金融庁等の保険行政関連ニュース
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●クレディ・アグリコル生命に事業免許(07年6月8日)

 金融庁は6月8日、クレディ・アグリコル生命保険(株)に対し、保険業法第3条第1項の規定に基づき生命保険業の免許を付与した。
<クレディ・アグリコル生命の概要>
1.商号:クレディ・アグリコル生命保険株式会社
2.本店所在地:東京都千代田区内幸町一丁目2番2号 日比谷ダイビル
3.代表者:代表取締役社長 リチャード・サットン
4.資本金:12億2,500万円
5.株主構成:クレディ・アグリコル・エス・エー 100%
6.役職員数:36名
7.営業開始日:平成19年9月1日(予定)


●金融サービス相談室第4四半期受付状況を公表(07年4月27日)
 金融庁は「金融サービス利用者相談室」の平成19年1月1日〜3月31日までの質問・相談・意見等の受付状況と主な相談事例を公表。当期の受付件数1万1,784件中、保険商品・保険制度等に関する相談が4,114件(34.9%)とトップ。
 保険商品等に関する相談等の受付件数4,114件のうち、個別取引・契約における顧客説明・結果に関するものが2,076件(50%)で、うち保険金支払いに関するものが1,556件。保険会社の態勢・各種事務手続に関するものが816件(20%)で、うち保険金請求時等における保険会社の対応に関するもの472件となっている。
 業態別では、損保会社に関するものが2,134件(52%)、生保会社に関するものが1,141件(28%)、その他839件(20%)。
 なお、利用者から寄せられた相談等の金融庁における活用状況は、損保会社の不払い等(付随的な保険金の支払漏れ、第三分野商品に係る保険金の不払い、火災保険の保険料過徴収)に関するもの、保険募集人等の不適正な行為(不告知の教唆、保険料の立替、無断作成契約、名義借り等)に関するもの。
<利用者からの主な相談事例>
@保険内容の顧客説明に関する相談等
▽保険金を請求したところ、約款の免責事由に該当するため支払われないと言われた。契約時には、そのような説明は受けていない。
▽2社の医療保険に加入しており、手術をしたところ、A社からは保険金が支払われたのに、B社からは支払われなかった。手術によっては保険金が出ない場合があるとはB社から聞いていなかった。
A告知義務に関する相談等
▽入院歴があることを募集人に伝えたところ、告知しなくてよいと言われたのでそのまま契約したが、保険金請求時になって告知義務違反として保険金が支払われなかった。
▽通院歴があったが告知を行わなかったので、保険会社から告知義務違反であると言われた。
▽既往症を告知して保険契約したが、保険金請求時になって支払えないと言われた。
B保険金の支払いに関する相談等
▽怪我で障害状態となったが、高度障害保険金が支払われない。
▽120日間入院保険金が出るはずの保険契約で120日間入院したのに、60日分しか支払われなかった。
▽自動車修理にかかった費用を全額払ってもらえない。
▽自動車事故で自分に落ち度はないはずなのに、過失割合分として保険金額が減額された。


●金融庁、比較情報提供で監督指針改正案公表(07年4月11日)
 金融庁は保険商品の比較情報提供上の留意点を取りまとめ、「保険会社向けの総合的な監督指針」「少額短期保険業者向けの監督指針」の一部改正案を公表。
<改正の概要>
1.改正の趣旨:消費者が保険商品を選択する際に、適切な比較情報が提供されることは消費者が自らのニーズに合致した保険商品を選択・購入するために有用であると考えられる。一方で、比較情報の提供によって、消費者に誤解させるおそれもあることから、比較情報の提供を行うに際しての留意点等を明確化するため、監督指針について所要の改正を行うもの。
2.主な改正点:比較情報の提供を行うに際しての、一部比較や保険料に関する比較を行う場合の留意点、比較表示を行う主体に関する情報の明示に関する考え方について明確化する (保険会社向けの総合的な監督指針II−3−3−2、II−3−3−6、少額短期保険業者向けの監督指針II−3−3−2)。
3.実施時期:改正の日より適用する。
<改正条文の内容>
U−3−3 保険募集態勢
U−3−3−2 生命保険契約の締結及び保険募集
(5)法第300条第1項第6号関係
@保険契約に関する表示(告げることを含む。以下同じ)に関し、契約者の十分な理解が得られるような措置が講じられているか。商品の特性に応じた表示となっているか。なお、表示には次に掲げる方法により行われるものを含むものとする((6)において同じ。)。
ア パンフレット、ご契約のしおり等募集のために使用される文書及び図面
イ ポスター、看板その他これらに類似するものによる広告
ウ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送、映写、演劇又は電光による広告
エ インターネット等による広告
オ その他情報を提供するための媒体
A 比較表示に関し、法第300条第1項第6号に抵触する行為には次の事項が考えられる。
ア 客観的事実に基づかない事項又は数値を表示すること。
イ 保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示さず一部のみを表示すること。
(注1)「契約概要」を用いた比較表示(それぞれの「契約概要」を並べる方法により行う場合や、「契約概要」の記載内容の全部を表形式にまとめ表示する場合等)を行う場合は、保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示したものと考えられる。
(注2)比較表示(その記載内容を表形式にまとめ表示する場合を含む)を行うに際し、以下の各要件が全て充足されている場合には、保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示したものと考えられる。
a.比較表示の対象とした全ての保険商品について、比較表示を受けた顧客が「契約概要」を入手したいと希望したときに、その「契約概要」を速やかに入手できるような措置が講じられていること。
例えば、(a)比較表示の対象とした全ての保険商品について、比較表示と同時に「契約概要」が提供されること、又は、(b)比較表示の対象とした全ての保険商品について、インターネットのホームページ上に「契約概要」を表示できるようにすること、あるいは顧客からの要望があれば遅滞なく郵送等で要望のあった「契約概要」を交付できるようにすること等の体制を整備したうえで、これを顧客に周知すること、等が考えられる。
b.比較表示に関し、以下のような注意喚起文言が記載されていること。
・比較表には、保険商品の内容の全てが記載されているものではなく、あくまで参考情報として利用する必要があること。
・比較表に記載された保険商品の内容については、必ず「契約概要」やパンフレットにおいて全般的に確認する必要があること。
ウ 保険契約の契約内容について、長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にあるものを併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること。
エ 社会通念上又は取引通念上同等の保険種類として認識されない保険契約間の比較について、あたかも同等の保険種類との比較であるかのように表示すること。
(注)例えば、終身保険と定期保険のように保険期間の相違がある保険商品の比較を行う場合や、有配当保険と無配当保険の比較を行う場合等には、商品内容の相違を明確に記載する等、顧客が同等の保険商品と誤解することがないよう配慮した記載を行うことが求められる。
オ 現に提供されていない保険契約の契約内容と比較して表示すること。
カ 他の保険契約の契約内容に関して、具体的な情報を提供する目的ではなく、当該保険契約を誹謗・中傷する目的で、その短所を不当に強調して表示すること。
B 他保険会社の商品等との比較表示を行う場合には、(a)書面等を用いて次の事項を含めた表示が行われ、かつ、(b)他社商品の特性等について不正確なものとならないための措置が講じられているか。
(注1)(a)については、上記Aイ(注1)又は(注2)の要件を充足した場合には、当該要件を充足したものと考える。
(注2)保障内容や特約の内容に関して、比較する全商品にほぼ共通して存在すると認められる事由や、比較の対象とした保険種類であれば通常支払われるものと認められる事由については、記載内容から省略したことをもって直ちに「誤解させるおそれ」を生ぜしめるものではない。
ア 保険期間
イ 保障内容(保険金を支払う場合、主な免責事由等)
ウ 引受条件(保険金額等)
エ 各種特約の有無及びその内容
オ 保険料率・保険料(なるべく同一の条件での事例設定を行い、算出条件を併記する。)
カ 保険料払込方法
キ 払込保険料と満期返戻金との関係
ク その他保険契約者等の保護の観点から重要と認められるもの
C 保険料に関する比較表示を行う場合は、保険料に関して顧客が過度に注目するよう誘導したり、保障内容等の他の重要な要素を看過させるような表示を行うことがないよう配慮されているか。また、顧客が保険料のみに注目することを防ぐため、保険料だけではなく保障内容等の他の要素も考慮に入れた上で比較・検討することが必要である旨の注意喚起を促す文言を合わせて記載すること等、比較表の構成や記載方法等を消費者が誤解を招かないように工夫がされているか。
(注1)契約条件や保障内容の概要等保険料に影響を与えるような前提条件を併せて記載することが適切な表示として最低限必要と考えられる。
(注2)顧客の年齢や性別等の前提条件に応じ適用される保険料の相違が顕著である場合には、前提条件の相違により保険料が異なる場合があるので、実際に適用される保険料について保険会社等に問い合わせたうえで商品選択を行うことが必要である旨の注意喚起を促す文言を併せて記載することが適当と考えられる。
D 比較表示を行う主体がどのような者か(保険会社、専属代理店、乗合代理店、保険仲立人等)、比較の対象となった保険商品を提供する保険会社や代理店等との間に、提供する比較情報の中立性・公正性を損ない得るような特別の利害関係(例えば、強い資本関係が存在する等)を有していないか、どのような情報を根拠として比較情報を提供するのか、等について、比較表示を行う際に顧客に対して明示することが望ましい。
※「U−3−3−6 損害保険契約の締結及び保険募集、(5)法第300条第1項第6号関係の文面は上記同様のため、省略。


●金融庁、東京海上日動など損保10社を処分(07年3月14日)
 金融庁は、全損保会社48社が提出した第三分野商品の平成13年7月〜18年6月の過去5年間における保険金不払事案についての報告書を検証したところ、そのうち21社において不適切な保険金の不払いが認められた。うち10社には共通して第三分野商品の保険金支払管理態勢に重大な問題が認められ、保険金の不適切な不払いも多数に上った(10社計で3,585件、10億7千万円)ことから、第三分野商品の募集業務停止3ヶ月間(東京海上日動、日本興亜損保)などの行政処分を行った。
<10社の不適切な不払事例>
(1)保険責任開始以前の発病(始期前発病)について、約款上は医師の診断により始期前発病が認定された場合に保険会社の免責が適用されることとなっているが、この始期前発病の取扱いについて、社員が医師の診断に基づかずに判定を行う等、免責が不適切に適用された事例:1,213件・34%
(2)契約者から保険加入時に告知されなかった病歴等と保険金請求原因との間に因果関係がないにもかかわらず告知義務違反を適用して不払いとしたり、保険会社が除斥期間経過後に解除を行う等、告知義務違反を理由とする不払いが不適切に行われた事例:1,210件・34%
(3)特定の疾病を不担保とする特約が付されていないにもかかわらず、社員が特約は付されていると錯誤する等により、不担保特約を不適切に適用した事例等:252件・7%
(4)その他、顧客が保険金の請求を放棄する旨意思表示をしたとして不払いとしている事案につき、経緯が検証できない事例等:910件・25%
 これらは、保険業法第4条第2項第2号に掲げる事業方法書、同項第3号に掲げる普通保険約款に定めた事項等に基づいた保険金支払業務が適切に行われていなかったものと認められる。
<各社の行政処分事由>
 以上の事実及び各社毎に異なる不払いの実態・特性を踏まえつつ、本日、保険業法第132条第1項、第204条第1項の規定に基づき、次の損保会社に対し、以下の内容の行政処分を行った。
T、東京海上日動、日本興亜損保については、以下が認められたため、下記1、2(1)、3、4、5、6、7、8及び9の命令を発出した。
▽不適切な不払いの重大性等:保険金不払いの件数・金額が著しく多く、契約者等の被害の程度は非常に深刻であった。また、過去五年間に亘り、継続的に保険金の不払いが発生し、反復性等が強く見られた。
▽経営管理態勢・業務運営体制の適切性:約款に反する取り扱いによる不払いが極めて多数発生するなど法令等遵守態勢に重大な問題が生じている。このような事態が発生していたにもかかわらず、内部監査部門を始めとする同社の関連部門は問題を認識していない。経営陣も不払いが発生していた事態を把握していなかった。
▽処分軽減事由:昨年夏に問題を認識して以降、規定・マニュアルの整備や不払事案の検証態勢の整備等一定の業務改善を進めつつある。
Uあいおい損保、富士火災、共栄火災、日新火災については、以下が認められたため、下記2(2)、3、4、5、6、7、8及び9の命令を発出した。
▽不適切な不払いの重大性等:多数の保険金の不払いが発生しており、契約者等の被害の程度は大きい。また、過去五年間に亘り、継続的又は断続的に保険金の不払いが発生し、反復性等も見られた。
▽経営管理態勢・業務運営体制の適切性:保険金支払担当者の育成が不十分であるなど保険金支払管理態勢には大きな不備があった。さらに経営陣は不払いの発生を把握していなかった。
▽処分軽減事由:昨年夏に問題を認識して以降、規定・マニュアルの整備や不払事案の検証態勢の整備等一定の業務改善を進めつつある。
Vニッセイ同和損保、日立キャピタル損保、アメリカン・ホーム保険、AIU保険については、下記3、4、5、6、8及び9の命令を発出した。
▽不適切な不払いの重大性等:相当数の保険金不払いが発生しており、契約者等の被害が生じていた。
▽経営管理態勢・業務運営体制の適切性:保険金支払管理態勢は必ずしも十分に機能していなかった。
▽処分軽減事由:昨年夏に問題を認識して以降、規定・マニュアルの整備や不払事案の検証態勢の整備等一定の業務改善を進めつつある。
<行政処分の内容>
1.第三分野商品に係る保険契約の締結及び保険募集の業務について停止すること(ただし、自動継続による契約の更新に係るものを除く。)。期間は平成19年4月2日から7月1日まで(3ヶ月間)。
2.新規の第三分野商品の認可の申請、既存の第三分野商品の改訂の届出、他の保険会社等金融機関の代理・代行業務の認可の申請に関する業務について停止すること。
(1)期間:平成19年3月15日から6月14日まで(3ヶ月間)
(2)期間:平成19年3月15日から4月14日まで(1ヶ月間)
3.経営管理(ガバナンス)態勢の改善・強化
@保険金の不適切な不払いが生じないような適正な業務運営態勢の整備に経営陣が関与する態勢を構築すること。
A保険金の不払い状況に係る問題についても、適切に実態を把握し、改善が行われる実効性のある内部監査態勢を構築すること。
4.保険金支払管理態勢の改善・強化
@公正かつ的確な審査体制・手続きの確立を含め第三分野商品に係る保険金支払管理態勢を整備すること。
A第三分野商品に係る保険募集業務、保険金支払業務等の顧客対応に係る全ての業務の検証を行った上で、適切な業務運営を行うための規定・マニュアル等の必要な見直し・改善を行うこと。
B第三分野商品に係る支払事務関係者に対する教育を徹底すること。
C判明した保険金の不適切な不払いについて、迅速かつ適切な顧客対応を図るための態勢を整備すること。
5.契約者保護、契約者利便の改善・強化
@第三分野商品に係る適切な保険募集や顧客説明を行うための社員及び代理店に係る管理態勢を確立すること。
A苦情を含む商品販売後の事後検証を可能とする実効性のある態勢を整備すること。
B苦情に関する情報等の透明性を図ること。
6.法令等遵守態勢の改善・強化
@法令等遵守態勢の見直し・改善を図ること。
A法令等遵守の企業風土を醸成させるための徹底的な研修の実施及びその後の定期的なフォローアップ研修の実施を図ること。
7.上記の業務停止命令、業務改善命令を受けるに至ることになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。
8.上記に係る事項等に関して平成19年4年13日までに、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を提出すること。
9.業務改善計画の実施完了までの間、計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、第一回目の報告は平成19年7月13日までに、それ以降については6ヶ月毎に報告すること。


