損保協会・損保業界
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●新潟県上中越沖地震で対策本部設置(07年7月17日)

 損保協会は7月17日、「地震保険対策本部」(関東支部内、電話03-3255-1469)を設置するとともに、新潟県新潟市に「現地対策本部」(新潟自動車保険請求相談センター内、電話025-241-9515)を設置し、契約者対応にあたっている。
 損保各社では現在、地震保険の契約建物・家財について、損害調査を進めている。地震保険以外の自動車保険、傷害保険、医療保険などでも地震による損害を補償する場合がある。
 また、災害救助法が適用された地域(17日現在、新潟県長岡市・柏崎市・小千谷市・上越市・三島郡出雲崎町・刈羽郡刈羽村)の契約者で被害を受けた際は、特別措置として損害保険料の払込みなどを猶予する場合がある。
 これより先、発生日の16日、江頭敏明損保協会会長は、「新潟県上中越沖地震により亡くなられた方に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。損保業界としては被害状況の把握に努め、皆様からの問い合わせ・相談等に親身にお応えし、保険金の迅速な支払いに全力で努めてまいります」とのお見舞いを述べた。

●保険3団体で「保険商品の比較に関する自由討論会」(07年5月16日)
 損保協会、生保協会、外国損保協会は7月3日以降2〜3ヶ月に1回の頻度で、 「みんなが主役、保険商品の比較に関する自由討論会」を共同主催で開催する。消費者、販売者等の立場を問わず参加資格に制限なく参加費無料。消費者利便性・保護等の観点から「保険商品の比較を推進するためのルール」「消費者保護の観点から遵守すべきルール」等について、自由に意見交換を行う趣旨。
 保険商品の比較情報のあり方については、金融庁の「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」で検討が行われ、平成18年6月19日に「最終報告〜ニーズに合致した商品選択に資する比較情報のあり方〜」(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_ins_p/20060619.html )が公表されている。その中で、比較情報の提供を促す環境整備を図るための「自主的な協議会の設置」が提言されており、これを受け3協会で「自主的な協議会の設置」についての検討を行った結果、「保険商品の比較に関する自由討論会」を開催することとした。なお、金融庁は比較情報提供で監督指針改正案を4月11日公表している。
<開催要領>  
▽応募方法:ホームページ(http://www.hikakutoron.jp/)の「参加申込フォーム」に必要事項を入力の上、申し込む。応募者多数につき会場の収容人数を超過する場合は、抽選のうえ参加者を決定(なお、抽選に洩れた場合は次回開催時に優先的に参加できる)。
▽参加費:無料
▽開催時期・開催場所:第1回7月3日18:15〜20:00、第2回9月20日18:00〜20:00。開催場所は、損保協会、生保協会の講堂・会議室を予定。以降2〜3ヵ月に1回の頻度で約1年間の開催を予定。
▽運営方法:司会者からの指名により発言する形式。応募の際に「参加申込フォーム」に「発言骨子」を記入した人から優先的に発言する。
▽議事の取扱い:発言内容は原則全てホームページで公開。発言者の個人名は記載せず、属性(消費者、代理店、保険募集人、保険仲立人、比較情報提供会社、保険会社、マスコミ、法曹関係者、学識者、その他)を記載。
▽意見募集:当日参加できない人のために、ホームページに「意見募集フォーム」を設け、随時意見募集を行う。

●第17回ISJ上級コースを開講(07年5月11日)
 第17回日本国際保険学校(Insurance School(Non−Life)of Japan 略称ISJ)上級コースを5月21日(月)から6月1日(金)までの約2週間、損保会館で開講。テーマは「損害保険とリスク・マネジメント」で、東アジア11地域の保険会社、保険監督官庁職員など21名が受講。上級コースは中間管理職層や幹部層を対象とし、一般コースより専門性の高いテーマで双方からのプレゼンテーションをベースとしたワークショップ形式のセミナー。 なお、現在までのISJ卒業生数は1,496名(一般コース1,184名、上級コース312名)にのぼり、卒業生の一部は各地域マーケットリーダーとして活躍している。

