自動車保険の賢い掛け方&見直し方(04年11月2日改定)


●万全の補償で保険料も節約できるマル得情報
 まず自動車保険の種類や特約、割引制度にはどんなものがあるのか、ざっとご目を通してから、下記の本文に進んでください。面倒な場合は一覧を素通りして、本文に進んでください。
【知っておきたい自動車保険の種類と補償目的一覧】
<相手方への賠償>
   補償の目的
●自賠責保険 (強制保険) ケガ・後遺障害・死亡
●対人賠償保険       〃
●対物賠償保険       車・物の損害
<自分や家族の身体の補償>
●人身傷害補償保険    ケガ・後遺障害・死亡
○搭乗者傷害保険     〃
△自損事故傷害保険    〃
△無保険車傷害保険    後遺障害・死亡
<自分の車の補償>
○車両保険          車の損害
※●印は必要な保険 ○印は必要に応じて選択 △印は自動付帯。
※無保険車傷害保険、自損事故傷害保険は対人賠償保険に自動付帯。

【覚えておきたい重要な制度や特約の内容一覧】
▽年齢条件別契約方式:自家用乗用車などでは運転者の年齢によって、@年齢を問わず補償、A21歳以上補償、B26歳以上補償、C30以上補償、D35歳以上補償――といった契約方式がある(保険会社により年齢条件の区分が異なる場合がある)。@→Dの順で年齢条件が高くなるにつれ保険料が安くなる。
▽運転者に合わせて選ぶ特約
@運転者家族限定特約:運転者を家族に限定することで保険料が割り引かれる。
A運転者「本人・配偶者」限定特約:運転者を本人・配偶者に限定することで、家族限定よりさらに保険料が割り引かれる。
B臨時運転者特約:ゴルフの帰りなどで家族以外の第3者が運転している場合に主契約の年齢条件に関わらず補償される。
C子供運転追加補償特約:主契約の年齢条件を変更することなく、割安な保険料で子供の事故も補償する。子供の運転で1回目の事故なら翌年の無事故等級割引も変わらない。
▽他車運転危険補償特約:借りた車を運転中の事故を補償(対人・対物賠償、車両損害)。
▽車両新価保険特約:新車で購入した車が事故(盗難除く)で、@新車購入価格の50%以上の修理費がかかるとき、A時価額による車両保険金額以上の修理費がかかるとき、B修理できないとき――に、新車再購入費用(新車本体価格+付属品)を支払う。
▽弁護士費用補償特約:事故後の示談交渉、訴訟などに伴う弁護士費用を補償。保険会社にはまかせられないという人はこの特約をセットすると良い。

【チェックしておきたい保険料割引制度一覧】
▽ノンフリート等級別料率制度:いわゆる無事故等級割引制度。保険金支払事故の有無により翌年度の継続契約について保険料の割引(最高20等級・60%割引)、割増(最高1等級・60%割増)が決まる仕組み。割引は適用等級により10%〜60%割引。1年間、保険金支払事故がない場合、翌年度の等級は現在の等級に「1」を加えた等級となる。保険金支払事故がある場合は事故1件につき「3」を引いた等級となる。
▽その他の各種割引制度:所定の保険料割引が適用されるものとして、次のような割引制度がある(保険会社により異なる)。新車割引、セカンドカー(複数所有新規)割引、長期優良契約割引、エアバック装着車割引、ABS装備車割引、衝突安全ボディ割引、エコカー割引、イモビライザー割引、福祉車両割引、ノンフリート多数割引

自動車保険の賢い掛け方・見直し方〜万全の補償で保険料も節約できるマル得情報
 今年1月以降、自動車保険料(参考純保険料率)が改定され、全体としては価格引き下げとなったものの、例えば、無事故等級20等級の運転者家族限定契約のように割引率計算方法の変更により、実質的に10%値上げとなる契約タイプもある。このように、更改時に掛け方の見直しをしないと出費がかさむケースもあり得るのだ。現在、国内損保会社もリスク細分型自動車保険の時代に入った。年齢条件、使用目的、免許証の色、走行距離などのリスク区分を細分化することで、優良ドライバーの保険料を割り引くもので、各社のリスク区分の内容には違いもある。つまり、同じ補償内容でも各社の商品によって、適用される保険料に格差がつく時代になった。更改時には各社から見積を取って、万全の補償内容で、かつ割安な保険選びを心がけたいものだ。