●金融庁、損保第3分野不払事案の調査結果公表(07年3月14日)
 金融庁は14日、損保会社の第三分野商品に係る保険金の不払事案の調査結果を公表。金融庁は平成18年7月14日付で保険業法第128条等に基づく報告徴求を実施、全損保会社48社はこれを受け、10月31日付で報告書を提出。48社のうち21社から、計5,760件、約16億円が不適切な不払いとして報告された。調査対象の第三分野商品は、医療保険、がん保険、所得補償保険、医療費用保険、介護費用保険等(海外旅行傷害保険を除く)。また、疾病又は介護を支払事由として保険金を支払う特約条項も含む。
< 第三分野商品に係る不払事案の検証結果>
全ての損害保険会社48社から提出された第三分野商品に係る不払事案の調査結果の概要は以下のとおり。
(1)不適切な不払事案の件数及び金額:48社のうち21社から、計5,760件、約16億円が不適切な不払いとして報告された。なお、48社のうち27社から、第三分野商品の不適切な不払事案は無いとの報告があった。うち22社は第三分野商品を取り扱っていない、またそれ以外の5社からは第三分野商品は扱っているが不適切な不払事案がないとの報告があった。
(2)不適切な不払事案の概要:報告された不適切な不払事案は、他の損保商品とは異なる第三分野商品の特性である「保険責任開始以前の発病(始期前発病)」「告知義務違反解除」の取扱いにかかる事案が全体の約7割を占めている。
▽支払事由非該当(始期前発病等)43%、▽告知義務違反26%、▽免責事由該当8%、▽その他23%
@支払事由非該当(始期前発病等)に関する事例【2,478件、43%】:始期前発病について、約款上は医師の診断により始期前発病が認定された場合に保険会社の免責が適用されることとなっているが、この始期前発病の取扱いで社員が医師の診断に基づかずに判定を行う等、免責が不適切に適用された事例。
A告知義務違反解除に関する事例【1,519件、26%】
a告知事項とは因果関係のない保険事故にもかかわらず、告知義務違反を適用し不払いとしていた事例等。
b被保険者等の故意又は重過失の認定が不十分なまま、告知義務違反を適用し不払いとしていた事例等。
c告知の重要性や正しい告知がなかった場合の取扱いについて、契約締結時の説明が不十分であり、会社側に過失があるにもかかわらず、告知義務違反を適用し不払いとしていた事例等。
d保険会社が除斥期間経過後に解除を行う等、告知義務違反を理由とする不払いが不適切に行われた事例。
B免責事由該当に関する事例【460件、8%】:告知があった際に付すべき不担保特約等の付帯を保険会社が行っていないにもかかわらず、保険金請求が行われた際に、不担保特約が付帯されている事案として不払いとしていた事例等。
Cその他の事例【1,303件、23%】
a約款に根拠のない任意解約、取消等の方法により保険契約を終了させており、支払事由の不存在について厳密な検証を踏まえているかどうか、必ずしも明確ではない事例等。
b被保険者等から保険金請求を放棄する旨意思表示があったとして不払いとした事案について、社員が被保険者の請求放棄の意思確認を行った経緯・理由等が記録に残されておらず、十分な検証ができない事例等。
<第三分野商品に係る不適切な不払いが発生した主な原因>
(1)支払管理態勢の問題
@第三分野商品の特性として留意すべき要素(始期前発病の判断、又は健康状態告知の認定等)を勘案しない不十分な支払査定マニュアル等が用いられていた。不払いとする際の認定基準や手続きも確立されておらず、支払判断が担当者の裁量に大きく委ねられていた。
A請求原因となっている疾病と契約上不担保としている疾病の病名が異なるにもかかわらず、同一の疾病と推測・誤認するなど、担当者の医療知識等が不足していた。
B第三分野商品の特性等に配慮した研修・教育・指導が不足していた。支払査定担当者等の人材育成も不十分であったため、担当者等の約款・マニュアル等に対する理解が不足したまま支払業務が行われていた。また、支払査定実務における調査・事実確認が徹底されていなかった。
C保険金支払管理部門等が行っている事後検証については、第三分野商品の特性を踏まえた検証が行われていなかった。苦情を通じた検証も有効に機能していなかった。したがって、事後検証の機能発揮は不十分なものとなっていた。
(2)商品開発管理態勢の問題
@他の損保商品とは異なる第三分野商品の特性を深く研究することなく、商品開発を行っていた。運用面での取扱いの検討も不十分であった。
A第三分野商品の約款解釈・支払事由の明確化やマニュアル等の整備に際し、商品開発部門とシステム部門、支払管理部門等との相互連携が不十分であった。また、関連部門の相互連携が不十分なことにより、告知義務違反解除の事務手続き等において、約款に沿った実務が行われていなかった。
(3)内部監査の問題
 第三分野商品の特性を踏まえた内部監査が行われていなかった。したがって、多数の不適切な不払いが発生している事実を内部監査部門は把握していなかった。
<各社における改善策>
 上記の発生原因分析を踏まえて、以下のような改善策を講じつつある(一部については、既に実施済みの会社もある)。
(1)支払査定マニュアル・規程等の整備:始期前発病又は健康状態告知等の第三分野商品の特性を踏まえ、適切な業務運営を行うための支払査定マニュアル等を整備し、支払査定実務の適正化を図る。
(2)第三分野商品の支払査定担当者等への研修・教育の強化:第三分野商品に関する約款の正しい理解・解釈をはじめとして、支払査定担当者等の専門知識水準の向上と均質化等を図るための研修・教育を充実・強化する。
(3)不払事案の検証態勢の整備:不払事案の適切性について、社内チェックを重層化する。また、高度な医的判断や法的判断を要する不払事案に対応するため、社外の専門家(医師、弁護士等)を加えた審査機関を設置する。
(4)苦情事案への対応:苦情を一元的に管理し、個別事案への迅速な対応や苦情発生に至った原因分析等を行う。また、その結果を経営陣へ速やかに報告するとともに、経営陣の関与の下、問題解決や再発防止策の策定を行う態勢を整備する。
(5)支払査定業務の効率化:第三分野商品の支払査定業務の集中化により、一元的な処理を行うとともに、支払査定部門に適切かつ十分な規模での人員配置を行う。
(6)内部監査態勢の強化:内部監査部門の要員増強を行う。また、第三分野商品の特性を踏まえた適切な業務運営を行っているかどうかについて、重点的な監査を実施する。


●三井住友海上への業務停止命令を解除(07年2月23日)
 金融庁は6年6月21日付で三井住友海上に対して発令した業務の一部停止命令を解除した。
 同社には、@新規の保険契約の締結及び保険募集の業務についての停止命令(平成18年7月10日〜7月23日)、A第3分野商品に係る保険契約の締結及び保険募集の業務についての停止命令(平成18年7月10日から、第三分野商品に係る経営管理態勢、保険金支払管理態勢及び商品開発管理態勢の抜本的な改善が確認されるまでの間)、B新規の保険商品の認可の申請、既存の保険商品の改訂の届出、他の保険会社等金融機関の代理・代行業務の認可の申請等に関する業務についての停止命令(平成18年6月22日〜平成19年6月21日までの1年間。ただし、平成18年12月22日以降、経営管理態勢、保険金支払管理態勢及び商品開発管理態勢の抜本的な改善が確認される場合にはそれまでの間)、C外国における子会社の設置認可の申請並びに外国における支店・事務所・駐在員事務所の設置及び外国における合弁会社の設立の届出に関する業務についての停止命令(平成18年6月22日〜9月21日)、Dガバナンスの改善・強化、保険金支払管理態勢の改善・強化等、契約者保護、契約者利便の改善・強化及び法令等遵守態勢の改善・強化に係る業務改善命令―が発令されていた。
 金融庁は、平成18年7月21日付で提出した業務改善計画の進捗・実施状況報告を基に検証を行ってきたが、第3分野商品に係るものを含む経営管理態勢、保険金支払管理態勢及び商品開発管理態勢の抜本的な改善が概ね図られたものと認められたことから、2月23日付で業務停止命令を解除した。


●4月1日から「意向確認書面」義務付け(07年2月22日)
 金融庁は06年12月5日付公表の「保険会社向けの総合的な監督指針」「少額短期保険業者向けの監督指針」の一部改正案について、07年1月9日までの間に行ったパブリックコメント(187件)を踏まえて修正し、2月22日付で各財務局に発出した。これにより保険会社に対して、消費者が、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客のニーズに合致した内容であることを確認する機会を確保するための体制整備の明確化が求められることとなり、4月1日から、契約申し込み時の「意向確認書面」の作成が義務付けられる。

●金融庁、生保全社に未払調査報告命令(07年2月1日)
 金融庁は2月1日、全生保会社に対して、過去5年間(13年度から17年度)に保険金等の支払事由が発生した事案に関し、追加的な支払いを要するものの件数・金額等について、保険業法第128条等に基づき19年4月13日までに報告するよう命令した。一部の生保会社の社内調査で、@給付金の請求に必要な診断書に入院と手術の記載があったが、「手術欄」ではなく「経過欄」に記載があった手術名を見落とした結果、入院給付金のみ支払い、手術給付金を支払っていない事例。Aがんに罹患した被保険者に対して入院給付金を支払ったが、三大疾病特約の支払事由に該当するかを確認しないまま、当該特約保険金を支払っていない事例――が発覚したことから、今回の措置となった。
 金融庁は、生保各社は早急に保険金等の支払状況の検証を行い、本来支払うべき保険金等で支払っていないものが認められる場合には、それを解消するために追加的な支払いを行うことが必要とし、さらに、追加的な保険金等の支払いを要するに至った原因分析等を行い、早急に再発防止策等を策定する必要があるとしている。


●損保30社に火災保険募集態勢の点検要請(06年12月20日)
 金融庁は20日、損保30社に対し、火災保険の適正な募集態勢等にかかる点検要請を行った。
<火災保険募集態勢の点検要請について>
1.保険分野においては販売勧誘に関する苦情が依然として多く、保険商品の多様化・複雑化により消費者に商品内容が理解しづらいものとなっている等の指摘がなされている。特に、火災保険においては保険料の算出や保険金額の設定についてさまざまな指摘がなされている。
 損保会社の火災保険の募集態勢等については、@保険料の計算に際し、建物の耐火性能に応じた保険料率を適切に適用する、A保険料の計算に際し各種割引等を適切に適用する、B保険金額を正しく設定するため、適切な態勢整備がなされているかについて、調査を行う必要がある。
2.このため、金融庁は火災保険を引受けている損保会社30社に対し、適正な募集態勢を確認する観点から、以下の事項について要請する。
 @火災保険について、保険会社向けの総合的な監督指針U−3−3−5に規定する適正な損保募集態勢、U−3−3−6に規定する損保契約の締結及び保険募集のうち、代理店等に対する指導態勢及び顧客への説明態勢が整備されているか、その結果、適正な保険料が算出されているかどうかについての点検。
 A上記@にかかる点検について、その対象範囲、点検方法、点検完了予定時期について金融庁宛てに報告。
 B効果的な再発防止策の策定・実施
 C顧客への適切な対応
 また、損保協会、外国損保協会に対し会員各社の適切な取組みを確保するよう要請した。


●国民生活センター、医療保険トラブルで要望(06年12月8日)
 国民生活センターは医療保険をめぐる相談例から問題点を発表するとともに、生保協会・損保協会に対し、保障内容の透明化・簡素化、消費者不利益の改善、説明責任の履行などを要望。
<医療保険の保障内容に関するトラブルについて>
〈実施の理由〉
 万が一の入院や手術などによる医療費の支出に備えるために、医療保障に重点を置いた医療保険に対する消費者の関心が高まっている。一方、消費者から国民生活センターや全国の消費生活センター等に寄せられる医療保険に関する相談は近年急増しており、その内容は「保険金が支払われない」という苦情が多い。
 相談事例をみると、告知義務違反による契約の解除を広く適用するなど、保険会社が本来支払うべき保険金を支払っていなかったことによるトラブルのほか、消費者が期待や理解をしている保障の内容と、実際に保険会社が保障する内容に大きなズレが生じていることによるトラブルも目立つ。このズレは、保険会社の営業職員や代理店による説明不足、約款の分かりにくさ、消費者に知らされていない社内規定の存在といった主に保険会社側の問題によって、消費者が保障の内容を十分に理解できないまま保険契約をしてしまっていることにある。
 そこで、国民生活センターでは、医療保険の保障内容に関するトラブルにみられる保険会社の問題点を指摘するとともに、こうしたトラブルを防止するために消費者が注意すべき点について情報提供することとした。
〈PIO-NETからみた医療保険に関する相談の概要〉
 PIO-NETによると、医療保険に関する相談は、2001年4月から2006年10月までの間に6,225件寄せられており、年々増加傾向にある。2006年度は、相談件数が急増した2005年度をさらに上回る水準で相談が寄せられている。
〈相談事例からみた問題点〉
(1)営業職員や代理店における保障内容の説明不足・理解不足
(2)パンフレットやテレビ広告における保障内容の説明不足
(3)契約時に約款が消費者の手もとにない、約款やパンフレットの内容が分かりにくい・読みにくい
(4)消費者に知らされていない社内規定が存在する
(5)契約後の情報提供・注意喚起が不十分
(6)「保険金等を支払わない」という決定について、消費者が納得できる説明がされていない
〈消費者へのアドバイス〉
(1)新たな医療保険の検討にあたっては、まず、公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)や、既に加入している医療保険でどこまで保障されるか確認し、必要性の有無を判断すること。
(2)その際には、「どのような場合に、いくら保険金が支払われるか」だけでなく、「どのような場合に支払われないか」についても保険会社に確認し、保障の内容を十分に理解したうえで契約すること。
(3)保障の内容をいつでも確認できるよう、約款やパンフレットなど保険会社から受け取った資料は大切に保管しておくこと。保険契約は長期にわたることが多いので、転居時などの紛失等に気を付けること。
(4)保険を契約する際、病歴や通院歴を営業職員に口頭で告げただけでは、保険会社に正式に告知したことにはならない。また、営業職員や代理店から「病歴や通院歴を告知書に記入する必要はない」などと言われて、そのままにしてしまうと、告知義務違反により契約を解除され、保険金が支払われなくなることもあるので、正しく告知すること。
(5)トラブルにあったら、最寄りの消費生活センター等に相談すること。
〈業界団体への要望〉
(1)保険商品の多様化・複雑化により、今後、実際の保障内容と消費者の期待・理解とのズレが広がり、消費者トラブルが拡大していくおそれがあるため、例えば、公的な医療保険で対象になる手術は支払対象とするなど、保障内容の透明化・簡素化に努めてほしい。
(2)保険会社の説明や約款の内容などにより、保障内容について消費者の誤解を招いたときは、保険会社はそのことを考慮した上で支払いの可否を決定し、消費者が一方的に不利益を被る結果にならないようにすること。
(3)社内規定など、保険金の支払いの可否について定めているものはすべて、消費者が常に確認できるようにすること。
(4)販売・勧誘時だけでなく保険期間を通じて、保険金が支払われるケース・支払われないケースや、特に、実際には支払われないのに、消費者が支払われると期待・理解しやすい部分について、継続的な情報提供・注意喚起を行うこと。
(5)支払事由、免責事由など支払いに関する事項の説明、約款の平易化、広告表現の見直しなど、消費者が適切な情報提供を受け、保障内容について正確に理解したうえで契約できるよう、より一層の説明責任を果たすこと。
〈要望先〉生命保険協会、日本損害保険協会、外国損害保険協会
〈情報提供先〉金融庁監督局保険課


●意向確認書面などで監督指針改正案公表(06年12月5日)
 金融庁は「保険会社向けの総合的な監督指針」「少額短期保険業者向けの監督指針」の一部改正案を公表。改正の趣旨は、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客のニーズに合致した内容であることを確認する機会を確保するための体制整備の明確化、保険持株会社の子会社等にかかる業務範囲の明確化、保険商品審査上の留意点等に関する手当てのため、両監督指針を改正する。
<主な改正点>
(1)契約の申込みを行おうとする保険商品が、顧客のニーズに合致した内容であることを確認する機会を確保するための体制整備の明確化
 保険分野の 販売勧誘に関する苦情が依然として多いこと、保険商品の多様化・複雑化により消費者に商品内容が理解しづらいものとなっていること等の指摘がなされていることを受け、06年3月に「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」が公表した「中間論点整理〜適合性原則を踏まえた保険商品の販売・勧誘のあり方〜」を踏まえ、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客のニーズに合致しているものかどうかを、顧客が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、顧客のニーズに関して情報を収集し、保険商品が顧客のニーズに合致することを確認する書面「意向確認書面」に記載すべき事項、その記載方法等について保険会社に求められる体制整備の内容を明確化する。
(2)保険持株会社の子会社等にかかる取扱いの明確化
 保険持株会社が保険業法第271条の22第1項に掲げる会社以外の会社をその子法人等(子会社を除く)及び関連法人等とする場合については承認手続きの必要がないこと、その際の留意事項について明確化する。
(3)保険商品審査上の留意点等に関する所要の手当て
@日本アクチュアリー会への委託業務の見直しに関する措置:責任準備金の計算の基礎となる係数(予定死亡率)について、新たにその水準の妥当性についての見直しに関する措置を定めるとともに、その結果を公表することを促すこととする。
A普通保険約款及び特約の平明化及び簡素化にかかる措置:06年6月に「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」が公表した「最終報告〜ニーズに合致した商品選択に資する比較情報のあり方〜」を踏まえ、「消費者利便・消費者保護の観点に立った約款の平明化・簡素化」を促すこととする。
Bその他所要の規定の整備:第三分野用の標準生命表の新設に伴う規定の削除など所要の規定の整備を行う。
〈実施時期〉
 上記(1)については、平成19年4月1日より適用する。ただし、各保険会社等においてこの日までに対応できない事情がある場合には、対応できない部分につき平成19年9月30日までその実施の猶予を認める。上記(2)(3)については改正の日より適用する。ただし、(3)のうち、第三分野用の標準生命表の新設に伴う措置については平成19年4月1日より適用する。


