることを思えば、本来、日本が長寿社会を迎えることは、おめでたいことでもあるはずだ。この喜ぶべき長寿が、長生きのリスクへの備えが十分ではないために、逆に不安なことになりかねないのが今の日本で、これは決して正しい姿ではない。日本が豊かで明るい長寿社会を迎えるために、生命保険事業が社会保障制度を補完する重要なインフラ産業として一層機能を発揮しなければならないと決意を新たにしている次第である。
 このような認識の下で、今後の生命保険事業が担う社会的な使命を従来からの「死亡保障」、そして「生前給付保障」の2本柱と捉え、誰もが安心して長寿を喜び合える「豊かで明るい長寿社会」を支えるインフラ産業を目指す。そのために、この1年間、以下の3つの重要課題を中心に全力で取り組んでいく。

<重点取組課題>
@生命保険事業に対する信頼の確立
 過去十数年間、生命保険業界は厳しい環境の中での経営を余儀なくされてきた。その過程では残念ながら数社の経営破綻によって 「信用」が揺らぐような状況にも直面した。しかしながら、各社が懸命な経営努力を重ねた結果、漸く経営状況は好転し、生命保険事業の健全性に対する「信用」は回復基調に転じてきた。
 さらに、これからも生命保険事業が公的な保障制度を補完する存在として支持されるためには、「信用」というレベルを超えて、お客さまから万全の「信頼」を託して頂けるように、経営全般においてこれまで以上に顧客志向の取組みを徹底していく必要がある。
 そのためには、まず各社が自ら経営の足元を見つめ直し、保険の募集・引受・支払といった本業の業務プロセスが真に顧客志向となっているか、あらためて確認するとともに、これまで以上に顧客に対する説明責任をしっかりと果たしていくことが重要になる。あわせて、今後の業務運営において、顧客の声・要望を迅速に反映していくための体制をしっかりと構築していく必要がある。
A生命保険市場における公正な競争条件の確保
 生命保険事業が公的保障制度を補完するインフラ産業として機能していくためには、制度の健全な発展を阻害する要因を取り除き、各社が公正な競争条件のもとで互いに切磋琢磨し、真に顧客ニーズに則した商品・サービスの開発に清々と取り組んで行くことができるように、環境整備を行っていくことが重要になる。
 しかしながら、現状は、同一の市場を基盤にしながらも、国家保証や納税義務の免除、三事業兼営といった民間生命保険会社にない著しく有利な事業特典を公的に付与された簡易保険事業という存在が市場の競争条件を歪め、肥大化を続けているという状況にある。これは、「官から民へ」という世の中の流れに逆行するだけでなく、民間生命保険会社の経営を圧迫し、健全な生命保険市場の発展を阻害する要因となっている。
 今後とも、民営化の趣旨を踏まえ、民間生命保険会社との競争条件の完全同一化を求め、簡易保険事業の抱える諸問題の解決に向けた提言を行っていく。
B生命保険事業の社会的役割のさらなる発揮
 これから日本が豊かで明るい長寿社会を迎えるためには、年金、医療、介護等の様々な「保障制度」においても「官から民へ」、すなわち、国の社会保障を補完する「自助努力による私的保障」が担うべき役割が一層大きくなっていく。こうした観点から、国民の自助努力を支える強力な支柱である生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度の存在が益々重要になる。生命保険協会が昨年実施したインターネットアンケートでは生命保険料控除、個人年金保険料控除ともに約97%のひとが「維持・拡充」を望んでいる。これを踏まえ、生命保険協会では、生命保険・個人年金の保険料控除制度の拡充は社会的な要請であると認識し、その実現を強く要望していく。
 同時に、生命保険協会では社会貢献の観点から、介護福祉士養成奨学金制度や子育て家庭支援制度等の活動に取組んでいるが、これらの活動にも引き続き注力していく。


●「子育て家庭支援活動」助成51団体を決定(05年9月1日)
 「子育て家庭支援活動」として、全国の51の団体に対し総額1193万円を助成することを決定。この活動は社会貢献活動の一環として、生保協会が今年度から新たに実施するもので、地域社会において就学前の子どもの保護者等(妊婦等を含む)への支援活動を行っている非営利の民間団体・グループ等に対し、1団体あたり30万円(上限)の資金助成を行うもの。
 今年度は4月4日から5月20日にかけて募集したところ、全国の476団体から応募があり、協会の選考審査会で選考した結果、「風の子クラブ」(北海道上磯町。学習交流会。地域の育児力を高めていくため、未就学児の保護者および妊婦とその夫を対象に、学習会を計6回開催)、「子育てサポート・むっくり」(北海道士別市。子育てサポーター養成講座。子育ての援助ができる人を養成するため、保育士や子育て経験者で保育サポート活動のできる人を対象に、保育サポーター養成講座(1科目2時間全10科目)を開催)、「子育て応援団」(福島県福島市。育児が安心してできるように、母親の精神的な支えとなるため親と子の広場と地域の活動(毎月)、広場まつり(年1回)、子育て支援者の研修会(年2回)を開催)など、51団体に総額1193万円を助成する。


●39社保有:個人保険3.5%減、個人年金6.5%増(05年7月26日)
 生保39社の平成16年度決算をまとめた。新契約高は前年度比、個人保険が10.1%減の91兆1592億円、個人年金が43.6%増の7兆4672億円。団体保険は26.3%減、団体年金は17.8%増に。保有契約高は個人保険が3.5%減の1112兆1705億円、個人年金は6.5%増の74兆1094億円。団体保険は1.2%減、団体年金は6.5%減に。
 収入保険料は4.1%増の27兆221億円、資産運用収益は13.%減の5兆4419億円。総資産は3.9%増の191兆5230億円。


●「ディスクロージャー虎の巻05年版」発行(05年7月20日)
 生保各社が発行するディスクロージャー誌の解説ハンドブック「生命保険会社のディスクロージャー〜虎の巻」の2005年版を作成。05年版は全面的に構成を見直した。生保の仕組みやキーワードとなる主な経営指標(年換算保険料、基礎利益、ソルベンシー・マージン比率など) の解説を冒頭部分に簡潔にまとめ、決算報道記事などを読む手引きとして使いやすいものとした。貸借対照表や損益計算書の解説を充実し、体系的に理解しやすくした。
<申込先>
 希望者に無料で配布する。下記までハガキで申し込む(原則として一人1冊。複数希望の場合は有料)。〒100-0005 千代田区丸の内3−4−1 生命保険協会広報部 :03-3286-2645

●協会長に横山住友生命社長内定(05年7月15日)
 15日開催の生保協会理事会で、9月16日開催の理事会で、横山進一住友生命社長(生保協会副会長)を会長に互選することを内定。金子明治安田生命社長の辞退により輪番前倒しでの登板となった。

●銀行窓販規制の見直しで宇野協会長が所見(05年7月8日)
 8日、銀行等による保険販売規制の見直しに関する内閣府令が公布されたことに伴い。宇野郁夫生保協会長は下記の所見を発表。
<所見要旨>  
 公布された内閣府令は、平成16年3月31日の金融審議会金融分科会第二部会報告(「銀行等による保険販売規制の見直しについて」)において、銀行等が販売できる商品の拡大は「弊害防止措置が適切に講じられることが前提となる」とされていることへの対応の枠組みを示したものとして評価する。
 このような枠組みが契約者保護の観点から円滑かつ適切に運用されるためには、保険会社および銀行等が法令遵守にしっかり取り組んでいくこと、とりわけ銀行等が契約者に責任を持って販売することが重要であるとともに、行政当局において監督・検査等を通じて十分にモニタリングを行い、適宜適切な対応を行うことが必要と考える。
 また、平成19年に予定されている銀行等が販売できる保険商品の範囲の拡大に当たっては、附則第3項にある通り、「銀行等又はその役員若しくは使用人による保険募集の実施の状況並びに当該保険募集の公正な実施及び保険会社の業務の適切な運営のために講じられた措置の状況」について問題がないと判断されることがその前提となると考えるので、既に解禁されている商品も含めて、しっかりと検証をしていく必要がある。 

●金融審投資サービス法中間整理で宇野協会長所見(05年7月7日)
 7日、金融審議会金融分科会第一部会で「投資サービス法」に関する「中間整理」が取りまとめられ、公表されたことに伴い。宇野郁夫生保協会長は下記の所見を発表。
<所見要旨>
 「中間整理」では、 「適正な利用者保護を図ることにより、市場機能を十分に発揮しうる公正・効率・透明な金融システムの構築を目的として、証券取引法を改組し、投資サービス法(仮称)を制定することが適当である」とされ、投資サービス法の適用範囲に関しては、「投資サービス法が金融商品の販売や資産の運用に関する一般法としての性格を有するものと位置付けつつ、可能な限り同種の性格を有する法律についてはこれに統合することが適当である」「銀行法や保険業法についても、販売・勧誘等に関するルールなどについて投資サービス法と一元化することについて検討を行うべきである」と記載されている。
 利用者保護の一層の充実という観点からは、同様の特性を有する商品について、その特性を踏まえたルールを監督官庁の枠を超えて横断的に整備することは重要だと考える。その観点からは、投資商品の分野では利用者保護のためのルールがない商品が出現してきていることも踏まえると、投資商品を横断的に規制対象とする「投資サービス法」については早急に制定すべきものと考える。
 しかしながら、投資商品は利用者が一定のリスクを踏まえたうえで収益を得ることを主たる目的とするものであるのに対し、生命保険は利用者が死亡や入院といった不慮の事故による経済的損失に備えることを主たる目的とし、社会保障と並ぶ国民生活を支える重要なインフラとしての役割を担っており、その特性は投資商品とは全く異なる。
 従って、利用者保護の観点からは、生命保険に対する規制は投資商品等への規制の延長線上で考えるのではなく、まずは同様の特性を持つ共済や簡易保険を含めた共通ルールの整備について検討を進めるべきものと考える。
 この点、「中間整理」は、投資商品と特性の異なる保険や預金を横断的に規制しようとする観点を示す一方で、同じ特性を持つ商品に対して監督官庁の枠を超えた規制を整備するという方向性が不明確となっている。以上を踏まえると、今後検討を進めるとしても、利用者保護のために何を優先すべきかという視点から、規制に関する現状分析等も踏まえ、十分に議論を尽くす必要があると考える。


●介護福祉士養成奨学生157名決まる(05年7月1日 )
 平成17年度の介護福祉士養成奨学生157名を決定。この結果、平成17年度に奨学金を支給する介護福祉士養成奨学生は、前年度採用の奨学生で本年2年次に進級した学生144名と合わせ301名となる。 
 平成元年度から16年度までに2698名の奨学生に奨学金を支給しており、本年度の奨学生157名を加え、これまで採用した奨学生は2855名となる。なお、これまでに2456名の奨学生が卒業し、特別養護老人ホームや老人保健施設等の介護福祉の現場で働いている。


●詐欺無効問題で「告知ガイドライン」作成(05年6月30日)
 生保業界自主ガイドラインである「正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン」「告知義務違反に詐欺無効を適用するにあたっての留意点」を作成。 2月25日の金融庁からの作成要請を踏まえ、外部の有識者の意見も取り入れ、協会内で検討を重ねて作成したもの。
 作成した2つのガイドラインのうち、「告知義務違反に詐欺無効を適用するにあたっての留意点」 の中では、詐欺無効規定の適用が妥当と考えられる類型と留意点等を記載しているが、モラルリスク (保険の悪用)を誘発する懸念があるため、非公開とした。 なお、同ガイドラインでは、詐欺無効の適用判断にあたって留意すべき点や、募集時・適用時における顧客説明のあり方についても整理している。
《「正しい告知」がなされない原因とその対応策》
<保険会社の問題と対応策>
1.告知制度の周知に関する問題:告知の重要性の周知不十分による不告知、乗換・転換時の告知義務周知不十分による不告知→告知の重要性の更なる周知、乗換・転換時の告知義務の更なる周知
2.告知の仕方に関する問題:募集人に話したことをもって告知したと誤認、告知書がわかりにくいことからの告知対象外との誤認、軽微な疾患・事象のため告知対象外との誤認→告知受領権についての更なる周知、わかりやすい告知書の作成、告知サポート資料の作成・説明
3.傷病歴等の告知に関する問題:傷病歴等があれば全く保険加入不可への不安からの不告知、募集人に知られたくないことによる不告知→傷病歴等がある人でも引受可能なケースがあることの更なる周知、告知環境の整備と告知状況のチェック
4.募集時の問題:募集人の故意による不告知教唆、知識不足・認識不足による誤説明、お客と募集人との認識不一致(「言った、言わない」の問題)→募集人への更なる教育等、告知環境の整備と告知状況のチェック、告知サポート資料の作成・説明、告知受領権についての更なる周知
5.「告知」関連として、以下のような告知がないまたは限定的な告知としている商品についても対応策が必要と考えられる。
 無選択型・選択緩和型保険等に関する留意点:無選択型・選択緩和型保険の留意点の周知不足→無選択型・選択緩和型保険等の留意点の更なる周知
<お客側の問題>
 2年経過後は解除できないことを見越した不告知、保険金等の不正取得目的の不告知→正しく告知しない場合のデメリットの更なる周知、契約確認・保険金給付金確認の更なる周知
<具体的な対応例>
▽募集人への教育の徹底、▽募集・告知時の諸ツールへの記載・説明事項:告知の重要性、募集人に告知受領権がないこと、特別条件付での引受制度、引受範囲を拡大した商品があること、正しく告知しなかった場合のデメリットなど、▽お客からの直接照会窓口の設定、▽告知書の写しの交付
▽告知書記入例、告知対象外事象等の記載
<告知義務違反に詐欺無効規定を適用するにあたっての留意点概要>
1.ガイドライン策定の目的:告知義務違反との関係において詐欺無効規定を適用する際、その適用が妥当と考えられる類型を明らかにするとともに、実際の適用にあたって留意すべき点や募集時および適用時における顧客説明のあり方について整理することにより、その適用が適正になされるための参考の用に供する。
2.詐欺無効を適用する類型と留意点:告知義務違反による詐欺無効規定適用の事案を類型化し、それぞれの類型への詐欺無効規定適用にあたっての留意点について、具体的内容を列挙した。
3.詐欺無効規定の適用判断における留意点:詐欺無効規定の適用判断における体制面等での適正化を図る観点から、支払査定部門が行う確認だけでなく、必要に応じて募集管理部門および契約手続きの管理部門との連携を図り、評価・判断すべきであることや、社外の第三者(顧問弁護士、有識者等)と協議するなどの方法により、事案対応としての総合的な妥当性を確保することが望ましいといった対応等を記載。
4.募集時・適用時における顧客説明のあり方
(1)募集時における顧客説明:告知義務違反による解除の除斥期間(2年)経過後に詐欺無効規定が適用され、保険金等が不支払となる取扱いがありうることを募集用資料に記載説明しておくことが望ましい。
(2)適用時における顧客説明:詐欺無効規定の適用により保険金等が不支払となる場合の顧客あての通知・説明は、通知・説明用の文書を作成したうえで、適切に行なうことが求められる。この場合に、詐欺無効規定を適用したこと、詐欺無効規定適用の直接理由となった事実関係および不服がある場合の相談先等を記載し、顧客に説明する必要がある。


●生保協会副会長・委員長を内定(05年6月17日)
 6月17日開催の理事会で副会長、委員会委員長を内定。副会長は7月15日開催の理事会で、委員会委員長については同日会長の委嘱により決定する。
<7月15日付副会長・委員長人事>
▽生保協会副会長(非常勤):横山進一・住友生命代表取締役社長、秋山智史・富国生命代表取締役社長、倉持治夫・大同生命代表取締役社長
▽生保協会副会長(常勤):西岡忠夫・前ニッセイ同和損保代表取締役副社長、元日本生命代表取締役専務取締役
▽一般委員会委員長:山本芳夫・明治安田生命専務取締役、▽業務委員会委員長:新居尊夫・日本生命専務取締役、▽財務委員会委員長:古村昌人・明治安田生命専務取締役、▽企業保険委員会委員長:麻崎秀人・第一生命常務執行役員、▽情報システム委員会委員長:川島仁司・住友生命常務取締役、▽経理委員会委員長:花岡浩二・住友生命常務取締役、▽契約サービス委員会委員長:川嶋一弘・第一生命代表取締役専務執行役員


●企業年金の受託概況まとめる(05年5月26日)
 企業年金の3月末受託概況(速報値)を取りまとめた。資産残高は対前年比1兆6,564億円(2.1%)減の77兆3614億円となった。内訳は、厚生年金基金が38兆4557億円(対前年比23.0%減)、適格退職年金が17兆1828億円(対前年比18.1%減)、確定給付企業年金が21兆7229億円(対前年比169.2%増)で、平成14年4月に創設された確定給付企業年金が急速に普及している。業界別の内訳は、信託業界62兆4704億円(80.8%)、生保業界14兆5782億円(18.8%)、全共連3128億円(0.4%)。
 受託件数・加入者数は、厚生年金基金が838基金・623万人、適格退職年金が5万2761件・653万人、確定給付企業年金が987件・314万人。加入者総数(重複加入がある)は1590万人と、 厚生年金保険の被保険者数3223万人(平成16年1月末)から推計すれば、民間サラリーマンの約半数が企業年金に加入している。


●各社、JR福知山線脱線事故契約の簡易取扱実施(05年4月28日)
 住友生命(既報)、明治安田生命、朝日生命、三井生命、大同生命、太陽生命など生保各社は28日までに、さる4月25日尼崎市で発生したJR福知山線脱線事故により、被害を受けた契約者に対して死亡診断書・災害事故報告書など一部書類を省略する手続書類の簡易取扱いを実施と発表。

●生保協会長に金子明治安田生命社長を内定(05年4月15日)
 社団法人生命保険協会(会長:宇野郁夫 日本生命保険 会長)では、15日開催の生保協会理事会で、7月15日開催の第97回通常総会終了後の理事会で金子亮太郎明治安田生命社長を次期会長(43代)に互選することを内定。

●認定個人情報保護団体に(05年4月1日)
 生保協会が4月1日付で個人情報保護法に基づく認定個人情報保護団体として金融庁長官から認定された。今後、協会は認定団体として、会員会社の個人情報の取扱いに関する苦情の処理や、個人情報の適正な取扱いの確保に寄与する事項についての会員会社に対する情報提供などを行う。

●子育て支援団体に資金助成(05年3月28日)
 平成17年度より、新たに「子育て家庭支援活動」を実施。就学前の子どもの保護者等(妊婦等を含む)への支援活動を行っている非営利の民間団体・グループ等に対し、総額最大1200万円(1団体あたり上限30万円)の資金助成を行う。詳しい「募集要項」および「助成申請書」は、連絡先(郵便番号・住所、団体名等、担当者名、電話番号)を明記のうえ、下記事務局にFAXまたはハガキにて請求する。生命保険協会ホームページからもダウンロードできる。
<子育て助成募集概要>
1.応募方法:所定の「助成申請書」に必要事項を記入し、下記事務局あて送付(郵送または宅配便による送付のみ受付)。
2.募集期間:平成17年4月4日〜5月20日(当日消印有効)
3.選考結果の発表:選考結果は、平成17年9月上旬にすべての申請団体に直接書面で通知するとともに、協会ホームページ上で公表。
〈問い合わせ〉
〒100−0005 東京都千代田区丸の内3−4−1 新国際ビル3階
生命保険協会「子育て家庭支援活動」事務局
電話:03-3286-2643 FAX:03-3286-2730


●IASB定款見直しで意見書提出(05年2月25日)
 生保協会は2月23日、国際会計基準委員会財団(IASC財団)が公表した「IASC財団定款見直しに係る改訂案(協議文書)」に対して意見書を提出。同時に日米欧7つの保険事業団体との共同意見書も提出した。
IASC財団の定款は、IASC財団と国際会計基準審議会(IASB)の運営手続きを規定するもので、5年ごとに定款を見直す規定があり、同財団は平成15年11月より見直し作業に取り組んいる。IASC財団はこれまで、「定款の見直しのための論点の識別(予備的な協議文書)」の公表・意見募集(平成15年11月)、公聴会の開催(ニューヨーク、ロンドン、東京、メキシコ・シティー)などの協議プロセスを実施し、100を超える機関から定款見直しに対するコメントを受領している。日本の生保協会及び日米欧7保険事業団体も、これまで意見書の提出や公聴会(ニューヨーク・東京)での証言を通じて、IASBのデュー・プロセスの確立に向けて、意見表明を行っている。
 IASC財団は、これまでの関係者からの意見を踏まえた改訂提案として、「IASC財団定款見直しに係る改訂案(協議文書)」を平成16年11月23日付で公表し、意見募集の手続に付した。( http://www.iasb.org/current/iascf.asp )今回の定款見直しの改訂案(協議文書)は、前回同様にデュー・プロセスなど今後の保険会計の審議に大いに関連がある事項が含まれることから、生保協会としてコメントを提出した。
<生保協会の意見の概要>
(1)評議員会の監視機能:評議員会は、IASBの協議手続及びデュー・プロセスの遵守状況に係るレビューに関して、不適切な協議手続及びデュー・プロセスがあった場合には、 評議員会からIASBに対して、基準作成手続のやり直しを要求できることを定款に明記しておくことを提案。
(2)IASBの構成:IASBボードメンバーのバックグラウンドの多様性を確保するため、特定の要素について一定の上限規定(例:特定国の出身者の比率は一定比率 (25%) 以下)を設定することを提案。
(3)リエゾン関係の適切性:国際会計基準が世界の資本市場で受け入れられるための取組として、最低限、主要国の資本市場の会計基準設定主体(例:日米欧加)とのリエゾン責任を持つボードメンバーを維持・設定することを提案。
(4)IASBの協議手続:IASBの非強制手続(公聴会、実地検証等)は、策定基準の実施可能性・有効性を確保する観点から、基本的に強制手続とすべきであることを提案。また、サンセット・レビュー(プロジェクト開始後2年経過してもディスカッション・ペーパーや公開草案の公表にいたらないプロジェクトについては、その存続を含めてプロジェクトのあり方を検討するための見直しを行う」という手続である。IASBの限られた資源を有効利用するためにこのような手続の導入が必要とされた)は、その有効性を高める観点から、プロジェクトの当事者以外の者がサンセット・レビュー手続を実施することを提案。
(5)IASBの票決手続:今回、公開草案の公表等に係る票決基準について、8票から9票に引き上げることが提案されているが、最終基準の採択にあたっては、旧IASCの審議手続と同様に、3/4(11票)以上の賛成に票決数を引き上げることを提案。
(6)その他:基準策定にあたっては、「概念フレームワーク(財務諸表の作成及び表示の基礎となる前提や諸概念を述べたもの)」よりも、公共の利益や会計基準の理解可能性・実施可能性が優先されるべきであることを提案。
<共同意見書の参加保険事業団体>
米国生命保険協会(ACLI)、米国再保険協会(RAA)、米国損害保険協会(PCI)、保険相互会社全国協会(NAMIC)、ドイツ保険協会(GDV)、オーストリア保険協会(VVO)