●交通事故医療研究助成の募集(07年4月27日)
 交通事故医療に関する一般研究助成の公募を実施。個々の医師またはグループの臨床研究を助成する。また、併せて、別枠で交通事故医療特定課題研究助成(研究課題は、@高齢外傷患者に対する治療法の開発〜予防、病態、治療、リハビリの面から、A交通事故による重症救急患者の救急システムの課題と対策。応募資格は交通外傷に携わる医師等の研究者)の募集も実施。
<一般研究助成募集の概要>
1.研究課題:交通事故医療に関する臨床的研究
2.募集期間:07年5月1日より6月15日まで(最終日の消印有効)
3.応募資格:交通外傷に携わる医師等研究者。応募にあたっては研究の内容を承知している所属長の推薦を受けること。
4.助成期間:原則として1年間
5.決定時期:07年9月15日までに採否を申請者に通知
6.選考方法:学識経験者による選考委員会において決定
7.助成金額:1件・原則100万円
8.助成件数:20件程度
9.応募方法:損保協会ホームページ(http://www.sonpo.or.jp/)掲載の「交通事故医療に関する一般研究助成申請書」(様式1)をダウンロードし、申請者および研究内容を承知している推薦者の押印をされた申請書を事務局宛に郵送。

●能登半島地震支払見込額約18億円に(07年4月17日)
 3月25日に発生した平成19年能登半島地震に係る地震保険金支払見込額(18社合計)を取りまとめた。証券件数2,471件・約18.2億円の支払見込み。
<平成19年能登半島地震に係る支払保険金>(4月17日現在。見込み含む)
石川県2,234件・1,664百万円、富山県214件・126百万円、福井県2件・1百万円、その他21件・30百万円、合計2,471件・1,821百万円

●「損害賠償の知識07」を警察本部に寄贈(07年4月2日)
 交通安全啓発冊子「損害賠償の知識2007(あんかんテキスト)」約40万部を警察本部へ寄贈。
<主な内容>
イラストクイズ 交通事故の賠償リスク
T.交通事故における企業の賠償責任:社有車の管理だけでは不十分、すべての賠償問題の基本は民法、対人事故では自賠法が優先、民法と自賠法では立証責任が逆転
U.示談から裁判まで:大部分は示談で解決、手続きが簡単な調停、裁判所も勧める和解、過失相殺
V.交通事故による損害賠償に備える保険:自賠責保険、自動車保険、その他の交通事故リスクに備える保険、交通事故と社会保険、事故が起こったときの注意点

●07年度全国統一防火標語決まる(07年3月28日)
 07年度全国統一防火標語は、1万8,723点の応募作品の中から審査の結果、高知県の西田まこと さんの作品「火は見てる あなたが離れる その時を」が選ばれた。防火標語を使用した防火ポスターを約46万枚作成し、全国の消防署、学校、図書館など公共施設等に掲出。今回のモデルはタレントの戸田恵梨香さんを起用。

●金沢市に地震保険対策本部を設置(07年3月28日)
 能登半島地震に際し、石川県金沢市に地震保険対策本部を設置して契約者対応にあたっている。損保各社では地震保険を契約している建物・家財について損害の調査を進めており、損害の程度に応じた保険金支払いを行う。地震保険以外の損害保険(自動車保険、傷害保険、医療保険など)でも地震による損害を補償する場合がある。また、災害救助法が適用された地域の契約者で被害を受けた場合は、保険料の払込みなどについて猶予する措置がある。
<損保協会相談窓口>
▽そんがいほけん相談室:フリーダイヤル0120-107808 TEL03-3255-1306
▽地震保険対策本部:TEL076-221-1149