●ファイナンシャル・セキュリティ社に損保事業免許(06年11月29日)
 金融庁は11月29日付でアメリカの「ファイナンシャル・セキュリティ・アシュアランス・インク」に対し、保険業法第185条第1項の規定に基づき外国損害保険業の免許を付与。
<ファイナンシャル・セキュリティ・アシュアランス社の概要>
(1)商号:ファイナンシャル・セキュリティ・アシュアランス・インク
(2)本店所在地:アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市52丁目西31番地
(3)設立年月日:1984年3月16日
(4)日本における代表者:塩谷和彦
(5)店舗所在地:東京都千代田区丸の内2‐1‐1 明治生命館5階

●金融庁、大同火災に業務改善命令を発出(06年11月24日)
 金融庁は24日、05年度決算報告で不適切な対応を行ったとして、保険業法第132条第1項の規定に基づく業務改善命令を発出した。
<問題点と改善命令の内容>
1.大同火災からの不祥事件届出及び保険業法第128条第1項に基づく同社からの報告により、以下のような事実が確認された。
(1)平成17年9月期中間決算について、経営陣は内容に誤りがあることを認識していながら、影響額が不明であること及び提出期限を優先したことから、金融庁に対して誤りの事実を報告せず、不適切な内容のまま法令等に基づく報告書を提出していた。なお、平成18年3月期決算においては、中間決算での誤りを修正したうえで決算処理を行なっている。
(2)中間業務報告書等の提出後の常務会及び取締役会において、「法令等に基づく報告書について、内容に誤りがあることを認識したが、影響額が判明した時点で修正報告することとし、不適切な内容のまま金融庁へ提出した」事実が報告されたが、取締役、監査役は法令等遵守の観点による必要な措置を講じなかった。
(3)同社から社外へ提出した報告書等におけるデータの総点検を行なった結果、複数(平成14年度〜平成17年度で122件)の不適切な処理が判明した。これらの殆どは、入力・転記ミス等による人的ミスであり、多くは担当者間の相互チェック未実施等によるものであった。
2.こうした事例が発生した要因として、以下の法令等遵守態勢、経営管理態勢及び業務運営態勢等に欠陥があることが認められた。
(1)法令等に基づく報告書等の提出に際し、報告担当部署はコンプライアンス部門と連携を図っておらず、また、経営陣は報告書の内容に誤りがあると認識していながら、法令に則した検討を行なわず誤った判断を行なう等、法令等遵守に対する認識と取り組みが不十分なこと。
(2)取締役の法令等遵守態勢、監査役の監査機能が欠如していること。
(3)データ相互チェック体制、管理職による業務監督、部署間の連携等が不十分であり、また、必要な社内規程等が未整備であるなど、業務運営態勢が不十分となっていること。
(4)業務運営態勢が不十分であることを経営陣が把握できておらず、必要な改善措置が図られてこなかったなど経営管理態勢が不十分となっていること。
3.下記の内容の業務改善命令を発出した。
(1)法令等遵守態勢、経営管理態勢及び監査役の機能発揮にかかる改善・強化
@取締役の法令等遵守態勢を確立するとともに、監査役による牽制機能が実効性あるものとなるよう改善を図ること。
A各種社内規程の整備を行うなど、適切な業務運営態勢が確保されるよう経営管理(ガバナンス)態勢の強化を図ること。
(2)業務運営態勢等の整備・改善
@データ管理をはじめ全ての業務について、相互チェック態勢、関連部署間の連携、社内規程の整備状況等が適切なものとなっているか早期に点検を行い、問題があるものについては直ちに是正するとともに、各部署における管理職等職員の資質の向上を図り、適切な業務運営態勢を確立すること。
A内部監査態勢及び法令等遵守態勢について、継続的に実効性あるものとなるよう、整備・改善を図ること。
(3)上記の業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。
(4)上記(1)から(3)について、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を平成18年12月25日(月)までに提出すること。この改善計画の策定に当たっては、全社統一的な視点での検討を踏まえるとともに、計画実施のための明確な体制及び責任分担を併せて記載すること。
(5)業務改善計画の実施終了までの間、計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、改善計画提出後6ヶ月が経過するまでについては3ヶ月毎に、それ以降については6ヶ月毎に報告すること。


●金融庁、損保会社に支払漏れ再調査指示(06年11月17日)
 金融庁は、付随的な保険金の支払漏れが判明した損害保険会社26社に対して、平成17年11月25日付で業務改善命令を発出し、その中で保険会社として過去の保険金の支払漏れの遺漏がないように検証できる体制を整備することを求めてきた。平成18年8月11日に、各社の業務改善の状況をフォローアップする一環として、付随的な保険金の支払漏れについて最終的な件数等について報告するよう各社に対して報告徴求し、9月29日に各社から検証結果の報告を受けた。これまで約14万件、約103億円の支払漏れが追加的に判明し、昨年の報告徴求との合計で約32万件、約188億円となっている。
 しかしながら、各社の調査内容・体制等について確認を進める過程において、保険契約者・被保険者への適切な保険金の支払の観点からは、付随的な保険金の支払漏れに係る検証は完了していないとの事実が多数認められた。
 例えば、臨時費用保険金の支払漏れについては、支払漏れを調査する部門と商品開発部門との間で連携が取れておらず、支払漏れの可能性がある臨時費用保険金を未だに把握しきれていない会社が複数見受けられる。また、自動車保険において、保険事故が発生した状況に応じて複数の保険種目が同時に支払われるべき場合が存在し、一方の保険種目が支払われているにも関わらず他方の保険種目の支払が漏れている組合せが存在する。これらの様々な組合せについて調査を完了した会社は殆どなく、大多数の社において調査が途中か、あるいは9月29日に検証結果を報告した後に当局の指摘を受けて調査を開始した。
 金融庁は、現在、なお付随的な保険金について支払漏れの有無の検証が完了していないことは誠に遺憾であり、該当する会社においては早急に検証を行い、支払漏れが認められる場合には被保険者に対する追加支払を行うことが必要とし、付随的な保険金の支払漏れについて調査が最終的に完了する時期及びその根拠等につき、保険業法第128条等に基づき平成18年12月8日(金)までに報告を求めた。


●ソルベンシー・マージン比率見直し検討開始(06年11月17日)
 金融庁は、「金融改革プログラム」に則って保険会社のソルベンシー・マージン比率の算出基準等について検討するため、11月20日、検討チームによる第1回検討会を開催する。学者、アナリスト、ファイナンシャルプランナー、公認会計士、生損保業界の実務者からなる標記検討チームで、ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する現行の問題点、今後のあり方についての意見聴取を行い、平成19年3月を目途に議事内容を取りまとめた報告書を作成する。
<見直しの趣旨>
(1)ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が通常の予測を超えて発生するリスクに対し、どの程度の支払余力を有しているかを示す指標として、平成8年の保険業法改正時に導入されたものである。これまでも適時必要な見直しを行ってきたが、保険会社の財務体質の強化やリスク管理の高度化を図る観点から、現下の金融市場実勢と乖離したものとなっていないか精査していく必要がある。
(2)見直しに当たっては、近年の保険商品の多様化、資産運用技術の発展、リスク管理手法の高度化などによる実態を踏まえるとともに、現在、議論されている国際会計基準等における保険負債の時価評価をめぐる動向も見極める必要がある。


●無届け特定保険業者の実態把握へ(06年11月8日)
 改正保険業法の施行により、平成18年4月から「少額短期保険業」制度が導入され、9月末までに全国で389団体が特定保険業者の届出をした。金融庁は、特定保険業者の監督に当たっては、保険契約者等の保護を図る観点から、継続的な情報収集等により、特定保険業を健全かつ適切に遂行する上で問題となる事象を早期に発見するとともに、必要に応じて監督上の措置を適時適切に行うことが重要とし、特定保険業者の監督事務を委任している各財務局に対し、「保険会社向けの総合的な監督指針(少額短期保険業者向けの監督指針)」に基づき適切な対応を取るよう指示を行った。
<財務局への指示内容>
1.特定保険業者の届出をしない者への対応
 特定保険業者に該当している(該当すると推測される場合を含む)業者に対しては、監督指針「X.経過措置期間の留意点等(5)特定保険業者の届出をしない者への対応」において準用する「V−1−1無登録等業者に係る対応」に基づき、以下の対応等をとる。
@無届けで保険業を行っている疑いのある者等を把握した場合は、業務内容を調査するなど、積極的にその実態把握に努める。
A調査した結果、無届けで保険業を行っていることが判明した場合には、文書により警告を行うとともに、直接、電話や面談等で接触し是正を求める。また、捜査当局等関係当局との連携に努める。
2.特定保険業者の実態把握等
 特定保険業者の届出を行った者に対しては、以下のように、監督指針「X.経過措置期間の留意点等(1)特定保険業者の届出」等に基づき業務運営等について実態把握を速やかに行うとともに、必要に応じて「(4)特定保険業者に対する行政処分」に基づき、監督上の対応を検討すること。
@届出書等の内容を確認し、法の規定に基づく対応状況(業務運営に関する措置、募集行為に関する禁止行為、個人情報管理及び業務委託)について問題ないか検証するとともに、保険契約者等の保護等の観点から財務状況及び保険契約の内容について確認するなど、業務内容に問題がないか等を検証する。
A届出内容の検証の後も、必要に応じて、特定保険業者に対しヒアリングを行うなど業務運営等に関する実態把握に努める。
B上記の実態把握に基づき、問題があると認められる場合には、必要に応じて保険業法に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、監督上の対応を検討する。
3.特定保険業者の円滑な移行への配慮
 特定保険業者が平成20年3月末の移行期間終了までに、例えば少額短期保険業者の登録を行う等、適切な移行ができるよう、監督指針「X.経過措置期間の留意点等」等に沿って、各特定保険業者の実態に即して、相談等に応じる。


●金融サービス利用者相談室の第2四半期受付状況(06年10月31日)
 金融庁は「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:平成18年7月1日〜9月30日)を公表。利用者からの相談等は専門の相談員が電話で対応している。相談員は問題点を整理するためのアドバイスを行ったり、業界団体が開設している紛争処理機関等を紹介している。なお、寄せられた相談等の内容や処理状況等については金融庁内の関係部局に回付し、検査・監督等の参考として活用している。当期に受け付けた情報提供では、保険募集人等の不適正な行為(不告知の教唆、保険料の立替、無断作成契約、名義借り等)に関するものを当該金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング、報告徴求、行政処分等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用している。

<受付状況>
 平成18年7月1日から9月30日までの間に13,475件の相談等が寄せられ、うち保険商品等に関するものが4,562件(34%)。内訳は、個別取引・契約における顧客説明及び個別取引・契約の結果に関するものが2,625件(58%)(うち保険金の支払に関するもの2,045件)、金融機関の態勢・各種事務手続に関するものが815件(18%)(うち保険金請求時等における保険会社の対応に関するもの511件)等となっている。
 業態別では、損害保険会社に関するものが2,570件(56%)、生命保険会社に関するものが1,336件(29%)、その他656件(14%)。今期の受付件数は、前期に行った損害保険会社に対する行政処分の実施や損害保険会社の付随的な保険金の支払漏れに係る一斉点検等を背景として、保険金の支払いに関する相談等が大幅に増加(1,353件→2,045件)したことから、前期に比べて増加(3,882件→4,562件)した。

<保険商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス>
@保険内容の顧客説明に関する相談等
【利用者からの主な相談事例】
〈保障内容等〉
▽保険金を請求したところ、約款の免責事由に該当するため支払われないと言われた。契約時には、そのような説明は受けていない。
▽2社の医療保険に加入しており、手術をしたところ、A社からは保険金が支払われたのに、B社からは支払われなかった。手術によっては保険金が出ない場合があるとはB社から聞いていなかった。
〈保険金額等〉
▽20年前に契約した保険が満期となったが、契約時に説明があった満期時の受取金額が満額支払われない。
【相談室からのアドバイス等】
▽商品の説明をよく聞き、内容を理解する。不明な点があれば必ず確認する。また、口頭の説明を聞くだけにとどまらず、約款やパンフレット等の商品説明資料で確認する。
▽同じような保険商品であっても保険会社によって保障内容は異なることがあることに注意する。
▽保険金額等の受取額について、保険契約期間中に変動することがあるもの(満期金、配当金など)は何かを確認する。また、その場合、どのように変動するのかも併せて確認する。
▽保障内容について、メリットの説明だけ聞いて済ませるのではなく、どこまでが保障され、どのような場合には保障されないのかについても確認する。
A告知義務に関する相談等
【利用者からの主な相談事例】
〈事実の不告知〉
▽入院歴があることを募集人に伝えたところ、告知しなくてよいと言われたのでそのまま契約したが、保険金請求時になって告知義務違反として保険金が支払われなかった。
▽通院歴があったが告知を行わなかったので、保険会社から告知義務違反であると言われた。
〈保険契約の引受条件〉
▽既往症を告知して保険契約したが、保険金請求時になって支払えないと言われた。
【相談室からのアドバイス等】
▽保険加入時における告知書には正確に回答する。事実と相違した告知をすると告知義務違反となり、保険金が支払われないことがある。
▽病歴等を告知した上で保険契約しようとする場合、特別な契約条件(免責事由の追加、保険料の割増等)がつく場合がある。病歴等を告知した上で保険会社が保険契約の引受を承諾した場合、どのような契約条件がついているのかを確認する。
B 保険金の支払いに関する相談等
【利用者からの主な相談事例】
〈支払認定〉
▽怪我で障害状態となったが、高度障害保険金が支払われない。
▽120日間入院保険金が出るはずの保険契約で120日間入院したのに、60日分しか支払われなかった。
▽自動車修理にかかった費用を全額払ってもらえない。
▽自動車事故で自分に落ち度はないはずなのに、過失割合分として保険金額が減額された。
【相談室からのアドバイス等】
▽個別の契約に係るトラブルについては、保険会社から十分に説明を受け、保険会社とよく話しあう。それでも解決が図られない場合は、生命保険協会生命保険相談所又は日本損害保険協会そんがいほけん相談室に相談する。金融庁では、個別の保険事故について、約款に定められた保障内容に該当するか否かや、支払われるべき保険金がいくらになるかの判断はできない。


●ベルル生命医療保障共済会に業務停止命令(06年10月23日)
 10月23日、四国財務局はベルル生命医療保障共済会(本部:徳島市)に対して、保険業法等の一部を改正する法律附則第4条第1項において読み替えて適用する保険業法第272条の25第1項及び第272条の26第1項の規定に基づき、業務停止命令等を発出した。特定保険業者(無認可共済)については、平成18年4月1日から新たな保険契約者等の保護施策として「少額短期保険業」制度が導入され、業務運営に関する措置、募集規制、業務報告等の保険業法に基づく規制を受けるが、経過措置期間内の必要最小限の規制であるため、保険会社及び少額短期保険業者に対して適用となる保険商品の審査や財務面の規制は受けていない。今回の命令により、ベルル生命医療保障共済会は共済掛金等の収受を行うことができなくなる。
<ベルル生命医療保障共済会に対する行政処分の内容>
 ベルル生命医療保障共済会(本部:徳島市)については、保険業法等の一部を改正する法律(平成17 年法律第38 号)附則第3 条に基づく特定保険業者の届出を行っているが、平成18 年10 月20 日以降、同共済会及び同共済会から委託を受け実質的に共済事業を運営しているベルルライフサービス鰍ヘ、保険契約者などに何らの通知、説明もなく営業を停止している。更に、上記届出書に記載された理事長は所在不明であり、当人以外に同共済会を代表する者は認められない。
 このような同共済会の状況は、保険業法等の一部を改正する法律附則第4 条第1 項において読み替えて適用する保険業法(平成7 年法律第105 号)第272 条の26 第1項第1 号(第272 条の4 第1 項第11 号に規定する特定保険業を的確に遂行するに足りる人的構成を有しない株式会社等)に該当するものと認められる。
 このため、23日、同共済会に対し、下記1 については保険業法等の一部を改正する法律附則第4 条第1 項において読み替えて適用する保険業法第272 条の26 第1 項に基づき、下記2については保険業法第272 条の25 第1 項の規定に基づき行政処分を行った。
1.業務停止命令:平成18 年10 月23 日から平成19 年4 月22 日までの間、全ての業務(当局が個別に認めたものを除く)の停止。
2.業務改善命令
(1)特定保険業を的確に遂行するに足りる人的構成を整備すること。
(2)保険契約者等の間における公平に配慮しつつ、保険契約者等の保護に万全を期すること。
(3)上記1.の業務停止命令について、店頭及びホームページに表示する等、保険契約者等への周知徹底を適切に行うとともに、保険契約者等への適切な対応に配慮すること。
(4)上記(1)から(3)に係る業務改善計画を11 月6 日までに提出すること。