●個人情報保護の新指針を策定(05年2月18日)
 4月1日の「個人情報の保護に関する法律」の全面施行に向け、従来の指針を「生命保険業における個人情報保護のための取扱指針について」(生保指針)として全面的に改定するとともに、「生命保険業における個人情報保護のための取扱指針の安全管理措置等についての実務指針」(生保安全管理実務指針)を策定した。新指針の適用日は4月1日。
<取扱指針の概要>
<生命保険業における個人情報保護のための取扱指針>
<総則>
(1)目的
 この取扱指針は、生命保険会社の個人情報の適正な取扱いの確保のために、利用目的の特定、安全管理のための措置、本人の求めに応じる手続その他の事項に関し、個人情報保護法の規定の趣旨に沿った指針を示すことにより、生命保険会社の個人情報保護の推進に資することを目的とする。
(2)適用範囲
 この取扱指針は、生命保険会社及び社団法人生命保険協会(以下、「生命保険会社等」という)の個人情報の取扱いに適用するほか、生命保険会社等がその管理責任の範囲で、雇用、委任、請負等の契約等に基づき、生命保険会社等の業務の一部を行う個人、法人又は団体に個人情報を取扱わせる場合(但し、雇用管理に関する情報を除く。なお、雇用管理に関する情報に関しては、平成16 年厚生労働省告示第259 号「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」等を踏まえ、適正な取扱いを確保する)に適用する。
(3)この取扱指針の位置付け
 この取扱指針は、当協会が認定個人情報保護団体として定める個人情報保護指針であり、当協会は、生命保険会社に対し、この取扱指針を遵守させるため必要な指導、勧告その他の措置をとるよう努めることとする。この取扱指針に定めがない場合については、金融庁ガイドラインが適用されることについて留意する。この取扱指針において使用する用語は、別に定める場合を除き、個人情報保護法及び金融庁ガイドラインにおいて使用する用語の例による。
<取扱指針>
<利用目的>
(1)利用目的の特定
 個人情報を取扱うに当たっては、生命保険会社等においてどのような目的で当該個人情報を利用するか、本人が一般的、合理的に予想できる程度に利用目的を明確にしなければならない。
(例)
・各種保険契約の引き受け、継続・維持管理、保険金・給付金等の支払い
・関連会社・提携会社を含む各種商品・サービスのご案内・提供、契約の維持管理
・当社業務に関する情報提供・運営管理、商品・サービスの充実
・その他保険に関連・付随する業務
 生命保険会社等は、各社のホームページにおいて、利用目的とともに、各種商品、サービスの内容を掲載の上、当該ホームページのアドレス等を、利用目的を掲載するその他の書面(店舗・窓口での掲示、パンフレット、書面等)に明示することが望ましい。
 特定された利用目的は、あらかじめ公表するか、個人情報の取得後速やかに本人に通知又は公表を行わなければならない。但し、次の各号のいずれかに該当する場合を除く。
@利用目的を本人に通知又は公表することにより、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
(例)
・いわゆる総会屋や暴力団の構成員に関する情報の収集等で情報提供者に被害が及ぶおそれがある場合
A利用目的を本人に通知又は公表することにより、当該生命保険会社等の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
(例)
・保険商品開発に関する情報や営業ノウハウ等の企業秘密が損なわれるおそれのある場合
B国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
C取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合
(例)
・電話、郵送、ファックスやインターネット等での資料請求に対して、請求者が提供した住所、氏名に関する情報を請求された資料及び当該請求に関連するその他補足資料の送付のみに利用する場合
 生命保険会社等は、特定の個人情報の利用目的が、法令等に基づき限定されている場合には、その旨を明示することとする。
 生命保険会社等が、与信事業に際して、個人情報を取得する場合においては、利用目的について本人の同意を得ることが望ましく、契約書等における利用目的は他の契約条項等と明確に分離して記載することとする。この場合、生命保険会社等は取引上の優越的な地位を不当に利用し、与信の条件として、与信事業において取得した個人情報を与信業務以外の金融商品のダイレクトメールの発送に利用することを同意させる等の行為を行うべきではなく、本人は当該ダイレクトメールの発送に係る利用目的を拒否することができる。
 生命保険会社等が、与信事業に際して、個人情報を個人信用情報機関に提供する場合には、その旨を利用目的に明示する。更に、明示した利用目的について本人の同意を得ることとする。
(2)利用目的による制限
 生命保険会社等は、あらかじめ本人の同意を得ることなく、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取扱ってはならない。但し、次の各号のいずれかに該当する場合を除く。
@法令に基づく場合
(個人情報の提供が義務付けられている例)
・所得税法(昭和40 年法律第33 号)第225 条1 項等に基づく税務署長に対する支払調書等の提出
・組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11 年法律第136 号)(以下、「組織的犯罪処罰法」という)第54 条第1 項に基づく疑わしい取引の届出
(個人情報の提供が任意であり、個別の判断が必要な例)
・刑事訴訟法(昭和23 年法律第131 号)第197 条2 項に基づく捜査関係照会に応じる場合
・弁護士法(昭和24 年法律第205 号)第23 条の2 に基づく照会に対する協力
・商法(明治32 年法律第48 号)第274 条の3 による親会社の監査役の子会社に対する調査への対応
A人の生命、身体又は財産の保護のため必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例)
・いわゆる総会屋や暴力団その他不当被害要求等の反社会的行為を防止するための情報の収集
B公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例)
・病気の予防、治療に関する研究
・児童虐待に対処するための社会全体でのネットワーク形成等を目的とする情報交換
C国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより、当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
(例)
・税務調査等への協力
(3)利用目的の変更
 生命保険会社等は、利用目的を変更する場合には、変更後の利用目的が変更前の利用目的からみて想定でき、信義則に反しないなど社会通念上も妥当であると客観的に認識される範囲内で行わなければならない。また、変更された利用目的について、本人に通知又は公表しなければならない。但し、(1)の各号のいずれかに該当する場合を除く。
(4)合併、会社分割、営業譲渡等の場合の取扱い
 生命保険会社等が、合併、会社分割、営業譲渡等により他の個人情報取扱事業者から事業の承継をすることに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、当該個人情報に係る承継前の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取扱ってはならない。但し、(2)の各号のいずれかに該当する場合を除く。
<機微(センシティブ)情報の取扱い>
 生命保険会社等は、政治的見解、信教(宗教、思想及び信条をいう。)、労働組合への加盟、人種及び民族、門地及び本籍地、保健医療及び性生活、並びに犯罪歴に関する情報(以下、「機微(センシティブ)情報」という。)については、次に掲げる場合を除くほか、取得、利用又は第三者提供を行わないこととする。なお、新聞又は官報等に記載された公知の情報及び外形から明白な身体等に関する情報は、機微(センシティブ)情報に該当しない。
@法令等に基づく場合
(「等」に該当する例)
・法令に基づく告示、指針等及び条約又は政府間協定、公務所により発出された指導文書等
A人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合
B公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のため特に必要がある場合
C国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合
D源泉徴収事務等の遂行上必要な範囲において、政治団体・宗教法人等の団体若しくは労働組合への所属若しくは加盟に関する従業員等の機微(センシティブ)情報を取得、利用又は第三者提供する場合
(例)
・宗教法人や政治団体、労働組合との間の保険の引受業務や保険料の引去業務の事務処理において、当該団体等への所属若しくは加盟に関する情報を取得、利用又は第三者提供する場合
E相続手続による権利義務の移転等の遂行に必要な限りにおいて、機微(センシティブ)情報を取得、利用又は第三者提供する場合
F保険業その他金融分野の事業の適切な業務運営を確保する必要性から、本人の同意に基づき業務遂行上必要な範囲で機微(センシティブ)情報を取得、利用又は第三者提供する場合
(適切な業務運営の例)
・各種保険契約の引受け、継続・維持管理、保険金・給付金等の支払い
・保険商品の開発
・保険事業の公正性確保、保険制度の健全性維持、保険集団全体の公平性確保
 本号にいう本人の同意とは、2(12)に定義する同意とは異なり、保険業その他金融分野の事業の適切な業務運営を確保する必要性から業務遂行上必要な範囲で機微(センシティブ)情報を取得、利用又は第三者提供することに対する同意である。
 なお、委託、合併等による事業の承継に伴う個人データの提供、特定共同利用をすることについての本人の同意までは求められない。
 個人情報保護法施行前に取得した機微(センシティブ)情報を個人情報保護法施行後に利用する場合があるが、この場合の取得時の同意の形式は、必ずしも明示的な同意に限られない。
本人が制限能力者(成年被後見人、未成年者等)である場合、本人の法定代理人等から同意を得ることにより、本号の「本人の同意」を得たものと取扱って差し支えない。
 保険募集等に関して取得した保健医療情報を与信事業等に流用することは、保険業の適切な業務運営を確保する必要性から業務遂行上必要な範囲で機微(センシティブ)情報を利用又は第三者提供する場合にはあたらない。
G機微(センシティブ)情報に該当する生体認証情報を本人の同意に基づき、本人確認に用いる場合
 生命保険会社等は、機微(センシティブ)情報を、上記各号に定める事由により取得、利用又は第三者提供する場合には、各号の事由を逸脱した取得、利用又は第三者提供を行うことのないよう、特に慎重に取扱うこととする。
<個人情報の取得>
(1)適正な取得
 生命保険会社等が個人情報を取得するに当たっては、個人情報保護法をはじめとした法令全般に照らして違法性のないように留意し、社会的良識からみて妥当と考えられる手段によって行わなければならない。
(2)本人からの直接取得
 生命保険会社等は、アンケート、申込書等の書面の提出又はユーザー入力画面へのデータ入力等により、直接本人から個人情報を取得する場合には、あらかじめ本人に対してその利用目的を明示しなければならない。但し、(1)の各号のいずれかに該当する場合を除く。
 生命保険会社等は、与信事業に際しては、利用目的を明示する書面に確認欄を設けること等により、利用目的について本人の同意を得ることが望ましい。
 なお、与信事業に際して、申込時に利用目的について本人の同意を得る場合、当該申込時に利用目的について同意を得た個人情報については取得に際しての利用目的の通知又は公表を要しないが、それ以降に取得する情報については、あらかじめ利用目的を公表し、又は取得後速やかに利用目的の通知若しくは公表が必要である。
 口頭による個人情報の取得に当たっては、必ずしも利用目的の明示は要しないが、明示を行わない場合には、あらかじめ利用目的を公表し、又は取得後速やかに、利用目的を本人に通知若しくは公表しなければならない。但し、(1)の各号のいずれかに該当する場合を除く。
(3)間接的な取得
 生命保険会社等は、個人情報を第三者から取得する場合、本人の利益を不当に侵害しないものとするとともに、あらかじめ利用目的を公表しなければならない。
 また、あらかじめ利用目的を公表していない場合には、取得後速やかに、利用目的を本人に通知又は公表しなければならない。但し、(1)の各号のいずれかに該当する場合を除く。なお、生命保険会社等は、個人情報の不正取得等の不当な行為を行っている第三者から、当該情報が漏えいされた情報であること等を知った上で個人情報を取得してはならない。
<個人データの内容の正確性の確保>
(1)正確性の確保
 生命保険会社等は、個人データの利用目的に照らして必要と判断した範囲内で、その正確性、最新性及び適切な内容を維持することに努めなければならない。
(2)保有する個人データの保存期間
 生命保険会社等は、当該保有する個人データの利用目的に応じた適切な保存期間を定め、当該期間を経過した個人データを消去することとする。
 ただし、法令等に基づく保存期間の定めがある場合には、この限りでない。
(例)
・各種保険契約の引き受け、継続・維持管理、保険金・給付金等の支払いを利用目的とする契約情報について、その保存期間を原則として保険期間(保険金等の据置期間、年金等の受給期間を含む。以下同じ。)とし、保険期間満了以前に解約・失効等により消滅する契約については、保険契約の履行に必要な期間の経過により保存期間が終了するものとする。また、保険期間以外についても所要の期間、保有個人データを保存する場合(申込み後、契約締結に至らない場合における、重複申込みの確認等のための保存や、保険契約消滅後における、取引履歴の確認、その他各種照会等への対応のための保存)も、適切な保存期間を別途定める。
<安全管理措置>
(1)安全管理措置の内容
 生命保険会社等は、その取扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のため、安全管理に係る基本方針・取扱規程等の整備及び安全管理措置に係る実施体制の整備等の必要かつ適切な措置を講じなければならない。なお、生命保険会社等は、個人データに該当しない個人情報についても必要に応じて安全管理措置を講じることとする。
 必要かつ適切な措置は、個人データの取得・利用・保管等の各段階に応じた「組織的安全管理措置」、「人的安全管理措置」及び「技術的安全管理措置」を含むものでなければならない。
 また、保健医療に関する情報等の特に厳重な管理を要する個人データについては、特段の安全管理措置を講じることとする。
「組織的安全管理措置」とは、個人データの安全管理措置について従業者の責任と権限を明確に定め、安全管理に関する規程等を整備・運用し、その実施状況の点検・監査を行うこと等の、生命保険会社等の体制整備及び実施措置をいう。
「人的安全管理措置」とは、従業者との個人データの非開示契約等の締結及び従業者に対する教育・訓練等を実施し、個人データの安全管理が図られるよう従業者を監督する措置をいう。
「技術的安全管理措置」とは、個人データ及びそれを取扱う情報システムへのアクセス制御及び情報システムの監視等の、個人データの安全管理に関する技術的な措置をいう。
(2)規程等の整備
 生命保険会社等は、個人データの安全管理に係る基本方針・取扱規程等の整備として、次に掲げる「組織的安全管理措置」を講じなければならない。
@個人データの安全管理に係る基本方針の整備
A個人データの安全管理に係る取扱規程の整備
B個人データの取扱状況の点検及び監査に係る規程の整備
C外部委託に係る規程の整備
上記のA安全管理に係る取扱規程として、次に掲げる規程を定めなければならない。
@取得・入力段階における取扱規程
A利用・加工段階における取扱規程
B保管・保存段階における取扱規程
C移送・送信段階における取扱規程
D消去・廃棄段階における取扱規程
E漏えい事案等への対応の段階における取扱規程
(3)実施体制の整備
 生命保険会社等は、個人データの安全管理に係る実施体制の整備として、次に掲げる「組織的安全管理措置」、「人的安全管理措置」及び「技術的安全管理措置」を講じなければならない。
(組織的安全管理措置)
@個人データの管理責任者等の設置
A就業規則等における安全管理措置の整備
B個人データの安全管理に係る取扱規程に従った運用
C個人データの取扱状況を確認できる手段の整備
D個人データの取扱状況の点検及び監査体制の整備と実施
E漏えい事案等に対応する体制の整備
(人的安全管理措置)
@従業者との個人データの非開示契約等の締結
A従業者の役割・責任等の明確化
B従業者への安全管理措置の周知徹底、教育及び訓練
C従業者による個人データ管理手続きの遵守状況の確認
(技術的安全管理措置)
@個人データの利用者の識別及び認証
A個人データの管理区分の設定及びアクセス制御
B個人データへのアクセス権限の管理
C個人データの漏えい・き損等防止策
D個人データへのアクセス記録及び分析
E個人データを取扱う情報システムの稼働状況の記録及び分析
F個人データを取扱う情報システムの監視及び監査
なお、安全管理措置の詳細は、本取扱指針別冊として定める生保安全管理実務指針に従って適切な対応を図らなければならない。
<従業者の監督>
 生命保険会社等は、個人データの安全管理が図られるよう、適切な内部管理体制を構築し、その従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
 「従業者」とは、生命保険会社等の組織内にあって直接又は間接に生命保険会社等の指揮監督を受けて生命保険会社等の業務に従事している者をいい、雇用関係にある従業者(正社員、契約社員、嘱託社員、パート社員、アルバイト社員等)のみならず、生命保険会社等との間の雇用関係にない者(取締役、執行役、理事、監査役、監事、派遣社員等)も含まれる。
 生命保険会社等は、次に掲げる体制整備等により、従業者に対し必要かつ適切な監督を行わなければならない。
@従業者が、在職中及びその職を退いた後において、その業務に関して知った個人データを第三者に知らせ、又は利用目的外に使用しないことを内容とする契約等を採用時等に締結すること。
A個人データの適正な取扱いのための取扱規程の策定を通じた従業者の役割・責任の明確化及び従業者への安全管理義務の周知徹底、教育及び訓練を行うこと。
B従業者による個人データの持出し等を防ぐため、社内での安全管理措置に定めた事項の遵守状況等の確認及び従業者における個人データの保護に対する点検及び監査制度を整備すること。
 なお、従業者の監督の詳細は、本取扱指針別冊として定める生保安全管理実務指針に従って適切な対応を図らなければならない。
<委託先の監督>
(1)委託先の監督
 生命保険会社等は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。「委託」とは、契約の形態や種類を問わず、生命保険会社等が他の者に個人データの取扱いの全部又は一部を行わせることを内容とする契約の一切を含む。
(委託先の例)
・グループ会社(システム子会社、事務代行会社等)への業務委託
・外部の情報処理業者等への業務委託
・新契約時の契約確認、保険金・給付金等確認の確認会社への委託
・他の保険会社への業務の委託・事務の代行
・他の保険会社への業務及び財産の委託
・代理店への保険募集の委託
 生命保険会社等は、個人データを適正に取扱っていると認められる者を選定し委託するとともに、取扱いを委託した個人データの安全管理措置が図られるよう、個人データの安全管理のために次に掲げる措置を委託先においても確保することが必要である。
 なお、二段階以上の委託が行われた場合には、委託先の事業者が再委託先等の事業者に対して十分な監督を行っているかについても監督を行わなければならない。
@個人データの安全管理のため、委託先における組織体制の整備及び安全管理に係る基本方針・取扱規程の策定等の内容を委託先選定の基準に定め、当該基準に従って委託先を選定するとともに、当該基準を定期的に見直すこと。
A委託者の監督・監査・報告徴求に関する権限、委託先における個人データの漏えい・盗用・改ざん及び目的外利用の禁止、再委託に関する条件及び漏えい等が発生した場合の委託先の責任を内容とする安全管理措置を委託契約に盛り込むとともに、定期的又は随時に当該委託契約に定める安全管理措置の遵守状況を確認し、当該安全管理措置の見直しを行うこと。
 なお、委託先の監督の詳細は、本取扱指針別冊として定める生保安全管理実務指針に従って適切な対応を図らなければならない。
(2)代理店に対する指導・監督
 生命保険会社等は、保険募集の委託を行っている代理店に対して、個人データの取扱いの委託先として、この取扱指針に準じた取扱いがなされるよう必要かつ適切な指導・監督を行わなければならない。
<第三者提供>
(1)第三者提供
 生命保険会社等は、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。但し、(2)の各号のいずれかに該当する場合は、本人の同意なく第三者提供を行うことができる。
第三者提供についての同意を得る際には、原則として、書面によることとし、当該書面における記載を通じて、次に掲げる事項を本人に認識させた上で同意を得ることとする。
@個人データを提供する第三者
A提供を受けた第三者における利用目的
B第三者に提供される情報の内容
 なお、債権譲渡に付随して譲渡人から譲受人に対して当該債権の管理に必要な範囲において債務者及び保証人等に関する個人データが提供される場合には、第三者提供に関する本人の同意を事実上推定できる。
 個人信用情報機関に対して個人データが提供される場合には、個人信用情報機関を通じて当該機関の会員企業にも情報が提供されることとなるため、個人信用情報機関に個人データを提供する生命保険会社等が本人の同意を得ることとする。
 本人から同意を得るに当たっては、本人が、個人データが個人信用情報機関を通じて当該機関の会員企業にも提供されることを明確に認識した上で、同意に関する判断を行うことができるようにすることとする。このため、生命保険会社等は同意を得る書面に、各号に定める事項のほか、個人データが当該機関の会員企業にも提供される旨の記載及び当該機関の会員企業として個人データを利用する者の表示を行うこととする。
 「当該機関の会員企業として個人データを利用する者」の表示は、「当該機関の会員企業として個人データを利用する者」の外延を本人に客観的かつ明確に示すものであることが必要であり、会員企業の名称を記載する方法、若しくは当該機関の規約等及び会員企業名を常時公表しているホームページ(苦情処理の窓口の連絡先等、3- 12 の内容を記載したもの)のアドレスを記載する方法などにより、本人が同意の可否を判断するに足りる具体性をもって示すことをいう。
 なお、生命保険会社等は、個人信用情報機関から得た資金需要者の返済能力に関する情報については、当該資金需要者の返済能力の調査以外の目的に使用することのないよう、慎重に取扱うこととする。
(2)オプトアウト
 生命保険会社等は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次の各号に掲げる事項をあらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、当該個人データを本人の同意なく、第三者に提供することができる。
@利用目的に第三者への提供が含まれていること
A第三者に提供される個人データの項目
B第三者への提供の手段又は方法
(例)
・プリントアウトして手交又は郵送
・フロッピーディスクやMO 等で提供
・ホームページに掲載
・オンラインで提供
・書籍として出版
C本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること
 生命保険会社等は、与信事業に係る個人の返済能力に関する情報を個人信用情報機関へ提供するに当たっては、本項に定める方法を用いないこととし、(1)に従い本人の同意を得ることとする。
(3)委託
 生命保険会社等が、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データの取扱いに関する業務の全部又は一部を委託する場合、委託先は第三者には該当しないため、本人の同意なく、個人データの提供を行うことができる。
(4)合併、会社分割、営業譲渡等
 生命保険会社等は、合併、会社分割、営業譲渡等により、事業を承継し、個人データが移転する場合、承継先は第三者には該当しないため、本人の同意なく、個人データの提供を行うことができる。なお、承継候補先に対する個人データの提供は、原則として第三者提供にあたるが、合併や営業譲渡という利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合には第三者提供に該当しない。
(5)特定の者との共同利用
 生命保険会社等が、個人データを特定の者と共同で利用する場合であって、次の各号に掲げる情報をあらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いている場合には、共同利用者は第三者には該当しないため、本人の同意なく、個人データの提供を行うことができる。
@個人データを特定の者との間で共同して利用する旨
A共同して利用される個人データの項目
B共同して利用する者の範囲
C利用する者の利用目的
D安全管理等の個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称
 D号に定める「個人データの管理について責任を有する者」(以下、「管理責任者」という)は、共同して利用する者において、第一次的に苦情を受け付け、その処理を行うとともに、開示、訂正等及び利用停止等の決定を行い、安全管理に責任を有する者をいう。
 なお、同号は、管理責任者以外の共同して利用する者における安全管理責任等を免除する趣旨ではないことに留意する。
 生命保険会社等によるB号の通知等については、原則として書面によるものとする。また、共同して利用する者を個別に列挙することが望ましい。さらに、共同して利用する者の外延を示すことにより本人に通知等する場合には本人が容易に理解できるよう共同して利用する者を具体的に特定する必要がある。
(共同して利用する者の外延を示すことにより本人に通知等する場合の例)
・社団法人生命保険協会及び社団法人生命保険協会加盟の各生命保険会社(詳しくは「(ホームページアドレスを記載)」をご参照ください)
・当社及び有価証券報告書等に記載されている、当社の子会社
・当社及び有価証券報告書等に記載されている、連結対象会社及び持分法適用会社
 生命保険会社等は、個人データを特定の者との間で共同して利用する場合として、生命保険会社等の間において契約内容等の情報の登録又は交換制度を設け、当該情報の交換を行うときは、交換制度毎に定める取扱規則等に従って、当該情報の厳正な管理を実施しなければならない。
<保有個人データの公表・開示・訂正・利用停止等>
(1)保有個人データに関する事項の公表等
 生命保険会社等は、保有個人データについて、次の各号に掲げる情報を本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む)に置かなければならない。
@社名・団体名
A全ての保有個人データの利用目的(但し、(1)の@号からB号に掲げる場合を除く)
B次に掲げる事項の求めに応じる手続及び手数料を定めた場合には次のイ又はロの事項を求められたときの手数料の額
イ 保有個人データの利用目的の通知
ロ 保有個人データの開示
ハ 保有個人データの内容の訂正、追加又は削除
ニ 保有個人データの利用の停止又は消去
ホ 保有個人データの第三者への提供の停止
C保有個人データの取扱いに関する苦情及び質問の申出先
D認定個人情報保護団体である当協会の名称並びに苦情及び質問の申出先
(2)利用目的の通知
 生命保険会社等は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたときには、(1)に基づく措置をとったことにより当該保有個人データの利用目的が明らかな場合又は(1)の@号からB号に掲げる場合を除いて、本人に遅滞なく通知しなければならない。また、通知しない旨を決定したときにも、その旨を本人に遅滞なく通知しなければならない。
(3)保有個人データの開示
 生命保険会社等は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(存在しないときにその旨を知らせることを含む)を求められたときは、本人に対し、書面の交付による方法(開示の求めを行った者が同意した方法があるときはその方法)により、遅滞なく当該保有個人データを開示しなければならない。
 但し、開示することにより、次の各号に該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができるが、その場合、その旨を本人に遅滞なく通知しなければならない。
@本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
(例)
・被保険者本人が病名を知らされていない場合、本人の病名等を開示することで、本人の心身状況を悪化させるおそれがある場合
A生命保険会社等の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
(例)
・審査等に当たって、生命保険会社等が収集したデータ又はそのデータを元に業務上評価したデータであって、本人に開示した場合、審査業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
・被保険者や保険金等の受取人本人に関する個人データが同時に契約者の個人データとなる場合であって、本人に開示した場合、保険契約者との信頼関係に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
・契約の見込度など、顧客に関する営業上の評価情報であって、本人に開示した場合、顧客との信頼関係に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
・債務者区分等、債務者に対する評価情報であって、本人に開示した場合、債務者との信頼関係に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
B他の法令に違反することとなる場合
(例)
・生命保険会社が組織的犯罪処罰法第54 条1 項に基づいて、主務大臣に取引の届出を行っていたときに、当該届出を行ったことが記録されている個人データを開示することが同条2 項の規定に違反する場合
 なお、窓口やコールセンターで行う契約内容照会・解約返戻金の照会等のサービスとしての対応が期待されているものについては、「保有個人データの開示を求められたとき」には該当しないものとする。
(4)保険契約に関する開示請求権者
 保険契約に関して、開示の求めを行うことができる者は原則として、保険契約締結の主体たる保険契約者又はその代理人(未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は開示の求めをすることにつき本人が委託した代理人)とする。
 また、被保険者、保険金受取人等保険契約者以外の者から、当該本人が識別される保有個人データの範囲内で開示の求めがなされた場合には、保険契約者本人の個人データの第三者提供とならないよう配慮しつつ、開示の求めに応じることとする。
(例)
・被保険者が契約者と別人になっている場合の被保険者に関する権利等(保険契約者名義、契約日、保険金額等)の確認の請求
・保険金、給付金の支払事由が発生し、受取りの権利が確定した保険金、給付金の受取人からの請求
(5)保有個人データの訂正等
 生命保険会社等は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下、「訂正等」という)を求められた場合には、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく事実の確認等の必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。
 また、訂正等を行った場合、又は訂正等を行わないこととした場合は、本人に対し、遅滞なくその旨(訂正等を行った場合は、その内容を含む)を通知しなければならない。
(6)保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止
 生命保険会社等は、保有個人データを本人の同意を得ないで目的外利用していること、若しくは保有個人データが偽りその他不正な手段により取得されたこと、又は本人の同意を得ないで保有個人データの第三者への提供を行っていることを理由として、本人から、保有個人データの利用の停止若しくは消去(以下、「利用の停止等」という。)又は第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、(利用の停止等の場合には、違反の是正のために必要な限度で)、遅滞なく、当該措置を行わなければならない。
 ただし、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の利用停止等又は第三者への提供の停止を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
 また、利用の停止等若しくは第三者への提供の停止を行った場合又はそれらの措置を行わない旨の決定をした場合は、本人に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。
(7)理由の説明
 生命保険会社等は、保有個人データの利用目的の通知・開示・訂正等・利用の停止等・第三者への提供の停止(以下、「開示訂正等」という。)において、本人から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、本人に対し、措置をとらない又は異なる措置をとることとした判断の根拠及び根拠となる事実を示し、その理由を説明するよう努めなければならない。
(8)開示訂正等の求めに応じる手続
 本人が開示訂正等を求める場合に、生命保険会社等の担当窓口が容易に分かり、かつ開示訂正等の請求手続を円滑に行うための体制を明確化するため、生命保険会社等は開示訂正等の求めにおいて、その求めを受け付ける方法として、次の各号に掲げる事項を合理的な範囲で定めることとする。
 なお、開示訂正等の求めを行った者がその方法に従わなかった場合は、開示訂正等に応じないことができる。
@開示訂正等の求めの受付先
A開示訂正等の求めに際して提出すべき書面(電磁的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法で作られる記録を含む。)の様式、その他の開示訂正等の求めの受付方法(郵送、ファックス等)
B開示訂正等の求めをする者が本人又はその代理人であることの確認方法
C保有個人データの利用目的の通知、又は保有個人データの開示をする際に手数料を徴収する場合には、手数料の徴収方法
 また、生命保険会社等は円滑に開示訂正等の手続が行えるよう、本人に対し、本人のデータの特定に必要な事項(住所、証券番号、担当営業職員・代理店等)の提示を求めることができる。
 なお、本人が容易かつ的確に開示訂正等の求めをすることができるよう、生命保険会社等は自己の保有個人データの特定に資する情報の提供その他本人の利便性を考慮した適切な措置をとることとする。
 生命保険会社等が、開示訂正等の求めに応じる手続を定めるに当たっては、必要以上に煩雑な書類を求めることや、受付窓口を不当に制限するなど、本人に過重な負担を課すことのないよう配慮する。
 生命保険会社等が、開示訂正等の求めを受け付ける方法を定めた場合には、「個人情報保護宣言」と一体として、例えばインターネットのホームページでの常時掲載を行うこと、又は事務所の窓口等での掲示・備付け等を行うこととする。
 生命保険会社等が、開示訂正等の求めをする者が本人又はその代理人であることの確認の方法を定めるに当たっては、十分かつ適切な確認手続とするよう留意するものとする。
 なお、代理人による開示訂正等の求めに対して、生命保険会社等が本人にのみ直接開示訂正等することは妨げられない。
(9 )手数料
 生命保険会社等は、保有個人データの利用目的の通知や保有個人データの開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料の額を定め、徴収することができる。また、手数料の額を定めたときは、本人の知り得る状態に置かねばならない。なお、手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲において、その手数料の額を定めなければならない。
<苦情の処理>
 生命保険会社等は、個人情報の取扱いに関する苦情を受けたときは、その内容について調査し、合理的な期間内に、適切かつ迅速な処理に努めなければならない。生命保険会社等は、苦情処理手順の策定、苦情受付窓口の設置、苦情処理に当たる従業者への十分な教育・研修など、苦情処理を適切かつ迅速に行うために必要な体制の整備に努めなければならない。
<漏えい事案等への対応>
 生命保険会社等は、個人情報の漏えい事案等の事故が発生した場合には、監督当局に直ちに報告することとする。
 生命保険会社等は、個人情報の漏えい事案等の事故が発生した場合には、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、漏えい等の事実関係及び再発防止策等を早急に公表することとする。
 生命保険会社等は、個人情報の漏えい事案等の事故が発生した場合には、漏えい事案等の対象となった本人に速やかに漏えい事案等の事実関係等の通知を行うこととする。
<個人情報保護宣言の策定>
 生命保険会社等は、個人情報に対する取組方針を、あらかじめ分かりやすく説明することの重要性に鑑み、生命保険会社等の個人情報保護に関する考え方及び方針に関する宣言(いわゆるプライバシーポリシー、プライバシーステートメント等。この取扱指針において、「個人情報保護宣言」という)を策定し、例えば、次に掲げる内容をインターネットのホームページへの常時掲載、又は事務所の窓口等での掲示・備付け等により、公表することとする。
@関係法令等の遵守、個人情報を目的外に利用しないこと及び苦情処理に適切に取組むこと等、個人情報保護への取組方針の宣言
A個人情報の利用目的の通知・公表等の手続についての分かりやすい説明
B開示訂正等の手続等、個人情報の取扱いに関する諸手続についての分かりやすい説明
C個人情報の取扱いに関する質問及び苦情処理の窓口