●消費者会議、「募集人の資質向上」で意見交換(07年3月27日)
 第4回「消費者の声諮問会議」議事録を公表。損保募集人試験のあり方などで意見交換。
<意見交換の内容>
(有識者委員)
○全ての商品を募集人試験の対象範囲とするのか。例えば自動車保険と火災保険しか取り扱わない代理店が医療保険まで受験するのかといったように、共通科目と専門科目をどのように組み合わせるのかという問題がある。
○再受験制度は是非とも実施すべきだが、不合格者の取扱をどうするかという問題がある。不合格となった場合に即募集人ではなくなるということでは、当該代理店の取扱契約に関し、消費者保護の観点から問題となると考えられるので、例えば補習や再々試験を実施する等、募集人のレベルを引き上げ、維持できるような仕組みを工夫する必要がある。
(事務局)
○保険商品の知識については、標準約款をベースとしたもので損保協会が募集人試験を実施しており、各社別の商品については、各社別試験の中で教育・検証を行っている。
○不合格者の取扱いについては、再受験に合格するまで数回の受験を行えるように日程上の配慮を行う等の措置を設ける予定。
○損保協会では合否通知を行っているのみで資格の認定までは行っていない。制度上は、損保協会の試験の状況や各社別の試験なども踏まえて、各社が募集人としての資格があるか否かを判断することになっており、損保協会の試験の合格が募集人となるための制度上の必要条件というわけではない。
(損保委員)
○代理店委託契約は各社別に行うものであるので、各社の判断でより厳格にするということはあり得るが、一方で、あまりにも各社区々になってよいのかという問題もある。最低レベルを決めるのか、標準レベルを決めるのか、加えて医療保険のようなものを別の独立した試験にするのかということも検討する必要がある。その中で、損保協会としてやることと各社がやることとどう連動させるのかという問題もある。
(有識者委員)
○一部の募集人の不祥事で損害保険業界全体が悪いイメージを受けていることがあるとすれば、損保業界全体として厳しい資格制度を構築する必要があろう。これは損保協会が自主的に取り組んでいくべきであるが、そのためには受験者たる募集人へのインセンティブが重要である。きちんと訓練を受けた人や再訓練された人が報われるような仕組みにしなくてはならない。資格証明や受講証明も必要となる。例えば、不動産を売買する際には証明書を提示した上で重要事項説明を行うが、同様のことを損保業界にも義務付けるといったことが必要ではないか。
○差異化を図るという趣旨から、公的資格(名称独占)にすることを検討することも重要である。損保協会としてイニシアティブを強く発揮していただきたい。
○消費者サイドから見て代理店を選ぶメルクマールが必要である。認定マークのような分かりやすい仕組みが求められる。
○自動車販売など様々な販売形態の中で保険販売を付随業務として行っている。募集人の質の確保という点で、これも大きな問題ではないか。

●能登半島地震で支払方法など告知(07年3月25日)
 25日午前9時42分頃、は石川県輪島市の南西約30キロの能登半島沖を震源地とする地震が発生。マグニチュード6.9と推定され、輪島市、七尾市、穴水町で震度6強の揺れを記録。25日午後時点の被害状況は、石川県警調べで死亡1名、重軽傷146名、富山県、新潟県で重軽傷16人名。石川県では住宅45棟が全壊、227棟が半壊したもよう。なお、石川県内の家計地震保険の契約件数は06年12月時点で5万6,030件、05年度末の世帯普及率は12.5%(全国20.1%)、火災保険への付帯率は24.1%(同40.3%)。
 能登半島沖地震の発生に際し、損保協会は下記の通り、地震保険の支払方法などをホームページで告知するとともに、被災者に対して石原邦夫会長の見舞いのコメントを発表。 
<地震保険の告知>
 損保各社では、地震保険を契約されている建物または家財について損害を調査し、損害の程度に応じて保険金を支払う。地震保険は、地震・噴火・津波による損害(火災・損壊・埋没・流失)に対して保険金が支払われる。詳しくは契約の損保会社または損保代理店に相談を。
▽地震保険の概要 http://www.sonpo.or.jp/
<石原邦夫会長の見舞いコメント要旨>
 この度の能登半島沖を震源とする地震により亡くなられた方に謹んで哀悼の意を表し、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。損保業界としても、皆様からの相談に親身にお応えするとともに、保険金の迅速な支払いに全力で努めてまいります。いまだ余震が続いていますが、今後の沈静化と皆様の安全, 一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。