●消費者団信の調査結果を発表・自殺43億円(06年10月6日)
 消費者信用団体生命保険について、少額で短期の債権の回収のために保険が不当に利用されているのではないか、債務者が知らないうちに保険に加入しているのではないかといった指摘を踏まえ、金融庁は18年3月末時点で消費者団信に加入している貸金業者12団体17業者とその主幹事保険会社からヒアリングを行った。
<消費者金融17業者の調査結果のポイント>
1、契約実態は、無担保無保証貸付の口座数のべ1,408万件に対して被保険者数はのべ1,344万人、保険契約高7兆8,746億円、保険金受取件数は5万1,997件・金額302億円(うち自殺は4,908件・9.4%、金額43億円・14.2%):消費者団信を取り扱う貸金業者からの借り手は、その殆どが消費者団信の被保険者となっている。なお、18年3月末時点で、14業者において借入申込と保険加入同意が同一書面であり、別書面としていたのは2業者のみ。
2、保険金受取件数のうち死因等が判明していないものは52.3%:保険会社と貸金業者の約款では、保険金の請求に当たり、一定額以下の支払等について、死亡診断書等の死因を記載した文書の添付が省略できる取扱いとなっている例が多い。
3、自殺を原因とする受取件数は総受取件数の9.4%、死因等判明件数の19.8%:死因等が判明している保険金受取件数の割合は47.7%であり、17社中最小の社は20.9%、最大の社は100%であった。1件あたりの支払い金額について病死・事故が62.3万円、自殺が87.1万円、死因等不詳が49.2万円。死亡等原因について、自殺を原因とする保険金受取件数の割合は9.4%であり、17社中最小の社は4.5%、最大の社は25.0%であった。「自殺を原因とする保険金受取件数」の「死因等判明件数」に占める割合は19.8%であり、17社中最小の社は11.2%、最大の社は33.3%であった。


●不正解除で日本生命に業務改善命令(06年7月26日)
 金融庁は26日、日本生命に業務改善命令を発出した。
<不正事案の概要>
1.日本生命から、顧客からの照会をきっかけとして本社の給付金支払査定担当社員による以下のような不正な事務処理が発覚した旨の不祥事件届出書の提出を受けた。
@告知義務違反により会社が保険契約を解除できる期限を経過したにもかかわらず、当該社員が解除期限日を改ざんし、解除期限後に保険契約を不正に解除していたこと。
A保険金・給付金に係る遅延利息の起算日を当該社員が改ざんし、遅延利息を過少に支払ったこと。
2.本件届出を受け、金融庁として保険業法第128条に基づき、同社に対し、このような不祥事件の発生原因及び不正な事務処理が発見できなかった理由並びに当該社員以外について同様の不正な事務処理が行われていないかの点検等に関し報告を求めた。
3.上記報告により、以下のような事実が確認された。
@約款に違反し、解除期限経過後に保険契約を不正に解除した事案が当該社員に関して過去9年間(平成9年から平成17年)にわたり105件認められた。なお、問題発覚後これらの全契約について、顧客に対し解除前の契約内容に戻すかどうかを確認したところ、解除後に新たな保険事故が発生しており、結果として保険契約を復旧のうえ保険金・給付金を支払った契約が少なからず(29件・28名、2億429万円)あった。
A約款に違反し、支払給付金に係る遅延利息が過少払いとなっている事案が当該社員に関して過去4年間(平成14年から平成17年)で多数(303件、553千円)認められた。また、事故者以外の支払担当者においても、遅延利息が過少払いとなっている事案が過去3年間(平成15年から平成17年)で散見(35件、32千円)された。
4.金融として上記報告を検証した結果、以下のとおり、同社については保険金等支払管理態勢及び経営管理態勢等に欠陥があることが認められた。
(1)支払査定担当者は、契約解除などの難易度の高い案件を単独で査定及び決裁処理することができるものとなっているが、上位管理者を含む第三者によるチェックが行われておらず、内部牽制機能が発揮されていないこと。
(2)支払件数の増加、商品・特約の種類の多様化・複雑化に伴う業務量の増加等に対応したシステム投資に係る適時・適切な経営資源の配分を怠っていること。
さらに、このような状況にもかかわらず、適切な人員配置が行われていないほか、十分な査定人材の育成・確保がなされていない状況にあること。
(3)適切な人事ローテーションが確保されておらず、当該社員については16年間にわたり同一部署の同一業務に従事させているなど、事故防止のための適切な措置が講じられていないこと。
(4)検査部検査及び監査役監査については、支払管理態勢に関して実効性のある検査及び監査が行われていないこと。
(5)告知義務違反により解除を行う場合の顧客に対する通知文書に関しては、約款の根拠条文の記載が無いほか、解除理由に関する説明が不十分なものとなっていること。
 また、保険金等の支払に係る通知文書については、遅延利息の算定根拠となる起算日が明記されていないなど、利用者保護上問題のある取扱いとなっていること。
(6)取締役会等においては、保険金等の支払に係る適切な業務運営が行われるよう経営資源が配分されているか等の検証は行われておらず、また、支払管理が適切に行われているかどうか把握していないなど、経営陣のガバナンス機能の発揮は不十分となっていること。
<業務改善命令の概要>
 以上を理由として7月26日、金融庁は同社に対し、保険業法132条第1項に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。
(1)支払管理態勢の検証・見直し
@保険契約の解除及び保険金等に係る遅延利息の支払を含めた支払事務工程・システム・規程等の支払事務に係るプロセス全体の検証を行った上、必要な見直しを行うこと。
A保険契約の解除を行う場合には、適用理由及びその適用の基礎とした根拠(入手方法も含む。)などについて、保険契約者等に対して十分に説明を行い得る態勢を整備すること。
B保険金等の支払に関して遅延利息を支払う場合には、算定根拠となる起算日などについて、保険契約者等に対して十分に説明を行い得る態勢を整備すること。
C適切な支払査定を行うための支払査定担当者に係る人材育成策を策定するとともに、支払査定能力を維持・向上させるための方策・態勢を確立すること。
(2)経営管理(ガバナンス)態勢の改善・強化
@適切な業務運営を確保するための内部牽制が有効に機能を発揮するよう、例えば以下のような点に留意し、経営陣が率先して体制の整備を図ること。
ア.内部監査について、内部監査部門の独立性を確保した上で、全ての部署の全ての業務に内部監査を適切に実施すること。
イ.各部署において、定期的に実効性のある自主的な点検を実施すること。
ウ.特定の職員を長期間にわたり同一部署の同一業務に従事させないように、適切な人事ローテーションを確保すること。
A業務量の増加等に的確に対応した経営資源の重点的配分や事務処理の効率化による適切な業務運営の確保を図りうるよう、例えば以下のような点に留意し、経営陣が率先して体制の整備を図ること。
ア.各部署の事務量及び事務処理能力を定期的に把握し、必要に応じて適切な対応を図るための指示等を行うこと。
イ.将来見込まれる事務量を的確に把握し、人材育成、システム投資、事務処理態勢の整備等の計画を策定し実施すること。
(3)上記の業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。
(4)上記(1)から(3)に係る事項に関して、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を平成18年8月25日までに提出すること。
(5)上記(4)の実行後、業務改善計画の実施完了までの間、計画等の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、3ケ月毎に報告すること。

●金融庁、三井住友海上に厳しい行政処分(06年6月21日)
 金融庁は21日、三井住友海上に1年間の商品認可停止、第3分野商品の無期限の募集停止など、厳しい行政処分を行った。 

<不祥事の内容>
T.三井住友海上は、同庁検査の結果(平成18年4月6日通知)及び保険業法第128条第1項に基づく同社からの報告により、以下のような事実が確認された。

1.第三分野商品に係る保険金の不適切な不払い:平成14年度から17年度の過去4年間にわたり、以下のような多数の第三分野商品に係る保険金の不適切な不払い(927件、166百万円)が認められた。このうち、終身医療保険に関しては、不適切な不払いが顕著であった(305件、61百万円)。
(1)保険責任開始以前の発病について、約款上は医師の診断により始期前発病が認定された場合に免責が適用されることとなっているが、同社社員が医師の診断に基づかずに自ら判定を行う等、免責が不適切に適用された事例(618件)
(2)被保険者等の故意又は重過失責任に該当しないにもかかわらず告知義務違反による契約解除を行う等、告知義務違反の認定が不適切に行われた事例(16件)
(3)告知事項とは因果関係のない保険事故にもかかわらず告知義務違反が適用された事例(91件)
(4)代理店が被保険者本人からの告知を受けずに契約を行う等会社側に法令違反等があるにもかかわらず、告知義務違反が適用された事例(35件)
(5)告知義務違反について、会社側からの契約解除ができる期間である除斥期間が経過した後に解除権を行使している事例等(167件)
 これらは、保険業法第4条第2項第2号に掲げる事業方法書、同項第3号に掲げる普通保険約款に定めた事項のうち特に重要なものに違反するものと認められた。その原因として、以下に掲げるように、第三分野商品について、商品開発から支払査定、事後検証に至る保険金支払管理態勢に極めて重大な欠陥があることが認められる。
(1)同社は従前から、始期前発病の取扱いに関し、医師の診断に基づかず社員自らが判定を行う等誤った運用が行われているが、何ら見直しが図られていない。
(2)終身医療保険の開発・販売に際して、告知義務違反による契約解除の適用に関する認定基準・手続き、査定体制等の態勢の十分な検討・準備を行っていない。
(3)販売した終身医療保険に関して、不払いと判断した案件については支払担当部門が再審査を行うこととしていたにもかかわらず、そのような運営を行っていない。
(4)支払担当部門からの情報や生命保険会社における保険金不払い報道を受けて行った実態把握のための調査は、着眼点等の検討が不十分であるため、上記のような不払いの実態を見落としている。

2.付随的な保険金の支払漏れ:平成17年9月30日付で当局より報告を求めた、付随的な保険金の支払漏れに係る調査結果(27,173件、1,941.4百万円)について、その内容を再度検証したところ、当該調査において同社が支払不要又は調査の対象外としていた案件の中に、支払漏れが極めて多数(17,296件、719.1百万円)認められた。その原因として、以下に掲げるように、保険金の支払漏れに係る調査態勢及び保険金支払管理態勢に極めて重大な欠陥があることが認められる。
(1)同社の経営陣は、全ての顧客に対し保険金を公平かつ適切に支払う観点から、経営資源の積極投入等正確な調査を行う体制を構築していない。
(2)保険金支払担当部門は、調査対象となる保険金の正確な洗い出しについて商品部門等との協議を行っていない。
(3)支払漏れの調査対象となった事案について、支払漏れの保険金を受け取ると更改契約の保険料が高くなるといった誤った説明を顧客に対して行う等によって保険金の受取りを辞退させ、請求放棄として処理している事例が多数発生(2,406件)している。
(4)過去においても、保険料への影響等の説明が不適切であったことから、顧客が保険金の受取りを辞退し請求放棄となっている事案が多数発生(9,360件)しており、そのような実態について把握することなく調査対象外としていた。

3.不適切な代理店管理:同社の代理店においては、以下のような法令違反が認められた。その原因として、代理店及び代理店を管理する課支社等における法令等遵守の意識が乏しく、また、当社の代理店に対する管理態勢が極めて不適切であることが認められる。
(1)保険料の立替えを行った事例(保険業法第300条第1項第5号違反:120件)
(2)契約者に重要事項の説明を行っていない事例(保険業法第300条第1項第1号違反:6件)
(3)顧客の名前の印鑑の不正使用を行う等により契約者の意思を確認しないまま無断で継続契約を行っていた事例(保険業法第307条第1項第3号該当:36件)

4.苦情処理態勢・不祥事件処理態勢:保険金支払担当部門において、苦情の定義を実質的に変更し、限定する内容の社内通知を行っている。このため、保険金不払いに関する苦情が多数寄せられているにもかかわらず、適切な対応がなされていない事例が認められる。
 さらに、不祥事件のおそれのある苦情について調査・確認する等の対応が適切になされず、コンプライアンス部門においても実態を把握していない。このように、苦情処理態勢及び不祥事件処理態勢は極めて不十分と認められる。

5.海外拠点管理態勢:海外子会社(英国)において、当該子会社の代表取締役(現在も就任)が、@契約書を取り付けていないまま支出を行っている、A支払理由を偽った支出を行っている、B必要とされる取締役会の承認を得ない支出を行っている、等の事案が認められた。
 本社海外担当部門は、これらが横領、背任等の不祥事件のおそれがある事案であるにもかかわらず、徹底した調査を行っていない。また、当該者に対して経理手続きが不適切なことを口頭にて注意するに留まり、特段の処分を行っていない。このように、本社海外担当部門の海外拠点に対する管理・監督機能は、極めて不十分であり、経営陣による内部統制は機能していないものと認められる。

6.経営管理態勢:経営陣は、保険金の不適切な不払いについて問題の存在を把握していなかった。また、保険金の支払漏れについても、担当部門に実態の調査や対応策の検討、実施を任せていた。このように、経営管理(ガバナンス)機能は極めて重大な欠陥があるものと認められた。また、内部監査態勢については、以下のような問題が認められ、独立性が確保されておらず十分に機能していないなど、極めて不十分なものとなっている。
@事務不備や収益目標等の達成状況の調査を中心とする内部監査を行っており、保険金の不払いについては、監査項目にも取り上げず実態把握も不十分であった。
A保険金の支払漏れについては平成14年に指摘を行っているものの、その後、改善策の定着状況や有効性の検証を行わず問題無しと判断している。

<行政処分の内容>
U.21日、同社に対し、保険業法第132条第1項及び第133条の規定に基づき、以下の内容の行政処分を行った。

1.保険業法第133条の規定に基づく命令
(1)保険契約の締結及び保険募集の業務(保険業法第3条第5項の免許に係るもの)並びに保証証券の業務(同条第6項)について停止すること(損害保険代理店又は他の保険会社に委託しているもの及び他の保険会社から受託しているものを含む。ただし、自動継続による契約の更新及び自動車損害賠償責任保険に係るものを除く。)。
▽期間:平成18年7月10日(月)から7月23日(日)まで(2週間)
(2)第三分野商品(医療保険特約付健康長期保険、傷害疾病保険、疾病特約付普通傷害保険、所得補償保険、医療費用保険及び介護費用保険をいう。)に係る保険契約の締結及び保険募集の業務について停止すること(ただし、自動継続による契約の更新に係るものを除く)。
▽期間:平成18年7月10日(月)から第三分野商品に係る経営管理態勢、保険金支払管理態勢及び商品開発管理態勢の抜本的な改善が、下記により提出される業務改善計画の実施状況により確認されるまでの間。
(3)新規の保険商品の認可の申請、既存の保険商品の改訂の届出、他の保険会社等金融機関の代理・代行業務の認可の申請等に関する業務について停止すること。
▽期間:平成18年6月22日(木)から平成19年6月21日(木)まで(1年間。ただし、平成18年12月22日(金)以降、経営管理態勢、保険金支払管理態勢及び商品開発管理態勢の抜本的な改善が、下記により提出される業務改善計画の実施状況により確認される場合には、それまでの間)
(4)外国における子会社の設置認可の申請並びに外国における支店・事務所・駐在員事務所の設置及び外国における合弁会社の設立の届出に関する業務について停止すること。
▽期間:平成18年6月22日(木)から9月21日(木)まで(3ヶ月間)

2.保険業法第132条第1項の規定に基づく命令
(1)ガバナンスの改善・強化
@業務運営に係る報告態勢、意思決定プロセスやガバナンスの抜本的な改革を実現するための経営体制を構築すること。
A内部監査態勢の抜本的な改善・強化を図ること(監査要員及び監査方法の充実・強化を含む。)。
B本部による海外拠点の管理・監督機能を強化すること。
(2)保険金支払管理態勢の改善・強化等
@公正かつ的確な審査体制・手続きの確立、システムの整備を含め、保険金支払管理態勢の抜本的な見直し・改善を図ること。
A保険募集業務、保険金支払業務等を含め、顧客対応に係る全ての業務について検証を行った上で、商品開発管理態勢の抜本的な見直し・改善を図ること。
B判明した保険金の不適切な不払い及び支払漏れについて、迅速かつ適切な顧客対応を図るための態勢を整備すること。
(3)契約者保護、契約者利便の改善・強化
@適切な保険募集や顧客説明を行うための社員及び代理店に係る管理態勢を確立すること。
A苦情対応・処理に関する権限、不祥事件の調査・処理機能を各々一元化するなど、苦情対応・処理態勢及び不祥事件処理態勢の抜本的な見直し・改善を図ること。
(4)法令等遵守態勢の改善・強化
@法令等遵守態勢の抜本的な見直し・改善を図ること。
A法令等諸規則に抵触するおそれのある事案について徹底的な調査及び原因分析を行い、再発防止のための抜本的な改善策の策定を行うこと。
(5)上記の業務停止命令、業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。
(6)上記(1)から(5)等に係る事項に関して、平成18年7月21日(金)までに、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を提出すること。
(7)業務改善計画の実施完了までの間、計画の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、改善計画提出後1年間が経過するまでについては1ヶ月毎に、それ以降については3ヶ月毎に報告すること。