◎自動車保険選びのキーポイント、新しい割引制度や特約が続々登場!
 自動車保険は通常、様々な保険種類がセットされているので分かりにくいが、@相手方への賠償保険、A自分や家族のケガの保険、B車の損害の保険――が自動車保険の補償の3本柱で、その補償内容と有利な掛け方をおさえておくことがキーポイントになる。
 価格面(保険料)では、従来はリスク細分型自動車保険といえば、通信販売(直販)型自動車保険の専売特許のように言われていたが、最近は国内損保会社でもリスク細分型の保険料体系の導入が進み、現在はほとんどの損保会社でリスク細分型自動車保険を品揃えしている。
 大半のドライバーは事故を起こす可能性が低い優良ドライバーであり、保険料が安くなるリスク細分型自動車保険を取り扱う保険会社への加入が急速に進んでいるためだ。各社のリスク区分項目や、その細分化の内容をよく見ると結構違いもあり、自分の場合はどれだけ安くなるのか、見積を取って比較する必要がある。どの保険会社もホームページで簡単に見積が取れるので、更改時に試してみよう。
 補償内容では、98年7月からの損保自由化の流れの中で、同年10月に過失相殺の煩わしさを解決した革新的な人身傷害補償保険が登場して以降、大きな変化はないが、契約タイプで家族限定より割安な運転者「本人・配偶者」限定特約、家族以外の人が運転する場合に補償する臨時運転者特約、相手方への賠償面では時価額を超える修理費の賠償に備えられる対物全損特約、価格割引面では新車(初度登録年月から25カ月以内)の場合に車両保険、対人・対物賠償、自損事故傷害、人身傷害、搭乗者傷害保険の保険料を割り引く新車割引、事故・盗難防止装置付車両に対する諸割引制度、年齢条件では35歳以上補償区分の新設など、毎年のように新しい補償や割引制度が続々登場している。

<相手方への賠償のための保険>
☆自賠責の後遺障害、4000万円に限度上げ
●自賠責保険:原動機付き自転車を含む一般の自動車は、自賠法(自動車損害賠償保障法第5条)により、1台ごとに加入が義務付けられている強制保険(耕耘機などは除外)。自賠責保険に加入していない車を運転すると、法律により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる(自賠法)ほか、免許停止処分(道交法)となる。車を運行するには保険証明書を携行していなければならない。車検制度にリンクしており、車検証の有効期間を満たす自賠責保険証明書の提示がないと車両登録・届出等が受けられない。車検対象外の2輪自動車・原付自転車(バイク)等は自賠責保険の加入を証明するステッカー(保険標章)を表示しなければならない。
 加害者(被保険者)が自動車の運行により、他人を死傷させた場合の賠償損害(自賠法3条。物損事故は対象外)に対し、保険金が支払われるもので、被害者保護を目的とした最低保障制度の位置付けにある。車を運行する者(運行供用者)を責任主体とした無過失責任に近い賠償保障制度。被保険者は車の保有者・運転者。
 保険金額(填補限度額)は、@傷害の場合:治療関係費・休業補償・慰謝料等の損害に対し、最高120万円、A後遺障害の場合:傷害の損害のほかに、後遺障害等級(14〜1級)に応じ、75万円〜3000万円(常時介護を要する場合で最高4000万円=2002年度改定)、B死亡の場合:傷害の損害のほかに、葬儀費・逸失利益・慰謝料の損害に対し、最高3000万円。各損害額を積み上げて保険金が支払われる。後遺障害・死亡に至るまでの傷害の損害と、後遺障害保険金額・死亡保険金額は別に支払われる。
 損害額の算定は公平・迅速な保険金支払を行うため、傷害の場合、治療実費のほか、入院料日額4000円、付き添い看護料日額4100円、休業損害日額5700円(主婦・給与所得者)〜1万9000円(自由業)、慰謝料日額4200円などと定型・定額方式が採用されている。
 なお、被害者(死傷した者)に重大な過失がある場合は、保険金額が20・30・50%減額される規定もある。ちなみに、被害者の過失が100%で加害者に賠償責任が発生しない場合は、自賠責保険といえども保険金が支払われないが、その場合は加害者側が、@加害者に過失がまったくないこと、A加害者側の車両の構造・機能等に障害がないこと、B被害者側の故意または過失――を証明しなければならない(条件付無過失責任主義)。
 自賠責保険に加入していない車にぶつけられたり、ひき逃げされた場合は、政府保障事業により、自賠責保険と同様の保障が受けられる。
 自賠責保険では補償されない損害や、自賠責保険の填補限度額を超える損害を補償するものとして、下記の任意保険がある。

