地震保険のかけ方と注意点・保険料引き下げの内容
(初級編)(2001年8月)


●地震保険のかけ方と注意点
 火災保険では地震等(地震・噴火またはこれらによる津波)による損害は補償されません(ただし、地震等により建物が半焼以上、家財が全焼となった場合にのみ火災保険金額の5%=300万円限度の地震火災費用保険金が支払われる)。地震等による建物や家財の倒壊・破損・焼損・埋没・流出などの損害を補償するのが地震保険で、契約対象は居住用の建物とその家財です。地震保険は住宅火災保険や住宅総合保険など主契約の住まいの火災保険にセットして加入するもので、単独では掛けられません。
 地震保険の保険金額は、主契約の住まいの火災保険金額に対して30〜50%の範囲内で契約者が任意に決めます。建物5000万円、家財1000万円が限度です。例えば住宅総合保険を建物に2000万円、家財に1000万円掛ける場合、地震保険金額は建物が600〜1000万円、家財が300〜500万円の範囲内で設定します。 
 地震保険金の支払方法は、建物・家財が全損となった場合は建物・家財の地震保険金額の全額、以下同様に半損の場合は地震保険金額の50%、一部損の場合は地震保険金額の5%が支払われます。
 地震保険の問題点は、火災保険料+地震保険料を払い込んで加入したとしても、地震保険金では元通りの住まいに復旧できないことです。契約金額の上限が火災保険金額の50%にしばられているため、全損で地震保険金額の全額が支払われたとしても、いわば元の住まいの半分の価値のものしか立て直せないわけで、現状の地震保険は仮住まい費用など当座の立ち上がり資金の備えとしての性格が強いといえます。

●10月から地震保険料引き下げ
 2001年10月1日から地震保険の料率改定を実施、一部保険料を引き下げるとともに建物の耐性の応じた割引制度を新たに導入。
 今回、料率改定を行う背景としては、@耐震性に優れた住宅が増え、保険料を引き下げる余地が生まれていること(阪神大震災以降、地震危険度の低い地域の契約が増加したことや、住宅の建て替えが進み耐震性の高い住宅の割合が高まった)、A阪神大震災の被害事例から住宅性能の差により被害程度が異なることが証明されたことが挙げられる。
 地震保険の全国平均の加入率は、阪神大震災当時(1995年)の7.3%から2000年3月末は15.4%と2倍以上に上昇しているが、全国的にはまだバラツキがある。
《改定内容》
(1)実施日
 2001年10月1日以降危険開始の地震保険(2001年10月1日以降に自動継続する地震保険含む)から実施。
(2)基本料率の引き下げ
 木造建物について基本料率が約17%引き下げとなる。
 [契約金額100万円当たりの年間保険料]

新料率 現行料率
非木造 木 造 非木造 木 造
1等地 500円 1200円 500円 1450円
2等地 700円 1650円 700円 2000円
3等地 1350円 2350円 1350円 2800円
4等地 1750円 3550円 1750円 4300円
※建物と家財は同料率

※地震保険都道府県別等地
 ・1等地=北海道、福島県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、福岡県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県
 ・2等地=青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、鳥取険、愛媛県、徳島県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県
 ・3等地=埼玉県、千葉県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
 ・4等地=東京都、神奈川県、静岡県
(3)新割引制度(@またはAに該当する場合は、前記の基本料率に適用、@とAの割引の重複適用はできない)
 @耐震等級割引=保険の目的である建物または保険の目的である家財を収用する建物(対象建物)が、次の耐震等級を有している場合、当該建物の耐震等級に応じて割引率を適用。
 ・耐震等級3…割引率30%
 ・耐震等級2…割引率20%
 ・耐震等級1…割引率10%
 ただし、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく建設住宅性能評価書(写)、評価指針の基づく「耐震性能評価書」(写)として提出の必要あり。
 A建築年割引=対象建物が1981年6月以降に新築された建物である場合は、10%の割引を適用、ただし建物登記簿謄本(写)、建物登記済権利証(写)、建築確認書(写)のいずれかを確認書類として提出。

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