●保険販売検討チームが「比較情報のあり方」報告(06年6月19日)
 金融庁監督局保険課主催の「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」(座長:野村修也中央大学法科大学院教授)は、19日、「最終報告〜ニーズに合致した商品選択に資する比較情報のあり方〜」を取りまとめた。

<報告の要旨>
<比較項目>
(a)一部比較の可否について:契約内容の一部につき比較を行うことについては、保険業法において一部比較そのものが禁止されているわけではなく、一部比較であっても消費者を「誤解させるおそれ」のないものは許容されている。また、一部比較はその対象となる項目が少ない程、消費者が容易に保険商品を比較できるが、他方で、一部の情報しか記載されないことにより、消費者の誤解を招くおそれが高まるとの指摘があった。以上のような点に留意しつつ、どの程度の一部比較を行うかに応じて、検討を行うと以下のようなことが考えられる。
(@)契約概要そのものを用いた比較情報(表形式にした場合も含む)を提供する場合については、保険契約の契約内容について正確な判断を行うために必要な事項を包括的に示したものであり、その他に「誤解させるおそれ」を生じさせる事情がない限り、消費者を「誤解させるおそれ」がないものと考えられる。
(A)複数の保険商品の詳細な比較・検討を希望する消費者にとっては、上記(@)で検討したような全般的かつ詳細な比較情報は有用であるが、第1フェーズにおいて商品イメージ等の商品の概要を比較・検討することを希望する消費者や、第2フェーズにおいて商品内容の全般的な比較をより一覧性の高い媒体で行いたいと希望する消費者にとっては、情報量を絞ったより簡便な比較情報の方が利用しやすいとも考えられる。
 このような情報量を絞ったより簡便な比較情報としては、複数の保険商品の契約内容に関して、契約概要の記載項目は全て記載したうえで、それぞれの項目の記載内容についてその抜粋又は要約を行って表形式にまとめるものや、さらに踏み込んで契約概要の記載項目までその一部を省略し、複数の保険商品の契約内容の一部分を要約したものを表形式にまとめるものが考えられる。
 このような場合については、以下の要件が全て充足されるのであれば、消費者が正確な判断を行うために必要な事項が包括的に示されていないとはいえず、その他に誤解のおそれを生じさせる事情がない限り、消費者を「誤解させるおそれ」がないものと考えられる。
@ 比較表の対象とした全ての保険商品について、比較表と同時に契約概要が提供されること。
A 比較表において保険商品の長所のみを殊更に強調したり、その長所を示す際にそれと不離一体の関係にある情報を同時に認識できるよう併せて記載せずに、あたかもその商品全体が優良であるかのように表示されたものでないこと。
B 比較表において、以下のような注意喚起文言が記載されていること。
・比較表には、保険商品の内容の全てが記載されているものではなく、あくまで参考情報として利用する必要があること。
・比較表に記載された保険商品の内容については、必ず契約概要等において全般的かつ詳細に確認する必要があること。
なお、比較表の対象とした全ての保険商品について同時に契約概要を提供することは、第1フェーズの段階や第2フェーズにおいても非対面の形式による場合等には困難な場合があるものと考えられる。
 従って、消費者が契約概要を入手したいと希望したときに、その契約概要を速やかに入手できるような環境、例えば、対象とした全ての保険商品についてインターネットのホームページ上に契約概要を表示できるようにすること、あるいは、消費者からの要望があれば遅滞なく郵送等で要望のあった契約概要を交付できるようにすること、等の体制を整備したうえで、これを消費者に周知することにより、上記@の要件を充足するものと考えられる。
(b)保険料に関する比較について:保険料に関する比較が行われた場合、消費者によっては保険料の多寡のみに注意が向いてしまうことも考えられ、保障内容等の他の重要な要素を十分吟味することのないまま商品選択を行ってしまうおそれが否定できないのではないか、との指摘もある。このため、「誤解させるおそれ」のない保険料に関する比較のあり方について、保険料に過度に焦点を当てた表示を行う場合と、それ以外の場合で、比較表等において保険料が含まれた比較表示を行う場合とに分けて、以下のとおり検討を行うこととする。
(@)保険料に過度に焦点を当てた表示を行う場合
 保険料に過度に焦点を当てた表示等により比較を行う場合、例えば、担保内容の相違が顕著であるにもかかわらず、担保内容の相違にほとんど触れることなく、単に保険料のみの比較を行う場合や、消費者の年齢や性別等の前提条件に応じ適用される保険料の相違が顕著であるにもかかわらず、著しく自らに有利に設定した前提条件のもとで、単に保険料のみの比較を行う場合は、「誤解させるおそれ」のある不適切な比較表示であると考えられる。
 保険料に関する比較を行う場合は、保険料に関して消費者が過度に注目するよう誘導したり、保障内容等の他の重要な要素を看過させるような表示を行うことがないよう配慮すべきであり、契約条件や保障内容の概要等の保険料に影響を与えるような前提条件を併せて記載することが適切な表
示として最低限必要と考えられる。更に、消費者の年齢や性別等の前提条件に応じ適用される保険料の相違が顕著である場合には、前提条件の相違により保険料が異なる場合があるので、実際に適用される保険料について保険会社等に問い合わせたうえで商品選択を行うことが必要である旨の注
意喚起を促す文言を併せて記載することが適当と考えられる。
(A)(@)以外の場合で、保険料が含まれた比較表示を行う場合
 (@)のように、保険料に過度に焦点を当てることなく、保険料表示とともに必要な前提条件等が適切に記載・表示されていたとしても、比較表に保険料が表示されていれば、消費者は実際には保険料という要素に大きく影響されてしまい、真に自らのニーズに合致した商品選択を行うことを妨げられるおそれがあるのではないか、との指摘もある。
一方、このような指摘に対して、実際に消費者が保険商品を比較する場合に、保険料を手掛かりとして、例えば「保険料に差があるのは、どこに違いがあるのだろう」と検討していくことも考えられ、保険料の表示は、消費者が保険商品の内容を理解する上で有用であると考えられる、との指摘もある。
 したがって、比較表等において比較を行う中で、保険料に関する表示を行う場合には、上記(@)で述べたように、保険料に影響を与えるような前提条件を明記することに加えて、例えば、消費者が保険料のみに注目することを防ぐため、保険料だけではなく保障内容等の他の要素も考慮に入
れた上で比較・検討することが必要である旨の注意喚起を促す文言を併せて記載すること等、比較表の構成や記載方法等を消費者が誤解を招かないように工夫することが必要であると考えられる。
<会社選択情報>
(ア)会社選択情報は、保険会社による給付が確実に行われるか等の保険会社の健全性やそのサービスの内容、質を比較するための情報として有用であり、保険会社の財務状況等の会社に係る基本的な情報について、消費者が容易に入手できるような環境の整備を図ることが必要であると考えられる。
 他方で、保険商品の内容とは直接関係のない会社の財務力を強調することで消費者が保険商品を選択するに際し、不当な予断を与えてしまうおそれもあることから、この点についても留意が必要であると考えられる。
(イ)上記(ア)の点を踏まえた上で、どのような会社選択情報が提供されるのが適当かについて、各情報ごとに検討を行うと、以下のとおり考えられる。
@ ソルベンシー・マージン比率:ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が、通常の予測を超えて発生するリスクに対して、どの程度の支払余力を有しているかを示すことによりその経営の健全性の度合いを把握するための指標であることから、消費者に提供されることが適当と考えられる。しかしながら、あくまで監督上の指標であり、保険会社に係る財務情報のうちの一つの指標に過ぎず、この数値のみで保険会社の財務状況が判断できるものではない。したがって、例えば、ソルベンシー・マージン比率は数ある財務情報のうちの一つに過ぎず、この数値のみで保険会社のランク付けを行ったり、その財務状況が判断できるものではないことについて適切な説明を行う等、消費者に誤解を与えないような配慮が必要と考えられる。
A 基礎利益・保険引受利益等の情報:基礎利益・保険引受利益等の指標については、保険会社の支払能力等を検討する一つの材料として、消費者に提供されることが適当と考えられるが、他方で配当に直結するものではないため、例えば、これらの指標が配当に直結するものではない点について適切な説明を行う等、消費者に誤解を与えないような配慮が必要と考えられる。
B その他保険会社に関する基本的な情報:営業拠点等の会社に関する基本的な情報についても、消費者に提供されることが適当と考えられるが、その際にも提供される情報に応じ、その内容や意味合いについて適切な説明を行うこと等により消費者に誤解を与えないような配慮が必要と考えられる。
C 格付機関による格付に関する情報:現状の格付け機関による格付けは、勝手格付と依頼格付が混在しており、正確な比較の対象にはなじまないものと考えられる。
(ウ)上記(ア)(イ)を踏まえると、会社選択情報については、商品内容に直接関わるものではないものの、会社の支払能力等を検討するうえで消費者に有用な情報と考えられ、保険会社の財務状況等の会社に係る基本的な情報について、消費者に誤解を与えないような説明を併せて行った上で、中立的・公正的な立場にある者により情報提供が行われることによって、消費者が容易に入手できるような環境の整備が図られることが適当であると考えられる。
<比較情報の提供を促す環境整備を図るための具体的な方策>
 上記を踏まえ、ニーズに合致した商品選択に資する比較情報の提供を促すための環境整備にあたり、具体的な方策としては、以下のような方策が考えられる。
(1)監督指針の改正:上記で整理した、比較情報の提供を行うに際しての、一部比較、保険料の比較等に関する留意点等を監督指針において明確化することが必要と考えられる。
(2)保険会社による契約概要に関する情報開示:保険会社によって、保険商品の契約概要に関する情報開示が行われることにより、消費者自らが保険商品を比較することを可能とするとともに、保険会社等も取扱外商品についての情報を入手・利用できると考えられる。そのための具体的な方策としては、保険会社が以下のような開示を各社のホームページ等で行うことが考えられる。
@保険会社各社による契約概要のモデル例の開示
A上記@の開示をさらに進めて、消費者がより簡便に比較を行うことができるよう、記載項目や記載情報の絞込みやフォーマットの統一化を図った「比較情報用契約概要」の開示
B上記@の開示をさらに進めて、消費者や募集人等が消費者の具体的な情報を入力すれば、保険料や保険金額等の個別項目についても記載された当該消費者が求める商品の契約概要を、消費者や募集人等が入手できるような開示なお、保険会社が作成する契約概要について、消費者の商品選択に資する比較情報の提供のためのツールとしての側面から捉えた場合、契約概要の内容がそのような利用に適したものとなっているかについて随時チェックを行っていく必要がある。
 このようなチェックは、基本的にはユーザーとなる消費者等によるモニタリング等が有用であることから、上記のように契約概要の開示が行われることは、そのような環境整備に資するものと考えられる。
(3)第三者による比較情報の提供サービス:消費者団体やNPO(特定非営利活動法人)等の第三者は、中立性・公正性の観点から、自主的に消費者に対して比較情報の提供を行うことが期待されるところであり、これらの者が中立性・公正性に配慮のうえ、比較表等の比較情報の提供を行うことは、消費者にとって有用なものと考えられる。
(4)比較情報の提供を促す環境整備を図るための協議会の設置:更に、比較情報の提供を促す一層の環境整備を図るため、比較情報の提供サービスを行う第三者と消費者、保険業界及び行政当局との連携強化を図るとの観点から、このような第三者、消費者、有識者、保険業界、行政当局からなる自主的な協議会を設けることが適当と考えられる。
この協議会に対しては、比較情報の提供を促す一層の環境整備を図ることを目的とし、まずは、@具体的事例に対して、どのような比較情報が適切であり、あるいは不適切であるのかについての検討、及びA不適切な比較情報の把握等の役割を果たすことが期待される。
即ち、協議会において、比較情報に関する具体的事例が収集され、そのような事例が適切なものかどうかについての検討が行われた上で、検討結果がなんらかの形で公表されることとなれば、保険業法の規制の対象となる保険会社等のみならず、規制の対象外である比較見積サイト等を運営する第三者についても、公表された情報を参考とし、より望ましい比較情報を提供するため、自ら改善に向け取組むことが期待される。更に、消費者にとっても、自らが利用すべき適正な比較情報を選択するうえでの参考に資するものと考えられる。
 また、この協議会に不適切な比較情報が今後持ち寄られるなかで、消費者への被害の可能性が極めて高いと考えられるものが存在した場合には、協議会の構成員や金融庁等のホームページを通じて、消費者への周知や注意喚起を行うことにより、被害発生の回避等も期待されるところである。
更に将来的には、比較情報の提供を促す一層の環境整備を図るために、この協議会において、B商品分野ごとの「誤解させるおそれ」のない比較情報の類型化の検討、C「比較情報用契約概要」の記載項目やフォーマット等の検討、等の役割を担っていくことが期待される。
(5)会社に係る基本的な情報の提供:例えば、金融庁のホームページにおいて、ソルベンシー・マージン比率、基礎利益・保険引受利益等の財務情報、営業拠点等会社に係る基本的な情報を掲載することなどにより、消費者が容易に当該情報を入手できるような環境の整備を図ることが適当と考えられる。
(6)消費者への啓発活動:消費者がニーズに合致した保険商品を選択するためには、消費者自身が保険商品を比較する際の留意点等についての理解を深めることも重要である。そのため、例えば、「保険契約にあたっての手引」(購入者手引)に契約概要が商品比較時に利用可能なことやその利用の仕方についての説明や保険商品を比較する際の留意点等を記載し、消費者への周知徹底を図ること等が考えられる。
また、消費者が比較情報を適切に利用することが可能となるためには、保険商品に関する基本的な知識を持つことが不可欠であることから、官民一体となって、消費者が自己のニーズに合致した保険商品を適切に購入することを可能にするために必要となる知識等の啓発活動に一層の努力を行っていくことが必要と考えられる。
(7)不適切な比較情報のモニタリング:なお、消費者に対して「誤解させるおそれ」のある不適切な比較情報が提供された場合の対応についても検討する必要がある。このような問題に対しては、これまでに金融庁において、利用者ニーズの重視と利用者保護ルールの徹底を図るため、広告表示に対するモニタリングを行ってきたところである。また、各保険会社の広告審査体制の一層の充実を促すために、本年2月に監督指針を改正し、優良誤認、有利誤認の防止等の適正な表示を確保するための内部規定策定上の留意点の追加や、十分な審査体制整備の留意点の追加、等を明確化したところである(監督指針U−3−8)。したがって、保険会社は、このような監督指針を踏まえ、適切な広告等を行うため、保険募集管理態勢の整備を行うことがまずもって肝要である。更に、監督当局は検査部局とも連携を図りながら、保険会社において、適切な表示を行うための保険募集管理態勢の整備が行われているか、その状況についての検証や比較表示に関するモニタリングを継続的に行う必要があるものと考えられる。
(8)当面の方策としては、上記の具体的な方策のうち、
・監督指針の改正
・契約概要のモデル例の開示
・会社に係る基本的な情報の提供
・消費者への啓発活動としての「保険契約にあたっての手引」の改訂
・不適切な比較情報のモニタリング
について速やかな実施が期待されるところである。
 なお、上記の「比較情報用契約概要」については、上述の協議会において、商品分野ごとの記載項目やそのフォーマット等について検討が行われることが望まれる。
これにより「比較情報用契約概要」を消費者が入手できるような環境が整備され、消費者自らが保険商品の比較を行うことがより簡便になるとともに、第三者が比較情報の提供サービスを容易に行うことが可能となることが期待される。
また、上述の消費者情報の入力による個別項目の内容開示については、各社の創意・工夫に委ねつつ自主的な取組みが行われていくことが望ましいと考えられる。
<中期的な課題>
 ニーズに合致した商品選択に資する比較情報のあり方について検討を行う過程においては、以下のような取組みについても中期的な課題として検討することが考えられるとの指摘があった。
@用語の統一:用語の統一については、例えば、担保内容(不担保内容)について、同じ用語であっても保険会社ごとに定義が異なる場合があるが、消費者が保険商品の比較考量を容易に行うことができるようにするため、保険業界において用語の統一若しくは説明ルールの策定等を検討する必要があるのではないか。
A消費者利便・消費者保護の観点に立った約款の平明化・簡素化:そもそも約款の内容が難解であることやその分量が多いことが、消費者の保険商品の比較考量を困難にしているとの指摘があることから、保険会社を始めとする関係者によって、消費者利便・消費者保護の観点に立った約款の平明化・簡素化に向けた取組みをより一層強化する必要があるのではないか。その際には、あわせて保険契約の一方の当事者である消費者の意見を反映させるような仕組みを検討することが考えられるのではないか。
B募集人の資質の向上:顧客に対して適切な比較情報の提供を行い得るよう、より一層の研修・教育等、募集人等の一層の資質の向上を図る方策について検討すべき点はないか。
C保険会社と代理店との関係:比較情報の提供を促すための環境整備を図るために、保険会社と代理店等との関係について見直すことが必要な点はないか。また、利用者利便の向上の観点から、乗合代理店の一層の普及が図られるための方策を検討していくことが必要ではないか。
D保険仲立人の一層の育成:保険仲立人は、その誠実義務に基づき顧客の立場から公正・公平・中立な比較情報の提供を行うことが期待されるところであり、利用者利便の向上の観点から、保険仲立人の一層の機能発展のための方策を検討していくことが必要ではないか。