☆対人「無制限」はいまや社会常識
 任意の自動車保険の掛け方で最も重視すべきは、相手方への賠償損害の備えだ。相手方の命や財産の損害に対し、自分の都合で適当な区切り(保険金額)を設定することはできない。
●対人賠償保険:他人を死傷させた場合の賠償損害に対し、前記の自賠責保険の填補限度額を超える損害額について保険金額を限度に保険金を支払う(自賠責保険の上乗せ補償)。例えば他人を死亡させて賠償額が1億円となった場合、ベースとなる自賠責保険から3000万円、上乗せの任意の対人賠償保険から7000万円が支払われる。保険金額は被害者1名ごとの最高支払限度額を設定する仕組み。1事故で複数の被害者が出た場合は、その人数に応じて保険金が支払われる(1名につき保険金額限度)。1億円、2億円を超す賠償例は数多くある。こちらの都合で人の命の値段に区切りを付けるわけにはいかないので、1名保険金額を「無制限」としておきたい。なお、被害者が死亡・入院した場合に、対人賠償の保険金とは別に、見舞金として所定の臨時費用を支払うが、その条件や金額は会社により異なる場合がある。
 自賠責とは異なり、対人賠償保険では傷害の休業損害、後遺障害・死亡の場合の慰謝料などは被害者の年齢・職業・収入などに応じて妥当な額を認定する。
 自賠責保険と対人賠償保険の保険金を一括して支払う「一括払制度」があり、それぞれ契約保険会社が異なる場合でも対人賠償保険の契約保険会社から一括して支払われる。
保険会社が被保険者(加害者)の同意を得て、填補責任の範囲で被害者との示談代行サービスを行う(現在はほとんどの保険会社で対人・対物の全契約が対象となる)。双方に過失がある場合は、保険会社の担当者相互間で双方の過失割合の認定や損害額の協定を行う。ただし、@賠償額が明らかに自賠責保険と対人賠償保険の保険金額の合計を超える場合(保険金額の全額を支払うため示談交渉の必要がなくなる)、A被保険者あるいは被害者が保険会社の介入を認めない場合のほか、B被保険者の故意など免責事故の場合(示談交渉以前に保険金が支払われない)C相手方の過失100%事故のような専ら相手側からの賠償金の受取に関わる事故(対人賠償保険の被保険者側に過失がなく賠償義務が発生しないため、示談交渉の対象にならない)――などのケースでは、保険会社による示談代行サービスは行われない。このような保険会社による示談代行サービスが行われない場合でも、弁護士費用特約をセットしておけば、保険事故に関わる示談交渉などにかかる費用が補償される。
※保険金額「無制限」と「1億円」の保険料格差:大手損保会社の例、自家用小型乗用車、全年齢担保、無事故割引等級・6A等級(新規加入)、家族限定なしの場合、年間保険料は「無制限」5万9250円、「1億円」5万4150円で、保険料格差は5100円(月に直せば425円でコーヒー1杯分)。

☆注意!対物で1億円を超す賠償例も
●対物賠償保険:他人の車や施設・建物などの財物に損害を与えた場合の賠償損害に対し、保険金額を限度に保険金を支払う。注意したいのは、事故は相手の車だけの賠償損害とは限らないということだ。相手がトラックなど被害車両の積載物、建物、各種交通設備への賠償は高額になる(1億円を超す賠償例もある)ことから、保険料負担が可能なら対物賠償も保険金額は「無制限」としておきたい。
保険会社が被保険者の同意を得て、填補責任の範囲で被害者との示談代行サービスを行う。ただし、対人賠償と同様に、上記@ABCなどのケースでは、保険会社による示談代行サービスは行われない。
※保険金額「無制限」と「1000万円」の保険料格差:上記の大手損保会社の例と同条件で、年間保険料は「無制限」11万5990円、「1000万円」10万7950円で、保険料格差は8040円(月に直せば670円で昼食1食分)。