●生保協会・主要共済団体間で支払照会制度共同運営(05年1月20日)
 生命保険協会、JA共済連、全労済、日本生協連の4団体は「支払査定時照会制度」を平成17年1月31日から共同運営する。保険・共済制度を悪用した保険金・給付金等詐取事件の手口が巧妙化する中で、契約者の保護、生命保険・共済事業の健全性維持の観点からモラルリスク対策の強化を図る。
 生保・主要共済団体間にわたる新制度は、昨年6月に生命保険協会が制度概要を公表。生保各社・共済の複数の保険契約に加入し、不正請求により多額の保険金・給付金等を詐取しようとするモラルリスクを排除するために共済団体との協議を進め、業態間で連携を図ることが有効との共通認識に基づき4 団体共同で運営することとなったもの 。
<支払査定時照会制度>
▽目的:保険金・共済金等の請求時等に、必要に応じて契約情報等を相互に照会し、支払いの判断または契約の解除もしくは無効の判断の参考とすることによって、モラルリスクを排除し、健全な生命保険・共済制度の維持・発展に資する。
▽参加会社・団体:生命保険協会加盟会社、JA共済連、全労済、日本生協連
▽実施日:平成17年1月31日


●宇野郁夫生保協会長の年頭所感要旨(05年1月4日)
 生命保険事業の本質とは、販売時の引受査定、保険金等の支給時の支払査定を適正に行うことによりリスクを選別し、20年後、30年後に至るまで、保障を確実に提供することだ。この長く重大な責任を果たすためには、生命保険会社自らが経営努力を行うとともに、生命保険事業の本質を守るための制度・ルールを構築し、定着させていくことが重要だ。本年は、生命保険業界としてお客さまからの信頼に応えていくことができるよう、以下の諸課題に取り組む。
 第一に、生命保険事業の本質を守るために必要なスタンダードの構築および定着に向け、取り組む。本年は、無認可共済やセーフティネットについて、金融審議会の報告書に基づき具体的な制度整備が進められることとなっており、契約者保護の観点からの十分な検討が必要と考える。また、第三分野商品についても、今後の医療技術の変化、新たな病気の発生など、医療を巡る事情が大きく変化する可能性があり、国民が安心して加入することができる制度整備を進めることが必要と考える。
 第二に、郵政事業の民営化への対応。生命保険協会は、簡易保険が民営化するのであれば、民間生命保険会社との競争条件の完全な同一化、そして、適切なアンダーライティング体制の構築が不可欠であると主張してきた。これらが整備されることなく、名目上の民営化が進むと将来に大きな禍根を残すことになることから、今後も機会を捉えて意見表明をしていきたい。
 生命保険会社各社の経営努力が実を結び始め、日本経済の回復の後押しもあり、生命保険業界にも明るい兆しが見えてきた。平成17年は、この明るい兆しをより確かなものにするための基盤作りの年であり、生命保険事業の本質に立ち返り、お客さまからの信頼に応えるためには何が必要かを改めて考え、議論することが必要だと考える。


●10月末の生保事業概況:収保2.9%増に(04年12月21日)
 生保40社の04年度10月末の事業概況を発表。個人保険の新契約高は前年同期比13.0%減の51兆5345億円、保有契約高は4.0%減の1126億7658億円に。個人年金保険の新契約高kは48.9%増の3兆8382億円、保有契約高は4.8%増の71兆6883億円。収入保険料は2.9%増の14兆8510億円となった。

●株主への利益還元状況調査結果を集約(04年12月17日)
 生保協会は株主・投資家の立場から、株式発行企業による株主への利益還元の状況等について、昭和49 年度より継続的に調査を行っており、今年度も上場・店頭企業1200 社、機関投資家182 社を対象として実施。この調査をもとに、(1)配当性向の向上、(2)業績連動型配当への転換、(3)連結業績に対応した配当支払、(4)配当政策に関する具体的な数値基準の設定及び公表、(5)自己株式取得及び消却の推進を協会として要望している。
<現状の分析と協会の要望>
@配当性向の向上〜03年度の配当性向は21%と過去最低水準〜
 昨年度の配当還元状況を振り返ると、企業業績の回復を受けて増復配に転じた企業が増加し、配当総額も高水準となった。しかしながら、株主への利益還元率である配当性向の水準自体は低下基調が続いており、前期の配当性向は21%と過去10 年間で最低水準となった。これはアメリカと比較して12 ポイントも低い水準となっている。今回の投資家へのアンケートにおいても、企業の配当水準に対する満足度については、「満足できる企業はあまり多くない」「満足できる企業はほとんどない」と回答した割合が58.5%と依然として多かった。
 当協会では、このような実態とアンケート結果を踏まえて、企業が更なる配当還元の向上を図り、一
層投資魅力ある企業に変革することを引き続き要望したい。まずは日本企業の配当性向について30%台への向上が図られることに期待する。
A業績連動型配当への転換〜74 .5 %の投資家が業績連動型配当を要望〜
 配当性向の低下は、企業業績の回復ほどに配当金額が増加しないという配当支払いの硬直性にも
起因するようである。昨年度に引き続き、望ましい配当支払いのスタイルについてアンケートを実施した結果、安定配当を志向する企業(69.8%)と、業績連動型配当を求める投資家(74.5%)との間には、依然として認識の格差が存在している。
 当協会としては、このような実態と、業績連動型配当を求める多くの投資家の意見を踏まえ、引き続
き業績に応じた配当還元の実施を企業に要望したい。
B連結業績に対応した配当支払い〜配当政策の目標基準は54 .9 %の企業が未だ単独業績主義〜
 企業業績の連単差が拡大しているにもかかわらず、54.9 %の企業で配当政策が単独業績に基づくものとなっている。現行商法が、配当可能利益の算出に際して、単独業績ベースで計算することを求める単独決算主義を採っている一方で、投資家は企業を連結グループと捉えて投資評価を行っており、投資に対するリターンとしては連結利益がどの程度株主に還元されているかが重要と考えている。今回のアンケート結果でも、81.9 %の投資家が「配当政策の策定に際してはグループ連結経営成果をベースにするべきである」と回答している。
 当協会としても、このような実態と多くの投資家の意見を踏まえ、企業グループとしての経営成果が
より適切に反映されるよう連結業績に基づいた配当政策の目標設定を要望する。
C配当政策に関する具体的な数値基準の設定及び公表〜配当に関する具体的な基準を公表している企業はわずか8 %〜
 株式投資において、配当を一定程度考慮に入れて銘柄選別を行っている投資家は91.5%に達しており、昨年度と比較しても11.5 ポイントも増加している。企業に公表を要望したい配当指標は何かとの質問に、投資家の78.7%が配当性向を挙げた。これは、昨年度の調査結果より16.3 ポイントも上昇しており、配当性向の公表を求める投資家の割合は増加している。一方、当協会で決算短信に配当政策の具体的な数値基準を記載している企業数を調査した結果、今回アンケートを送付した時価総額上位1,200 社のうち、96 社しか公表していない状況にある。1990 年代初頭における当協会調査によると、東証1 部上場企業1,227 社のうち、配当に関する具体的な数値目標を明示していた企業が20 社程度であったことと比べれば一定の改善が見られるものの、なお開示企業は全体の8%に留まっている。
 配当政策は、将来の業績と配当の対応関係を示す重要な財務方針であり、投資家が企業の投資判断を行う上でも重要な情報である。そのため、当協会では、このような実態と多くの投資家の意見を踏まえ、企業に対し配当に関する具体的な数値基準の設定及び公表を重ねて要望したい。
D自己株式取得及び消却の推進〜消却まで実施する企業は2 割弱に留まる〜
 金庫株の解禁、定款授権による取締役会決議による自己株式取得の自由化等、自己株式取得に関する法制度の柔軟化に伴い、企業の自己株式取得は増加した。自己株式取得の目的は、株主還元の他、株価・需給対策、M&A への活用、ストックオプションへの利用など企業の戦略的理由から多岐にわたっており、適切な時機に有効に実施されれば、いずれの用途も十分に意義のあることである。しかしながら、71.4%の投資家が、自己株式取得について、消却を通じた株主還元を期待しているのに対し、実際に消却を実施した企業の割合は依然2 割弱に留まっており、企業の認識と投資家の期待との間に大きなギャップがあるのも事実である。
 当協会としては、このような実態と多くの投資家の意見を踏まえ、企業に株主還元目的での自己株
式取得の積極的な実施を引き続き要望したい。尚、株主還元目的の自己株式取得に際しては、具体的な消却計画を公表するなど、株主還元目的であることが明確化されるよう期待したい。


●上半期業績:個人保険保有4.1%減、収保3.4%増(04年12月3日)
 生保40社の上半期業績を発表。個人保険の新契約高は13.0%減の46兆2527億円、保有契約高は4.1%減の1131兆4027億円。個人年金の新契約高は54.2%増の3兆4017億円、保有契約高は71兆5278億円。団体保険を含む収入保険料は3.4%増の13兆303億円。総資産は2.2%増の186兆6714億円。

●「ファクトブック」の内容を「生保動向」に引き継ぐ(04年11月)
 生保文化センターは毎年、生保契約動向や業界動向を集約していた「生命保険ファクトブック」の発行を終了した。これに伴い、生保協会発行のデータ小冊子「生命保険の動向」の中にファクトブックの内容を引き継ぐ。「生命保険の動向04年版」の内容は、ハイライト(業界動向)、契約状況、収支と負債・資本、資産、営業体制を集約。

●金融審「無認可共済への論点整理」で意見書(04年10月27日)
 10月5日に金融審議会金融分科会第二部会から公表された「無認可共済への対応に係る論点整理」について、生保協会の意見をまとめ10月22日、金融審議会事務局に同論点整理に対する意見書を提出。

<「無認可共済への対応に係る論点整理」への意見書概要>
T.はじめに
 「無認可共済」に対して規制を導入する場合の基本的な考え方やその内容については、今後の検討に委ねられているものと思われるが、その際には、当会からの意見も踏まえ、契約者などの保護や公正な競争条件の確保に資する議論がなされることを要望する。
 「無認可共済への対応に係る論点整理」においては、「構成員が真に限定されるもの」以外の共済については一定の規制が必要とされているが、このことは、保険と同様の機能を有する商品を販売している共済団体を何らかの規制の下に置く方向性が示されたということであり、契約者等の保護の観点から評価できるものと考える。
 また、「論点整理」では、無認可共済に対し「保険会社と同様の規制」を課すべきとの意見が示されている一方で、「保険会社と異なる(緩やかな)規制」を課すべきとの意見も提示されているが、「保険会社と異なる規制」を導入することには以下に述べる問題点があるため、当会としては「保険会社と同様の規制」を課すべきとの意見を支持する。