●「団体データ共同システム」600社が利用(07年3月20日)
 損保協会「団体データ共同システム」の利用企業数が2月末時点で600社を超えた。顧客企業と損保会社間でインターネットによるデータ授受を行うもので、06年10月から稼動している。従来、企業と損保会社間のデータ授受は紙、磁気テープ、フロッピーディスク等で行われていたが、新システム導入により、企業側の事務作業の軽減、セキュリティ強化が図られる。07年9月には、現在の「給与控除データ」に「年末調整データ」の提供も追加する予定。
<団体共同システムの参加損保会社>(3月1日時点)
あいおい損保、朝日火災、共栄火災、セコム損保、損保ジャパン、東京海上日動、日新火災、ニッセイ同和損保、日本興亜損保、富士火災、三井住友海上、エース損保

●06年度自動車盗難実態調査まとまる(07年3月19日)
 損保会社が06年11月に保険金を支払った事案(車上ねらい2,684件、車両盗難786件)を対象に調査を実施した。
<06年度自動車盗難事故実態調査の結果>
▽車上ねらい(調査総数:2,684件):被害品総数に対するカーナビの割合は40%近くを占める。バンパーやドアミラーといった外装部品が被害にあう盗難事故も増加しており、転売目的の窃盗が増えている。盗難されたカーナビは、半分以上後付カーナビの製品が占めている。純正品と比べて汎用性が高く転売しやすいため、狙われている。純正品の盗難も3分の1を占めている。純正品カーナビが盗まれる傾向が高い車両クラスとして、ミニバンとコンパクトが挙げられる。車上ねらいの1件あたりの平均被害額は昨年調査時より約8万円上昇して39万円。
▽車両本体盗難(調査総数:786件):RV車の被害は依然多く、軽自動車の被害も増加傾向にある。車種別の被害では、昨年と同様にランドクルーザーの被害が多かったものの、全体に占める割合では12.0%から6.9%に減少し、被害車種の分散傾向が見られる。今回の調査結果では、初度登録から5年以上経過した車が、全盗難車の半分以上を占める結果となった。02年10月にはイモビライザを装着できる車種が53車種だったが、06年10月では139車種にまで増えた。年式が新しい車のイモビライザの装着が進んだ結果、盗みやすい車が狙われている。

●「募集コンプラガイド」を作成(07年3月15日)
 損保募集にあたって、代理店の募集人(現在約187万人)が遵守すべきことを体系的に整理し、分かりやすく解説した「募集コンプライアンスガイド」を作成。
 保険募集に関する詳細な規定やルールは、各種の法令等に基づいて各保険会社で定めているが、その内容や具体的な事務が保険会社ごとに異なる部分があり、保険募集の手続き等がわかりにくいといった声があった。「消費者の声諮問会議」の意見等も踏まえ、募集人が遵守すべきことを体系的に整理し、分かりやすく解説したものが必要との判断から、各保険会社が代理店を指導する際に活用するためのガイドとして作成したもの。
<「募集コンプライアンスガイド」の概要>
1.目的:代理店が遵守すべき法令等を体系的に整理し、また実務の標準例を示すことで分かりやすく解説することなどにより、業界を挙げて適正な保険募集の実行に寄与すること。
2.主な内容
(1)保険募集人の権限等に関するお客への説明:募集人は、保険募集を行うときは、あらかじめ自らの所属保険会社名、商号・氏名などを、お客に明らかにする必要があること等を解説。
(2)勧誘・商品説明等:募集人は、お客の多様なニーズに対応できるよう、きめ細かい情報を提供し、お客が保険商品を適切に選択できるように努めること等を解説。
(3)重要事項の説明:募集人は、重要な事項を保険契約の種類および性格等に応じて適正に説明し、お客が重要な事項を正しく理解したことを十分に確認したうえで、保険契約を締結する必要があること等を解説。
(4)告知の受領・契約意思確認:募集人は、正しい告知を受領するため、確認用チェックシートによるお客へのヒヤリング等通じて、保険契約締結に必要な情報を丁寧かつ正確に取り付ける必要があること等を解説。
(5)保険料の領収:募集人は、保険契約の締結と同時に保険料の全額を現金、小切手または振込みにより領収する必要があること等を解説。
(6)満期管理・満期案内:募集人は、お客ごとに保険契約の満期日を管理・把握し、時間的余裕をもって連絡するなど、お客が確実に保険契約を継続することができるように努めること等を解説。
〈閲覧・入手方法〉
 損保協会ホームページ(http://www.sonpo.or.jp/)から、PDFファイルをダウンロードできる。