<自分や家族の身体のための保険>
☆人身傷害は補償が広く被害事故の交渉不要 

●人身傷害補償保険: 本人・配偶者・家族が契約自動車に乗車中、他の自動車に乗車中、歩行中の事故によって死傷した場合、保険金額を限度に実際の損害額(約款記載の損害額基準による)を支払う。保険金額が無制限まで掛けられ、休業損害や慰謝料(自損事故による精神的損害も含まれる)も補償される。下記の自損事故傷害保険や搭乗者傷害保険より補償範囲が広い。逆に補償範囲が広い分、他の自動車保険にセットされる各種傷害保険より保険料が2割前後高い。完治前に治療実費を支払う保険金の「内払い」制度もある。保険金額とは別枠で所定の臨時費用保険金も支払われる(1〜10万円)。自分(家族)に掛ける傷害保険の一種で、事故相手側との過失相殺に関わりなく、実際の損害額全額が支払われる。ただし、加害自動車の自賠責保険や政府労災などからの支払相当額、および加害者側からすでに取得した賠償金などを差し引いた額を限度とする。
 なお、家族で複数の自動車を使用している場合、1台に人身傷害補償保険を契約しているケースで、2台目については重複する部分の車外危険を不担保とする取扱も可能で、保険料が軽減できる。
 過失責任が100:0事故のようにもっぱら相手側に過失があって、被保険者側に過失がない場合、被害者である被保険者について賠償保険の契約保険会社は示談代行に入れない。この保険に加入すると、契約保険会社は人身傷害補償保険の保険金を被保険者に支払った後、支払った保険金のうち被保険者(被害者)の賠償損害部分について、契約保険会社が被害者に代わって加害者側保険会社に求償(代位求償)するため、事実上、示談代行サービス同様の交渉が行われる。従って、100%被害者になった場合(例えば、信号待ちで停止していたところ後ろから追突され、ケガした場合など)でも、直接自ら相手側の保険会社と示談交渉をしなければならないといった、被害者としての示談交渉のわずらしさがなくなるメリットがある。

☆保険料が割安な部位・症状別払いに注目
●搭乗者傷害保険:契約自動車に搭乗中の事故(落下物・飛来物との衝突、火災・爆発、ガス中毒など含む)で運転者を含む搭乗者が死傷した場合に、所定の保険金額を支払う。人身傷害補償保険と異なり、契約時に定めた保険金額が定額払いされる。保険金の上限は会社により異なるが、通常は1000万円までが多い。休業損害や慰謝料は補償されない。自分(搭乗者)に掛ける傷害保険であり、事故相手側との過失相殺に関わりなく、所定の保険金が支払われる。人身傷害補償保険と合わせて加入した場合はダブって保険金が払われるが、補償範囲の広い人身傷害補償保険に十分な保険金額で契約している場合は、補償範囲の狭い搭乗者傷害保険を重ねて契約する必要はない。したがって、人身傷害補償セット契約の場合、搭乗者傷害保険については下記の「部位・症状別」に限定した取扱をする会社が多い。
 搭乗者傷害保険の保険金の種類は下記の通り。
@死亡保険金(180日以内の死亡):1名保険金額の全額。座席ベルト装着の場合は死亡保険金とは別枠で座席ベルト装着者特別保険金(保険金額の30%・300万円限度)が支払われる。
A後遺障害保険金(180日以内の後遺障害):保険会社の規定により、その程度に応じて保険金額の4〜100%を支払う。所定の重度後遺障害となり要介護状態となった場合は重度後遺障害特別保険金(保険金額の10%・100万円限度)、重度後遺障害介護費用保険金(後遺障害保険金の50%・500万円限度)をそれぞれ後遺障害保険金に上乗せして支払う。
B医療保険金:次の2つの支払方法が選択できる。
▽部位・症状別払い:入通院日数が5日以上となった場合に、傷害の部位・症状に応じて所定の保険金を定額で支払う(例:上肢、骨折・脱臼=30万円)。4日以内は一律1万円を支払う。手術を受けた場合は手術加算金(5万円)、集中治療室で2日以上治療を受けた場合は救急救命医療加算金(20万円)をそれぞれ支払う。下記の「日数払い」より保険料が安い。定額払いですぐ支払われるため、人身傷害保険補償保険と組み合わせる場合はこの支払方法にすると保険金を差額ベッド代等に充当できる。
▽日数払い:平常の生活や業務に従事できる程度まで直った日までの治療日数(事故発生から180日以内)1日につき契約時に定めた入院保険金日額・通院保険金日額を支払う。治療(入通院)終了後、保険金が支払われる。