U.意見
 1.契約者保護上の問題
 「論点整理」においては、「無認可共済について現行の保険会社に対する規制と異なる規制を導入する場合、その差異は、契約者などの保護や保険会社との公正な競争条件の観点から合理的なものである必要」があるとし、そのアプローチとして「特定性」の基準と「取扱い商品」に関する基準が挙げられている。そして、これらの基準に該当する場合に、保険会社よりも緩やかな規制が認められる根拠は、事業者の破綻等の場合に契約者などに生じる損失が限定されることにある※と考えられる。
   ※この点、「論点整理」には、「特定性」の基準を満たす場合に、保険会社よりも緩やかな規制  が認められる根拠は明記されていないが、「構成員が真に限定されるもの」以外の共済については  構成の自治による監督のみを理由に契約者などの自己責任を問うことが適当でないとしていること  また「特定性」の判断に事業規模(保険契約者数等)を考慮し、事業規模を限定しようとしている  ことから、事業者の破綻等の場合に生じる損失が、一定の範囲に限られることがその根拠にあると  推測される。
 しかし、特に死亡保障、医療保障等の生命保険型商品の場合、事業者の破綻等の場合に生じる損失が限定的であることを理由に規制を緩和することは適当でないと考える。そもそも、死亡保障、医療保障等の生命保険型商品は、私的保障制度の一翼を担うものであり、契約者等の生活の安定を確保するための基本的なものであることから、破綻が生じた場合の影響は甚大である。また、生命保険型商品は、年齢や健康上の理由により再加入が困難となることから、事業者が破綻した場合に生じる損失は、回復不可能なものになるという性質を有している。とすれば、このような死亡保障、医療保障等の生命保険型商品について、「保険会社と異なる(緩やかな)規制」を導入し、事業者の破綻防止に対する国家の監督を緩めることは慎重に検討を行う必要があると考える。
 2.競争条件の公正性確保の問題
 総務省の調査によれば、現在無認可共済が提供している商品は、生命共済が約5 割を占め、しかも生命保険会社が提供している商品と同様のものである。一般の消費者から見た場合には、保険も共済も商品としての機能は同じものであり、契約者等の保護のみならず、公正な競争条件を確保する観点からも、両者は同様の規制に服すべきである。ゆえに、無認可共済に対し「保険会社と異なる(緩やかな)規制」を導入することは問題があると考える。
 3.制度運営上の問題
 「論点整理」においては、「特定性」の基準や「取扱い商品」に関する基準によって、適用する規制を区別することとしているが、果たしてそのようなことが可能かが問題となる。そもそも現在の無認可共済の問題は、「論点整理」で指摘されているとおり、「特定性に着目した無認可共済と保険業との区別が容易でなくなりつつある」ことに原因がある。総務省の調査によれば、現に、無認可共済の中には、ごく少額の入会金を払うだけ、または特段の入会要件なく会員資格が与えられ、その会員資格を有するものに商品を販売することで「特定性」ありと判断しているところが存在している。
 このような現状を踏まえ、「特定性」について、「団体の加入要件や他の活動との関連」、「保険契約募集の態様」に関して一定の具体的な基準を設けることも検討すべきとされているが、具体的判断基準を設けるのであれば、公正な競争条件の観点から合理的なものであることに加え、客観的かつ明確な判断基準である必要がある。基準が不明確で抽象的なものであれば、形式的に基準に該当するような外形を備えることにより、保険業法の適用を受けるべき団体が「保険会社と異なる規制」の適用を受けるという事態が生じ、現状と同じ問題を再び生じさせるおそれがある。
 また、このような事態を避けるため、客観的かつ明確な基準である「事業規模(保険契約者数等)」を規定したとしても、「論点整理」にも指摘されている通り、事業規模の基準は団体を分けることで容易に潜脱可能であり、そのような潜脱を厳格に防止する措置を講じる必要がある。
 さらに、「取扱い商品」の基準により、「短期」で「一定額」以下のものに限定する考えが示されているが、死亡保障にせよ医療保障にせよ、加入者は更新により保障を継続できることを前提に加入するのであり、仮に保険期間が一年と短期であっても、更新時に適切な危険選択や料率変更が行われないのであれば、実質的には長期の保険である。保険金額が「一定額」以下との基準も、現在のように給付態様が多様化した中では、有効に機能する基準を設けることは容易なことではない。仮に給付総額を100 万円としても、死亡保険金額であれば小額といえるが、入院給付額であれば、日額1 万円の給付が100 日間支払えることになり、これは保険会社が取扱っている医療保険と全く変わらない。あらゆる給付内容を列挙することが困難であることを考えると、「取扱い商品」の基準を設けることについても慎重に検討する必要がある。
 4.制度導入の意義
 「論点整理」において、「保険会社と異なる規制」を導入する場合の具体的な規制内容が示されているが、契約者保護の観点からは、現行保険業法上の規制の中で実際に緩和できる部分がどの程度あるのか疑問である。
 すなわち、契約者保護の観点からは、契約者の支払った掛け金が適正に運用される必要があるが、この観点からは兼業規制、資産運用規制は不可欠である。また、契約者の自己責任を問う前提として適正な情報開示が必要とされているが、このためには適切な情報が開示されるよう情報開示規制が必要であるし、開示情報の正確性・適正性を確保するためには、商品審査を行い、責任準備金の積立等に関する保険計理人等の関与、行政当局による検査・監督が必要である。
このように、契約者保護を図ろうとすれば、保険業法の規制とほとんど変わらない規制となる。とすれば、このような新たな業態を認めることに、一体どの程度の意義が認められるのかが問題となってこよう。

V.まとめ
 以上の通り、「契約者保護上の問題」「競争条件の公正性確保の問題」「制度運営上の問題」「制
度導入の意義」の観点から、「保険会社に対する規制と異なる規制」を導入することには問題がある。「論点整理」では、「契約者などの保護や公正な競争条件の観点からあるべき規制の姿を議論していくことが重要」とされているが、そのような観点からは保険業法による一元的な規制を行うべきである。仮に、保険業法を適用することで不都合が生じる場合には、経過措置を設け、既存の無認可共済を保険会社へと育成することで対応すべきである。
 規制のあり方を考えるにあたっては、現状追認の規制を作るのではなく、あるべき規制のあり方を考え、その上で現状を踏まえた制度運営を考えていくべきものである。「論点整理」では「あるべき規制の姿を議論していくことが重要」とされているが、そのような観点から、今後、第二部会での議論が行われることを期待する。

●新潟県中越地震被災契約の災害保険金全額支払(04年10月26日)
 各生命保険会社では、今回の新潟県中越地震被災契約者の契約について、災害関係保険金・給付金の全額支払など、下記の取扱いをすることを決めた。
<特別取扱の内容>
1. 地震による免責条項の不適用:地震による免責条項は適用せず、災害関係保険金・給付金の全額を支払う。 
2. 災害救助法適用地域の特別取扱いについて
(1)保険料払込猶予期間の延長:申し出により、保険料の払込について猶予する期間を延長(最長6カ月間)する。   
(2)保険金・給付金、契約者貸付金の簡易迅速な支払:申し出により、必要書類を一部省略する等により、簡易迅速な取扱いを行う。


●保険料控除ネットアンケート結果公表(04年10月15日)
 7月26日〜8月27日に実施した生命保険料インターネットアンケートの結果を集約。今回は3万1666件の回答があり、97%が生命保険料控除制度の維持・拡充を望んでいる。
<アンケ−ト集計結果>
○将来の備えは自助努力によって充実したい・・・・83.9%
○ 生命保険料控除制度を維持・拡充して欲しい・・・・・97.4%
○ 個人年金保険料控除制度を維持・拡充して欲しい・・・・・96.6%
○ 生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度が拡充となった場合、私的保障を充実させることを考える・・・・・93.2%
○ 生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度が廃止・縮小となった場合、現在加入している保険の解約・減額を考える、 あるいは継続できるか不安になる・・・・・77.6%

●平成17年度税制改正要望とアンケート集約結果(04年9月17日)
 17日、財務大臣をはじめ関係各方面に対し、平成17年度税制改正に関する要望書を提出。また、生命保険料控除制度に関するインターネットアンケート(7月26日〜8月27日)の結果を発表した。今回の調査では、前回平成12年度を大幅に上回る3万1666件の回答を得、集計結果から自助努力支援税制としての生命保険料控除制度に対する国民の高い支持が確認されている。
<重点要望項目>
▽今後本格化する少子高齢化に備え、相互扶助の仕組みによって効率的に「遺族」「医療」「介護」「老後」全ての保障を準備できる生命保険・個人年金保険への税制支援をともに拡充し、国民の自助努力を促進すること
 生命保険料控除について、所得税法および地方税法上の生命保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第1項)(地方税法第34条第1項第5号、第314条の2第1項第5号)
 個人年金保険料控除について、所得税法および地方税法上の個人年金保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第2項)(地方税法第34条第1項第5号の2、第314条の2第1項第5号の2)
▽遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること(相続税法第12条第1項第5号)
▽公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度、適格退職年金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること(法人税法第8条、第84条)
<要望項目>
T.企業年金保険関係:確定拠出年金保険契約の預け替えや資産移転による保険料について、法人事業税の課税対象から除外すること。
U.資産運用関係:固定資産の減損会計に係る減損損失を税務上損金化すること。不動産関連税制の総合的見直しを図ること。
V.その他:破綻保険会社から承継保険会社・協定銀行が土地等を取得した場合の不動産取得税・特別土地保有税の非課税措置を恒久化すること。生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること。
<アンケート結果の概要>
▽将来の生活保障を充実させるための考え方として「自助努力によって充実したい」と回答した人の割合は83.9%と高い水準になっており、また、前回(81.5%)と比べて増加している。   
▽自助努力の手段としては、「遺族」「医療」「介護」の保障分野では生命保険が、「老後」保障分野では個人年金保険が最も期待されている。   
▽生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度は、国民から広く認知されており(知っている人の占率95%)、この水準は前回(88.5%)よりも高まっている。なおかつ、ほとんどの人が生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度とも維持・拡充を望んでいる。   
▽生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度が拡充された場合、「私的保障を充実させる方向で考える」と回答した人は9割超、逆に仮に廃止・縮小となった場合、「解約・減額を考える」と回答した人は約3割という結果になっており、生命保険料控除制度・個人年金保険料控除制度の動向が国民の生活保障に対する行動・考え方に大きな影響を与えると考えられる。

●郵政民営化基本方針閣議決定で協会長意見表明(04年9月10日)
 10日、「郵政民営化の基本方針」の閣議決定を受けて、宇野郁夫生保協会長は要旨下記の意見を表明。

  簡易保険事業は、民間にはない有利な競争条件に守られた存在であり、民業の補完という役割は既に終えていると認識している。それにもかかわらず、民営化した上で存在させるのであれば、健全な生命保険市場の確保の観点から、民間生保との競争条件を完全に同一化することが不可欠と考える。 しかしながら、本日閣議決定された基本方針では、競争条件の完全な同一化が図られない懸念が多く残る内容となっており、以下の5点が実現されることを再度強く要望する

(1) 07年4月の民営化時点で、新規契約分の政府保証を廃止し、納税義務、生命保険契約者保護機構への加入など民間生保と同じ義務を課すことはもちろん、同時点で保険業法を完全に適用し、金融庁の監督下におくこと。

(2) 事業間のリスク遮断の徹底という観点から、07年4月の民営化時点で、4機能一体の特殊会社や持株会社方式ではなく、機能毎に完全に分離・独立させること。

(3) 新・旧勘定間のリスク遮断の徹底という観点から、07年4月の民営化時点で、旧勘定を公社承継法人に分離するだけでなく、旧勘定から生じた損益は新会社に帰属させず、既契約者に還元すること。また、国が得た顧客情報を厳格に管理し、新会社が新契約募集等に活用しないための措置を講じること。

(4) 暗黙の政府保証である政府出資などの国の関与を早期に完全に解消すること。

(5) 更なる肥大化に繋がらないようにすべく、07年4月の民営化までの準備期間はもちろんのこと、民間生保との競争条件が完全に同一化されるまでは、簡易保険の商品種類の拡充は行うべきでなく、また、加入限度額についても維持するだけでなく、引き下げること。

 このほか、民営化後に監視組織が設置されることになっているが、民間生命保険事業に精通した有識者を加えた体制とするなど、監視の実効性および透明性が確保される仕組みにすることが必要と考える。今後の民営化に向けた検討にあたっては、当会の考え方を取り入れて、「民間との競争条件の完全な同一化」が厳格に図られた法案作成および制度設計が開かれた場で進められることを期待する。

●郵政民営化素案で協会長意見(04年8月31日)
 31日、経済財政諮問会議において「郵政民営化の基本方針(素案)」 が公表された。これに対し宇野協会長は次の意見を表明。
<協会長の意見要旨>
 当会は8月6日にも簡易保険事業について「民間生保との競争条件の完全な同一化が必要不可欠」との意見を表明しているが、今回の「素案」において、「新会社は移行期当初から民間企業と同様の規制・監督の下に入り、政府保証の廃止、納税義務、生命保険契約者保護機構への加入等の義務を負う」ことが明記されており、この点について支持するとともに、確実に実現されることを期待する。
  しかしながら、まだ明確になっていない点も含めて、競争条件の完全な同一化が図られない懸念が多く残る内容となっており、以下の3点をあらためて強く要望する 。
(1) 事業間のリスク遮断の徹底という観点から、2007年4月の民営化時点で、4機能一体の特殊会社や持株会社方式ではなく、機能毎に完全に分離・独立させること
(2) 新・旧勘定間のリスク遮断の徹底という観点から、2007年4月の民営化時点で新・旧勘定を完全に分離・別法人化し、旧勘定の損益を新勘定へ帰属させないこと
(3) 上記の実現に加え、暗黙の政府保証である政府出資などの国の関与が完全になくなり、民間生保との競争条件が完全に同一化されるまでは、簡易保険の業務範囲(商品種類、加入限度額等)の拡大を行わないこと
 今後の民営化に向けた検討にあたっては、 「民間との競争条件の完全な同一化」が厳格に図られた制度設計が進められるとともに、民間生保と同じく「適切なアンダーライティング体制」を構築することにより、健全な生命保険市場が確保される ことを期待する。

●第1四半期末業績:個人保険保有4.4%減に(04年8月31日)
 第1四半期(4〜6月)末の事業概況を発表。個人保険の新契約高は前年同期比13.6%減の21兆3529億円、保有契約高は4.4%減の1140兆1520億円(12兆4964億円純減)。個人年金保険は銀行窓販が好調に伸展し、新契約高は58.3%増の1兆4947億円。保有契約高は3.4%増の70兆3631億円。全種目収入保険料は2.1%増の6兆778億円。

●郵政民営化基本方針で協会長意見(04年8月6日)
 経済財政諮問会議の「民営化基本方針の骨子」について 、6日、宇野協会長が意見を表明。
 
 簡易保険は民間にはない有利な競争条件に守られた存在であり、民業の補完という役割は既に終えていると認識している。健全な生命保険市場の確保のためには、公平な条件の下での競争が必要であり、 民間生保との競争条件を完全に同一化することが必要不可欠と考える。また、生命保険事業は、長期にわたり保障を提供しつづけるために、リスクを適切に引き受け健全な被保険者集団を作り上げることが重要であり、簡易保険事業を民営化する場合には、こうした生命保険事業の特性を踏まえた検討が必要と考える。
 「民営化基本方針の骨子」では、持株会社を設置するとともに、郵政公社が担う4つの機能を株式会社として独立させることを基本に調整するという考え方や、政府保証が付いた既契約について、管理・運営は新契約と一括して行うとともに、損益は持株会社に帰属させるという考え方が示されている。
 しかしながら、こうした形態論が先行することによって、「競争条件の完全な同一化」、「健全な被保険者集団の確保」、「簡易保険の既契約者の保護」などの本質的な問題の解決が図られないことが懸念される。例えば、事業間および政府保証が付いた既契約と政府保証のない新契約との間のリスク遮断や内部補助の排除に関し、別法人化等の形態面とともに実態面においても厳格な対応が行われなければ、契約者保護や民間生保との完全なイコールフッティングが図られず、結果として健全な生命保険市場の発展が大きく阻害されるものと考える。
  さらに、新会社は、移行期間の当初から、原則として納税等民間企業と同様の義務を負い、同時に新会社の経営の自由度も民間同様となるよう拡大していくという考え方が示されているが、 民間生保との競争条件が完全に同一化されるまでは、簡易保険の業務範囲の拡大を行うことは一切認められるべきではないと考える。
  今後、経済財政諮問会議では、「最終報告」に向け、民間生保との競争条件の完全な同一化、契約者保護の観点から議論が深められ、健全な生命保険市場が確保される制度となることを期待する。

●保険料控除でインターネットアンケートを実施(04年7月23日)
 生命保険協会は全国生命保険労働組合連合会との共催で、7月26日(月)〜8月27日(金)の1ヵ月間、今後の社会保障制度や自助努力に対する国民の考え方や生命保険料控除制度への意見を集約するインターネットアンケートを実施する。
<インターネットアンケートの概要>
1.アンケート実施期間:7月26日(月)〜8月27日(金)の1か月間
2.調査内容
○現在の保障内容と今後充実させたい保障内容(遺族・医療・介護および老後保障)
○生活保障についての考え方(社会保障と自助努力とどちらで備えるのが望ましいか)
○生活保障の準備手段(預貯金、保険、株式etc.)
○保険料控除制度に対する考え方、等
3.アンケートへのアクセス方法
○生命保険協会および協会加盟会社40社または生保労連のホームページの「アンケートバナ−」をクリックすることでアンケートに参加できる。 アンケート専用アドレスhttp://q.seiho.or.jp
4.図書券贈呈:インターネットアンケート参加者の中から、抽選で500名に図書券1000円分を贈呈(当選者の発表は発送をもってかえる)

●平成17年度税制改正重点要望項目決まる(04年7月21日)
 平成17年度税制改正に関する重点要望3項目を16日、決定した。現在、生保協会では税制改正要望項目の策定に向けた議論を行なっているが、今年度については保険料控除制度の拡充など特に重要な要望項目については例年の9月よりも早期に決定し、速やかに関係各方面に理解を求めていくこととした。
<重点要望項目>
◎ 今後本格化する少子高齢化に備え、相互扶助の仕組みによって効率的に「遺族」「医療」「介護」「老後」全ての保障を準備できる生命保険・個人年金保険への税制支援を拡充し、国民の自助努力を促進すること。
<生命保険料控除について>所得税法および地方税法上の生命保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第1項)( 地方税法第34条第1項第5号、第314条の2第1項第5号)。
<個人年金保険料控除について>所得税法および地方税法上の個人年金保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第2項)( 地方税法第34条第1項第5号の2、第314条の2第1項第5号の2)。
◎ 遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること(相続税法第12条第1項第5号)。
◎ 公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度、適格退職年金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること(法人税法第8条、第84条)。


●宇野郁夫協会長が所信(04年7月16日)
 今年度の協会長に就任した宇野郁夫日本生命社長は下記の所信を発表。
<所信の要旨>
1.はじめに − 社会保障制度と並ぶ二本柱としての生命保険事業
わが国は、いま、少子高齢化という大きな社会変動に直面している。欧米諸国は国民の自助努力を促すような方向での対策を早くから実施しているが、わが国の場合、少子高齢化のスピードが欧米諸国よりも急激であり、抜本的な対策が急務となっている。国としての明確な方向感を示すとともに、国民一人ひとりが自助努力の重要性について意識を高めることが求められている。
また、規制改革・自由化が進み、経済に再び活力が出始めた一方で、企業の存続にかかわるような事例が発生するなど、これまで以上に、より健全で責任のある事業運営が要請されている。このような社会にあって、生命保険事業は、社会保障制度と並ぶ二本柱として国民 生活を支える社会インフラとしての役割を担っており、その果たすべき責任は非常に 高まってきている。生命保険事業を取り巻く環境は依然として厳しいものがあるが、国民の更なる期待に応えていくべく、生命保険事業の健全な発展に向けた取組 を進めていく。
2.生命保険事業の本質に根差した自覚と責任  
生命保険事業の原点は相互扶助であり、事業の本質は、長期に亘りお客さまに保障を提供しつづけるために、リスクを適切に引き受け、健全な被保険者集団を作り上げ ることだ。規制改革・自由化が進展し、経営の選択肢の多様化が進んでいるが、これを健全に進めていくためには、生命保険事業の本質に根差した自覚と責任が大前提となる。生命保険会社各社は、自助努力を支える社会インフラであるとの自覚を持ち、次世代以降に亘って保障を提供し続けるという責任を全うするために、事業の本質を見失うことなく、経営の健全性維持に取り組み、契約者からの信頼に応えていくことが求められている。
3.生命保険事業の健全な発展に向けた環境整備
 生命保険協会の役割は、生命保険事業の本質に根差した自覚と責任の下、@生命保険事業の健全な発展に向けて必要となる規律・スタンダードの整備、A生命保険会社各社への規律・スタンダードの定着、B生命保険事業に関わる取組の国民への発信、事業の意義・重要性の理解促進
である。この認識の下、この1年間、特に以下の3点を重点課題と して取り組んでいく。
  (1) 国民の自助努力を支援する税制の充実:生命保険事業は、社会保障と並ぶ二本柱として国民生活を支えている。生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度は、国民の自助努力を支援し促進する制度として共に機能している。自助努力がより一層求められる中で、次世以降に亘って国民が安心して生活できる社会づくりのために、 保険料控除税制の一層の充実が必要と考える。
  (2) 公正な条件の下での競争を通じた健全な保険市場の確保:私的保障は、生命保険だけでなく簡易保険や共済などさまざまな形で提供されているが、健全な保険市場の確保のためには、公正な条件の下での競争が必要だ。例えば、簡易保険は民業の補完という役割は既に終えているが、民間にはない有利な競争条件に守られた存在だと認識している。民間との競争条件を完全に同一化することで、健全な保険市場の確保につながると考える。また、現在、金融審議会で検討されている根拠法のない共済についても、健全な保険市場の確保、契約者保護の観点から、規制のあり方について検討が必要と考える。
  (3) 生命保険事業の信頼向上のために必要な規律・スタンダードの整備:信頼向上のためには、生命保険事業にあるべき規律・スタンダードの整備が前提となる。生命保険は相互扶助の精神に基づき、長期に亘り保障を提供 しつづける制度であり、その特性を踏まえた規律・スタンダードが設けられて いるが、今後も更なる整備を重ねていくことが必要だ。
  セーフティネットについては、生命保険会社各社が健全性の維持・向上に取 り組み、使用されないことが大前提だが、万一の破綻に備える国民の理解と納得が得られる制度内容であることが必要と考える。
  また、来年4月に全面施行となる個人情報保護法の趣旨に沿って生命保険協 会の指針改定を行うほか、モラルリスク対策強化のため、来年1月から支払査定時等における既契約情報の相互照会制度を開始する。