●不払・未払に対応し「監督指針」一部改正(06年6月2日)
 金融庁では、保険金の不払・未払問題に対応して、「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正案への意見募集を経て、6月2日付で一部改正指針を各財務局に発出。実施は6月5日。このうち、「保険会社における保険金等支払管理態勢の改善・整備にあたっての着眼点の明確化」については、保険会社の改善・整備状況などを踏まえ、監督上の着眼点としてより適切なものとなるよう更なる整備の検討を行う。
<監督指針改正のポイント>
(1)昨年、生保会社における保険金・給付金の不適切な不払いや損保会社における付随的な保険金の支払漏れといった問題が発生したことから、すべての保険会社に対して一斉報告徴求を行った。
(2)その中で把握された問題の分析結果及びさまざまな分野における問題点を整理した上で、保険金等支払管理全般に関して、迅速かつ適切な支払管理態勢の確立のため、@保険金等支払いに係る取締役等の認識及び取締役会等の役割、A保険金等支払に関与する管理者の認識及び役割、B支払査定担当者の人材育成及び査定能力の維持・向上、C関連部門との連携、D支払管理部門における態勢整備、E内部監査、F監査役監査――の各項目毎に区分して、それぞれ着眼点を明確化。
(3)保険会社の「その他付随業務」の明確化


●損保ジャパンに業務停止など行政処分(06年5月25日)
 金融庁は5月25日、損保ジャパンに対し、保険契約の締結・保険募集業務並びに保証証券業務を6月12日から25日までの間停止することなどの行政処分を行った。
<損保ジャパンに対する行政処分の内容>
1.損保ジャパンについては、金融庁検査の結果(平成18年3月8日通知)及び保険業法第128条第1項に基づく同社からの報告によると、以下のような事実が認められた。
(1)保険金等支払漏れに係る調査態勢等:付随的な保険金の支払漏れに係る自主調査の結果(27,273件、908.9百万円)について、その内容を再度検証したところ、自主調査において支払不要としていた案件の中に支払漏れが多数(1,128件、120.5百万円)認められた。
 また、この他、自主調査対象外の自動車保険の搭乗者傷害保険金の支払漏れが少なからず(206件、25.7百万円)認められた。このように多数の追加の支払漏れが発生しているのは、同社の経営陣が自主調査全般の正確性を確保し、全ての顧客に支払うべき保険金を公平かつ適切に支払うために、部門横断的な社内体制を整備することを怠っていたことによるものと認められる。
(2)賠償責任保険の引受に係る不正行為等:同社の海外拠点(香港)において、建設工事に係る賠償責任保険契約の引受に当たり、工事の受注者である保険契約者の要請を受け入れ、発注者用に本来の契約内容と異なる保険証券を発行する一方で、契約者と合意した契約内容に基づく保険証券を二重に発行するという不正行為が発覚している。
 同社の本部各部は本件不正行為について長期間把握しておらず、また、本件不正行為の発覚後も十分な調査を行わないなど、不適切な対応を行っている。さらに、本件不正行為について、担当部長から社長への報告ルールが長期間にわたって遵守されず、担当部と担当役員限りで処理されている。このようなコンプライアンス上重大な問題が生じたことは、@当社の海外拠点における法令等遵守態勢が十分機能していないこと、A海外拠点に対する本部各部の管理・監督機能が不十分であること、B経営陣による内部統制が機能していないこと、等によるものと認められる。
(3)受託業務である生命保険の募集管理態勢:生保会社から受託している生命保険の募集事務について、法令違反となることを知りつつ社員自らが保険料の負担等を行っている事例が多数(社員280名、431契約)認められる(保険業法第300条第1項第5号等に違反)。
 このような法令違反が発生した要因としては、営業推進担当役員及び担当部が代理店等の実際の販売力と乖離した過大な目標額を設定し、例えば社長自らが部支店長に対して目標達成のための取り組み強化を強く促すメールを送信することにより、営業現場に対して強いプレッシャーを与えるなど、同社の業務運営が営業偏重となっていることによるものと認められる。また、不祥事件発覚後の調査が実効性を欠いた不十分なものとなっている。
(4)顧客の名前の印鑑の大量保有等:同社の複数の支社及び代理店において顧客の名前の印鑑を大量に保有しており、当該印鑑を不正に使用して顧客に無断で契約の継続処理等を行っている事例(23件)や顧客の最終意思を確認しないまま保険申込書や保険金請求書等に押印している事例(2,947件)が認められた(前述の23件は、保険業法第307条第1項第3号に違反)。
 また、検査実施通知後に山口支社において顧客の名前の印鑑が大量に発見されたが、山口支店長が当局検査中との事実を知りながら独自の判断で、印鑑を廃棄処分させている事例が認められた。このような行為は当社の社内規程等に違反する行為であるが、本件に係る当社のその後の調査・対応が十分行われておらず、同社の法令等遵守態勢の機能発揮は極めて不十分なものと認められる。
 さらに、顧客に無断で行った契約の継続処理等に係る苦情は以前より同社の苦情案件の上位を占めており、印鑑の不正使用等が行われていることを認識していたにもかかわらず、顧客の名前の印鑑の保有に係るリスクが重大な問題であるとの認識が欠如していた。このため、個別の苦情対応にとどまり、実態把握のための徹底的な調査や不正使用防止のための実効性のある対策を講じていない。
(5)個人情報管理態勢:同社の個人情報管理態勢については、技術的安全管理措置が適切に講じられていないことなどから、センシティブ情報を含む個人情報について、同社及び関係グループ各社の社員が担当業務に関係なく容易に閲覧や複写をすることが可能な状態となっている。
 このような事例が認められるにもかかわらず、同社は技術的安全管理措置に係るシステム開発について、システム基盤変更を伴う規模の大きなものとなることから、慎重な検討が必要と判断し中期課題と位置付けるなど、技術的安全管理措置に対する重要性の認識が希薄となっている。
 また、システムの利用停止の処理が適切に行われていないことから、同社との代理店委託契約を解除した旧代理店の一部において、個人情報の閲覧等をすることが可能な状態となっている事例が多数認められる。さらに、個人情報の管理態勢について実態解明に向けた調査及び深度ある調査を行っていない。このように、同社の個人情報管理態勢は極めて不適切なものと認められる。
(6)監査態勢:同社の内部監査は、上記のような経営上極めて重要な問題等について、適切な指摘や改善勧告を行っておらず、機能発揮は極めて不十分なものとなっている。この要因としては、十分な要員が確保されていなかったこと、内部監査人の監査技能・知識が不十分であったこと、本部各部との連携が不十分であることなどによるものと考えられる。
(7)不祥事件の調査及び処理態勢:法令違反の事実が発覚しているにもかかわらず、誤った法令解釈による部内限りの規程を定めていることから、不祥事件として取り扱っていないなど、同社の不祥事件の調査及び処理態勢は極めて不十分となっている。
(8)業務改善計画等の実施状況:前回検査の結果、業務改善命令(平成14年8月2日)を受け、同社は保険募集管理態勢及び法令等遵守態勢に係る業務改善計画等を策定し、新たにコンプライアンス・ホットラインの設置、コンプライアンス統括部による募集文書の審査、及び営業店における法令等遵守態勢の見直しを図ることとしたところであるが、その実施状況をみると、以下のような問題点が認められた。
@コンプライアンス・ホットラインの利用実績が少なく、有効に活用される態勢となっていない。
A契約者に誤解を与え、不利益を生じさせるおそれのある募集文書が使用された事例が認められる。これは、コンプライアンス統括部による審査が事前に行われていないこと、当該審査における修正のフォローアップが不十分なことなど、同部の審査が十分に機能していないことによるものと認められる。
B団体契約に関して、営業店における規程遵守のための社員教育・指導や実効性を確保する方策が不十分なことなどから、過大な保険料割引を適用している事例が認められる(保険業法第300条第1項第5号に違反)。

2.上記により、25日同社に対し、保険業法第132条第1項及び第133条の規定に基づき、以下の内容の行政処分を行った。
(1)保険業法第133条の規定に基づく命令
@保険契約の締結及び保険募集の業務(保険業法第3条第5項の免許に係るもの)並びに保証証券の業務(同条第6項)について、平成18年6月12日(月)から6月25日(日)までの間停止すること(損害保険代理店又は他の保険会社に委託しているもの及び他の保険会社から受託しているものを含む。ただし、自動継続による契約の更新及び自動車損害賠償責任保険に係るものを除く)。
A山口支店(管下の課支社及び管轄する損害保険代理店を含む)においては、上記@の業務について、平成18年6月12日(月)から7月11日(火)までの間停止すること。
B生命保険業務の代理・代行に係る保険契約の締結及び保険募集の業務について、平成18年6月12日(月)から7月11日(火)までの間停止すること(自動継続による契約の更新を除く)。
C新規の保険商品の認可の申請、既存の保険商品の改訂の届出、他の保険会社等金融機関の代理・代行業務の認可の申請、外国における子会社の設置認可の申請、外国における支店・事務所・駐在員事務所の設置の届出に関する業務について、平成18年5月26日(金)から8月25日(金)までの間停止すること。
(2)保険業法第132条第1項の規定に基づく命令
@業務運営の状況を適確に把握し、適切な対応・指示を行い得るような経営管理態勢・内部管理態勢を構築すること(内部監査態勢の抜本的な改善・強化を図ることを含む)。
A本部による海外拠点の管理・監督機能を強化すること。
B法令等遵守(コンプライアンス)態勢の抜本的な見直し・改善を図ること。
C苦情対応処理態勢及び不祥事件の調査・処理態勢の抜本的な見直し・改善を図ること。
D適切な保険募集を行うための管理態勢を確立すること(海外拠点を含む)。
E不正な印鑑使用、保険料負担等の募集上の法令等諸規則の疑義事案について、徹底的な調査を実施し、再発防止のための抜本的な改善策を講じること。
F個人情報管理態勢について、全社的な見直しを行い、抜本的な改善策を講じること。
G上記の業務停止命令及び業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。
H上記@〜G等に係る事項に関して6月26日(月)までに、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を提出すること。
I業務改善計画の実施完了までの間、計画の進捗・実施・改善状況をとりまとめ、改善計画提出後3ヶ月毎に報告すること。

●「利用者満足度アンケート」結果を公表(06年4月7日)
 金融庁では「金融改革プログラム」「工程表」の内容を踏まえ、1月30日より約2ヶ月間、ホームページを通じて「利用者満足度アンケート」を実施。4月7日、アンケート結果を取りまとめ公表した。保険会社に対する「総合的な満足度」では、@満足4.5%、Aどちらかといえば満足14.6%、Bどちらともいえない30.9%、Cどちらかといえば不満15.9%、D不満18.9%、E利用しないので分からない15.2%となり、@A計の満足派が19.1%に対し、CD計の不満派は34.8%と大幅に上回る。また、項目別では、営業職員や代理店の対応が向上したという回答が15.9%であるのに対し、低下したと受け止める利用者の回答が25.9%と10ポイントも上回っている。
<保険会社への項目別アンケート結果>(@かなり向上した、Aどちらかといえば向上した、B変わらない、Cどちらかといえば低下した、Dかなり低下した、E利用しないので分からない)
▽1年前と比較した総合的な満足度:@4.6%、A13.5%、B42.9%、C12.1%、D11.1%、E15.9%
▽窓口での対応・姿勢(言葉遣い・事務の正確性等):@4.3%、A13.0%、B33.3%、C7.4%、D8.7%、E33.3%
▽営業職員・代理店の対応(訪問頻度・加入後の対応等):@4.9%、A11.0%、B35.4%、C11.9%、D14.0%、E22.0%
▽商品の勧誘姿勢(利用者の意向・実情への配慮等):@4.9%、A15.0%、B36.1%、C11.3%、D12.1%、E20.7%
▽商品購入時の説明の分かりやすさ・正確性:@5.3%、A15.2%、B36.5%、C10.9%、D10.7%、E21.3%
▽保険金支払時の対応:@3.7%、A11.7%、B25.6%、C6,6%、D11.1%、E41.2%
▽提供される商品・サービスの種類:@6.3%、A28.0%、B33.3%、C6.5%、D7.7%、E18.1%
▽提供される商品・サービスの価格:@4.1%、A19.1%、B37.6%、C11.6%、D8.9%、E18.7%
▽インターネット・.携帯電話等を通じた商品・サービスの提供:@5.1%、A18.3%、B26.9%、C2.3%、D4.3%、E43.1%
▽商品関連の情報提供:@4.7%、A18.0%、B41.9%、C6.8%、D7.8%、E20.7%
▽個人情報取扱のセキュリティの確保:@4.9%、A20.5%、B39.1%、C7.4%、D6.6%、E21.5%
▽苦情・相談等の対応:@4.1%、A10.8%、B29.8%、C8.6%、D12.7%、E33.9%
▽保険会社の情報開示:@4.3%、A11.5%、B42.1%、C8.0%、D9.8%、E24.3%


●17年度「金融改革」進捗状況を公表(06年4月7日)

 金融庁は一昨年末策定の「金融改革プログラム」と昨年3月公表の同「工程表」を踏まえ、平成17年度末における諸施策の実施状況を取りまとめ、4月7日公表。

<「金融改革プログラム」保険関連事項の進捗状況>(保険分野の主な事項)
〈活力ある金融システムの創造・利用者ニーズの重視と利用者保護ルールの徹底〉
▽金融商品・サービスの販売チャネルの拡大:銀行等が販売可能な保険商品の範囲の拡大等・「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令」の施行(17年12月22日)(第3次解禁)
▽保険商品の多様化と価格の弾力化の推進:保険会社の自己責任原則に基づく商品開発・管理の態勢整備の促進・「保険会社向けの総合的な監督指針」の策定(17年8月12日)、第三分野商品について当局の商品審査基準の一層の明確化・「保険会社向けの総合的な監督指針」の最終改正案の公表(18年3月31日)、保険料のうち保険数理に直接関係しない部分の審査の簡素化・「保険業法施行規則」等の改正(18年2月13日、18年4月1日施行)
▽公正な競争を促す適正な比較広告の容認:保険契約の販売・勧誘時に説明すべき事項の明確化・「中間論点整理〜保険商品の販売・勧誘時における情報提供のあり方〜」の公表(17年7月8日)・「保険会社向けの総合的な監督指針」の改正(18年2月28日)

〈金融実態に対応した利用者保護ルール等の整備・徹底〉
▽「投資サービス法(仮称)」の制定:金融審議会第一部会報告書「投資サービス法(仮称)に向けて」の公表(17年12月22日)
▽根拠法の無い共済の契約者保護ルールの導入:「保険業法等の一部を改正する法律」の成立(17年4月22日、18年4月1日施行)
▽保険契約における適合性原則の遵守:保険商品の購入時に契約者が留意すべき事項の公表・生命保険文化センター・日本損害保険協会において「保険契約にあたっての手引」を公表(18年1月23日)、保険契約における適合性原則の明確化・「中間論点整理〜適合性原則を踏まえた保険商品の販売・勧誘のあり方〜」の公表(18年3月1日)
▽保険広告表示のモニタリングの強化等:保険会社の広告審査体制の充実を促進・「保険会社向けの総合的な監督指針」の改正(18年2月28日)
▽保険契約者保護制度の見直し:「保険業法等の一部を改正する法律」の成立(17年4月22日、18年4月1日施行)
▽金融商品・サービスにおける情報の有用性に配慮しつつ、情報の適正な保護を図る具体的な個人情報保護ルールの明確化:個人情報保護のガイドライン・実務指針・施行規則の施行(17年4月1日)
▽「金融サービス利用者相談室」の設置:相談室の開設(17年7月19日)、相談室における相談等の四半期別受付状況等の公表(17年10月27日、18年1月31日)
▽利用者の満足度を重視した金融機関経営の確立:「利用者満足度向上に向けた懇談会」における議論の概要を公表(17年8月9日)、「利用者の満足度を重視した金融機関経営の確立について」を発出・要請(17年8月10日)