☆自動付帯される保険もある
●自損事故傷害保険:契約自動車の保有者・運転者・搭乗者が自賠責保険の補償対象外の自損事故(自分で電柱に衝突したり崖から転落した場合などの単独事故。落下物・飛来物との衝突、火災・爆発事故を含む)で死傷した場合、所定の保険金を支払う。通常、人身傷害補償保険に加入する場合は不要となるが、人身傷害補償保険では運転者に重過失がある場合は免責で保険金が払われないため、運転者に重過失がある場合でも保険金が払われる自損事故傷害保険が対人賠償保険に自動付帯されている。
保険金の種類は下記の通り。
@死亡保険金:1名1500万円。
A後遺障害保険金:その程度に応じて50〜1500万円。重度後遺障害となり要介護状態となった場合は介護費用保険金(200〜350万円)を後遺障害保険金に加算する。B医療保険金:平常の生活や業務に従事できる程度まで直った日までの治療日数1日につき、入院の場合で日額6000円、通院の場合で日額4000円を支払う(1回の事故につき被保険者1名ごとに100万円限度)。

●無保険車事故傷害保険:対人賠償保険に自動付帯される(対人賠償保険の保険料に織り込まれている)。無保険自動車(@当て逃げされ相手がつかまらない、A対人賠償保険に加入していない、B対人賠償保険の保険金額がこちらの無保険車事故傷害保険の保険金額より少なく、損害額がカバーできない、C免責により対人賠償保険が支払われない)との衝突・接触事故により、契約自動車の搭乗者(被保険者・家族は歩行中、他車搭乗中など含む)が死亡・後遺障害を被った場合に保険金を支払う。保険金額は契約自動車の対人賠償保険の保険金額と同額(無制限の場合は2億円)。なお、人身傷害補償保険で補償される場合は、人身傷害補償保険から優先的に保険金が支払われ、それを超える部分について無保険車事故傷害保険で補償される。

<自分の車のための保険>
☆保険料節約のポイントは車両保険の掛け方

●車両保険:車両の損害といっても事故による損害ばかりではない。最近は犯罪の欧米化に伴い日本でも車両盗難が急増しており、2001年度の盗難による車両保険金支払額は約600億円にのぼる。高級車・4WDの新車に限らず、最近は一般の中古車まで盗難被害に遭っているのだ。
車両保険の主な契約パターンとして、@オールリスク補償タイプの「一般の車両保険」とA自損(単独)事故などは補償しない保険料が割安なエコノミータイプの「車対車+車両危険限定担保特約A」の2タイプがある。車両保険付帯契約へのサービスとして、各種の無料ロードサービスを実施する保険会社が多い。
 @一般の車両保険(オールリスク補償タイプ):他の自動車との衝突・接触、盗難、火災・爆発、台風・洪水・高潮、さらに自動車以外の電柱や建物など他物との衝突・接触、転覆などによる損害を補償。また、事故時レンタカー費用、積載動産損害、遠隔地事故諸費用などの各種の補償も選択できる場合が多い。
 A車対車+車両危険限定A:上記のうち、自動車以外の電柱や建物など他物との衝突・接触、転落などによる損害を除く部分について補償する。他車との衝突・接触による損害については、相手自動車の運転者・所有者が確認出来た場合に保険金が支払われる。
保険料はAのほうがなんと5割近く割安になるのだ。無事故等級が高く運転技術に優れた優良ドライバーはエコノミータイプを選択するとよい。
※「一般の車両保険」と「エコノミータイプ」の保険料格差:大手損保会社の例、自家用小型乗用車、全年齢担保、無事故割引等級6A等級(新規加入)、免責金額は1回目事故5万円・2回目以降事故10万円、保険金額150万円、エコカー割引3%適用契約の場合、年間保険料は@20万5450円、A9万4570円。 
 保険金の支払方法は原則として、全損(盗難含む)の場合は保険金額を限度に市場販売価格相当額(時価額)、部分損害の場合は保険金額を限度に修理費相当額から免責金額(自己負担額)を差し引いた金額が支払われる。なお、全損時諸費用補償特約が付帯されている契約では所定の同費用保険金が加算される。車両修理時諸費用補償特約が付帯されている契約では一定の損害額以上の場合に所定の同費用保険金が加算される。
 通常、修理支払限度額を設定することができ、修理費用が車両保険金額(時価ベースで設定)を超える場合でも修理支払限度額を上限に実際の修理費が支払われる。
 車両新価保険特約を付帯(新車協定価額を設定)すると、盗難を除き、修理費が新車購入価格の50%以上となる場合は、新車再購入費用(新車価格・再取得諸費用)が支払われる。
 なお、免責(契約者の自己負担)金額ゼロの契約にすると、保険料が高くなる。滅多に事故は起こさないという腕に覚えのあるドライバーは保険金の免責金額を引き上げると、その分保険料が安くなることも知っておきたい。
 ちなみに、無事故等級割引は自動車保険料全体にかかるため、小損害の場合は請求する保険金額と、次回の更改契約でダウンする無事故等級割引の保険料増加分との兼ね合いで、保険金請求すべきかどうかを判断したほうがよい。ケースバイケースなので取扱代理店になんでも率直に聞いてみることだ。