●再受験制など損保代理店試験制度を再構築(07年3月15日)
 損保協会は損保募集人の資質の向上を目指して、@募集人試験のレベルアップ、A募集人試験の再受験制度の導入、B共通専門試験の新設と試験制度運営の見直し――の3点を骨子に、「損保代理店試験制度」を再構築する。「消費者の声諮問会議」からの提言を受け、実施に向けた具体策をまとめた。早期実施をめざして引き続き細部の検討を進めていく。
<損保代理店試験制度の再構築の概要>
1.募集人試験のレベルアップ:募集人の資質の向上のため、業界共通の保険引受の実務や関係法令等に関する問題の内容を充実させ、募集人試験のレベルアップを図る(07年10月実施予定)。
2.募集人試験の再受験制度の導入:定期的に最新の業務知識の理解度を検証するため、既存の募集人を対象とした募集人試験の再受験制度を実施する(08年4月実施を目処に検討)。
(1)対象者:協会の損害保険募集人試験(過去実施していた「初級試験」を含む)の合格者で、損害保険代理店の登録を行っている者(法人の代表者のうち保険募集に従事する者を含む)、および募集に従事する役員・使用人届出を行っている者を対象とする。
(2)再受験のサイクル:試験合格日から3〜5年毎に繰り返し受験するものとする。なお、既存の募集人については、例えば全員が再受験するよう、3〜5年以内に代理店登録または届出日からの経過期間の長い者等から順次再受験し、以降3〜5年毎に繰り返し受験するものとする。また、不合格者については、再受験に合格するまで数回の受験が行えるよう日程上の配慮を行う。
 ※隣接の証券業界(証券外務員資格試験)をはじめ一般的には5年とする例が多いが、再受験の対象者が100万人以上となるため、試験会場の確保等の実務的な課題も考慮して決定する。
(3)試験の内容:再受験者も損害保険募集人試験と同一内容の試験(「損害保険の契約にあたっての手引」「保険金請求から受け取りまでの手引」「募集コンプライアンスガイド」等からの出題)を受験するものとする。
(4)試験方法:再受験者を含めた受験者の急増に対応するために、試験制度全体について効率的運営を図る必要があり、現在のペーパー試験方式を見直してコンピューターによる試験方式の導入についても検討を進めるものとする。
3.共通専門試験の新設と試験制度運営の見直し:火災保険の引受けにかかる問題や医療保険の保険金不払問題等に対応するため、共通専門試験の新設や、「共通(協会)試験」と「会社別試験」の同日開催等による、実効性向上に向けた試験制度運営の見直しについて検討する。

