●売れそうで売れない人のためのモチベーションアップ術(07年6月24日)

〈アドバイス1:心構え〉

 本人や周囲の人の気持の持ち方が肝心です。まず、新人を採用するときは両目を開けて、採用後は片目を閉じて、その人の個性や長所を伸ばしてあげましょう。特に、主婦の場合、仕事という別のエンジンがかかるまでは時間がかかるものです。生保会社の営業機関では「頑張れ」「頑張る」が日常の常套句になっています。しかし、私の長年の経験で言えば、MDRTクラスでも毎日頑張ってる人など見たことはありません。何事もできることをやればいいのです(人は誰しも、できることしかできません)。自分なりに頑張っているのに、数字が出ないからといって、上司から「頑張れ」と頭ごなしに言われたのでは気が滅入るでしょう。だから、上司や先輩は「頑張れ」ではなく、「○○さんなら、きっとできるよ」と、その人を期待している心を伝えましょう。もし、上司や先輩から、「頑張れ」と言われたら、心の中でこう言い返してあげましょう。「お前もな」と。
 いま、会社を代表するような超優績者の人たちも、入社当初は「生保のセールスはムリ」と思っていた人がほとんどです。日常生活で商品の効用が実感されることのない生命保険のセールスは、基本的に「断られる仕事」です。したがって、お客さまに断られてもあなたの能力のせいではないのだから、悩む必要は全くないのです。
 毎日お客さまに会うのが億劫になることもあるでしょう。しかし、これも見方を変えればいいのです。仮に1日1人のお客さまを訪問すれば年に240人ですが、午前・午後で2人訪問すれば年に480人、3人訪問で720人、4人では960人もの訪問数となります。こうして年間単位で捉えると、ほとんどの人が500人〜1,000人もの多くのお客さまを訪問していることになります。自然体で毎日自分ができる範囲で訪問を積み重ねていけば、結果的に随分と多くのお客さまと面談することができます。成果は必ずあとから付いてきます。
〈アドバイス2:リズム〉
 もし、すぐ優績者になりたいのなら、優績者のリズムを真似してください。対面販売では、売り手の波動がお客さまに伝わり、同時にお客さまの波動も売り手に伝わります。お客さまの反応は、セールスマンのリズムの鏡です。お客さまに何回もお見積もりを出しているのに、毎回、外交辞令の常套句の「検討しておくから」と返答されてしまう場合は、売り手側のリズムがルーズになっていて、それがお客さまに伝わっているのです。まず、面談回数に自分自身で区切りを設けましょう。優績者の活動をよく観察すると、常に複数の見込客と同時進行で商談を進めています。1人が終わったらその次、ではありません。そして、どのお客さまに対しても一定のリズムを保っています。ある超優績者は、「ワン・ツー・スリーの法則」を実行しています。1回目の面談でニード喚起まで、2回目はプレゼンテーションまで、3回目はクロージングと次の見込客の紹介獲得――の3回訪問でテンポよく必ず仕上げています。3回目の面談でクロージングできない場合は、そこで一端打ち切って、半年後か来年に改めて面談します。ご提案に全く関心を示さないお客さまを無理に押す必要はありません。「ご加入の保険がお客さまの保障ニードに合っているかどうか、合理的な掛け方になっているかどうか、ぜひ、ご確認なさってください。何かありましたら、いつでも何なりとお申し越しください」と、お客さまの心の中に好印象の名刺を置いておけばそれで良しです。「検討しておくから」の常套句を頼りにして、「ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブ・シックス・セブン…」と、ズルズルお客さまのルーズなリズムに合わせてしまうと、売り手の基本動作のリズムが狂ってしまいます。一端リズムがルーズになると、次のお客さまには「エイト・ナイン・テン…」と、さらにルーズになってしまうものです。1人のお客さまに対する面談回数は、自分のキャリアや性格に応じて自分自身で区切りを決めましょう。ただし、現在は契約概要、注意喚起情報、意向確認等の説明手続きが必要なため、少ない人でも4回〜5回が一つの目安になるでしょう。
 次に、1回当たりの面談時間にも区切りを設定しましょう。それぞれのキャリアや話し方、職域・地域のお客さまによっても異なりますが、できるだけ30分〜1時間の範囲で面談できるように事前に訴求ポイントを絞り込み、お互いにアドレナリンの分泌が良くなるように、メリハリを付けてやや早口気味に体育会系のノリで話すことがポイントです。ボランティアではなく仕事で面談するのですから、お互いに貴重な時間を無駄遣いしてはいけません。お客さまが例え韓流スターにハマッている場合でも、1時間以上もお邪魔してはいけません。そのときはお客さまは満足したつもりでも、後から「あの人が来たから、あれができなかった」と言われてしまうでしょう。リミットを決めていれば、自ずと言うべき事ははっきり言うようになります。
 そして、もう1つの基本動作のポイントは、「1週1件」の自分自身の区切りを心の中に設定することです。心の中の締めきりをお客さまの都合に応じて、毎週金曜日にするか、ご夫婦在宅時の土日にするかは自分で決めてください。「1週1件」を毎週継続することを前提にすれば、毎週何人の面談アポを取る必要があるかも自ずと決まってきます。
 ただし、ベテランでも毎日面談アポを取ることは、なかなか難しいものです。そこで、顧客数の多い優績者は、お客さまにいつも身近に感じてもらうために、「心」をプレゼントしています。ご機嫌伺いだったり、お祝いのメッセージだったり、多くのハガキや電話で「心の一言」を送っています。面談アポ取りの数は、日頃の手まめ口まめ=種まきに比例します。毎週「1週1件」が継続できるかどうかは結果論です。途切れたからといって、嘆く必要はありません。あくまでも自分自身のリズムを守るために自分でやっていることなのですから。大切なのは自分で波動=リズムを生み出し、お客さまに伝える工夫をしてみることです。いつしかお客さまが、あなたの波動にシンクロ(同調)するようになるでしょう。そう、自分ができることを継続すれば誰でも優績者になれるのです。


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