<どこに掛けるか>
☆総合保険管理のできる代理店を選ぶ

 自動車保険の97%強は保険代理店扱いだが、最近は通信販売も少しずつ販路を広げている。
 代理店選びのポイントは、@生損保総合保険管理をしてくれるか、Aスタッフを含め事故処理サービスの体制があるか――の2点をチェックすべきだ。更改申込書を送ってくるだけというような代理店は、替えたほうがよい。上記の<自分や家族の身体の補償>の保険は、他の傷害保険や生命保険の傷害特約・災害入院特約などとダブって補償されるが、保険料の節約という面では既契約の生保・損保の契約内容をチェックして、自動車事故のケガの補償だけが突出して高額になることのないように、生損保総合保険管理が必要となる。また、事故時になんでも相談でき、事故処理サービスしてくれる地域の代理店がいればイザというときに安心できる。
通信販売を行う直販保険会社では、主に年齢や走行距離、地域、無事故歴などのリスク区分によるリスク細分型の保険料体系を採用。事故を起こす確率の低い人ほど安い保険料となる仕組みで、一定の保険知識のある人に向いている。
 代理店扱いでも通信販売でも、必ず複数社から見積もりを取り、補償内容と保険料の両面で最適な「車の保険選び」を心がけたい。                  
◎事故を起こしたときのチェックポイント
 交通事故を起こしたドライバーには、@刑事上の責任(懲役、禁固、罰金など)、A行政上の責任(交通反則金、運転免許停止・取り消しなど)、B民事上の責任(損害賠償)の3つの責任が問われる。万一、事故を起こしたら、次の初期対応が不可欠となる。
 @ケガをした人の救護:まず第1に救急車を呼ぶこと。ケガ人の安全を確保し、できる範囲の救護措置を行う。ただし、頭を打っている場合はむやみに動かさない。軽いケガと思われる場合でも病院で診察してもらうこと。
 A道路上の危険防止:車を安全な場所に移動し、エンジンを切る。路上に停止する場合は車の後方路上に停止表示器材を置く。夜間は非常点滅表示灯や駐車灯・尾灯をつける。高速道路上では必要な危険防止措置を取ったら車内に残らず、安全な場所に避難する。
 B警察への通報:現場の状況を確認のうえ、必ず警察に通報すること。警察への届出が無いと、保険金請求に必要な交通事故証明書が発行されない。
 C事故状況の確認:事故の相手方の住所、氏名、連絡先、勤務先を確認する。また、目撃者がいる場合は、その住所、氏名、連絡先の確認と証言依頼をすること。事故状況のメモを作成しておく。
 D保険会社や代理店への連絡:上記の措置の後、事故の大小にかかわらず、取扱保険会社や代理店に事故の連絡を行う。修理が必要なときは、修理を行う前に必ず保険会社の承諾を得ること。事故現場で慌てて示談しないこと。事故現場での示談や口約束は後でトラブルのもとになる。(参考:日本損害保険協会発行「保険金請求のしおり」)

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