●IASC定款見直しで意見表明(04年7月13日)
 7月13日に東京で開催された国際会計基準委員会(IASC)財団の定款の見直しに関する公聴会において、日米欧7つの保険事業者団体の共同意見書を提出し、これに基づいて意見表明を行った。IASC財団は、IASC財団と国際会計基準審議会(IASB)の運営手続きを定めた定款の見直しを進めており、03年11月に論点と考えられる点をまとめた「国際会計基準委員会財団定款の見直しのための論点の識別」を公表し、コメントを募集した。これに対して生命保険協会は04年2月に意見書を提出するとともに、日米欧7つの保険事業者団体の共同意見書も提出した。その後、IASC財団は受け付けたコメントのレビューを進め、04年3月に更なる検討が必要な課題とそれらに対するアプローチを同時に提示した。IASC財団は、これらのアプローチについてのフィードバックを受けるため、公聴会を開催しており、東京の公聴会はニューヨーク(6月3日)、ロンドン(6月29日)に続くもの。
<共同意見書の概要>
(1)総論
・ IASBは関係者の合意形成を目指し、議事の透明性、公正・公平性を確保し、慎重な審議を行うべき。
(2)各論
  ・ 評議会がIASBのデュー・プロセスを定期的にチェックし、その結果を開示することとし、不適切なデュー・プロセスがあった場合には、評議会からIASBに対し、基準作成手続きのやり直しを要求できるような体制とすることを提案。
  ・ IASBは、多用な会計基準設定主体との協調を図ることが必要。
  ・ 国際会計基準の設定にあたっては、会計理論だけによるのではなく、費用対効果の観点からも基準の実現可能性を検証すべき。
  ・ 公開草案等に対するコメントを作成するために充分な時間が関係者に与えられるべきであり、かつ提出されたコメントを検討するために充分な時間がIASB理事に与えられるべき。
  ・ 最終基準の採択については、3/4以上のIASB理事の賛成を要件とすべき。
  ・ 基準諮問会議(SAC)のIASBからの独立性を高めるために、SAC議長はIASB議長と別人にすべき。サンセット・レビューの有効性を高めるために、プロジェクトの当事者以外の者がサンセット・レビューを行うべき。 ※サンセット・レビューとは、「プロジェクト開始後2年経過してもディスカッション・ペーパーや公開草案の公表にいたらないプロジェクトについては、その存続を含めてプロジェクトのあり方を検討するための見直しを行う」という手続である。
  ・ IASBフレームワークは絶対不変の原理ではなく、絶えずその適切性を検証され続けられなければならない。フレームワーク改訂の手続きを明確にすべき。
  ・ IASB理事は、会計基準の設定において、公共の利益や会計基準の理解可能性・実現可能性を優先すべき。
  ・ 英語を母国語としない国々へ配慮すべき。
     
●介護福祉士養成奨学生166名決まる(04年7月1日)
 1日、平成16年度の介護福祉士養成奨学生166名を決定した。この結果、平成16年度に奨学金を支給する介護福祉士養成奨学生は、前年度の奨学生で本年2年次に進級した学生159名と合わせ325名となった。
 生保協会加盟会社からの拠出金をもとに介護福祉士の養成を支援する施策として、平成元年度より実施しており、本年度の奨学生166名を加えて、これまでの奨学生は2698名となる。奨学金の額は月額2万円(返還義務なし)で、支給期間は1年生下期からの1年6カ月(ただし1年課程の学生は1年間)。すでに、これまでに2290名の奨学生が卒業し、特別養護老人ホームや老人保健施設等で活動している。

●生保スカラーシップ奨学生13名決まる(04年6月28日)
 生保協会80周年記念事業として、東南アジア・東アジアからの私費留学生を対象とする「外国人私費留学生奨学金制度(セイホスカラーシップ )」 を、日本経済団体連合会の国際交流事業の一つである「国際文化教育交流財団」に基金の運用および運営事務を委任し、平成2年度より実施している。
 平成16年度は、全国の18大学に対し奨学生の推薦依頼を行い、推薦のあった18大学・19名の中から于壮飛さん(中国・東京外国語大学)ら13名をセイホスカラーシップ奨学生として新たに決定した。本年度に奨学金を支給する奨学生は、前年度採用の奨学生で今春4年生に進級した学生12名と合わせ25名となる 。なお、すでに平成2年度から15年度までに237名の奨学生に奨学金を支給いたしており、本年度の奨学生13名を加えて、これまでの奨学生総数は250名となる。

●IASB審査手続強化で意見書提出(04年6月25日)
 国際会計基準審議会(IASB)が公表した「IASB 審議手続の強化」に対して意見書を提出。
 国際会計基準委員会(IASC)財団は、IASC財団とIASBの運営手続きを定めた定款の見直しを進めており、併行してIASB内部でも審議手続(デュープロセス)の見直しが行われている。IASBは、審議手続の強化に向けた取組と今後の改善策を「IASB 審議手続の強化」として3月24日に公表し、6月25日を締切としてコメントを募集した。「IASB 審議手続の強化」では、「IASB審議手続のアクセス可能性と透明性」、「関係者からのコメントに対するIASBの対応」「提案および基準を発表する以前にどの程度の協議を行うべきか」についてコメントが求められている。生保協会は、IFRS公開草案「保険契約」に対するコメント(平成15年10月提出)や、「IASC財団 定款見直しのための論点の識別」に対するコメント(平成16年2月提出)などを通じて、IASBの審議手続の改善に向けた提言を行ってきたが、今回の「IASB 審議手続の強化」については、今後の保険会計の審議に大いに関連があると思われることが含まれるため、生保協会としてコメントを提出したもの。
<生保協会の意見の趣旨>
▽審議の透明性を高め、関係者の理解を促進するために、途中過程において、IASB理事と同一の情報を一般に提供すべき。
▽審議途中の論点について広範な専門家の意見を集約したようなレターに対しても、IASBの見解をウェブサイトに掲載すべき。
▽ワーキンググループあるいは既存のアドバイザリー・コミッティをこれまで以上に活用することが必要。
▽解決すべき論点が残っているプロジェクトについては、幅広い意見を聴取するために、ディスカッションペーパーを策定し公表すべき。
▽公開草案からの大きな考え方の変更については、提案の再公開をすべき。
▽最終基準の採択については、3/4以上のIASB理事の賛成を要件とすべき。
▽英語を母国語としない国々へ配慮すべき。
▽IASBは、多様な会計基準設定主体との協調を図ることが必要。

●副会長・委員長を内定(04年6月18日)
 6月18日開催の理事会で、副会長・委員会委員長を内定。副会長は7月16日開催の理事会で、また委員会委員長については同日会長の委嘱により正式決定する。
[平成16年7月16日付内定]

副会長>
金子亮太郎明治安田生命社長、吉池正博太陽生命会長、西村博三井生命社長
<委員長>
▽一般委員会:加藤貞男日本生命常務取締役、▽業務委員会:今野照雄第一生命常務取締役、▽財務委員会:石橋三洋日本生命副社長、▽企業保険委員会:佐々木郁夫明治安田生命専務取締役、▽情報システム委員会:川島仁司住友生命常務取締役、▽経理委員会:小澤祐吉明治安田生命副社長、▽契約サービス委員会:川島仁司住友生命常務取締役


●支払査定時照会制度を創設、モラルリスク対策強化(04年6月18日)
 モラルリスク対策強化のため、新たに「支払査定時照会制度」を創設する。保険金・給付金等の支払査定時等における既契約情報等の相互照会によって、モラルリスクの発生を防止する目的。発足時期は平成17年1月。
 生保協会ではかねて、契約の引受・支払の参考とするために「契約内容登録制度」を設け、保険契約・特約について登録を実施するとともに、全国共済農業協同組合連合会との間で登録内容を相互に照会している。同制度に加え、モラルリスク対策強化を目的として支払査定時等に他社の加入・支払情報を相互に照会する「支払査定時照会制度」を創設するもの。なお、新制度の機能を高める観点からは、保障機能を提供する他業態との緊密な連携を図ることが有効であるため、現在、新制度への参加について関係団体と協議している。
<「支払査定時照会制度」>     
1.制度の概要:保険金・給付金等の支払査定時等において、参加会社がモラルリスク対策上必要と判断する場合、支払の判断の参考とすること等を目的として、(社)生命保険協会が運営するネットワークセンターを経由して、他の参加会社に対し、同一被保険者の契約内容、保険金・給付金等の支払に関する情報を照会し、回答を得るもの。(社)生命保険協会および参加会社は、本制度により知り得た内容を本制度以外の目的に利用したり、他に提供することはない。           
2.参加会社:生命保険協会加盟のすべての生命保険会社が参加する。    
3.照会・回答項目:照会を行う会社は、(1)の項目について他の参加会社に照会を行い、同一被保険者の契約を有する会社は(1)および(2)の項目について回答する。    
(1)照会項目    
・ 被保険者の氏名、性別、生年月日、住所(市、区、郡まで)    
・ 契約日、保険事故発生日、死亡日、入院日、対象となる保険事故    
(2)回答項目:契約者・死亡保険金受取人等の氏名、被保険者との続柄、死亡(災害死亡)保険金額、各特約内容、請求・支払状況等    
4.その他:制度の詳細につきましては、今後、引き続き検討を進めて行く。    
<生保協会の主なモラルリスク対策>
〇「契約内容登録制度」(昭和55年10月発足):入院給付金の不正受給及び死亡保険金の不正取得を目的とした多重契約の引受を防止するため、契約時に保険契約者・被保険者の氏名、生年月日、死亡保険金額、入院給付金額等を協会に登録し、各社が契約引受等の判断の参考とする制度。登録期間は契約(復活)日から5年間。
〇「契約内容照会制度」(平成14年4月発足):生命保険協会の「契約内容登録制度」に登録されている契約情報と全国共済農業協同組合連合会の契約情報を相互に照会する制度。登録内容は「契約内容登録制度」と同じ。
〇「生保・警察連絡協議会」の設置(昭和55年7月以降):全国の各地方生命保険協会と都道府県警察本部との間の相互理解と連携強化を目的として、全国54地区に「生保・警察連絡協議会」を設置。
〇「保険金不法取得目的の保険契約の無効」を約款に規定(平成15年1月以降):保険契約者が保険金を不法に取得する目的などをもって保険契約を締結した時に、その保険契約を無効とし、保険料を払い戻さないことを約款に規定。従来は、保険会社は不法に保険金を取得する目的でなされた保険契約は、公の秩序または善良の風俗に反するものとして無効を主張してきたが、これを約款に明記することにより、不法に保険金を取得する目的を持って契約を締結しようとする契約者を排除する姿勢をより鮮明にしたもの。

●「郵政民営化に関する論点整理」で森田協会長が声明(04年4月26日)
 経済財政諮問会議の「郵政民営化に関する論点整理」について、森田生保協会長が要旨下記の通り声明を発表。
<声明の概要>   
  26日、経済財政諮問会議による「郵政民営化に関する論点整理」が公表され、そのなかで、民営化のあり方について「ユニバーサルサービスについては、定義やイコールフッティングとの関係を含め引き続き検討し、必要とされるサービスについては、その提供が可能となる枠組みを確立すべきではないか」、また、窓口ネットワークについて「民営化後も引き続き、郵便・郵貯・簡保のそれぞれのサービス提供の窓口としての役目を果たすべきではないか」といった切り口が示されている。
  郵政改革をめぐる議論において、「郵便のみならず簡保を含むユニバーサルサービスが必要である」、或いは、「民間生保は過疎地に店舗が少ないため充分なサービス提供ができない」といった議論がなされることがあるが、保険については全国のあらゆる地域において、民間が既に十分なサービスを提供している。
  郵便局の窓口ネットワークが国民共有の生活インフラとして浸透し、有益なネットワークであることは否定しないが、簡保事業の存否については、本来国民経済的視点から、事業の必要性、民業との関係、資金運用上の問題点等について合理的に判断されるべきであり、例えば、窓口ネットワークを維持するための収益源といった点を過大に重視して決定されるべきものではないと考える。
  簡保事業は既に役割を終えており、健全な生命保険市場・金融市場の発展、国民負担の軽減の観点から、本来的には「縮小・廃止」すべきであると考える。また、仮に、諸般の事情から簡保事業を民営化し存続させるという選択肢を採る場合には、政府保証や納税義務の免除といった事業特典の撤廃はもとより、三事業分離や保険業法の適用(金融庁による監督)、事業特典の下で蓄積された膨大な顧客基盤や保有資産の分離等、民間生保との競争条件を完全に同一化することが必要不可欠であると考える。
  今般の論点整理には、完全民営化までの準備・移行期間についての記載もあるが、昨年来、簡保の新商品認可に際しても当会としての意見を申し上げてきた通り、事業特典により肥大化した簡保が、民間との競争条件が完全に同一化されないなかで、新たな業務領域に進出することはもちろん、業務拡大を行うことは一切認められるべきではない。また、郵貯・簡保に係る論点については、両者の機能が本質的に異なることを踏まえ、各々別個に存在意義の検証が行われるべきであると考える。今秋に予定されている最終報告に向けては、より具体的かつ合理的な議論が進められることを期待する。


●2月末生保事業概況:収保1.9%増(04年4月24日)
 生保40社の2月末(03年4月〜04年2月末)保険成績によると、個人保険の新契約高は15.9%減の93兆2590億円、保有契約高は4.8%減の1159兆4076億円、個人年金保険の新契約高は53.7%増の4兆5392億円、保有契約高は1.4%増の69兆3669億円。収支状況では、収入保険料は1.9%増収で23兆175億円、支払保険金は7.2%減、解約返戻金は2.3%増、事業費は2.1%減。総資産は0.4%減の180兆4510億円。


●次期生保協会長に宇野日本生命社長を内定(04年4月16日)
 16日開催の理事会で、7月16日(金)開催予定の第96回通常総会終了後の理事会で宇野郁夫日本生命社長を会長(42代)に互選することを内定。

●金融審窓販報告で森田協会長が声明(04年3月31日)
 本日、「金融審議会金融分科会第二部会」及び「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」において検討されてきた「銀行等による保険販売規制の見直し」についての報告書が公表された。
 今回の報告書では、「銀行等による保険販売規制の見直しについては、本報告後例えば1年後から段階的に行うこととし、新たな弊害防止措置の実効性をモニタリングしながら、遅くとも本報告後3年後には、銀行等において原則として全ての保険商品を取り扱えるようにすることが適当であるとの意見が大勢を占めた。今後は、行政当局において、本報告の趣旨を踏まえ、速やかに適切な措置を講じるよう期待する」とされている。
 銀行等による保険商品の販売については、保険業法により、「保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合」に限定されており、保障性商品にまで及ぶ販売対象商品の拡大は、銀行等が有する優越的地位を背景とした販売、医療・健康情報の融資等銀行業務への流用、製販分離の急激な進行に伴う保険制度全般の健全性悪化等の弊害が危惧されるため、認められるべきではないと我々が主張してきた点について、多くの重大な懸念が残るものである。
 銀行等が販売できる保険商品の拡大が、真に保険業法の趣旨を踏まえた保険契約者等の保護に適い、国民全体にとっての利益の増進に貢献し得るかどうかは、一にかかって弊害防止措置の実効性を確保し得るかという点にある。
 今後、金融庁にて検討される具体的な弊害防止措置については、起こり得る様々な弊害を確実に予防し、潜脱行為も生じないようなルールが措置され、また、実効性を確保するために適切な検査・監督が行われる体制を整備していくことが、必須であると考える。
 なお、実施時期については、「遅くとも本報告後3年後には」とされているが、諸々の販売体制の整備や弊害防止手続きの確立等のために十分な準備期間を設けるとともに、銀行等に対する厳格な検査等によるモニタリングを通じて、弊害防止措置の実効性を入念に検証したうえで、慎重に見極めていくべきであると考える。


●IASC財団定款見直しで米独協会と共同意見書提出(04年2月12日)
 2月11日、国際会計基準委員会財団(IASC財団)が公表した「IASC財団・定款の見直しのための論点の識別」に対して意見書を提出。同時に日米欧7つの保険事業団体との共同意見書も提出した。
 IASC財団の定款は、IASC財団と国際会計基準審議会(IASB)の運営手続きを規定するもので、その中に5年ごとに定款を見直すという規定が設けられている。見直しは定款発効(2001年)の3年後に開始されると定められている(2006年2月6日が、IASC財団設立から5年にあたる)。評議会(Trustees)は、定款見直しの手続きを推進するため、Paul A Volcker氏を議長とする定款委員会(Constitution Committee)を設立した。定款委員会は、第一段階として論点と考えられる点をまとめた文書「国際会計基準委員会財団 定款の見直しのための論点の識別」を公表し、コメントを募集した。定款委員会からの質問として提示されている論点は、評議員の構成(人数、地域的配分、職歴)、評議会の義務、定款見直しの期間、IASB理事の構成(人数、職歴等)、リエゾン関係、IASBのデュー・プロセス、基準諮問会議(SAC)の構成など。
 生保協会はIASBが検討を進めている保険プロジェクトに関して、公開草案「保険契約」に対する意見書等を通じて、検討内容だけでなくデュー・プロセスについても問題指摘を行ってきた。今回の定款見直しの公表文書は、デュー・プロセスなど今後の保険会計の審議に大いに関連があると思われることが含まれることから、生保協会としてコメントを提出したもの。
<意見の概要>
(1)総論: IASBは関係者の合意形成を目指し、議事の透明性、公正・公平性を確保し、慎重な審議を行うべきであるとの観点から、提言を行う。
(2)各論
  1. IASBフレームワークは絶対不変の原理ではなく、絶えずその適切性を検証され続けられなければならず、改訂手続きを明確化すべき。
  2. IASB、SAC、IFRIC(解釈指針委員会)の義務の遂行状況の「監督」を評議会の義務として明記すべき。
  3. IASB理事は、会計基準設定において公共の利益や会計基準の理解可能性・実施可能性を優先すべき。
  4. 費用対効果の観点から基準の実現可能性を検証するためにフィールドテストを実施すべき。IASBで審議された資料等をIASBのウェブサイトに掲示することなどにより、IASBの議事の透明性を高めるべき。
  5. SACのIASBからの独立性を高めるために、SAC議長はIASB議長と別人とすべき。サンセット・レビューの有効性を高めるために、プロジェクトの当事者以外の者がサンセット・レビューを行うべき。
  6. 英語を母国語としない国々へ配慮すべき。
※なお、共同意見書には、以下の保険事業団体が参加している。 米国生命保険協会(ACLI)、米国再保険協会(RAA)、米国損害保険協会(PCI)、保険相互会社全国協会(NAMIC)、ドイツ保険協会(GDV)、オーストリア保険協会(VVO)


●森田協会長、簡保事業の在り方で意見表明(04年2月3日)
 森田富治郎協会長は3日開催の「公的金融問題フォーラム」(全国銀行協会主催、生命保険協会他共催)」において、簡保事業の在り方で要旨下記の通り意見表明した。  

<簡易保険事業の在り方について>

1、簡保事業の現状認識と郵政公社への移行の評価
 簡保事業は、かつて民間生保が取扱っていなかった小口、無診査、月掛の生命保険を提供するために、民業の補完を趣旨として創設されたものであるが、国による保険金等の支払保証や諸税の納付義務の免除等、民間生保にはない事業特典を背景に、過去10 年間で総資産をほぼ倍増させ、民間生保の総資産(個人保険分野)比で6 割から9 割近い水準まで急拡大し、設立の趣旨を逸脱して肥大化してきた。
 民間生保にはない事業特典及びそれによる肥大化を背景に、簡保事業は以下の問題を生じさせている。
(1)健全な生命保険市場の発展阻害、(2 )効率的な金融市場の形成阻害、(3 )潜在的国民負担の発生
 日本郵政公社においても、数々の事業特典が存置される一方で、「民間的な経営手法の活用」が強調されており、簡保事業の更なる肥大化を招きかねず、問題の深刻化が強く懸念される。
 日本郵政公社の簡保事業は国営事業の枠を超え、民間が担うべき事業領域への進出を企図することのないよう、商品種類の拡充、商品改定等、更なる事業範囲の拡大を凍結することが必要である。
2、簡保事業の今後の在り方についての基本的な考え方
 民間生保が全国あまねく多様な商品・サービスを提供している現在、簡保事業によらないと提供できない商品・サービスは存在しない。
 公共投資のあり方、特殊法人の見直しがなされていく過程において、公的金融の規模縮小が必要となれば、当然、公的金融の調達部門としての簡保の役割も低下する
こととなる。
 簡保事業は既にその役割を終えており、「民間でできることは民間に」との構造改革の基本方針に従うべきであること、また、その存在が健全な生命保険市場の発展の阻害要因となることから、本来的には縮小・廃止すべきである。
 仮に「簡保事業民営化」とする場合は、官業としての特典を全廃するほか、規模等の面を含め民間生保と競争条件を完全に同一化したうえで民営化すべきである。
 競争条件の完全な同一化が図られないなかで民営化がなされ、簡保事業が事業制約なく市場に参入すれば、現状にも増して圧倒的な市場占有率を獲得し独占的な地位を占めることになるのは明らかであり、結果として市場における健全な競争を通じた消費者利益を損なう恐れが極めて強い。
3、簡保事業改革の具体的視点
<簡保事業の縮小・廃止の視点>>
・ 新契約の募集を取り止め、政府保証が継続する既契約の維持管理業務に特化することによって、段階的に縮小、将来的には全面的に廃止することが望ましい。
<「簡保事業民営化」とする場合の視点>>
・ 「簡保事業民営化」とする場合は、三事業の兼営等の「官業としての特典」を全廃し、民間生保に適用されている保険業法等の諸ルールを適用するとともに、顧客基盤、保有資産等の「官業として蓄積した優位性」を排除することが必要である。
・ 具体的には、少なくとも以下の2 つの措置が必要である。
(1 ) 郵政三事業の分離(別法人化)→ 三事業兼営により、他業の及ぼす不測のリスクが簡保事業の健全性に悪影響を及ぼし、保険契約者に損失等が転嫁される恐れや、顧客情報流用の点において契約者保護上の問題が生ずる懸念がある。
(2 ) 既契約・既存資産と新規契約・新規資産の分離(別法人化)→「国家の信用」を背景に募集された既契約については、政府保証が継続されることが適当である一方、民営化後の新契約に係る政府保証は廃止すべきである。仮に、国営事業である簡保事業により集積された既契約・資産を民営化後の簡保が継承すれば、利益・リスクの混入や情報の濫用といった問題を惹起する恐れがある。
・上記2 つの措置が講じられても、民間生保との競争条件の同一化が図られない場合には、さらなる措置を検討することも必要であるが、地域を単位とした分割については、我が国には事業範囲を特定の地域とする保険会社は存在しないことや、顧客利便性等(転居時のサービス維持等)の観点から慎重な検討を行うべきである。
<簡保の縮小・廃止、民営化のいずれを選択する場合においも想定される論点>
▽郵便局ネットワークの活用:簡保や民間生保による郵便局ネットワークの活用については、既に民間生保が全国あまねく消費者ニーズに対応した多様な商品・サービスを提供していることや、そもそも生保商品は来店型の商品ではなく、利便性の根拠は弱いこと等を踏まえつつ、慎重に検討すべきである。
国債市場等への影響:簡保の既存の契約に関し政府保証が継続されれば、大きな資金流出等は起こらないものと思われ、既存資産は段階的に減少していくことから、資産の運用先の大幅な変更がなければ、急激な資金移動による国債市場等への影響は回避できるものと考えられる。
4、おわりに
・今回提言した簡保事業の抜本的見直しの方策は、「官から民へ」の実践による経済活性化の実現や、金融システム・規制改革・財政改革等の構造改革との整合性を確保するという郵政民営化の基本原則にも沿ったものであり、これらの検討に反映されることを期待する。

