上中越沖地震発生!地震被害と保険の補償Q&A(07年7月16日)


 16日午前10時13分頃、新潟県上中越沖を震源とするマグニチュード6.8の地震があり、新潟県柏崎市、長岡市、刈羽村、長野県飯綱町で震度6強、新潟県上越市、小千谷市、出雲崎町で震度6弱を観測、多数の建物が倒壊しました。新潟県の05年度末地震保険世帯加入率は13.2%(全国平均20.1%)、火災保険契約への地震保険付帯率は37.8%(40.3%)です。

<被害があったら、とりあえずどうする?>
Q:家や家財が壊れた。保険証券が見つからないし、保険の内容もよく分からないが、どうすればいいのか?
A:慌てることはありません。余震もあるので、まず身の安全を図ってください。そのうえで、建物や家財に何か損害があれば、損害の程度を問わず、とりあえず契約先の代理店か保険会社に損害があったことを連絡してください。大地震の場合は保険会社側で当該地域の所在契約を調べることがありますが、基本的に契約者からの連絡が無ければ、保険会社は個別の契約者の損害発生状況を知ることはできません。
 地震の損害により保険証券が埋没・焼失したり、家財の破損等で紛失したような場合でも、保険会社の契約管理システムで契約データをすべて保管してあるので、契約者からの連絡があれば契約状況を調べることができます。代理店や保険会社が、契約者から連絡を受けた契約内容を確認すれば、契約されている保険での補償の可否も含めて、すぐ回答できます。

<火災保険・地震保険>
Q:建物や家財に火災保険だけ加入している場合は、地震による損害は補償されるのか?
A:地震等(地震および噴火またはこれらによる津波)による火災・倒壊・破損、地震等による河川の洪水や崖崩れ・地滑り・山津波による流失・倒壊・埋没・破損などの損害は、一般の火災保険では補償されません。
 なお、地震による火災で半焼以上の損害が発生した場合、住まいの火災保険で保険金額の5%(300万円限度)の地震火災費用保険金が支払われますが、これは火災時の緊急費用を補填する趣旨のもので、損害保険金が支払われることはありません。
 火災保険に地震保険をセットして加入していれば、地震等による上記の様々な損害が補償されます。地震保険は火災保険に付帯して契約するもので、地震保険だけ単独で加入することはできません。 
 
Q:建物や家財に地震保険を掛けている場合、地震保険金はどのように支払われるのか?
A:損害の程度に応じて地震保険金が支払われます。建物や家財が全損の時は地震保険金額の全額、半損の時は50%、一部損害の時は5%の割合で、それぞれ保険金が支払われます。この損害の程度は建物の軸組、基礎、屋根、壁などの主要構造部の損害額や家財の損害額が時価のどれくらいになるのかといった、損保業界統一の地震保険損害認定基準で判定される仕組みです。

Q:地震による建物や家財の損害状況と支払われる保険金はどうなる?
A:損害の状況と支払われる保険金は下記の通りです。(@建物、A家財)
<全損>
@基礎・柱・壁・屋根などの損害額が建物の時価の50%以上、または焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の70%以上の場合、A家財の損害額が家財の時価の80%以上の場合、いずれも地震保険の契約金額の100%(時価が限度)が支払われる。
<半損>
@基礎・柱・壁・屋根などの損害額が建物の時価の20%〜50%未満、または焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の20%〜70%未満の場合、A家財の損害額が家財の時価の30%〜80%未満の場合、いずれも地震保険の契約金額の50%(時価が限度)が支払われる。
<一部損>
@基礎・柱・壁・屋根などの損害額が建物の時価の3%〜20%未満、または全損・半損に至らない建物が床上浸水か地盤面から45cmを超える浸水となった場合、A家財の損害額が家財の時価の10%〜30%未満の場合、地震保険の契約金額の5%(時価が限度)が支払われる。

<その他の損害保険や共済>
Q:その他の損害保険では、どのような取扱になるのか?
A:損害保険では、地震等による損害は基本的に補償されません。ただし、自動車の車両保険に地震等危険担保特約、傷害保険に天災危険担保特約を付帯した契約については地震による損害も補償されます。
Q:JA共済では、地震損害の保障があるのか?
A:建物更生共済「タテコー」で、地震損害に対しても所定の保障が行われます。

<生命保険>
Q:生命保険では、地震の場合はどうなる?
A:まず、地震等で死傷した場合、生命保険の普通死亡保険金(病気死亡の保障額)・高度障害保険金は支払われます。生命保険の主契約に付帯する災害特約や単品医療保険では、地震による災害死亡・災害入院給付については、会社により保障しない場合があることを約款に明記しているものと明記していないものとがあります。ただし、いずれも被保険者数の増加の状況に応じて、保険料の計算基礎に影響がなければ全額払い、または削減払いする旨明記しています。ちなみに、これまでの阪神・淡路大震災、新潟県中越地震では全額支払っています。

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