〈金融機関のガバナンス向上とリスク管理の高度化を通じた健全な競争の促進〉
▽金融機関の取締役の資質に関する規定(Fit and Proper原則)の具体的な着眼点の明確化:「保険会社向けの総合的な監督指針」の改正(18年3月31日)
▽社外取締役、監査役、保険計理人等によるガバナンスの実効性確保:「保険会社向けの総合的な監督指針」の策定(17年8月12日)
▽金融機関のガバナンスに対する監督上の着眼点の明確化:「保険会社向けの総合的な監督指針」の策定(17年8月12日)
▽市場規律の発揮に向けた金融機関の情報開示の一層の充実:「保険会社向けの総合的な監督指針」の策定(ストレステストの概要等についての開示を拡充)(17年8月12日)
▽金融機関のCSRに対応した取組みの促進:「保険会社向けの総合的な監督指針」の策定(17年8月12日)
▽保険会社のソルベンシーマージン比率の見直し、新しい保険商品に係る責任準備金積立ルールや事後検証の枠組み等、財務関連ルールの整備:新しい保険商品(第三分野)に係る責任準備金積立ルール等・「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チーム」が報告書を公表(17年7月6日)、新ルール(案)のパブリックコメントを踏まえた見直し後の保険業法施行規則等の改正案を公表(18年3月31日)、ソルベンシー・マージン比率の見直し・具体的な見直し内容や実施スケジュールについて、有識者等の意見も参考にしつつ検討(17年4月〜)

〈国際的に開かれた金融システムの構築と金融行政の国際化・金融の国際化・構造変化に対応した制度等の構築〉
▽金融のコングロマリット化に対応した金融法制の整備の検討:「金融コングロマリット監督指針」の策定(17年6月24日)を踏まえ、その動向に注視し、更なる対応が必要かどうかを検討
▽国際的な金融商品・サービスの取引ルール等の策定への積極的参加:IAISにおいて「保険会社のソルベンシー評価に関する国際的な共通指針」を公表(17年10月21日)
▽WTOにおける金融サービス自由化交渉への積極的参加:WTO金融サービス委・各国との二国間協議等を通じた自由化交渉の実施(17年6月19日〜30日、17年9月19日〜28日)

〈信頼される金融行政の確立・金融行政の透明性・予測可能性の向上〉
▽金融庁の行動規範(code of conduct)の確立(行政指導の一層の透明化・ルール化、行政処分等の透明性の確保を含む)、内外無差別原則の確認:各種監督指針の中で行政処分手続きにおける意見交換制度を導入・「保険会社向けの総合的な監督指針」の策定(17年8月12日)
▽国民の金融商品・サービスに対する満足度の向上:「利用者満足度アンケート」結果の公表(18年4月7日)


●公益通報窓口を設置(06年4月1日)

 金融庁では、公益通報者保護法の施行に伴い、企業従業員等からの公益通報を適切に処理するため、「通報窓口」を金融庁法令等遵守調査室に設置した。また、公益通報の仕組みに関する質問等に応じるため、「相談窓口」を金融サービス利用者相談室に設けた。通報は金融庁のホームページ、郵送、ファックスで受け付ける。
<通報する場合の注意事項>
(1) 通報者の範囲は、通報対象事実に関係する事業者に雇用されている労働者、当該事業者を派遣先とする派遣労働者及び当該事業者を取引先とする事業者の労働者。
(2) 通報にあたっては、通報者の氏名及び住所は必ず記入する。
(3) 通報の内容は、通報対象事実及び関係する事業者、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる理由を、具体的に記述する。
(4) 証券取引法に基づく犯則事件に関する公益通報は証券取引等監視委員会の公益通報窓口に通報する。
(5) 通報内容を把握するため、金融庁から連絡する場合がある。
(6) 受け付けた通報は、審査を行い、法に基づく公益通報として受理するか否かの決定を行い、受理したときは受理した旨を、受理しないときは受理しない旨を通知する。
(7) 受理しないときは、通常の情報提供として、金融行政に活用する。
(8) 通報に関する秘密は、国家公務員法、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等により守られる。
〈郵送・FAXでの通報先〉
▽郵送(「公益通報」と明記すること)
〒100-8967 東京都千代田区霞ヶ関3−1−1
中央合同庁舎第4号会館
金融庁法令等遵守監理官 
▽ファックス(「公益通報」と明記すること)
03-3506-6399
※なお、公益通報の仕組みに関する質問等は同庁金融サービス利用者相談室(電話番号03−5251−6811 平日10:00〜16:00)で対応する。

●ミニ保険会社向け監督指針公表(06年3月31日)

 金融庁は、保険会社向けの総合的な監督指針の別冊としての「少額短期保険業者向けの監督指針案」について、パブリックコメントを集約し、3月31日付で「少額短期保険業者向けの監督指針」を策定、31日付で各財務(支)局・沖縄総合事務局へ発出した。同監督指針は4月1日実施で、今後の少額短期保険業者等の業務遂行状況などを踏まえ、必要に応じて更なる整備の検討を行う。

<少額短期保険業者向けの監督指針>
〈少額短期保険業者の参入に関する基本的考え方〉

 少額短期保険業者監督の目的は、従来、特定の者を相手方として法律の根拠なく保険の引受けをっていたいわゆる無認可共済について、保険業法の保険業に含め、規制の対象とすることで保険契約者等の保護を図ることにある。
 この目的を実現するため、保険業の定義を見直し、特定の者を相手方として保険の引受けを行う事業について、他の法律に特別の規定のあるもの、又は、会社、労働組合等がその役職員、構成員等を相手方とするもの等を除き、保険業法の規制の対象とするとともに、少額短期保険業者の特例制度を創設するための保険業法の改正(保険業法等の一部を改正する法律[平成17年5月2日法律第38号])が平成17年4月に行われた。
 改正法では、保険期間が2年以内の政令で定める期間以内で、保険金額が1000万円を超えない範囲内において政令で定める金額以下の保険のみの引受けを行う事業を少額短期保険業とし、少額短期保険業を行う場合には、内閣総理大臣の登録が必要としている。登録に際して、@株式会社又は相互会社でない場合(NPO法人等除く)、A資本等の額が1000万円に満たない場合、B会社や役員に行政処分歴があるもの等の場合、C保険契約の内容が保険契約者等の保護に欠ける恐れのあるもの等である場合、D業務を的確に遂行することができる人的構成を有しない場合等は登録を拒否しなければならない。そのため本監督指針においては、登録時の審査に当たって留意すべき事項を具体的に示すこととした。
 少額短期保険業が健全に発展していくためには、少額短期保険業者が法令等を遵守した健全な業務運営を行うことにより、保険契約者が安心して保険商品を利用できることが不可欠である。従って、登録後の少額短期保険業者の監督に当たっては、保険契約者等の保護を図る観点から、継続的な情報収集等により、少額短期保険業を健全かつ適切に遂行する上で問題となる事象を早期に発見するとともに、必要に応じて行政処分等の監督上の措置を適時適切に行うことが重要である。
 また、少額短期保険業者は、保険会社と同様に保険契約者等の信任を確保するため、資本の充実や内部留保の確保を図り、リスクに応じた十分な財務基盤を保有することは極めて重要である。財務内容の改善が必要とされる少額短期保険業者にあっては、自己責任原則に基づき主体的に改善を図ることが求められ、当局としても、それを補完する役割を果たすものとして、経営の健全性を確保するため「保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率」(ソルベンシー・マージン比率)という客観的な基準を用い、必要な対応を迅速かつ適切に行っていくことで少額短期保険業者の経営の早期是正を促していく必要がある。
〈少額短期保険業者の監督に当たっての基本的考え方〉
 効果的な監督行政を行うためには、検査部局の「オンサイト」と監督部局の「オフサイト」の双方のモニタリング手法を適切に組み合わせることが必要であり、実効性の高い金融監督を実現するためには、両部局が適切な連携の下に、それぞれの機能を的確に発揮することが求められる。
 このような枠組みの中で、監督部局の役割は、検査と検査の間の期間においても、継続的に情報の収集・分析を行い、少額短期保険業者の業務の健全性や適切性に係る問題を早期に発見するとともに、必要に応じて行政処分等の監督上の措置を行い、問題が深刻化する以前に改善のための働きかけを行っていくことである。
 具体的には、少額短期保険業者に対して保険契約者等の保護策を始めとする各種法令等遵守の徹底を求めていくとともに、少額短期保険業者との定期的・継続的な意見交換等により、業務の状況を適切に把握するとともに、提供された各種の情報の蓄積及び分析を行い、経営の健全性の確保等に向けた自主的な取組みを早期に促していくことが、監督部局の重要な役割といえる。
 特に、監督部局は、個別の少額短期保険業者の状況のみならず、保険業界全体の状況についても幅広く知る立場にあることから、当該少額短期保険業者が類似業務を行っている業者の中でどのような状況に置かれているかを的確に把握し、機動的なヒアリングなどを通じて、適切に問題改善を促していくことが重要である。
〈監督指針策定の趣旨〉
 これまで金融行政は、ルールに基づく事後チェック型行政を徹底してきており、保険契約者の自己選択と保険契約者等保護を根底に置いた保険会社等の自助努力を促進する行政を進めてきている。今回新たに創設された少額短期保険業者制度に基づき、保険業への参入を目指す少額短期保険業者に対して「事後チェック型行政」を徹底し、監督上の対応を迅速に行うためには、日常の監督事務を通じて少額短期保険業者の経営状況や内部管理の状況などの実態を把握していることが前提となる。
 このため、本監督指針においては、日常の監督事務を通じた少額短期保険業者の経営状況や内部管理の状況などを把握することを目的として、少額短期保険業者の監督行政はどのような視点に立って行うべきか、各種規制の基本的考え方、監督上の着眼点と留意すべき事項、具体的な監督手法について、保険会社向けの総合的な監督指針の別冊として位置付け、体系的に整備した。従って、本監督指針に記載がない項目であっても、少額短期保険業者は保険会社と同様、保険業法が適用されることから、「保険会社向けの総合的な監督指針」の項目を参照しつつ対応することが求められる。
〈保険商品審査上の留意点等〉
 少額短期保険業者になろうとする者および少額短期保険業者から法の規定に基づき、保険商品の創設もしくは既存商品の改定に係る届出が行われた場合の審査に当たっては、保険契約者等の保護を踏まえ、各少額短期保険業者の特性や事情等を勘案し、画一的な審査を行うことがないように配慮するとともに、各少額短期保険業者の創意工夫を活かし、保険契約者等のニーズの変化に即応した迅速な商品開発を可能とする観点も踏まえ、法第272条の4第1項第5号等に基づき審査を行うこととし、特に以下の点に留意することとする。
 また、既に締結された保険契約(売り止めした商品を含む既契約)を継続保有したまま少額短期保険業者の登録を行う場合、特定保険業者から他の少額短期保険業者へ既契約の包括移転等を行う場合には、その既契約に係る保険商品についても、同様の取扱いを行うこととする。
〈経過措置期間の留意点等〉
(1) 特定保険業者の届出
 特定保険業者とは、平成18年4月1日に現に特定の者を相手方として保険の引受け事業を行っている者(改正前の保険業法では保険業の適用除外)が、そのまま特定の者を相手方として保険の引受け事業を行う者をいうが、平成18年9月30日までに改正法附則第3条に基づく届出を行わなければならない。また、改正法附則第4条により、少額短期保険業者とみなされ保険業法の規制を受けることになるため、提出される届出書等については、以下について確認等を行い、業務内容に問題がないかどうか等を検証するものとする。
@ 改正法附則第4条第1項において読み替えて適用する法の規定に基づく対応状況(業務運営に関する措置、募集行為に関する禁止行為、個人情報管理及び業務委託)について問題がないかどうか検証するとともに、保険契約者等の保護等の観点から以下の内容についても確認すること。
イ 財務状況
a 会計処理を的確に行っているか。
b 財務状況が保険金支払の観点から問題がないかどうか。
ロ 保険契約の内容:法第272条の4第1項第5号の規定に準じた適切な内容となっているか。
A 今後の対応(登録業者となるか、業務を廃止するか等)を聴取すること。
B 特定保険業者として改正法附則第4条に定める規制の内容の説明を行うこと。なお、主な内容は以下のとおり。
イ 業務運営に関する措置、業務報告等及びそれに対する当局の権限(第1項関係)
ロ 業務報告書の公衆縦覧(第6項関係)
ハ 保険契約の移転に係る認可(第7項関係)
ニ 事業譲渡及び財産の管理の委託に係る認可(第8項及び第9項関係)
ホ 保険募集に係る行為規制及びそれに対する当局の権限(第15項関係)
ヘ 個人顧客情報の安全管理措置等(規則附則第10条、第11条)
(2) 特定保険業者に対する保険募集規制のモニタリング
 特定保険業者における保険募集上の規制の遵守状況については、保険契約者等から寄せられた苦情・相談等、情報提供の内容について、保険契約者等の保護の観点から問題がないかどうかについて十分留意するとともに、必要に応じて当該特定保険業者に対するヒアリングを行うなど業務運営や保険募集の適切性に関する実態把握に努めることとする。
(3) 特定保険業者に対する業務モニタリング
 特定保険業者の事業年度終了後4ヶ月以内に改正法附則第4条第1項において読み替えて適用する法第272条の16第1項及び施行規則附則第13条に基づく業務報告書等が提出されるが、上記(1)@、Aに準じて確認等を行うほか、状況に応じて、特定保険業者に対し実態把握を行うとともに、是正のための措置を講じるように指導等を行うこととする。
(4) 特定保険業者に対する行政処分
 上記(1)〜(3)による検証により、問題があると認められる場合は、必要に応じて改正法附則第4条第1項において読み替えて適用する法第272条の22に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、同項において読み替えて適用する法第272条の23から法第272条の27まで又は改正法附則第4条15項において読み替えて適用する法第305条、法第306条及び法第307条第1項に基づき行政処分を行うものとする。
(5) 特定保険業者の届出をしない者への対応
 改正法附則第3条第1項に基づく届出をしない業者については、「V−1−1無登録等業者に係る対応」に準じて対応するものとする。
(6) 特定保険業者が少額短期保険業者として登録申請を行っている場合
 当該特定保険業者が少額短期保険業者として登録申請を行っている期間中は、保険契約者の保護の観点から「登録申請中」等の対外的な宣伝行為は厳に慎むように説明すること。また、当該事実を特定の者に対する保険募集の際にあたかも少額短期保険業者として登録されることが前提のような保険募集は、改正法附則第4条第15項において読み替えて適用する法第300条第1項第1号に規定する「虚偽行為」に該当するおそれがあることも説明すること。
(7) 特定保険業者からの保険契約の移転等
@ 包括移転等:特定保険業者は、改正法附則第4条第7項において読み替えて適用する法第272条の29において準用する法第2編7章第1節に基づき、認可を受けて保険契約の移転を保険会社等及び少額短期保険業者に包括移転することができるが、少額短期保険業者への包括移転については、次の点に留意する。
イ 認可申請の審査:保険契約の移転の認可の効力については、規則第211条の66の規定により、事業方法書、普通保険約款、保険料及び責任準備金の算出方法書(基礎書類)の認可又は変更があったものとみなすことから、その審査にあたっては、規則第211条の64により提出される書類について、法第272条の4第1項第5号の拒否要件に該当する保険契約でないかどうか、保険契約者等の保護に照らして、適当なものであるか審査すること。
 また、施行規則附則第16条に基づき、移転対象契約に係る責任準備金が保険数理に基づき合理的かつ妥当な方法により積み立てられていることについて、移転先会社の保険計理人が確認した結果を記載した意見書及び貸借対照表に計上された資産の数量及び価額が相当であることについて、公認会計士等が確認した書類が提出されるので保険契約者等の保護に照らして、適当なものであるか審査すること。
 なお、同様の規定は、施行規則附則第21条の特定保険業者の合併の認可申請、施行規則附則第22条の特定保険業者の分割の認可申請、施行規則附則第25条等に基づく特定少額短期保険業者(NPO法人等)の登録の申請等にも措置されているので留意すること。
ロ 包括移転された、少額短期保険業者が取扱うことのできる保険金限度額及び保険期間を超える保険の取扱い等:改正法附則第16条第10項及び第13項に基づく、包括移転された保険契約の管理については、決算時等のオフサイト・モニタリングを通じ、管理のみを行っているか確認すること。
A 事業譲渡:特定保険業者からの事業譲渡による保険契約の移転の承認については、保険契約者の個別の同意書を規則第211条の67第1項第10号に基づく、その他参考となるべき事項を記載した書類として提出させて確認すること。
(8) 特定保険業者の廃業
 特定保険業者の廃業申請については、保険契約者等の保護の観点から問題がないかどうか審査することとし、保険契約が継続しているにも係らず、安易に廃業申請を行っている場合は、承認しないものとする。
(9) 公益法人等に関する経過措置
 改正法附則第5条において、改正法施行の際、現に特定保険業を行っている民法第34条の規定による公益法人及び商工会議所、商工会又は商工会連合会は当分の間、引続き特定保険業を行うことができるが、改正法施行後に新たに引受事業を開始する場合は、免許または登録が必要となるので留意すること。
(10)免許申請を希望する特定保険業者への対応
 特定保険業者が、保険会社として免許申請を希望している場合は、その情報を金融庁保険課に報告し、保険課の窓口を紹介(生命保険会社については、生命保険係、損害保険会社については、損害保険係)するものとする。
(11)特定少額短期保険業者に関する特例
 特定少額短期保険業者の登録に際しては、様々な特例が定められているが、特に次の点に留意する。
@ 兼業規制:特定少額短期保険業者(NPO法人等)は、保険業以外の事業をあわせ行うことが通常であり、登録に際しては、少額短期保険業を適正かつ確実に行うことができるかどうか審査するものとする。
A 定款:定款の規定に解散の事由を定めている場合は、登録を拒否すること。
(12)引受限度額を超える保険の引受けについて
 法施行後7年間の経過措置として認められる引受限度額を超える保険の引受けについては、超過部分を国内の保険会社に再保険を付すことが条件となっている。一方、外国の保険業者(国内の免許業者でない業者)に再保険を付すことの申請が行われた場合は改正法附則第16条に基づく審査が行われることとなるが、その際は、当該再保険に代えて、当該再保険と同等又は有利な条件の再保険を保険会社に付すことが困難であることについて、当該契約条件が不自然に有利な条件となっていないか、外国保険業者の事業内容全般、格付機関による評価、他の保険契約条件等についても確認のうえ判断すること。
(13) 平成18年改正施行令附則第7条及び第8条の規定による資本金等金額及び供託金の金額の特例措置に係る留意事項
 当該規定による特例措置により、登録要件である資本金等の額及び純資産の額並びに供託金の額について、5百万円としている場合は、保険の引受けをする相手方の総数が5千人以下であるものに限られていることから、その総数について超えることがないように適切な措置が講じられているかどうか確認を行うとともにその総数が超えていないかどうか決算ヒアリング等を通じモニタリングを行うこととする。