●信頼回復に向け石原会長が所見(07年3月15日)
 3月15日の定例記者会見で、石原邦夫会長(東京海上日動社長)は、金融庁による損保各社への行政処分を受けて、お詫びし、信頼回復への取り組みなどで所見を述べた。
<石原会長の所見要旨>
 一昨年来、多くの会員会社における付随的保険金の支払漏れや医療保険などの第三分野商品の不適切な不払いなどにより、契約者をはじめ、関係者に多大なるご迷惑をおかけしたこと、火災保険等について契約引受の自主点検をするに至ったこと、また、昨日、医療保険などの第三分野商品の不適切な不払いに関しては、複数の会員会社に対して業務の一部停止を含む行政処分が出されていることなど、損保業界においてこうした事態が度重なって発生したとについて、改めて、業界を代表し深くお詫びする。損保協会として、会員各社としても、この事態を厳粛に受け止め、消費者、社会からの一日も早い信頼回復を最優先課題として、種々の取組みを進めている。
 会員会社においては、第三分野商品の不適切な不払いについては保険金の速やかな支払いと再発防止に向けた取組みを進めている。また、付随的な保険金の支払漏れについては、各社がそれぞれ設定した調査終了時期に向けて、全容の解明、支払いすべき保険金の速やかな支払い、および再発防止の徹底に全力を挙げて取り組んでいる。さらに、火災保険等の契約引受における自主点検についても、一年程度の間に全契約の点検が完了するように各社の取組みが進められている。
 損保協会では、「保険金の支払に関する自主ガイドライン」「募集文書等の表示に関するガイドライン」「損害保険契約に当たっての手引(バイヤーズガイド)」等の策定、火災保険等の引受に関する自主調査の決定等、信頼回復に向けた各社取組みの推進・バックアップに努めているが、一日も早く信頼を回復できるよう、全力で取り組んでいく。 
〈具体的な取組み〉
(1) 消費者の声を原点とした業務運営の見直し
@.第4回「『消費者の声』諮問会議」の開催
 「募集人全体の資質向上に向けた取組み」「募集に関するコンプライアンスガイド(案)」「保険商品(約款)の分かりやすさ」といったテーマについて審議した。
 「募集人全体の資質向上に向けた取組み」は、「資格試験の再受験制度」導入を柱とする対応案について審議され、方向性について承認されました。また、コンプライアンス推進に係る取組みの一つとして損保協会が検討中の「募集に関するコンプライアンスガイド(案)」について、貴重な意見を得た。
 また、「保険商品(約款)の分かりやすさ」では、消費者にとってより分かりやすい保険契約を実現する上では、これまで論議・提言された「募集ツールのあり方」や「募集人全体の資質向上」といった観点に加え、その根本である保険商品(約款)そのものの分かりやすさについて、具体的な検討を行う必要があるとの提言を受けた。この提言を踏まえ、関係委員会において「保険商品(約款)の分かりやすさの実現」に向けた具体的な検討に着手した。
A.消費者の声の一元的な集約、分析・評価
 昨年10月から12月に協会に対して相談・苦情として寄せられた消費者の声に基づき「お客様の声レポート」(第3四半期版)を発行しました。第3四半期の特徴としては、相談・苦情の総受付件数が28,970件で、昨年同期の21,539件と比べると大幅に増加した(対前年同期比34.5%増)。また、苦情のうち保険会社への解決依頼事例が過去最高の509件となった(対前年同期比47.1%増)。中でも交通事故被害者からの相手方保険会社への苦情が目立っており、被害者への対応姿勢の改善が望まれるとレポートに記載し、会員各社の経営陣に対してフィードバックした。
(2) コンプライアンスに関する取組強化
@.引受適正化に係る「自主調査」の実施
 昨年末の理事会における「火災保険等の引受適正化に係る自主調査の実施」に係る確認を受け、会員各社では3月末を目処として、火災保険契約についてのALC構造やツーバイフォー(2×4)構造建物における構造級別の判定、各種割引の適用や保険金額の設定などに不備がないかについて、集中的に点検を実施している。また、自動車保険などそれ以外の契約についても、1年程度を目処として、満期更改等の機会を活用して個々の契約内容について、不備がないか点検を行うこととしている。
A.「適合性原則」への対応
 「保険会社向けの総合的な監督指針」が4月1日に改正され、保険会社は、販売しようとする保険商品がお客のニーズに合致していることにつき、契約締結時においてお客本人に再確認していただくために必要な体制整備を行うことが求められることとなる。
 具体的には、生命保険や医療保険などについては、お客のニーズについて情報収集したうえで保険商品がそのニーズに合致していることを確認する書面(意向確認書面)を作成・交付することが必要となる。また、自動車保険や火災保険などの商品についても、それに準じた対応を行う必要があるとされたことを踏まえ、損保協会としては、上記「自主調査」の観点も加味した上で、会員各社の取組みがより適切にとりおこなわれるよう、基本的な考え方の整理や実際にお客さまのご確認をいただく「意向確認書面」について標準的フォームの取りまとめを行った。
B.「募集に関するコンプライアンスガイド」の策定
 保険募集時におけるコンプライアンスの徹底を目的として、4月から新たに導入される「適合性原則」や現在実施している引受適正化に係る「自主調査」の状況、更には「消費者の声」諮問会議における意見等も踏まえて、「募集に関するコンプライアンスガイド」を策定した。
 保険業法などの関係法令や監督指針などに規定される保険募集の際に留意すべきコンプライアンス上のスタンダードを整理したものであり、今後、会員各社が本ガイドを活用することによって、業界全体のコンプライアンス・レベルが向上していくことを期待している。
C.「第三分野商品に関するガイドライン」の検討
 昨年9月に「損害保険の保険金支払に関するガイドライン」を策定した。今般の医療保険などの第三分野商品における不適切な不払の判明を踏まえ、第三分野商品に特化した告知の取扱いや保険金等の支払いに関する態勢整備や留意すべき基本的事項をまとめたガイドラインについて具体的な検討を進めている。
(3) その他
@.代理店試験制度の再構築について
 現在の代理店資格制度は、01年3月に金融庁の事務ガイドラインに定められていた損害保険代理店制度が廃止されて以降、各社ごとの教育・資格制度となっている。05年7月には金融庁の「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」の論点整理において、募集人の資質の向上の必要性に言及されたこと、更には、昨年12月の「消費者の声」諮問会議において「消費者にとって、よりわかりやすく、より適切な保険商品の案内等を実現するため、募集人の資質向上について、例えば、業界共通の商品・実務・法令等の試験を実施する等、具体的な検討を行うことが適当である」との提言がなされたことを受け、以下を骨子とする代理店試験制度の再構築を行うことについて、本日の理事会において決議した。
a.募集人試験のレベルアップ:業界共通の保険引受の実務や関係法令等に関する問題の内容を更に充実させ、募集人試験の難易度アップを図る(07年10月より実施予定)。
b.募集人試験の再受験制度の導入:既存募集人を対象とした「募集人試験の再受験制度」について、08年4月よりの実施を目処に検討する。
c.共通専門試験の新設や、実効性向上に向けた試験制度運営の見直し:火災保険の募集態勢問題や医療保険の保険金不払問題等に対応するために、共通専門試験の創設や、「共通(協会)試験」と「会社別試験」との連動等による実効性向上に向けた試験制度運営改定について検討する。