●10月末生保事業概況:収保1.1%増(03年12月24日)
 生保41社の10月末保険成績は、個人保険の新契約高は12.4%減の59兆2464億円、保有契約高kは4.4%減の1173兆3205億円、個人年金保険の新契約高は87.1%増の2兆5785億円、保有契約高は0.1%増の68兆3818億円。収支状況では、収入保険料は1.1%増収で14兆4335億円、事業費は0.5%減の1兆9298億円。

●株主利益で調査・要望(03年12月19日)
 生保協会は投資家の立場から、株主への利益還元状況等について、毎年、調査を行い、要望を行っている。  
<要望事項と調査結果>
  (1) 配当還元の向上、配当性向の向上
  (2) 業績に応じた配当還元の実施
  (3) 配当政策に関する具体的な数値基準の設定及び公表
  (4) 自己株式の取得、及び消却の推進
  (5) 独立性を意識した社外取締役の登用
  (6) 株主総会日の分散
1 .株主還元について
@配当還元の向上、配当性向の向上:日本企業の配当性向は過去10 年間低下基調にあり、昨年度には24 %と過去10 年間で最低水準となった。配当性向の低下基調は、米国企業と比較した場合でも顕著であり、特に昨年度の配当性向では米国企業を13 ポイントも下回るほどの大幅な格差が生じている。
 配当性向の低下は、純利益の増加を大幅に下回る配当還元状況に止まった結果である。これは企業自身の硬直的な配当還元政策に起因するものと考えられ、実際、企業の74.8%が「安定配当」を志向している。一方、配当の代替としてなされた内部留保に関しても、これまでの日本企業の低水準なROE を見る限り、内部留保資金の再投資が新たな株主価値を創出してきたとは言い難い状況にある。
 日本企業は、こうした状況に加え、多くの投資家が日本企業の配当水準にあまり満足していない事実、並びに日本に比べ高い成長が見込める米国よりも低配当性向に止まる現状を考慮し、既存の配当還元姿勢を再考する必要があろう。
 当協会では、日本企業が更なる配当還元の向上を図り、より一層投資魅力ある企業に変革することに期待する。現状、日本企業の今期予想配当性向が22%程度であることを踏まえれば、欧米との比較感からも、まずは日本企業の配当性向について、30%台への向上が図られることに期待したい。
A業績に応じた配当還元の実施:企業の74.8%が安定配当を志向する中、投資家の70.6%は業績に応じた配当を望んでおり、企業と投資家で配当支払スタイルに対する志向に格差が生じている。
 企業が株主重視の経営を実践するためには、株主との一層のコミュニケーションを通じ、より多くの投資家の要望に対応するような配当政策を構築することが重要である。当協会としても、株主重視の経営に資するべく、企業に業績に応じた配当還元の実施を要望する。
B配当政策に関する具体的な数値基準の設定及び公表:配当政策は、将来の業績と配当の対応関係を示す重要な財務方針であり、投資家が企業の投資判断を行う上でも不可欠な情報である。
 しかしながら、配当に関する具体的な数値基準を設定している企業は26.2%に止まっている。さらに時価総額上位1,200 社中、決算短信又は有価証券報告書で配当に関する数値基準を公表している企業は78 社(6.5%)に止まり、このうち、「配当性向30%以上」を明確な基準として掲げる企業は47 社(3.9%)にすぎない(当協会調べ)。当協会では、株主の利益に最も貢献する形で配当政策を構築することが、株主重視の経営の上で重要と考えている。そのため、企業に対し、配当に関する数値基準の設定及び公表を要望する。
C自己株式の取得、及び消却の推進:自社株消却は、配当還元と並びうる重要な株主還元の手段である。昨年度は、金庫株解禁や株式相場の低迷の影響もあり、急速に自己株式の取得が増加した。ただ一方で、金庫株を保有する企業のうち消却を予定している企業は1.8%に止まっている。未消却の自己株式は、再び市場に放出される可能性も残り、投資家にとっては企業の金庫株の活用が従来同様の株主還元なのか、それとも単に企業の利便性が優先されたものか、その意図が捉え難くなっている。
 投資家向けアンケートでも、65.6%の投資家が自己株式株取得の目的・メリットとして「消却を通じた余剰資金の株主への還元」を挙げ、企業に株主還元目的での自己株式取得を期待している。
以上の結果を踏まえ、当協会では自己株式の取得、消却の推進を引き続き要望すると共に、本来の目的である株主還元を企図した自社株取得であるならば、早期に消却まで実施し投資家に株主還元の意思を伝達することを期待する。また、自己株式の取得には、制度的な問題点も見られる。自己株式取得の更なる定着に向け、法制度面で改善すべき点について企業に質問したところ、45.9%の企業が「相場操縦・インサイダー取引に該当しないための要件の緩和」を挙げた。当協会では、企業の柔軟な自社株取得が可能となるよう、自社株取得に際してのインサイダー取引規制の位置付けの明確化をはじめとする諸規定の整備に期待する。
                                  
●ベストエッセイ決まる(03年12月8日)
  「生命保険と私」エッセイ募集10回目を記念して、10月8日(水)から11月30日(日)にわたり実施した「マイベストエッセイコンテスト」の投票の結果、最多得票作品は、4,587票を集めた第8回(平成13年度)最優秀賞の『母に言えなかった言葉』に決まった。
 <第8回(平成13年度)最優秀賞>
 大阪府大沢美里さん(22歳)の作品『母に言えなかった言葉』  
 <投票者のコメント>
・ とても切なくなりました。涙がでました。いないけれど、母親の存在はいつもすぐそばにあった。そんな感じがとても伝わってきました。
・ 人間いつ何があるかわからないものです。自分の子どもに深い愛情があるからこそ、いつ何が起こってもよいように備えていたのですね。母の愛に感動しました。たとえそのとき言えなかった言葉もそんなお母さんならきっと届いていると思います。

●上半期業績:保険料収入1.5%増(03年12月5日)
 保険成績は、個人保険の新契約高は前年同期比12.1%減の53兆1804億円、保有契約高は4.4%減の1179兆8894億円。個人年金の新契約高は98.1%増の2兆2063億円、保有契約高は0.2%減の68兆2962億円。団体保険の新契約高は31.5%減の5134億円、保有契約高は3%減の390兆3702億円。団体年金の新契約高は169.1%増の201億円、保有契約高は3%減の390兆3702億円。収支面では、経常収益は3.8%減の17兆5189億円で、うち保険料等収入が1.3%増の12兆7293億円(うち保険料1.5%増の12兆6028億円)、資産運用収益が24.5%増の3兆1633億円などとなり、経常収支残高は147.9%増の6984億円。半期収支残高は109.3%増の4478億円。

●森田生保協会長が簡保新商品認可で「憤り」表明(03年11月14日)
 森田富治郎協会長は14日、簡保新商品の認可に対して発売見送りを要望するコメントを発表。

<コメント要旨>
  14日の郵政行政審議会貯金・保険サービス部会において、9月17日に日本郵政公社が認可申請を行った終身保険の見直しを含む商品改定が諮問され、即日総務大臣による認可が行われた。
  当会では、認可申請が行われた9月17日、終身保険の新商品について、民間生命保険会社の多くが主力商品としている定期保険特約付終身保険等と直接競合する商品であり、民間生命保険会社の経営に重大な影響を及ぼしかねないため、断固反対である旨の意見を表明した。 その後、国内では有識者や報道機関から疑問を呈する意見が多数出されるとともに、米国・欧州の政府機関・業界団体等、海外からも反対の声があがっている。
  今回、これら多くの反対意見があるにもかかわらず、新商品が生命保険市場へ及ぼす影響、ならびに経済財政諮問会議において郵政事業の民営化等について本格的な議論が開始されようとしている状況が考慮されないまま、新商品の認可が行われたことについては強い憤りを禁じ得ない。
  日本郵政公社が、過去10年来の急激な肥大化を省みないまま、更なる肥大化を招く商品拡充を図ることは誠に遺憾である。日本郵政公社に対しては、今回の新商品についての多くの反対意見、および郵政民営化議論が進展しつつあるという状況をふまえ、新商品の発売を見合わせるという見識ある判断を行うよう強く要請する。
  そもそも、日本郵政公社の簡易保険事業は、民間が担うべき事業領域への進出を企図することのないよう、商品の拡充を凍結し加入限度額を引き下げる等の措置を講じ、規模の縮小を図るべきである。
  さらに、当会が従前から主張しているとおり、簡易保険は本来的には縮小・廃止すべきであり、仮に民営化する場合には、民間生命保険会社との競争条件を同一化した上での民営化が必要であると考える。
 
●日米欧保険事業者がIASBに共同意見書提出(03年11月4日)
 生保協会は10月31日、米国生命保険協会(ACLI)、ドイツ保険協会(GDV)、オーストリア保険協会(VVO)、保険相互会社全国協会(NAMIC)、独立保険者全国協会(NAII)および米国再保険協会(RAA)と共同で、国際会計基準審議会(IASB)が公表した国際会計基準の公開草案「保険契約」に対して意見書を提出。
 既報の通り、公開草案は保険契約を他の金融商品と同列に扱い、本来の保険業の特性を考慮しない取扱いを求めており、また、現段階では測定方法が存在しない公正価値の開示を2006年から要求するなど、問題の多い内容となっていることから、日米欧の7つの保険事業者団体は、IASBと保険業界との意見交換の機会を促すとともに、公開草案の内容の変更を求めていくため、各国の懸念事項を集約して共同で意見書を提出することとしたもの。

●保険負債の特性等でIASBに意見書提出(03年10月31日)
 10月31日、国際会計基準審議会(IASB)が公表した国際会計基準の公開草案「保険契約」に対して意見書を提出。
 IASBは現在、保険プロジェクトにおいて保険の国際会計基準の策定に向け検討を行っており、7月31日に「保険契約」に関する最初の公開草案を公表した。今回公表されたのは、2005年1月から欧州において保険会社を含む上場企業の連結財務諸表に国際財務報告基準(IFRS)が強制適用されるが、これに対応する暫定的な基準で「フェーズT」と呼ばれるもの。 この「フェーズT公開草案」は、保険契約の認識と測定について、原則として現状の会計基準の適用を認めつつ、開示においてより詳細な情報提供を求めるものとなっている。恒久的な基準であるフェーズUを完成する際にその内容を逆転させる必要が生じるかもしれないような重要な変更をせずに、保険会計の限定的な改善を行うことがフェーズTのねらいとされている。
  保険業は、保険群団形成によりリスクを分散し、長期にわたるリスクの引受を行うというサービスを提供する事業活動であり、保険会計に基づく財務諸表はこの事業活動を適正に反映するものであるべきだが、IASBは保険契約を一般の金融商品と同列に扱い、こうした保険業の特性を考慮していないとしている。

<公開草案の主なポイントと生保協会の主張要旨>
1. 本会計基準の範囲を保険契約とし、保険会社の金融資産は範囲外
<主張>
・ 保険契約だけを範囲とするのではなく、全体として保険会社の財務状態を適切に表わす保険業の会計とすることを提案する。
・ 保険会社は負債の長期性に対応する資産を保有しており、資産と負債の測定のミスマッチを回避するための方策を検討すべきである。

2. 現行の会計基準の適用を容認する期間を2006年度までに限定
<主張>
・ フェーズUの検討が2006年度までに終了することを前提としているが、フェーズUの方向性に対するコンセンサスは得られていない。フェーズTが適用されている間は現行の会計基準を認めるべきである。

3. 保険負債の公正価値の開示を2006年度から要求
<主張>
・ 活発な二次市場の無い保険契約について、信頼性のある公正価値を算出する方法が存在するのか不明である。このような状況の中で公正価値の開示を要求することは、財務諸表利用者に無用の混乱を引き起こす懸念がある。公正価値の開示には反対する。

●保険料控除拡大署名運動で1108万人が署名(03年10月31日)
  9月29日(月)から10月10日(金)にわたって展開した「生命保険料控除制度拡充のための署名運動」の結果、1108万名にのぼる賛同の署名が集まった。生保協会は、この署名結果を税制関係方面に提出し、税制要望の実現を訴える。

<保険料控除拡充への署名運動の結果>
1. 署名総数:11,086,417名
2. 要望内容
(1) 所得税法および地方税法上の生命保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること
(2) 所得税法および地方税法上の個人年金保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること

<生保協会長のコメント>
 「生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度拡充のための署名運動」を実施した結果、全国で1108万6417名もの署名と支持をいただいた。現在、持続可能な社会保障制度の確立に向けて検討が進められているが、国民が安心できる生活保障を確保するためには「公私両輪による生活保障」という理念をより明確にし、私的保障をさらに充実させていくことが必要だ。
 相互扶助に基づく生命保険は、遺族保障・医療保障・介護保障・老後保障等の多様な生活保障手段を提供しており、自助努力により国民に必要な生活保障を支える私的保障の中心として極めて大きな役割を果たしている。生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度は、こうした国民の自助努力を税制面から支援するための制度であり、今後、その果たすべき役割がさらに拡大することは確実だ。生保協会は、この1,108万名の声に応えるべく、生命保険料控除制度および個人年金保険料控除制度拡充の実現に向けた要望を行っていきたい。


●適正表示ガイドラインを策定(03年10月29日)
 公正取引委員会による広告表示等についての改善指摘を受けた生命保険協会では、この度、会員各社が生命保険商品の広告表示等を適正に行うための自主ガイドラインとして、「生命保険商品に関する適正表示ガイドライン」を策定した。会員会社への参考用で拘束力はない。

<ガイドラインの内容>
1 ガイドライン策定の目的
 募集用の資料等について、表示媒体や商品の特性に応じた適正な表示を確保し、とくに一般消費者に著しく優良・有利であるとの誤認を与えることを防ぐために、本ガイドラインを策定する。

2 ガイドラインの対象
 広告を含む募集用の資料等。
 ▽商品名や会社名のみを訴求する広告など、具体的な商品内容に触れないものについては、ガイドラインの対象とはしない。

3 必要表示事項

 ア 保障内容(特約を含む)の優良性を表示する場合の必要表示事項(※一般消費者に著しく優良であるとの誤認を与えないよう、保障内容の優良性と不離一体の関係にある制限条件等について、表示媒体の特性に応じて分かりやすく表示されているか留意する)
 (1)給付事由の全部または一部について、契約後一定の不担保期間がある場合は、その旨が明瞭に表示されているか留意する。
 ▽契約後に不担保期間がある場合には、「契約後○○日間は不担保期間である」などと明瞭に表示すること。
 (2)保険金(給付金)額等が被保険者の年齢、契約後の年数、入院日数、対象疾病等の条件により減額または消滅する場合は、その旨が明瞭に表示されているか留意する。
 ▽入院時から一定期間のみ入院給付金額が倍額となる商品について、日数の制限なく入院給付金が倍額支払われるとの誤認を与えないよう、「倍額保障期間は○○日間である」などと明瞭に表示すること。
 ▽病気による入院等の保障期間が終身である一方、けがによる入院等の保障期問は一定年齢までとなっている商品について、病気による入院等の保障期間が終身(一生涯)であることを表示する時は、「けがによる入院等の保障は○○歳までである」などと明瞭に表示すること。
 (3)保険金(給付金)等の給付(保険料払い込み免除)事由について表示する場合は、以下の点に留意する。
 @保険金(給付金)等が給付されるための要件について分かりやすく表示されているか。また、必要に応じて支払い対象とならない場合について表示されているか。
 ▽給付内容が多岐にわたる商品(※ 例えば、三大疾病保険、がん保険、重度慢性疾患保険等〈特約を含む〉)については、すべての制限条件を網羅的に表示することによりかえって分かりにくい表示とならないよう、全体として一般消費者に著しく優良との誤認を与えない範囲で、制限条件のうち主なものを例示し、その他の制限条件については契約のしおり・約款、あるいはパンフレットまたは設計書等で確認してもらう旨を表示することも可能とする。
 ▽三大疾病保険等において、皮膚がん・上皮内がんを支払い対象外としている場合は、その旨を明瞭に表示すること。
 ▽がん保険等において、約款に定める状態になった後○日目からがん入院給付金を支払うことになっている場合、「○日目から」を表示する時は、がん入院給付金の支払いは約款に定める状態になった後○日目からであり約款に定める状態になる前の入院は支払い対象外である旨を、明瞭に表示すること。
 A給付事由に被保険者がその状態に該当している期間等の条件がある場合は、その条件について表示されているか。
 ▽給付事由における「急性心筋梗塞」について、「急性心筋梗塞を発病し、初めて医師の診療を受けた日から起算して○○日以上労働の制限を必要とする状態が継続したと医師によって診断された場合」としている時は、その旨を明瞭に表示すること。
 ▽給付事由における「脳卒中」について、「脳卒中を発病し、初めて医師の診療を受けた日から○○日以上言語障害等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断された場合」としている時は、その旨を明瞭に表示すること。
 ▽給付事由における「要介護状態」について、「要介護状態に該当し、その状態が○○日以上継続している場合」としている時は、その旨を明瞭に表示すること。
 ▽保険料払い込み免除を行う場合の免除条件を表示し、その免除条件に制限条件がある場合は、前記と同様の取り扱いとする。
 イ 保険料を表示する場合の必要表示事項(※ 一般消費者に著しく有利との誤認を与えないよう、保険料の適用条件等について、表示媒体の特性に応じて分かりやすく表示されているか留意する)
 (1)個別のモデルケースなどに基づく支払い保険料を表示する場合、次の項目について表示されているか留意する。
 @保険名称
 A契約年齢・性別
 B保険料を表示したモデルケースの保険期間
 C保険料を表示したモデルケースの保険料払い込み期間
 D保険料払い込み方法(月払・半年払・年払・一時払等)と払い込み経路
 E主な給付事由
 F主な給付事由による保険金額・給付金額等
 ▽特約を付加したモデルケースの保険料を表示する場合は、主な特約の内容について、前記と同様の表示を行うこと。ただし、主契約と同一の項目については表示の省略を行うことも可能とする。
 (2)保険料の表示に当たり、特定加入条件の下で適用される保険料を用いてその安さや有利性を表示する場合には、実際の保険料よりも著しく安いとの誤認を与える表示とならないよう、年齢等の加入条件について明瞭に表示されているか留意する。
 ▽特定の年齢層に適用される保険料をあたかも被保険者の年齢にかかわらず一般的に適用される保険料であるかのように表示することにより、実際の保険料よりも著しく安いとの誤認を与える表示とならないこと。このために、その保険料が特定の年齢層に係るものであることや、年齢によって異なることを明瞭に表示するとともに、主たる顧客層・契約条件を前提とした保険料例を併せて表示すること。
 ▽特定の健康状態にあるものに適用される保険料をあたかも被保険者の健康状態にかかわらず一般的に適用される保険料であるかのように表示することにより、実際の保険料よりも著しく安いとの誤認を与える表示とならないこと。
 ▽被保険者の健康状態等により、保険料を割り引く仕組み(優良体割引)の保険の場合は、優良体の定義が一般消費者に理解できるように表示すること。
 (3)払い込み保険料還付(割引)比率について表示する場合、その還付(割引)比率が契約年齢・保険金額等により異なる時は、その旨が明瞭に表示されているか留意する。
 ▽特定の年齢層・保険金額に適用される払い込み保険科還付(割引)比率を表示する場合、あたかも他の年齢層・保険金額においても同水準の比率で還付(割引)されるとの誤認を与えないよう、その還付(割引)比率が特定年齢層・保険金額に係るものであることや、年齢層・保険金額によって異なることを明瞭に表示すること。

 4 加入条件の優良性を示する場合の留意点
 保険の加入条件に関する優良性を表示する場合、その表示が客観的事実に基づくものとなっているか留意する。
 ▽加入に当たって一定の制限がある商品について、加入条件の優良性を表示する場合には、だれもが無条件で加入できるとの誤認を与えないよう、制限条件を明瞭に表示すること。
 ▽制限条件が多岐にわたる商品については、すべての制限条件を網羅的に表示することによりかえって分かりにくい表示とならないよう、全体として一般消費者に著しく優良との誤認を与えない範囲で、制限条件のうち主なものを例示し、その他の制限条件については契約のしおり・約款、あるいはパンフレットまたは設計書等で確認してもらう旨を表示することも可能とする。

