●生命保険の見直しの注意点(初級編)(2000年8月10日)
 生命保険はファミリーライフサイクルの節目(子供の誕生〜進学過程〜独立、住宅の購入、夫定年〜夫婦の老後など)ごとに、保障内容と保険料負担の両面で保障の見直しをすべきです。掛けっぱなしはいけません。
▽保障額を見直す
 衣・食・住にかかわる遺族の生活資金見込額の簡易計算は、@末子(一番歳下の子供)独立までの子育て期間中の妻と子の生活費=現在の年間生活費×70%×(22歳ー末子の現在年齢)と、A末子独立後(子育て後)の妻の生活費=現在の年間生活費×50%×(末子22歳時の妻の平均余命)を加算することで求められ、さらにB夫死亡時の葬儀費用・予備費(立ち上がり費用)や子供の教育費などを加算して、支出見込み総額を見積もります。
 次に、C公的遺族年金などの社会保障、D死亡退職金・弔慰金などの企業保障、E預貯金などの資産、F遺族(妻など)の稼得収入―を加えた収入見込み総額を見積もります。
 こうして計算した支出見込み総額(@+A+B)から、収入見込み総額(C+D+E+F)を差し引いた不足額が生命保険(共済)で補うべき必要保障額となります。現時点での保障額に過不足がないかどうかチェックしましょう。
▽保険契約を見直す
 現在、加入している契約形態をリフォームする方法として、次のようなものがあります。
〈中途増額〉主契約の保険期間の中途でいわゆる掛け捨ての定期保険特約などを上乗せして、子育て期間中などの死亡保障額を増額する方法です。
〈医療特約などの中途付加〉主契約の保険期間の中途で病気やケガの入院などを保障する医療特約を付加したり、本人型から家族型の医療特約に変更する方法です。リビング・ニーズ特約などの生前給付保険も種類により中途付加できる場合があります。
〈転換制度〉一つまたは複数の既契約を、同じ保険会社の新しい種類の保険に替えたいという場合に、既契約の蓄積部分や配当金を新しい保険に充当して下取りする方法です。ただし、予定利率(蓄積保険料の運用利率=保険料割引率に相当)の低い契約に転換すると、保険料が割高になってしまうので注意する必要があります。「転換」の取り扱いについては、法律で保険会社(営業職員)に説明義務が課されています。
〈保険料の払い込みが苦しいときの対処法〉
 (1)保険金の減額…保障額を減らして、その分だけ保険料負担を軽くする方法です。減額(一部解約)部分の解約返戻金があれば受け取れます。更新型定期付き終身保険の更新時に、定期保険特約部分を更新しない取り扱いも可能です。
 (2)払い済み保険…保険料の払い込みを中止し、その時点での蓄積部分により、保険期間をそのままにした小型の保障の保険に変更する方法です。 
 (3)延長(定期)保険…保険料の払い込みを中止し、その時点での蓄積部分により、死亡保障額をそのままにした定期保険に変更する方法です。(2)(3)の手続きをすると医療特約は消滅します。 
 (4)解約…いま加入している保険契約を全部解約してしまう方法もありますが、昭和27年〜平成5年3月までの加入契約は、保険料の割引率に相当する予定利率が4%以上(最高6・25%)で、現在の水準(5年ごと利差配当終身保険で会社により2・15%〜2・50%)に比べ非常に割安な保険料になっています。せっかく割安な買い物をしたのですから、予定利率の高い契約は保険料が払える範囲まで減額し、全部解約は避けたいものです(国民生活センター「くらしの豆知識」原稿に加筆)。

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