●消費者の声会議、約款の分かりやすさで提言(07年3月15日)
 3月1日開催の「第4回消費者の声諮問会議」で、保険商品(約款)の分かりやすさについて議論を行い、損保協会理事会に対して提言をまとめた。
<第4回消費者の声諮問会議による提言>
 損害保険は、自動車保険や火災保険などの保険の種類ごとに作成される普通保険約款や特約条項
などの保険約款を用いて契約されている。一般に、約款による契約方式には、その構造上、@ややもすれば、事業者に有利に、消費者等に不利に定められることになりがちである、A法律的な用語や表現が使われており、理解する為には専門的な知識が必要となる場合が少なくない、B複雑多岐にわたる条項によって構成され、内容を理解することが容易ではない、C小さな活字で印刷され、読みづらいことが多い等の特性があると言われている。
 損害保険約款については、これまで国民生活審議会の論議等を踏まえつつ、消費者保護の観点か
ら改定や募集上の工夫等が行われてきたが、消費者保護の必要性が一層高まっている今日的状況において、今日的観点から保険約款の内容について見直しを行うことは意義がある。保険商品を一層理解しやすいものにするためには、パンフレットや重要事項説明書等の募集ツールや説明方法の工夫を徹底すること等によって、分かりやすい情報提供が行われることが必要であるが、保険約款そのものの分かりやすさが向上すれば、消費者の商品に対する理解が一層促進されると考えられる。
 以上から、消費者にとって、より分かりやすく、保険商品を理解したうえで、安心して保険契約
を行うことができるよう、業界としては、保険商品(約款)の分かりやすさの向上に向けた具体的な検討を行うことが適当である。その上で、例えば、ごく一部のモラルリスクの排除を目的とした免責条項に係る規定のあり方や約款交付のあり方など、約款そのもののあり方についても併せて検討を行うことが適当である。

※07年3月15日以前の損保協会・損保業界既報情報はこちらをクリックしてください。