 5 特定用語の使用基準

 (1)業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語を使用する際には、その主張する内容が客観的に実証されているか留意する。
 ▽「最高」「最低」「最良」「最大」「最小」「日本一」「第一位」「ナンバーワン」など。
 (2)唯一性を直接に意味する用語を使用する際には、その主張する内容が客観的に実証されているか留意する。
 ▽「当社だけ」「業界初」「他にはない」など。

 6 表示基準
 (1)本ガイドラインに規定する必要表示事項を表示する場合は、一般消費者に対して可能な限り平易な言葉で分かりやすく、かつ正確な情報が明瞭に表示されているか留意する。
 ▽次に掲げる場合には、本ガイドラインに規定する必要表示事項を表示しているものとみなすことも可能とする。
 ・インターネット上のホームページにおいて、保険料等を表示したページから必要表示事項を表示したページへのリンクボタンを分かりやすく設けており、それをもって確認してもらう旨を表示する場合
 ▽必要表示事項については、日本工業規格Z8305(1962)に規定する8ポイント以上の活字で表示すること。なお、8ポイント未満の活字で表示する場合には、表示場所・表示態様(レイアウトや色づけ・8ポイント以上の活字での注意喚起文言の付記等)に留意し、極力、明瞭に表示すること。
 (2)保障内容の優良性を表示する際には、本ガイドラインに規定する必要表示事項が、同一紙面上かつ優良性の表示の極力近くに明瞭に表示されているか留意する。
 ▽必要表示事項を優良性の表示の極力近くに表示することが物理的に困難な場合には、加入や保険金等の支払いには所定の制限がある旨、詳しくは必要表示事項を表示した同一資料の裏面・別頁を参照してもらいたい旨を、優良性の表示の極力近くに明瞭に表示すること。全体として一般消費者に著しく優良との誤認を与えない範囲で、制限条件のうち主なものを例示し、その他の制限条件については契約のしおり・約款、あるいはパンフレットまたは設計書等を参照してもらいたい旨を表示することも可能とする。
 ▽放送媒体等において優良性を表示する場合は、その表示を行っている間、必要表示事項を併せて表示すること。必要表示事項を表示しない場合には、加入や保険金等の支払いには所定の制限がある旨、詳しくは契約のしおり・約款、あるいはパンフレットまたは設計書等を参照してもらいたい旨を明瞭に表示すること。


●生保業績8月末:個人保険保有4.3%減に(03年10月21日)
 個人保険の新規契約件数は対前年同期比2.6%減の550万件、新契約高は11.8%減の44兆6698億円、保有契約件数は0.6%減の1億976万件、保有契約高は4.3%減の1184兆5709億円と純減続く。全種目収入保険料は0.3%減の10兆2362億円。

●「マイベストエッセイコンテスト」を開催(03年10月8日)
 平成6年度から開催している「生命保険と私」エッセイコンテストは今年で10回目を迎え、10年間で1万9132編の応募があったが、今回、エッセイ募集10回目を記念して「マイベストエッセイコンテスト」を開催。第1回から第10回までの最優秀賞10編を対象として一番のお気に入りに投票するもの。投票者の中から抽選で100名にクオカード(1000円相当)をプレゼントする。

《第1回から第10回までのエッセイ最優秀作品》
▽第1回(平成6年度)=「愛情の証?」辰巳雅信
▽第2回(平成7年度)=「誕生祝い」阿部英子
▽第3回(平成8年度)=「結婚」青木朋也
▽第4回(平成9年度)=「早まった父の遺言」福岡信弥
▽第5回(平成10年度)=「生活しはじめた息子」河村文夫
▽第6回(平成11年度)=「給料明細書」高森節子
▽第7回(平成12年度)=「こころ静かに」野村美子
▽第8回(平成13年度)=「母に言えなかった言葉」大沢美里
▽第9回(平成14年度)=「意外なひとこと」長谷川みゆき
▽第10回(平成15年度)=「願いを短冊に」伊藤由美
※上記作品はホームページで閲覧可能(http://www.seiho.or.jp

《投票要領》
▽商品=抽選で100名にクオカード(1000円相当)
▽投票資格=不問(1人1票まで)
▽投票方法
 ・インターネット=生保協会ホームページ(http://www.seiho.or.jp
 ・郵送・FAX=1番好きなエッセイのタイト、郵便番号、住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号を明記し投票(郵送先…郵便番号100-0005 東京都千代田区丸の内3-4-1
生命保険協会 「生命保険と私」エッセイ事務局係、FAX…03-3286-2730)。
▽投票期間=03年10月8日〜11発30日
▽発表=投票結果は12月上旬に生保協会ホームページで。クオカード当選者の発表は、発送をもって代える。
▽問い合わせ=生保協会「生命保険とわたし」エッセイ事務局(電話03-3286-2645)


●第10回エッセイコンテスト受賞作品決定(03年10月8日)
 毎年11月「生命保険の月」キャンペーンの一環として公募していた、「生命保険と私」をテーマとしたエッセイの受賞・入選作品16編を決定。「生命保険と私」エッセイコンテストは平成6年度から開催しているが、第10回目となる今年の応募総数は1602編。  

《 受賞・入選者》             
[最優秀賞]
▽「願いを短冊に」(伊藤由美、東京都・35歳・会社員)
[優秀賞]
▽「奇妙な絆」(藤紫、埼玉県・45歳・会社員)
▽「夫婦の会話」(川島誠一、東京都・31歳・会社員)
▽「結婚しよな」(平林れい子、東京都・28歳・主婦)
▽「伝えていますよ、僕らの『思い』」(山根英樹、神奈川県・61歳・無職)
▽「花束をかかえたひと」(源陽子、和歌山県・48歳・主婦)
[入選]
▽「安心してね」(金子直弘、埼玉県・28歳・自営業)ほか9編


●保険料控除拡充で署名運動(03年9月19日)
  生命保険料控除制度の拡充要望の実現のために、「国民のより一層の安心と活力をもたらす社会をめざして」というスロ−ガンのもと、9月29日(月)から10月10日(金)まで、全国生命保険労働組合連合会(生保労連)と共催で署名運動を実施。10月2日(木)には東京都にて街頭署名運動も実施する。

●平成16年度の税制改正要望(03年9月19日)
  9月19日、財務大臣をはじめ関係各方面に対し、平成16年度税制改正に関する要望書を提出。

<重点要望項目>
(1)国民の自助努力による私的保障の充実を支援するため、相互扶助の原理に基づく生命保険について、生命保険料の所得控除限度額を引き上げること− 所得税法および地方税法上の生命保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第1項)(地方税法第34条第1項第5号、第314条の2第1項第5号)
(2)国民の自助努力による老後保障の充実を支援するため、相互扶助の原理に基づく個人年金保険について、個人年金保険料の所得控除限度額を引き上げること− 所得税法および地方税法上の個人年金保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第2項)(地方税法第34条第1項第5号の2、第314条の2第1項第5号の2)
(3)遺族の生活資金を確保するため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること(相続税法第12条第1項第5号)
<準重点要望項目>
 公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度、適格退職年金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること(法人税法第8条、第84号)
<要望項目>
(1)企業年金保険関係:確定拠出年金保険契約の預け替えや資産移転による保険料について、法人事業税の課税対象から除外すること
(2)資産運用関係:@不動産関連税制の総合的見直しを図ること、A固定資産の減損処理に係る税務取扱いを明確にし、会計基準との整合性を図ること
(3)その他:@欠損金繰越期間の延長と欠損金繰戻還付の実施・繰戻期間を延長すること、A破綻保険会社から承継保険会社・協定銀行が土地等を取得した場合の不動産取得税・特別土地保有税の非課税措置を恒久化すること、B生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること

●「生保知っ得ガイド」を無料で提供(03年9月10日)
  生命保険の基本的なしくみ、契約時の留意事項、問い合せの多い生命保険商品などについて解説した冊子「生命保険知っ得ガイド」(A4版40ページ)を作成。 「生命保険知っ得ガイド」は、各地の消費生活センター(約480ヵ所)などに提供するとともに、一般消費者に無料で提供する。
   
<申込方法>
1. オンライン資料請求:協会HPで申し込む。
2. ハガキ、FAX:郵便番号、住所、氏名、年齢、電話・FAX番号、希望資料名を明記のうえ、下記まで送付する。
3. 電話:下記の電話で申し込む。
<申込先>
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-4-1 (社)生命保険協会広報部
TEL 03-3286-2645(電話による受付時間:平日AM 9:00〜PM 5:00) FAX 03-3286-2730

●平成14年度生保事業概況まとまる(03年8月1日)
 契約状況は、個人保険は新契約件数が前年度比2%減の1383万件、新契約高は3.8%減の120兆7124億3700万円、保有契約件数は0.6%減の1億1017万件、保有契約高は3.6%減の1210兆2459億5700万円。個人年金の新契約高は78.4%増の3兆4081億円、保有契約高は1.9%減の68兆2768億6600万円。団体保険の新契約高は14.5%減の14兆1896億500万円、保有契約高は3%減の396兆6588億8400万円。団体年金の新契約高は53.8%減の107億8600万円、保有契約高は7.5%減の37兆3600億700万円。個人保険の純増加高は45兆3772億3300万円の純減。
 収支状況は、保険料収入は2.4%減の25兆5118億2700万円、資産運用収益は1.6%減の5兆6440億5300万円、経常利益は17.4%減の5218億円。一般勘定運用利回りは1.15%。


●HPに予定利率引き下げでQ&A掲載(03年7月24日)
 ホームページ(http://www.seiho.or.jp/)上に「Q&A:保険業法の改正について(既契約の予定利率の引き下げ手続き)」を掲載。18日成立した改正保険業法について消費者から高い関心が寄せられていることから、その理解をサポートするため、基本的事項の解説をしたもの。
 @予定利率とは何ですか。A既契約の予定利率の引き下げを可能とする法律が成立しましたが、どのような内容ですか。B生命保険会社は、逆ざやによりどのような影響を受けているのですか。C生命保険会社が一斉に申請するということはないのですか。D金融庁によって強制的に予定利率を引き下げられることはないのですか。 E仮に予定利率の引き下げを申請する会社がある場合、引き下げの対象となる契約の範囲はどのようになるのですか(当該会社の契約は、全て予定利率を引下げられるのですか)。F予定利率を引き下げると、保険契約にはどのような影響があるのですか。G予定利率の引き下げが行われた場合、加入当初に遡って予定利率の引き下げが行われるのですか。H今回の法律改正を受けて、今のうちに既存の契約を解約した方がいいのでしょうか。I予定利率の引き下げが行われた場合、解約はできなくなるのですか。また、解約返戻金は削減されるのですか。J契約条件の変更に反対の保険契約者の保険契約についても条件変更されるのですか。K契約条件の変更は、更生特例法(破綻)による契約条件の変更と、どこが違うのですか(保険契約者にとって有利なのですか)−−の12の設問で「保険業法の改正について(既契約の予定利率の引き下げ手続き)」の基本事項を解説。


●「生保の役割と税制支援」で意見書(03年7月18日)
 経済財政諮問会議、政府税制調査会等における社会保障制度と税制の議論を踏まえて、国民の自律・自助の精神に基づく私的保障の充実を支援する税制である生命保険料控除制度、遺族の生活保障を支える死亡保険金の相続税非課税措置に関する意見書「国民の安心を支える生命保険の役割と税制支援について」をまとめた。 
《意見書のポイント》
▽社会保障制度改革と生命保険の役割
 ・少子・高齢化が進む中、持続可能な社会保障制度を改革・再構築し、国民が安心できる生活保障を確保するためには、「公私両輪による生活保障」との理念をより明確にして、私的保障をさらに充実させる必要があると考える。
 ・私的保障である生命保険は遺族、医療、介護、老後の各保障分野において国民の生活保障を充実させ、社会保障制度を補完する役割を果たしてきており、今後その役割は益々重要になると考える。
 ・生命保険は預貯金等の金融商品とは異なる相互扶助の仕組みで成り立っており、効率的に保障を準備することができる。 
▽生命保険料控除制度等の意義
 ・生命保険料控除制度、個人年金保険料控除制度は、社会保障制度の見直しに伴い私的保障の充実がますます重要となる中、生命保険への加入や継続を支援する税制である。
 ・また、死亡保険金の相続税非課税措置は遺族の生活保障を支える重要な役割を担っている。
 ・生命保険料控除制度等の拡充は国民に「公私両輪による生活保障」との理念を伝えるメッセージとなり、国民の安心感を生み出し、経済活性化につながると考える。


●森田新協会長が所信(03年7月18日)
 森田富治郎新協会長(第一生命社長)は簡保事業・税制要望について要旨次の所信を述べた。
〈公正な競争市場の整備〉
 同じ生命保険市場を事業基盤とする簡易保険事業は、国家保証や納税義務の免除などの事業特典を背景に肥大化を続け、その結果、総資産は個人保険分野における民間生保全体の9割近くにまで達し、民業を圧迫するとともに公平・公正な市場原理に基づく生命保険市場の健全な発展を阻害している。また、金融市場においても、公的部門への過剰な資金供給が日本経済の本来あるべき資金フローを歪め、効率的な市場の形成を阻害していると考える。さらに、国家保証や納税義務免除といった簡保の事業特典に伴う潜在的な費用は、国民全体が負担しており、簡保加入者と非加入者との間で、受益と負担に不均衡が生じていると言える。
 平成15年4月に日本郵政公社が発足し、簡易保険事業は、他の郵政事業とともに、日本郵政公社に移行した。しかし公社化後も、事業特典が存置される一方、「民間的な経営手法の活用」が強調されることにより、更なる肥大化、民業の圧迫を招きかねず、簡易保険事業の抱える問題が今後一段と深刻化する恐れがある。
 したがって、日本郵政公社の簡易保険事業は、民間が担うべき事業領域へ業務範囲を拡大することなく、加入限度額の引き下げによる規模の縮小を図るべきであると考える。また、健全な生命保険市場・金融市場の発展への影響の観点からは、コンプライアンスの徹底や民間生命保険会社と同等の検査・監督体制の整備が図られるべきである。
 さらに、簡易保険事業については、公社化にとどまらず、「本来的には縮小・廃止、仮に民営化する場合には、民間生命保険会社との競争条件を同一化したうえでの民営化」といった抜本的な見直しを行う必要性があると考える。
 〈生命保険事業の社会的役割の一層の発揮〉
 生命保険協会が昨年実施した100万人アンケートでは、遺族保障、医療保障、介護保障、老後保障などの私的保障手段として、86%が生命保険を挙げており、圧倒的な支持を受けている。また、自助努力による私的保障の充実に当たり、生命保険料控除制度の維持・拡充を望む声が95%に達しており、改めて国民各層の強い要望が確認されている。
 しかしながら、生命保険料の所得控除限度額は昭和49年度改正以降据え置かれ、個人年金保険料の所得控除限度額についても平成2年度改正以降不変という状況である。これらを踏まえ、平成16年度税制改正要望において、生命保険料・個人年金保険料の所得控除限度額の引き上げを強く要望していく。
 また、死亡保険金の相続税非課税措置についても、遺族の安定した生活のために支払われる私的保障給付という性質に鑑み、より一層の拡充を要望する。


●生命保険のエッセイ募集(03年5月28日)
 第10回「生命保険と私」 エッセイ募集を開始。 生命保険について、あらためて見つめ直してもらうことを目的にしたエッセイ(400字から600字まで)を募集。毎年11月の「生命保険の月」に向けたキャンペーンの一環として実施するもの。
 
<応募要項>(応募作品は未発表のもの。著作権・所有権は同協会に帰属)
▽募集期間:平成15年6月1日(日)から8月16日(土)(当日消印有効)まで。
▽応募方法:400字詰め原稿用紙またはワープロなどを使用して、400字以上600字以内にエッセイをまとめ、テーマの「生命保険と私」とは別に、オリジナルタイトルをつける。 郵便番号・住所・氏名(フリガナ)・年齢・職業・電話番号を明記のうえ、下記まで送付する。
▽応募資格:応募時または審査時に生保会社に勤務している者(代理店を含む)は、応募できない。その他、年齢・職業・性別などについての制限はない。
<送付先> 〒100−0005 東京都千代田区丸の内3−4−1 生命保険協会「生命保険と私」エッセイ事務局
※Eメールでの応募を受け付ける。作品は電子メールにファイル(テキスト、一太郎、MS-WORD)を添付する。1行20文字とし、行末ごとに改行をいれる。E-mailアドレス: essay@seiho.or.jp
▽各賞
・ 最優秀賞(賞金20万円) 1編
・ 優秀賞 (賞金 5万円) 5編
・ 入 選(1万円相当の図書券) 10編
・ その他、抽選により200名の人にクオ(QUO)カードをプレゼント。
▽発表方法: 受賞 ・ 入選者には9月中旬に本人あて通知する。

●生保協会長に森田第一生命社長を内定(03年4月18日)
 18日開催の理事会において、来る7月18日(金)開催予定の第95回通常総会終了後の理事会で、第一生命の森田富治郎社長(現生命保険協会副会長)を会長(41代)に選任することを内定した。

<森田富治郎次期協会長の略歴>
 昭和15年8月16日千葉県出身、昭和39年 3月東京大学法学部卒業。昭和39年 4月第一生命保険相互会社入社、平成 3年 7月取締役運用本部長兼運用企画部長、平成 5年 5月常務取締役、平成 8年 4月代表取締役副社長、平成 9年 4月代表取締役社長。
             

●郵政公社設立への意見(03年4月1日)

 郵貯・簡保問題に関する金融団体中央連絡協議会(生保協会、全共連、全銀協など11団体で構成)は1日、「『日本郵政公社』設立に当たっての私どもの意見」を発表。

  本日、「日本郵政公社」が発足し、郵便貯金事業・簡易保険事業は、郵便事業とともに三事業一体で、その運営主体を、国(郵政事業庁)から国営の公社に移行した。
  私ども民間金融機関は、平成13年11月に「郵政事業の公社化に対する私どもの意見」を取りまとめ、「民間でできるものは民間に委ねる」との行政改革等の基本原則に則り、郵貯・簡保事業の抜本的改革の必要性を訴えてきた。 しかしながら、公社形態に移行しても、なお、国家保証や各種税負担の免除等の「官業ゆえの特典」は温存されたままであり、郵貯・簡保事業がこれまで抱えてきた国民負担や金融資本市場への悪影響といった問題点は解決されていない。加えて、日本郵政公社の事業運営において、「官業ゆえの特典」を有したまま「民間的な経営手法の活用」のみが強調されれば、郵貯・簡保事業のさらなる肥大化を招きかねず、郵貯・簡保事業の抱える問題が、一段と深刻化する怖れもある。
  こうした趣旨から、11金融団体で構成する郵貯・簡保問題に関する金融団体中央連絡協議会は、一日も早い郵貯・簡保事業の抜本的改革が不可欠であると考え、「『日本郵政公社』設立に当たっての私どもの意見」を取りまとめ、本日、公表する。

「日本郵政公社」設立に当たっての私どもの意見
 平成13年11月、私ども民間金融団体は、「郵政事業の公社化に対する私どもの意見」をとりまとめ、郵貯・簡保事業について、@民間金融機関との間の公平・公正な競争条件の確保、A「民業補完」等の目的の設置法への明記と預入限度額・加入限度額の引下げ、B業務範囲の拡大の凍結、の3点を訴えてきた。しかしながら、公社化に際して、私どもの主張はほとんど考慮されず、国家保証や各種税負担の免除等の「官業ゆえの特典」が温存され、郵貯・簡保事業がこれまで抱えてきた国民負担や金融資本市場への悪影響といった問題点は解消されるとは言い難い状況にある。
 このため、日本郵政公社の事業運営は、「官業ゆえの特典」を有したまま、「民間的な経営手法の活用」のみが強調されることにより、郵貯・簡保事業のさらなる肥大化を招きかねない。この場合、日本郵政公社と民間金融機関との競合関係が一層強まるとともに、これまで私どもが指摘してきた郵貯・簡保事業の抱える問題が、一段と深刻化する恐れがある。
 したがって、私どもは、一日も早い郵貯・簡保事業の抜本的改革、すなわち、郵貯・簡保事業の廃止、もしくは民間金融機関との公平・公正な競争を確保したうえでの分割・民営化が不可欠であると考える。私ども民間金融機関は、上記の観点から、日本郵政公社の設立に当たって、下記の通り総意を表明する。
1.「官業としての特典」を有したまま日本郵政公社に移行された郵貯・簡保事業については、「民間でできるものは民間に委ねる」との基本原則に則り、国民経済的観点から、廃止もしくは民間金融機関との間の公平・公正な競争条件を確保したうえでの分割・民営化による抜本的な改革を早急に行うべきである。
1. 公社形態である間は、国営事業の枠を超え、民間が担うべき事業領域への進出を企図することのないよう業務範囲の拡大を凍結するとともに、制度本来の目的に立ち返り、預入限度額および加入限度額を引き下げ、規模の縮小を図るべきである。
1. 政府は、直ちに、公社後の抜本的な郵政事業改革に向けた具体的な改革工程表を策定し、抜本的改革に関する基本方針の策定時期(例えば今後1年以内)を定めたうえで、その基本方針策定のため民間人による第三者機関を設置するべきである。