●不払・未払問題で監督指針を一部改正(06年3月30日)

 
金融庁は3月30日、「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正案を公表。
<改正の概要>
1.改正の趣旨:保険会社における保険金等支払管理態勢の改善・整備にあたっての着眼点の明確化、及び保険会社の「その他付随業務」の明確化のため、所要の改正を行うもの。
2.主な改正点
(1)保険会社における保険金等支払管理態勢の改善・整備にあたっての着眼点の明確化:昨年、生命保険会社における保険金・給付金の不適切な不払いや損害保険会社における付随的な保険金の支払漏れといった問題が発生したことから、すべての保険会社に対して一斉報告徴求を行った。その中で把握された問題の分析結果及びさまざまな分野における問題点を整理した上で、保険金等支払管理全般に関して、迅速かつ適切な支払管理態勢の確立のため、具体的には、@保険金等支払いに係る取締役等の認識及び取締役会等の役割、A保険金等支払に関与する管理者の認識及び役割、B支払査定担当者の人材育成及び査定能力の維持・向上、C関連部門との連携、D支払管理部門における態勢整備、E内部監査、F監査役監査の各項目毎に区分して、それぞれ着眼点を明確化するとともに、その他所要の改正を行う。
(2)保険会社の「その他付随業務」の明確化:保険業法第98条第1項に定める「その他付随業務」に、保険会社の行うコンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、事務受託業務等が該当することを明確化するとともに、その他所要の改正を行う。
3.実施時期
改正の日より適用する。


●保険販売検討チームが中間論点整理(06年3月1日)

 金融庁は3月1日、保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チームによる「中間論点整理〜適合性原則を踏まえた保険商品の販売・勧誘のあり方〜」を公表。中で、「意向確認書面」のあり方と中期的課題の内容は次の通り。

<「意向確認書面」のあり方>
保険商品の適切な販売・勧誘を確保するためには、いわゆる適合性原則(広義の適合性原則:販売業者は利用者の知識・経験・財産力・投資目的等に適合した形で勧誘・販売を行わねばならない)やそれについての諸外国の法制度を参考にすれば、以下のような仕組みを設けることが有効であると考えられる。
〈海外の例〉
 例えば英国において、保障性商品や損害保険について、契約締結前に、@顧客の需要・ニーズを記載し、A個別の推奨が行われた場合、当該推奨の理由を説明する文書(ステートメント・オブ・デマンド・アンド・ニーズ)を顧客に提供しなければならないとされている(ICOB4.4.1R)。
 また投資性商品についても、その商品が当該顧客に適合すると考えた根拠及び当該取引から生じる結果(可能性のある不利益を含む)を説明した文書(スータビリティ・レター)を、所定の期間内に交付することが義務付けられている(COB5.3.14R)。そのなかで@当該顧客の個人的・財務的状況に照らして、当該取引が適合的であると結論付けた理由、A当該取引の主たる帰結及び不利益の可能性について説明することが義務付けられている(COB5.3.16R)。B 購入の経緯(プロセス)を顧客、募集人等双方が事後的に確認することができ、事後に生じうる問題等を未然に防止したり、また円滑な問題解決に資することとなる。
〈具体的仕組みについて〉
ア.仕組みの内容
(ア)購入しようとする保険商品が顧客のニーズに合致しているものかどうかを顧客が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、顧客のニーズに関して情報を収集し、保険商品が顧客のニーズに合致することを確認する書面(以下、「意向確認書面」という。)を作成し、交付・保存することが考えられる。
(イ)「意向確認書面」については、以下のようなメリットが考えられる。
@ 契約締結前に、顧客が自らのニーズ及び購入しようとする保険商品がそのニーズに合致するか否かを確認することができ、契約締結をなすか否かの再考が可能となる。
A 募集人等が、「意向確認書面」を作成する過程において、販売しようとする保険商品が顧客のニーズに合致したものであるか否かを確認することとなり、最終的に当該保険商品を推奨することが適切か否かの再考が可能となる。
(ウ)「意向確認書面」の内容としては、次のような内容の記載を求めることが考えられる。
@ 募集人等が知り得た顧客のニーズに関する情報3(投資性商品については、顧客の「投資の目的」又は「投資の意向」に関する情報を含む)
A 推奨する保険商品が顧客のニーズに合致すると考えた主な理由
B 満たされない顧客のニーズがある場合にはその旨など、その他の特に記載すべき事項がある場合にはその旨
(エ)募集人等は上記(ウ)@に記載する顧客のニーズを特定するために、顧客からニーズに関する情報について提供を受ける必要がある。
(a)顧客から最終的に提供を受ける必要があるニーズに関する情報については、例えば、以下のような様々なレベルのものが考えられる。
@ 死亡保障、医療・傷害保障、貯蓄等のどのような分野の保障を必要としているか、市場リスクを許容するか等に関するニーズ
A @で記載した保障分野の類型の中で、どのようなタイプの保険契約とするのかを特定することに関するニーズ(例えば、死亡保障であれば、終身の保障か、一定の期間の保障か等)
B @Aにおいて選択されたものの中で、具体的にどのような保険契約とするのかという詳細な内容に関するニーズ(例えば、主契約や特約ごとの具体的な保険金額や保険料等)
(b)「意向確認書面」を作成するうえで、上記@からBのどのレベルまでを求めるかが問題となるが、仮に上記Bのレベルまで求めるとした場合、記載すべき量が大幅に増大し、結局はその内容が申込書に記入した各事項と同様のものとなることも考えられ、「意向確認書面」を作成する募集人等の事務負担が増大することが懸念される。
(c)よって、「意向確認書面」を記載するうえで、最低限求められるニーズに関する情報は、例えば、どのような保障を望むか(死亡した場合の遺族保障、がんや三大疾病の際の医療保障、傷害による医療保障、病気による医療保障、介護保障、老後生活資金の準備、賠償責任補償等)、貯蓄的部分(満期保険金、解約返戻金等)を必要とするか、市場リスクを許容するか、求める保障の期間(一定の時期までか、一生涯か、その組み合わせか)、保険料や保険金額に関する希望がある場合や優先的に希望する項目がある場合にはその旨などの、@及びAのレベルまでのものとすることが適当と考えられる。
(d)さらに、Bのレベルで求められるニーズについても重要であることから、最終的な保険契約の内容のうち重要なもの(保障内容、具体的保障額、具体的保険料額、付加した特約等)について、例えば、顧客の加入目的や意向に合致しているかどうかを確認するため、「意向確認書面」に設問を設ける等により、顧客のニーズに合致しているかの再確認を求めることが適当と考えられる。
(オ)顧客のニーズに関する情報の「意向確認書面」への具体的な記載方法については、例えば、予め想定される顧客のニーズに関する情報の項目を列挙することとし、その中から当該顧客のニーズとして該当する事項を選択するといった方法も認められるものと考えられる。しかしながら、このような場合においても、前述の(ウ)Bのような特に記載すべき事項を記入するための特記事項欄等を設けることが望ましい。
(カ)また、契約締結に至るまでに、顧客から「意向確認書面」を作成する上で最低限求められるニーズに関する情報が得られない場合も想定されるが、このような場合には、取得しえた情報を「意向確認書面」において明らかにした上で7、顧客に交付する「意向確認書面」は取得しえた情報を前提として作成していることを顧客に説明することで足りると考えられる。
(キ)「意向確認書面」の作成・交付にあたっては、その作成者・交付者が募集人等や保険会社であることを明らかにするために、その氏名・名称を明示することが適当と考えられる。
(ク)「意向確認書面」の内容のうち、特に顧客から提供を受けたニーズに関する情報の部分については、それが事実に反するものでないことを顧客に確認することが適当であると考えられる。その際、事実に反する記載があった場合には、顧客がその部分について修正を求めることができるようにすることが適当と考えられる。
(ケ)「意向確認書面」を顧客に提供するに際しては、顧客においても購入の経緯を事後的に確認するために保存の必要があることから、その媒体としては書面が適当と考えられる。これについては必ずしも独立した書面である必要はなく、申込書等を利用して提供することも適当と考えられる。また、顧客の了解があった場合には、電子メール等の電子媒体での提供も可能と考えられるが、その場合にも印刷やダウンロードを可能なものとし、顧客において保存できるようにすることが適当と考えられる。
(コ)顧客が即時の契約締結を求めている等により「意向確認書面」の作成・交付が困難な場合には、顧客の利便性を考慮し、「意向確認書面」に記載すべき内容を口頭により確認することも可能であるが、その場合は事後に遅滞なく「意向確認書面」を交付することが適当と考えられる。
(サ)なお、「意向確認書面」の作成・交付を要しない旨の顧客の意思の表明があった場合には、募集人等において「意向確認書面」の作成・交付は必要ないものと考えられる。ただし、その場合には、「意向確認書面」に代えて、募集人等が「意向確認書面」の役割(購入しようとする保険商品がニーズに合致するか否かを募集人等・顧客双方が確認するための書面であること等)を書面等により説明したうえで、当該書面において「意向確認書面」の作成・交付を要しない旨を確認することとし、これを保存することが適当と考えられる。
イ.適用範囲
上記ア.の仕組みの適用範囲については、保険商品の内容(変額保険等の投資性商品、保障性商品等)や、募集チャネル(乗合代理店、専属代理店、営業職員、保険仲立人、郵便・電話・インターネット等の非対面販売等)・募集態様(顧客の事情に応じた商品設計を行い、推奨・販売している場合等)により分類の上、検討することが必要である。
これについては、募集人等と顧客との間で情報等が相互に交換されることにより共同作業が行われている募集形態(非対面販売についても、例えば、電話による場合などで募集人等と顧客との間で情報等が相互に交換されることにより共同作業が行われている募集形態を含む)において、かつ商品類型から顧客保護の要請が高いといえる下記の場合について、適用することが適当と考えられる。
(ア)投資性商品
変額保険、変額年金保険等の投資性商品については、投資リスクを伴う商品であり、銀行における窓口販売等においてトラブルが指摘されている商品分野でもあることから、上記ア.の仕組みを適用することが適当と考えられる。
(イ)保障性商品
保障性商品については、顧客のニーズに合致しないことにより顧客の受ける不利益が大きい場合は、上記ア.の仕組みを適用することが適当と考えられる。
具体的には、特に保険期間が長期のもの(例えば、保険期間が5年を超えるもの)については、顧客が当該保険契約に拘束される期間が長く、不適切な保険に加入した場合その見直しの困難性が相対的に高いものであり、顧客の受ける不利益が大きいと考えられるのではないか。これに対して、保険期間が短期のものについても、その保険期間中において保険事故が発生した場合、当該保険商品が顧客のニーズに合致しないことによる顧客の受ける不利益は保険期間が長期のものと同様で、保険期間の長短を適用範囲の基準とすることは適当ではなく、むしろ保険料や保険金額の多寡、商品内容の複雑性等を考慮し、顧客の受ける不利益が大きい場合を判断すべきではないか、との意見もあった。
また、募集人等が提供する助言の性質も考慮すべきであり、複数の保険会社の保険商品を取り扱うことを表示したうえで商品を提案する場合や、複数の保険商品のうちどの商品を選択するのかを比較のうえ提案するような場合にはこの仕組みを適用すべきではないか、との意見もあった。
いずれにせよ、保険商品によっては上記ア.の仕組みを適用しない場合もあり得ることから、そのような「意向確認書面」の作成・交付を要しない場合であっても、顧客ニーズを慎重に確認しなければならない重大な事項(例えば、自動車保険における若年運転者不担保特約についてのニーズ)をチェックした書面等を保存することが適当と考えられる。
(ウ)乗換・転換
乗換・転換は、顧客が従来の契約で得ていた保障内容や保険料水準の変更を伴う場合があり、より公正性の確保が求められることから、上記ア.の仕組みを適用することが適当と考えられる。
〈上記の仕組みが適用されない場合の対応〉
 現行の保険業法施行規則第53条の7には、顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえた重要な事項の説明等を確保するための社内規則等の体制整備義務が定められている。
上記の仕組みが適用されない場合であっても、保険商品の販売・勧誘のいかなる段階でどのような顧客の情報を収集するか、募集人等が推奨した保険商品が顧客のニーズに合致しないことが判明した場合にどのような方法で顧客に説明するかについて、保険会社等に対してその自主判断において適切な体制整備を求めることが適当と考えられる。
 その体制整備は、事後的に販売・勧誘の適切性を検証しうるものである必要があるが、その内容は、保険期間の長短、保険料や保険金額の多寡、商品内容の複雑性、保険商品が対象とする顧客ニーズが簡明なものか等を考慮しつつ、それぞれ定められるべきものと考えられる。例えば、保険契約が締結されたものについて、アンケートや申込書等の顧客情報を収集した書面、顧客との間の交渉経緯等やその概要を記載した書面等を保存することなどが考えられる。
〈その他募集人等に求められる行為〉
ア.顧客の理解度に応じた説明や、誤解の解消
勧誘の過程において、顧客が説明内容を誤解することがないように努め、顧客が説明内容を理解していないことや誤解していることが明らかとなった場合には、募集人等はより分かりやすい説明を行うことや、誤解を解消するよう努めることが求められる。
イ.募集人等の立場の明示
募集人等の立場によりその取り扱える保険会社や権限などの一定の限界があるが、これを顧客に明示することは、募集人等の立場に制約があることを顧客が客観的に認識し、保険商品の販売・勧誘に際しての募集人等の認識と顧客の認識の格差(ギャップ)を埋めるために有効であると考えられる。
従って、募集を行おうとする際には、募集人等が取り扱える保険会社の範囲(具体的には、専属か乗合か、乗合の場合には取り扱える保険会社の数等の情報)を明示するとともに、顧客が告知を行おうとする際には、告知受領権の有無についてその明示が行われることが適当と考えられる。
〈法令上の位置付け〉
 上記の仕組みを、法令等において明確化することが適当と考えられる。
例えば、「意向確認書面」については、保険業法施行規則第53条の7による体制整備義務を具体化したものと位置づけ、「保険会社向けの総合的な監督指針」において上記のルールを明確化することが考えられる。

<中期的な課題>
保険契約における適合性原則の検討過程においては、以下のような取組みについても中期的な課題として検討することが考えられるとの指摘があった。
(1)募集人等の手数料開示について
募集人等の手数料が多い商品をあえて選択するといった弊害を防止する手段として、例えば、募集人等の手数料を開示する等の方策について検討していくことが必要ではないか。
(2)募集人等の質の向上
顧客のニーズに応じた保険商品の提案等を行っていくためには、実際にそれらを行う募集人等について、例えば、募集人等に対する教育体系の見直しやその登録要件として一定の資格を要求する等、資質の向上を図る方策について検討していくことが重要ではないか。
(3)クーリング・オフの見直し
クーリング・オフについて、来店型での銀行における窓口販売等においてトラブルが指摘されていることから考えても、例えば、適用範囲の拡大や期間の伸長等何らかの見直しを検討することが必要ではないか。

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