●横山協会長会見「利下げ議論の収束を」(03年3月20日)
 平横山進一協会長(住友生命社長)は20日の定例会見で要旨次の通り述べた。
――株安と生保各社の決算見通しについて。
 生保決算に関して、フロー収益面では生存給付型商品の販売が拡大していること、解約抑制努力の成果で解約が落ち着いてきていること、徹底したコスト削減を行っていることなどから、基礎利益は逆ざやを埋めたうえで比較的順調な水準を確保できる見通しだ。通常であれば順調な決算となるが、業界全体としてはP/L、B/Sともに株価下落の大きな影響を受けざるを得ない。一方、各社ともリスク削減を進めてきており、ソルベンシーマージン比率については安全基準の200%を相当程度上回る十分な水準を確保できる見通しだ。株価対策が手遅れで打つべき手が打たれていない。株安は生保、銀行にとどまらず、一般企業の収益、税収、企業年金に影響を与え、国民全体に影響を及ぼす。株価対策を政府の最重要課題として取り上げて欲しい。
――利下げ問題について。
 契約者に負担を強いる問題であり、慎重に取り扱われるべきだ。私のスタンスは各社の経営努力で乗り切るべきだと以前から言っている。コスト削減、リスク削減に最大限努め、経営基盤を強化する。私自身は不信感を招くので議論もして欲しくないし反対したが、一旦矢が放たれ世間を騒がせた以上は、きっちり議論を収束し、契約者の視点を強く意識して結論を出さなければならない。


●12月末契約状況まとまる(03年2月25日)
 平成14年4月1日〜平成14年12月末主要契約状況 (全42社合計)を公表。うち個人保険の新契約高は5.5%減、保有契約高は3.7%減に。
(単位:万件、億円、%)

新規契約(4月〜12月) 保有契約(12月末)  純増加金額
件数・被保
険者数
対前 年比 金 額 対前 年比 件数・被保険者数 対前
年比
  金 額 対前
年比
  (4月〜12月)
個人保険 1,027.0 97.5 920,341 94.5 11,026 99.1 12,240,111 96.3 -316,119
個人年金保険 48.9 128.9 22,280 164.8 1,288 97.5 684,364 96.6 -11,565
団体保険 247.9 75.8 95,208 68.3 6,929 98.6 4,005,502 97.3 -84,452
団体年金保険 5.3 32.6 82 44.6 3,950 59.3 380,885 89.9 -23,071

※個人保険および個人年金保険の新規契約件数には転換後契約の件数を含み、新規契約金額には転換による純増加金額を含む。
※同期末の収入保険料は185,983(前年同期比98.5%)   


●国際会計基準審議会に意見書(03年1月22日
 1月21日、国際会計基準審議会(IASB)に対し、保険の国際会計基準に関するこれまでの審議会での検討の進め方の問題点を指摘、保険の国際会計基準の検討にあたっては保険の特徴を踏まえた十分な議論が必要との「IASB保険プロジェクトへの意見書」を提出。

<意見書の概要>
○ 今般の保険会計基準のフェーズT(※)における検討状況については、実質的にはフェーズU(※)で検討すべき内容を仮決定していると考えられ、その進め方には問題点が多い。
○ 測定原則のように保険会計の根幹に関わる部分については、保険の特徴を慎重に検討した上で、十分な議論を尽くし初めて結論を出すべきものである。現段階では、十分な議論がなされておらず、決定を行うことには問題がある。
○ IASB 1 月理事会でフェーズUが検討される予定となっているが、拙速に結論を導くことに反対する。
※ 2005 年EU での国際会計基準導入のために、IASB は保険契約プロジェクトを次の2 つに分けて進めることとした。フェーズT … 2005 年に施行可能な暫定取扱い、フェーズU … 恒久基準

(個別項目)
 1.フェーズTの検討範囲・内容について: 今般の保険会計基準のフェーズTにおける検討状況については、実質的にはフェーズUで検討すべき内容を仮決定していると考えられる。こうした議論は「各国の保険会計を生かし最小限の手当てをする」という、もともとのフェーズTの趣旨を逸脱した検討を行っており問題である。

 2.保険契約の定義とIAS 39 の適用: 保険契約の定義がフェーズTでは決定されない前提であるにもかかわらず、1 0 月理事会で保険契約の定義に関し仮決定がなされた事は、各国の現行実務を尊重するというフェーズTの趣旨を無視しており、問題がある。また、投資契約にIAS 39 を適用することは、フェーズTをより複雑なものとしてしまい、各国現行実務を前提として最低限の手当てを検討するというフェーズTの趣旨に反する。

 3.アンバンドリング(保険契約の保険要素と投資要素への分解): 起草委員会で検討の結果、保険契約の各要素は密接不可分であるとの結論が導かれ、DSOP ではアンバンドリングは否定された。にもかかわらず、アンバンドリングを唐突に認めることは、理解できない。

 4.減損認識テスト: 減損認識についてIAS37 を適用するとの案が提案されているが、その適用には「保険」の特質を十分に吟味する必要がある。

 5.保険負債の長期性とIAS 39: IAS39 の適用に際しては、保険の負債の長期性に対応する資産を保有している保険会社に適用するにあたっての配慮が必要である。

 6.その他: 慎重に検討すべきIFRS での保険契約の定義を仮決定し、その仮定義を前提に保険契約以外の全てについてIFRS を決めていくという進め方には問題があると考える。また、フェーズTの検討と称し、フェーズUの実質的な部分を検討未了のまま仮決定を積み重ねているが、2 度の変更はしないためにその仮決定が本決定とされる懸念があり、問題がある。

●生保協会長が見解「信頼損なう、まず経営努力を」(03年1月17日)
 17日の生保協会定例会見で、横山協会長(住友生命社長)は「前提として、厳しい経営環境は各社が経営努力で乗り切るべき。契約者に負担を強いる予定利率引き下げの制度化は契約者の理解がえられず困難であり、保険会社の信頼を損なう」との見解を示した。協会長コメントは要旨次の通り。

 協会長として予定利率の引き下げを制度化することは極めて難しいと考えている。契約者、国民に理解をしてもらえるという課題がクリアできない限り難しい。生命保険業界に対する信頼が大幅に損なわれると考える。厳しい経営環境ではあるが、これは経営努力で乗り切るべきことである。契約者に負担を強いるという問題であり、軽々に取り扱われるべきではない。生命保険業界の信頼を損ねることのないような配慮が求められる。
 本来、予定利率引き下げの制度化が必要ないかどうかという問題の前に、約束した保険金、年金をきちっと支払うということが本来、保険会社の信頼の根本。保険会社が約束を変えるということであれば、相当のことが前提としてないとおかしい。過去に、戦後にそういう事例(保険料引き上げ)もあったように聞いているが、それによって裁判が起こされ、昭和34年に最高裁の判決が出た。そのときの判決の根拠は、いわゆる保険経済が保険料を引き上げないと大半の保険会社が破綻をしてしまうというようなことが起こった場合には、そういうこともあり得るという判断だったように思う。
 しかし、現在は保険契約者保護機構によるセーフティーネットであるとか、更正特例法の適用であるとか、諸制度が過去に比べれば整備をされてきている。国民、あるいは契約者の権利に対する考え方も大幅に変わっている。そういうなかで、予定利率引き下げをクリアできるほどの根拠が現在あるのかどうか。
 保険会社が経営努力をして、株価の下落にも十分対抗し、乗り切っていく。いろんなリストラ策も講じて乗り切っていく、という経営努力が最初に求められる。それこそ、一般企業で行われてるような債権放棄ということは避けなければならない。経営努力はまだまだやれる余地はあるという決意だ。


●保険金詐取目的の契約無効規定導入(03年1月17日)
 生命保険事業に対する信頼の向上は協会の重点課題の一つであり、昨年7月の協会長所信で表明した「保険制度の健全性確保」の取り組みの一環として、更なるモラル・リスク対策の充実のために協会内に「新規モラルリスク対策検討PT」を立ち上げ、種々検討を行ってきた。 今般、その検討結果として下記の「保険金不法取得目的の保険契約の無効」を約款規定として導入することが、一つの望ましい方策との結論に至った。  
  なお、この検討は生命保険協会会員会社のモラル・リスク対策の参考に資するために行ったものであり、検討結果は会員会社を拘束するものではなく、今後、会員各社が実情に応じて判断の上、約款改定に関する行政手続等を経て実施されることになる。

 <新規定の趣旨>
  「保険金不法取得目的の保険契約の無効」とは、保険契約者が保険金を不法に取得する目的などをもって保険契約を締結したときに、その保険契約を無効とし、受け取った保険料を払い戻さないこととする約款規定。従来、保険会社は不法に保険金を取得する目的でなされた保険契約は、公の秩序または善良の風俗に反するものとして無効を主張してきたが、これを約款規定に明記することにより、不法に保険金を取得する目的を持って契約を締結しようとする契約者を排除する姿勢をより鮮明にすることができる。

●横山進一協会長の年頭所感(要旨)(03年1月6日)
  「明日はきっと明るい」。長い間私達を支えてくれたこの価値観が、今大きく揺らいでいる。2000年時点で5.7人に1人の高齢人口は、2025年には3.5人に1人、2050年には3人に1人以上と、急速に高齢化が進むと同時に、出生率1.33という深刻な少子化によって、総人口は2006年をピークに急速に減少に転じる。こうした未曾有の少子高齢社会の入口に立って、明日への不安を膨らませているのが日本の現状だと思う。「明日への希望」が「明日への不安」に変わってしまったことこそ日本の苦境の根本原因であり、これを解決することが、日本が再び雄々しく立ち上がり、世界経済のフロントランナーとして飛躍していくための条件だと思えてならない。

  政府もこうした状況に対処すべく、公的年金や医療保険等の社会保障制度の改正や、これを支える財政基盤の再建など、急ピッチで構造改革に取り組んでいる。ただ、国の礎を成す制度はそう簡単に変わるものではないだろうし、特に目先の金融再生・デフレ克服といった課題と同時並行で進めざるを得ないだけに事態は混迷を極めている。しかし、私達はこうした現状を前に手をこまねいて、流れに身を任せるわけにはいかない。まずは、業界各社が自分の身は自分で守るという決意と気概で、引き続き経営基盤の強化に力を尽くしていくと共に、業界全体でお客さまの信頼を一層確固たるものにするべく、生命保険制度の健全な発展に努力を重ねることが重要だと思う。

  その上で、私が強く訴えたいのは、明日への不安が高まる時代こそ、生命保険事業への期待が一層大きくなる、もっと言えば、明日への備えを提供することで「不安」を「安心」に、そして「希望」へと変えることこそ、保険本来の機能であるということだ。不安が先立つ現在はもちろん、これからの少子高齢社会という明日の日本を支えていくことこそ、これからの私達の使命であり、これをしっかりと果たし続けることで、生命保険事業は21世紀の成長産業として、大きく発展し続けることができると確信している。

●上半期業績で協会長所感(02年12月20日)
 20日の定例会見で横山会長(住友生命社長)は、生保業界の上半期業績に関し、要旨下記の通り所感を述べた。
 
 保有契約高は減少傾向が続いているが、件数は若干の減少に止まっている。これは死亡保障は減少しているが医療、介護といった生存保障商品が売れていることによるもので、契約者ニーズの変化が表れている。解約・失効は前年同期比14%改善し、とくに解約は20%以上の改善をみている。各社の解約防止への真剣な取り組みの成果だろう。
 資産面では、株価の下落が生保経営に大きな影響を与えているが、各社がリスクの削減、株式の圧縮に取り組んだ結果、下ブレのリスクに対しては比較的強い体質になってきている。支払余力の面でも問題ない水準を確保している。基礎利益についても、事業費削減に向けた各社の経営努力などにより、前年同期とほぼ同水準を確保している。
 全体として、デフレ不況を乗り切るために生保各社が懸命の経営努力をしていることがうかがえる。


●郵政公社の中期経営目標に生保協会長が所見(02年12月20日)
 日本郵政公社の「中期経営目標・中期経営計画」について、20日、 横山進一生命保険協会会長(住友生命社長)は要旨下記の通り意見表明。 

1.簡易保険事業の目的として「民業の補完」を明記すべき:そもそも簡易保険事業は「民業の補完」を目的として創設されたものであるが、国家保証・三事業一体経営・租税負担免除といった官業としての特典を背景に、現在ではその趣旨を大きく逸脱し、民業を圧迫するまでに肥大化している。日本郵政公社への移行後も、こうした官業としての特典が廃止されない以上、「民業の補完」を中期経営目標における「公社の使命」として明記するなど、簡易保険事業の目的を明確にすべきである。

2.肥大化・事業拡大を志向する事業計画は認められない:同様の観点から、中期経営計画のひとつである「事業計画」において、簡易保険事業のこれ以上の肥大化・事業拡大を志向する計画を策定すべきではない。特に商品、業務範囲、料率(予定利率)、加入限度額等の事業の基本的な事項については、現在の範囲内に止めるべきである。また、これら事業の基本的な事項について、政策を立案または変更する場合には、中期経営計画・年度経営計画にその具体的な内容を記載するとともに、我が国の生命保険市場・金融市場の健全な発展および保険契約者の保護に悪影響を及ぼすおそれがないか、金融庁と事前に協議を行うべきである。

3.国民の意見を求める機会を設けるべき:郵政三事業は国民生活に密接に関わる事業であることから、公社の事業の基本的な事項については国民の意見を広く求めたうえで検討を行うことが必要である。にもかかわらず、日本郵政公社法施行令の検討において、このような手続きが取られなかったことは大きな問題であると考える。従って、日本郵政公社法施行規則・中期経営目標・中期経営計画・年度経営計画等の策定にあたっては、関係者をはじめ広く国民の意見を求める機会を設けるべきである。


●企業の株式価値向上調査結果を発表(02年12月20日)
  生命保険協会は投資家の立場から、株式価値向上に向けた企業の取り組み状況等について、毎年、調査を行い、発表・要望を行っている。 今年度は、上場・店頭株式時価総額上位企業1,200社、および機関投資家173社に対してアンケート調査を実施した結果、@ 企業はROE(株主資本利益率)の重要性を強く認識しているものの、その取組み姿勢は十分とはいえない、A コーポレートガバナンスに関する取組みが不十分、B IR・ディスクロージャーに対する企業の意識は高まっているものの、投資家は現状のIR活動に十分満足していないといった実態が判明した。  
  協会は引き続き、企業に対し、@ROEの向上(ROE目標の早期設定・公表、自社株消却への積極的取り組み)、Aコーポレートガバナンスの強化(委員会等設置会社形態等の導入、ストックオプションの導入、株主総会開催日の分散)、BIR・ディスクロージャーの向上(IR専門部署の設置、IR水準の改善、インターネットの活用)を要望。(調査内容は「生保各社最新情報」の生保協会HPに掲載)                      

●「生保種類一覧」を無料提供(02年12月20日)
  平成14年度版『生命保険の種類のご案内』ファイルおよび冊子『生命保険種類一覧』を作成。これらの資料は、多様化している生命保険の中から、それぞれ家庭のライフサイクルに最も適した保険商品を選択するための一助として作成しているもの。 生命保険協会では、この『生命保険の種類のご案内』ファイルを自由に閲覧できるよう、生命保険協会の生命保険相談所と、全国53カ所の地方生命保険協会に備え置くほか、全国各地の消費生活センター(約470カ所)等にも提供している。なお、同ファイルは昭和52年度から、冊子は昭和59年度から作成している。
●平成14年度版『生命保険の種類のご案内』ファイル:生保各社が作成した「保険種類のご案内」(それぞれ各社の販売保険商品の特徴や仕組みなどを網羅的に掲載してある冊子)と、下記の『生命保険種類一覧』を収納したもの。
●『生命保険種類一覧』:生保各社が販売している生命保険商品を種類ごとに分類して一覧にまとめ、基本的な仕組みについて解説を加えた冊子。 『生命保険種類一覧』は、一般の人から希望があれば無料で提供する。
                           
●EAIC東京大会開く(02年11月5日)
 第21回東アジア保険会第21回東アジア保険会議(EAIC)東京大会が10月20日(日)から25日(金)までの6日間、東京国際フォーラムをメイン会場として開催された。EAICはあらゆる種類の保険分野における国際協力の促進、発展を目的に1962年に発足した、アジアで最大規模の国際保険会議で、メンバー11地域(バンダルスリブガワン、バンコク、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マカオ、マニラ、ソウル、シンガポール、台北、東京)間の持回りで2年毎に大会を開催しているもの。東京での大会開催は、1962年の第1回大会、82年の第11回大会に続いて20年ぶり3度目。今大会には、東アジア11のメンバー地域はもちろんのこと、欧米を含めた世界29の地域・国から1,100名を超える保険業界関係者が参加した。21世紀最初の大会となる今大会では、EAIC発足以来始めて大会宣言(東京宣言)を取りまとめ、保険業界の進むべき方向性を世界に向かって発表した。なお、次回のEAICは2004年にバンコクで開催される。

〈EAIC東京大会の概要および東京宣言の内容〉

1.東京大会の概要
(1)テーマ:Challenges and Opportunities for Insurance in the Changing World of Financial Services(金融サービス変革期における保険業界の挑戦と可能性)
(2)全体会議、分科会トピックス
・第1全体会議:Managing Transitions in a Deregulated and Globalized Insurance Market(保険市場の自由化・国際化への対応)
・第2全体会議:Enhancing Financial Stability and Solvency through Risk Management and Corporate Governance( リスクマネジメント、コーポレートガバナンスの視点からの財務基盤の安定化およびソルベンシーの強化)
・第1生保分科会:Changes in Consumer Needs and Product Development in an Uncertain Investment Environment( 顧客ニーズの変化および不透明な投資環境下での商品開発)
・第2生保分科会:Challenges Posed by New Alternative Distribution Channels(新たな販売チャネル出現による保険会社の挑戦)
・第1損保分科会:Natural & Man-made Catastrophes and their Effects on Underwriting Capacity( 巨大な自然災害あるいは人為的災害と引受キャパシティへの影響)
・第2損保分科会:Impact of the IT Revolution on Insurance Services(保険サービスにおけるIT革命の影響)
・第3損保分科会:New Opportunities in the Chinese Markets after their Admission into the WTO(WTO加盟後の中国市場の新たなる可能性)
(2)大会主催者:第21回東アジア保険会議東京大会組織委員会= (社)日本損害保険協会、(社)生命保険協会および外国損害保険協会が合同で設置

2.EAIC2002東京宣言
 第21回大会を「金融サービス変革期における保険業界の挑戦と可能性」をテーマに東京で開催し、財務基盤の安定とソルベンシー・マージンの強化を図りつつ保険市場の規制緩和やグローバル化にいかに対応するかに重点をおいて広範囲な議題について討議を行った。
1)保険産業は経済にとって非常に重要な役割を果たしていること。
2)保険の健全な成長は円滑な経済活動及び社会にとって極めて重要であること。
3)保険業界はそれぞれの国、地域及び世界的規模での急激な変化に前向きに対応する力を持つこと。
われわれ東アジアの保険業界は上記の点を認識し、第21回総会に於いて下記のことを確認した。
1)多様化・高度化する消費者ニーズに前向きに対応すること。
2)事業の効率化や保険引き受け能力・資産運用スキルの向上によって健全性・収益性を強化するために最善をつくすこと。
3)契約者の長期の社会経済的利益に役立つよう適正なコーポレートガバナンス、リスクマネジメントおよび企業の経営コントロールを採用し実行すること。

●エッセイコンテスト入賞作決まる(02年10月22日)
 毎年11月の「生命保険の月」キャンペーンの一環として、生命保険について、改めて見つめ直してもらうことを目的に「生命保険と私」をテーマとしたエッセイを6月1日〜8月17日の約2カ月半公募。第9回目の今年の応募総数は、1070編。市川森一氏(作家・脚本家)および生保協会エッセイ事務局による審査の結果、受賞・入選作品16編を決定。
 なお、受賞・入選作品を掲載したエッセイ集も作成、無料で配布しており、希望者は〒100−0005 千代田区丸の内3−4−1 生命保険協会広報部までハガキで申し込む。また、受賞・入賞作品はホームページ(http://www.seiho.or.jp/)でも閲覧できる。             
《受賞・入選者》
▽最優秀賞(賞金20万円)=『意外なひとこと』(長谷川みゆきさん:富山県・40歳・主婦)
▽優秀賞(賞金5万円)=『親父の遺品』(森田長司さん:千葉県・43歳・漁業)、『バーベナの花』(田中ゆかさん:東京都・34歳・主婦)、『拝啓 パパ様』(高橋由加利さん:東京都・41歳・主婦)、『夏の日』(阿部英子さん:静岡県・50歳・主婦)、
『穏やかな日々をありがとう』(土屋たづ子さん:岡山県・53歳・塾経営)
▽入選(図書券1万円相当)=『イザノトキ』(加納利恵子さん:北海道・32歳・学生)、『入院』(Y・Cさん:北海道・41歳・パート)、『クールな妻と生命保険』(芝本貞良さん:神奈川県・62歳)、『甦った妻』(内山弘紀さん:山梨県・66歳・陶芸家)、『表彰状の代わり』(後藤薫さん:岐阜県・21歳・学生)、 『妻になるということ』(睦田真由美さん:愛知県・30歳・会社員)、『営業職員の一言』(青山茂利さん:愛知県・48歳・会社員)、『もう二年…そしてあと二年』(古川芳枝さん:山口県・48歳・主婦)、『親となって』(鴨川美佐子さん:徳島県・39歳・会社員)、『おじいちゃんからずっと続いたプレゼント』(高岡はるみさん:福岡県・主婦)

●平成15年度税制改正で要望(02年9月20日)
9月20日、財務大臣をはじめ関係各方面に対し、平成15年度税制改正に関する要望書を提出。 要望書の内容は次の通り。
《重点要望項目》
▽遺族・医療・介護保障等の生活保障を充実させるための国民の自助努力を支援し、豊かで活力あふれる長寿社会を実現していくため、相互扶助の原理に基づく生命保険について生命保険料の所得控除限度額を引き上げること=所得税法および地方税法上の生命保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること(所得税法第76条第1項)(地方税法第34条第1項第5号、第314条の2第1項第5号)
▽老後保障を充実させるための国民の自助努力を支援し、豊かで活力あふれる長寿社会を実現していくため、相互扶助の原理に基づく個人年金保険について個人年金保険料の所得控除限度額を引き上げること=所得税法および地方税法上の個人年金保険料所得控除限度額をそれぞれ10万円に引き上げること
(所得税法第76条第2項)(地方税法第34条第1項第5号の2、第314条の2第1項第5号の2)
▽公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度、適格退職年金制度)および確定拠出年金制度等の積立金にかかる特別法人税を撤廃すること(法人税法第8条、第84条)


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